どうやらオレは巻き込まれ体質らしい   作:どらい

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今回は少し真面目な感じで()。回想は書くのが難しいです。



金髪少女の回想

「フェイト、このジュエルシードはどうやって手に入れたの?」

 

時の庭園に戻った私が手に入れたジュエルシードを渡したとき、母さんはそう言った。

 

「現地の住民に譲ってもらいました」

 

「そう・・・」

 

カイから貰った1つだけ色が違うジュエルシード。と言っても、色の違いは些細なものでよく確認しないとわからないレベルだ。私も母さんに今言われるまで気が付かなかった。

母さんは今、カイに貰ったジュエルシードをじっくりと観察している。私にとっては何の違いがあるのかわからないけど、研究者である母さんにとっては違うらしい。

 

「・・・・・下がってていいわ」

 

「はい、母さん」

 

私はそんな珍しい母さんの姿を眺めていたけど、その視線が気になったのか母さんに部屋に戻るように指示された。

私はその指示に従って、自分の部屋に戻るため扉を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかし、あのプレシアがフェイトに何もしなかったなんて信じられないよ」

 

「こら!そんなこと言わないの」

 

扉の前で待っていてくれたアルフと合流し、私の部屋に向かっている最中、アルフがそんなことを言い出した。母さんは優しい人だから、起こってくれるのも私のためだっていつも言ってるのに・・・。

 

「そんなにあのカイってやつに貰ったジュエルシードは珍しいのかい?」

 

「私はよくわからなかったけど、母さんは興味を持ったみたい」

 

「ふ~ん」

 

アルフと話しながら廊下を進むと、私の部屋に着いた。部屋のベッドに腰かけ、アルフがベッドで丸くなっているのを眺めながら、私はカイとの出会いを思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カイと出会ったのは、私とアルフが母さんにジュエルシードの回収を指示され、地球に移動してすぐの頃だった。拠点となるアパートへの荷物の運び込みも終わり、アルフと別れてジュエルシードを探していた私は、公園で彼に出会った。彼はベンチに座って海を見ながら、手元で何かをいじっているようだった。

最初はそれが何かわからなかったが、次第に彼がいじっているのはジュエルシードだとわかった。それは母さんから送られてきた画像データと全く同じだった。

 

(!?・・・これは・・・!?)

 

ここで私は彼が魔力を持っている魔導師だということがわかった。地球は管理外世界じゃなかったの・・・!?

警戒しつつもジュエルシードを譲ってもらうために、気持ちを切り替えて話しかけることにした。

 

「あの・・・」

 

「ん?」

 

そこで彼は私の方に振り向いた。短く切られた黒髪に黒い瞳、一般的なニホンジンというものに当てはまる容姿であった。

私が続きの言葉を言おうとすると何故か彼はベンチに座っている位置を変えて、こちらを見つめてきた。

 

「・・・・・?」

 

彼が何をしたいのかわからなくて、私も見つめ返す。

しばらく見つめていると彼が着席することを促したため、彼の隣に座ることにした。こうなってしまったら私は黙って、先に彼の用件を聞くことにしよう。そう思って待ってみても、彼が話すことはない。・・・むしろ何かそわそわし始めた。何をしているんだろうか。

 

「えっと、なんか用事があるんじゃないの?」

 

「え?君が座ってって言ったからなんか話があるのかと思ってた」

 

「あ、ごめん。オレは特に用事はないんだ。ベンチに座りたいのかなって思ってたんだ」

 

ようやく話してくれたと思ったら、どうやらこちらが話してくれるのを待っていてくれたらしい。勘違いに頬が熱くなるのを感じつつ、ジュエルシードを譲ってくれないかとお願いしたところ、快く譲ってくれた。何故か焦っていたけどよくわからなかった。「オレって、見ず知らずの人に変態扱いされて・・・?」とか言っていた。

その後はお互いに自己紹介して、魔法のことを話すことになった。

 

「カイは管理外世界の住民なのに、どうして魔法が使えるの?」

 

「管理外・・・?あ、いや急に目覚めたんだよ!フェイトはなんで魔法を使うようになったの?」

 

「私は、母さんが魔導師だから自然となりたいと思ったの。魔法はリニスが教えてくれて・・・」

 

私の師匠であるリニスは、優しく厳しく教えてくれた。今はもう会えないけれど、あの頃の思い出は忘れることはないだろう。

 

「オレはヒットアンドアウェイを主流にしているから敵に見つからないことを第一にしているんだ。・・・いやホントダヨ?」

 

「そうなんだ!私はね・・・・・」

 

彼との魔法談義はとても楽しいものであった。ところどころ私の言うことに、リアクションをとってくれるのが面白かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後も、どこかの家の庭や温泉で会って話をした。巨大な猫にまたがって移動していた時はとても驚いたけど。彼はビーストテイマーの才能もあるらしい。私の攻撃が躱されるあの猫の動きは芸術的であった。

私が管理局と出会ってしまったある日から、ジュエルシードを確保することが難しくなり、公園で悩んでいたある日、彼は私に声をかけてくれた。

 

「どうしたの?この世の終わりみたいな顔して。ガリガリ君の当たり棒でも落とした?」

 

「ううん、違うよ」

 

・・・ガリガリ君って何だろう?

カイの言ってることはよくわからなかったけど、いつまでも1人で悩んでても仕方がないと思い、悩み事をカイに相談することにした。

 

「私がジュエルシードを集めてることは知ってるよね?」

 

「お、おう。ジュエルシードな。知ってるよ」

 

「最近、管理局もジュエルシードを集めるようになったみたいで、ジュエルシードを集めにくくなってるんだ。あの子も管理局に協力してるみたいだし・・・。もうどうすればいいかわからないんだ」

 

「カンリキョク?」

 

「うん。お母さんのためにも何とかしなきゃならないんだけど・・・」

 

「・・・カンリキョク?カンリキョクとは何ぞや?」

 

「カイ?どうしたの?」

 

「い、いや何でもない!カンリキョクな~あいつらめちゃ許せんよな!」

 

「う、うん」

 

カイがうつむいてぼそぼそ言ってたのが気になって声をかけたけど、何でもないと返された。なんか挙動不審だけど大丈夫かな?

 

「ちなみに敵の魔導師って・・・」

 

「砲撃型だよ」

 

「砲撃型か・・・つまりバスターガンダムってことか。・・・それでフェイトには誰にも負けないって自信を持ってる設定とかはある?」

 

「設定?」

 

「あ、設定じゃなくて!フェイトの長所!」

 

私の長所・・・。私が自信を持ってる分野と言ったら・・・。

 

「・・・速さかな」

 

「・・・速さ・・・ね。速さか・・・あ、そうだ!ちょっとこれ見てよ!」

 

私の答えを聞いたカイは、何かを思いついたようでカバンから折り畳み式の端末みたいのを取り出した。

 

「カイ、それは何?」

 

「これ?これは任〇堂DSってやつ」

 

この世界にはそんな端末があるのかと感心していた私をよそに、カイはその端末の電源を入れた。

その画面に表示されたのは・・・。

 

「ポケットモンスター?」

 

「うん。今から速さの強さってものを実践で教えたいと思って」

 

しかもプラチナらしい。プラチナってこの世界の貴金属だよね?

カイはそう言うとボタンを使って操作をし始めた。

 

「見てろ、この素早さMAXのダークライの強さを」

 

ダークライのダークホール。

ダークライのあくむ。

ダークライのゆめくい。

相手は倒れた。

 

「このダークライのダークホール、あくむ、ゆめくいの必勝コンボに勝てる奴はいないのだ」

 

「それがどうしたの?」

 

「このコンボはな、相手よりダークライの速さが優れてるから発動するんだ。つまり、相手よりも速ければ相手の攻撃は当たらないし、相手に攻撃をさせずに勝つことだって勝てるかもしれないんだ」

 

「うん」

 

「つまり相手がどんなことをしようが関係ないってことだよ。ジュエルシードを奪って戦わずに逃げるのも良し、気配を消して襲撃して一気に片を付けるのも良し・・・だよ!」

 

「でもそれだと・・・」

 

「甘い!!初めて食べたカスタードたい焼きより甘い!!」

 

「たい焼き・・・?」

 

ちょっと相手の子が可哀そう・・・と思って反論しようとしたけどカイが止めてきた。たい焼き・・・また新しい言葉が出てきた。

 

「いいか、フェイト。これは戦争だ。いくらこっちが良い装備を手に入れたとしても不意打ちで負けてしまうこともあるんだ!」

 

「う、うん」

 

カイの迫力に思わず押されてしまう。

 

「甘さを全て捨てて戦うんだ!逃げるが勝ちって言葉もあるんだからそんなに深く考えなくてもいいんじゃないか?困ったときはダークライを思い出すんだ。」

 

「ッ!?」

 

そのとき私の中に巣くっていた不安が消えていくのを感じた。そっか・・・別にきちんと勝負をしてジュエルシードを手に入れなくてもいいんだ・・・。母さんも早くジュエルシードを欲しいに決まってるよね!

 

「ありがとう、カイ!!君のおかげで救われたよ!!」

 

「お、おう。そんな感激されるようなこと言ったっけ?」

 

カイがなんか言っているようだったけど、新しい戦い方を見つけた私には聞こえなかった。その後は、カイのアームドデバイスである”ボクトウ”を見せてもらった。カイはアームドデバイスを使っているらしい。金属の感じが全然無かったけど、カイの使ってるデバイスは他のデバイスとは一味違うようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、迎えたジュエルシードの発動。先に白い魔導師の子たちが現場についていた。今までは逃げるだけだったけど、これからは違うよ!あらかじめ話してあったアルフと念話でコンタクトをとり、作戦を開始する。

 

「フォトンランサー」

≪Photon lancer≫

 

隠れていた森林から数発のフォトンランサーを放ち、私はすぐさま移動する。

 

「え!?」

≪Protection≫

 

「何っ!?」

 

「あの子だっ」

 

いきなりの敵襲に驚いた彼女たちは攻撃が来た方向を向いて、警戒している。そこから森林の中を回るように移動しジュエルシードのもとまで移動する。

 

「ジュエルシード封印!」

≪Sealing≫

 

「何だと!?」

 

「しまった!!」

 

「あの攻撃は!?」

 

そしてすぐジュエルシードを封印する。彼女たちはそのことに気づきこちらを向くがもう遅い。

 

「バルディッシュ」

≪Yes,sir.Blitz action≫

 

彼らを気にすることなく転移魔法を展開していたアルフのもとへ移動する。

 

「待てっ!!」

 

管理局の魔導師が静止の言葉をかけてくるのを聞きながら私たちは転移した。

 

「やったね、フェイト!管理局に一泡吹かせてやったよ」

 

「うん、これもカイのおかげだよ」

 

「そのカイってやつにはお礼を言わないとね」

 

その後、拠点となっているアパートの一室でアルフと喜び合ったんだよね。新しいやり方が成功して私も嬉しかったのを覚えている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪フェイト、私のもとに来なさい≫

 

≪はい、母さん≫

 

思い出を振り返っていた私に、母さんから呼び出しがかかった。心配そうにするアルフをなだめて、玉座の間に再び入る。するとそこにはカイから貰ったジュエルシードを空中に浮かせた状態でこっちを見る母さんがいた。母さんは私が入ってくるのを確認すると口を開いた。

 

「フェイト、貴女このジュエルシードを現地の住民に譲ってもらったって言っていたわね」

 

「はい」

 

「今からその人物をここに連れてきてちょうだい」

 

「え!?」

 

母さんに言われたことが聞き間違いだと思ってしまう。それってカイを連れて来いってことだよね・・・。

 

「だけど・・・」

 

「いいから連れてきなさい!ジュエルシードに干渉できるような人物がただの住民であるはずがないもの!」

 

「・・・わかりました」

 

母さんに逆らうことができない私は、返事をして玉座の間を出る。私の部屋で待っていたアルフと共に、拠点のアパートに戻る。その後、カイを探すために私はアパートを出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おっす、オレ羽島カイ。今日は稽古がないため学校が終わり家でぐーたらしようと思ったら、買い物を指示するメモを発見してしまい買い物に行くことになってしまったんだ。家でのオレのヒエラルキーは最下層なので、逆らえなかったんだ。あのメモッ!!オレが逆らえないような効力があるッ!!母さんが書いた紙にまで負けてしまうオレ氏。そこ、笑うんじゃない。

今、スーパーに到着した。メモの指示によると、スーパーの夕方のセールで売り物を勝ち取ってこいとのことだった。オレはどうやら戦場に赴かなければならないらしい。母さんッ!!主婦の方々がひしめきあってるよッ!!みんな目が怖いよッ!?この中から安売り卵と肉を奪取せねばならないときた。オレ、死ぬんじゃね?

時刻がセールが開始される16時を回った。店員さんが割引シールを張っていく。そして・・・

 

「セール開始です!!」

 

「「「うおおおおおおおおおお!!!」」」

 

雄たけびを上げながらオレ達は突っ込んでいく。一番槍羽島ッ!!行きます!!

 

「ほげあっ!!」

 

おばちゃんからタックルを貰いつつ卵を買い物かごに入れる。後は肉だっ!!

オレは肉が売られている場所目指して再び、戦場に行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・」

 

真っ白に燃え尽きたぜ。何とか卵と肉を買うことができた。ついでにネギも買ってしまったぜ!!よくわからないけど。だって店員さんがやけに進めてくるんだもの、買うしかないじゃない!?(マミさん風)

大佐ァ!!こちら羽島!!無事戦場より生還いたしました!!・・・大佐もご苦労と言ってくれていることだろう。

しかし代償もある。体力もそうだし、何よりこの頬の赤。・・・何だと思う?キスマークである。戦場で揉みくちゃになったなったときにつけられたらしい。口紅がべったりだ。レジのお姉さんに温かい目線で見られたことをここに記しておく。

 

「ん?」

 

パーカーのポケットに何か入っていることに気づいた。ごそごそとポケットを探って、その物体を出す。

 

「ジュエルシードやん」

 

温泉旅行に行く前に拾って、パーカーに入れておいたのを忘れてた。なのはかフェイトに渡すのを忘れてた。温泉旅行に行ったときフェイトに聞いた話によると、何でも何個か集めると(具体的な数は忘却)願いが叶うらしい。思わずドラゴンボールかよ!!って突っ込んでしまった俺は悪くない。フェイトはドラゴンボールを知らないという衝撃の事実も判明したが。あの子純粋すぎんよ。

まあ、ミサンガみたいな願掛けみたいなものだろう。今度会ったときに願い事を聞いてみるのも悪くない。さあ、我が家に帰ろう!

 

「あ、いた!カイ!!」

 

噂をすればなんとやら。フェイトさん登場である。

 

「どうした?」

 

「カイ!私と一緒に来て!!」

 

「は?」

 

言葉が足りない!!そんなんじゃ勘違いされるぞ!!

 

「なんで?」

 

「母さんがカイに会いたがってるんだ」

 

「・・・?」

 

思わず首をひねる。いや、なんで?僕、何かしましたかね?

 

「ジュエルシードのことで!」

 

「・・・・・」

 

まさか・・・この前のオレの適当ポケモン理論を聞いたフェイトの母さんが怒ってしまったのか!?

 

「フェイトの母さん怒ってる?」

 

「なんで?別に怒ってないよ?」

 

フェイトが不思議そうな顔をして首をかしげる。良かった・・・。怒っているわけではないらしい。買い物袋に保冷材も入っているし、少しなら大丈夫だろう。

 

「少しなら大丈夫」

 

「良かった!じゃあ行こう」

 

おっと、そう言えばジュエルシード渡さなきゃ。オレはポケットからジュエルシードを出しつつ、フェイトに尋ねる。

 

「そう言えばフェイト。叶えたいことって何?」

 

「え?私が叶えたいこと?」

 

「うん。ジュエルシードに願うことだよ」

 

「・・・私は・・・また家族みんなで幸せに暮らせるようになりたいんだ」

 

「そっか、その願い叶うといいな」

 

フェイトの願い事を聞き、オレが返答しつつフェイトの手にジュエルシードを載せる。

 

「!?・・・これってジュエルシード!?」

 

フェイトが驚いた様子で尋ねてくる。オレが拾ったことを伝えようとした時、ジュエルシードから閃光が放たれた!!オレはそれを直視してしまった。

 

「目がァ!!目がァ!!」

 

ぎゃああああ!!目が痛い!!ムスカ大佐の気持ちがわかるよ!!

 

「・・・え?」

 

うめき声をあげていたオレをよそに、フェイトはなにかに驚いているらしい。フェイトは閃光の被害にあわなかったようだ。なんでオレだけ目にダメージを受けてるんだ!!

 

「くっ・・・」

 

ようやく目が開くようになって周囲を確認する。目の前には固まっているフェイト。周りはどこかの王宮の部屋みたいな光景。っていうかここどこ?

固まっているフェイトが見ている方向を見る。オレも思わず固まる。そこには・・・

 

「・・・これ、どういう状況?」

 

正座した紫色の髪の女性が、フェイトにそっくりの金髪の少女に説教されている姿があった。買い物袋から見える青ネギの存在感がやけに頼もしかった。




ポケモンプラチナで時が止まってる作者。ダークライの部分は戦闘に活かされてない模様。
ダークホールとか無理だよね!

急展開()。



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