恋姫†国盗り物語   作:オーギヤ

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第二話

 

 遺憾ながらも城を落とせば公約を守り、袁術が貯め込んでいた私財を領民へと開放した。

 

 宛県の街や村邑に食糧を施す。南陽郡内の他県でも領民の反発や郡太守の袁術が去ったことで多くの領主は領土から立ち去ったようであるが、正式に落とすのは少し間を置こうと思う。

 

 理由はいくつかある。一つ目はまだ気持ちの整理がついていないこと。どうしてこうなった、と頭を抱えたくて仕方ない。先々のことを考えると気が滅入る。これまでは深く考えない様に後回しにし続けてきたが、城を落としてしまえば考えざるを得ない。この先どう動くべきだろうか。

 

「まず領内の整備。物資が滞りなく配り終えたら治水や灌漑といった食に関わる事業を…………」

 

 いや、と思い直す。オレは何を真面目に考えてるんだ。普通にやってちゃ世話がないだろ。

 

「なら領内の豪族の理解を得ることを最優先に…………って無理だろ。絶対ぶち切れてるよな」

 

 ため息が零れる。四面楚歌もいいとこだが、それでも顔を上げて動かねばならない。

 

 城一つ落としたところで満足していたら即座に四方を囲まれるので、少なくとも郡内は全て落とす必要があるだろう。新野辺りを押さえて海路への道を確保しておけば少しは安心できる。

 

 唯一の救いは黄巾賊に扮している点だ。増援を見込めるかもなんてことはどうでもいい。オレ達の素性が割れていない点が重要だ。黄巾賊として一括りに認識されるということが最重要。

 

 最悪追い詰められたら城を捨てて逃げ出せばいい。南方へ逃げれば追いかけては来ないだろう。名を変え姿を変え、また仲間と一からやればいいだけのこと。どうせこれから大陸は大荒れだ。

 

 ほとぼりが冷めるまで僻地で大人しくしてればいい。仮に元黄巾賊とバレたところで、いちいち処罰していたらキリがないはずだ。そんな連中は巨万といる。せいぜい労役が課せられる程度だろう。好き勝手に暴れ回って適当に逃げ出す手も悪くない。確かに悪くはないんだが─────。

 

「しかしそうなると……。どうするかな…………」

 

 だがこの方法を選ぶと反乱に集まった兵や協力してくれたみんなを置き去りにしてしまう。

 

 そんなこと知るもんかと投げ出してもいい。どうせこっちに参加していなくとも黄巾の乱に加わっていただろうと。加担したことを当人の自己責任とするのも間違っていないと思う。

 

 ただ顔馴染みの商人達を始め知り合いが多いのが難点だ。知らない連中が何人死のうが全く興味無いが、知り合いが死ぬことは困る。だが甘えたことは言ってられない。官軍と構えれば大勢死者が出るだろう。本当にどうしたものかな。

 

「お頭! 細かいことなんていちいち考えずに全員ぶん殴ってやればいいんですよ!」

「お、おお。そうだな…………」

「魏延の言う通りだ。目障りな連中は全員始末すりゃいい。その方が面倒がなくて楽だろ」

「お前達はマジ脳筋だな。まあ、でもそれが正解なんだろう。あれこれ悩んでも仕方ないか」

 

 占拠した城の謁見の間には、あれこれと悩むオレの他に文鴦と魏延の姿があった。

 

 二人は本当に豪快だ。悪く言えば脳筋らしい言葉ではあるが、今の状況を考えれば正論だろう。この時代の将らしく腹を据えている。それに引き替えオレは何をうじうじ悩んでいるのか。

 

 黄巾賊が敗れる未来を知っているから。それに連鎖して敗れて死ぬことを恐れているのか。死ぬことは怖い。だがそんなことは今に始まったことじゃない。これまでだって何度も─────。

 

「…………まあ、ともかく集まった連中を兵として形にしないと始まらん。練兵から始めるか」

「任せて下さい! ビシバシ鍛えますよ!」

 

 あれこれ考え出すとキリが無い。こうなった以上は備えだけでもしておくべきだろう。

 

 郡内の他県を落とさない理由の二つ目。外へ出向かせた孫家がこの城へと戻ってくる危険があること。袁術に恩義があるかは知らんが、戻ってくればいきなり正念場を迎えることになる。

 

 孫家はただでさえ超弩級でヤバいのに、こっちが戦力を分散している隙を突かれては勝負にすらならない。孫策は私兵の他にも袁術の兵をいくらか借りて行ったようだ。総兵数は五千から七千弱。ウチにいる兵が七千だから数の上で不利になることはないが、問題はやっぱり将だろう。

 

 孫策を筆頭に周瑜と黄蓋がいることは確認がついている。戦うハメになるなら孫策には文鴦でもいいが、出来れば魏延をぶつけたい。魏延が万全なら孫策とも渡り合える公算が高い。そして黄蓋には文鴦。他にも面倒なのがいれば高順、張燕、周倉、廖化とウチの中で強い順にぶつける。

 

「魏延は文鴦と乱取りしてこい。十本……いや、百本取るまで一生続けろ!」

「えー!? アニキ相手に百本取るなんてそんなの無理ですって! 倒れちゃいますよ!」

「なら倒れる前に百本取れ。こっちはお前の覚醒待ちなんだよ。悠長なことは言ってられん」

 

 大雑把だが武将対武将はこれである程度の格好がつく。そうなると問題は周瑜の存在だろう。

 

 智将、軍師、参謀とでも呼ぶべき人材がウチには一人もいない。みんな揃いも揃って涙が出るぐらい脳筋。となれば必然的に周瑜と向き合うのはオレしかいないが、なんとかなる気がしない。

 

 策の読み合い化かし合い。もしくは単純に兵を率いる統率力。規模が数百程度の戦いなら個の力で押し切れる可能性もあるが、数千ともなると流石に厳しいだろう。なら野戦は避けて籠城か。

 

 だが初っ端から亀のように丸まって戦うのも士気に関わるし、籠城とはいっても地の利はオレ達よりも、この地を拠点にしていた孫家側にあるはずだ。逃げ出した袁術の件もある。城外へ繋がる秘密の抜け道が他にも存在するのなら、内から潜り込まれてサクッと落とされかねない。

 

 ならば籠城は避け、か細い可能性であっても野戦に一発賭けるべきか。ただ純粋な兵の練度だって寄せ集めのオレ達は孫家の軍勢よりも劣っているだろう。前途多難もここに極まれりな状況だ。

 

「覚醒ってなんですか?」

「細かいことはどうでもいいだろ。これは大将の命令だ。お前が千本取るまで続けるぞ」

「桁が増えてますよアニキ!!」

「今すぐ行って来い。練兵はオレが適任者見つけて任せとく。二人は気にせず存分に励めよ」

 

 色々と不安しかないが、魏延が急成長して覚醒でもすれば光明が見出せるかもしれない。

 

「…………軍師か。本格的にやるなら必須だよな。まあ、ともあれ今は孫家の動向次第だが」

 

 魏延が文鴦に引きずられて謁見の間を立ち去った後、一人静かに噛み締めるように呟く。

 

 

 

 

 

 城を落として十日も経てば否が応にも事態は動く。良い報告と悪い報告が耳に届いた。

 

 良い報告は孫策率いる軍勢が南陽郡を抜けてお隣は豫州へと向かったこと。これは文句なしの吉報だ。豫州はオレ達のような偽物ではなく、本物の黄巾賊が幅を利かせている地域である。

 

 豫州の荒れた地域では賊の手によって領主が斬られたり追い出されたりしているらしい。実に物騒な話だが孫策にとっては朗報だろう。賊に占領された地域を軍勢を率いて奪い返せば、その地域の後任となれる目もある。少なくとも正式な後任が決まるまでは居座っても問題無いはずだ。

 

 放浪軍である孫家には渡りに船の展開。兵糧も手元にたっぷりあるはずだ。孫策なら賊に占領された地域を攻め落とすぐらい訳も無いだろう。どうぞ好きなだけ豫州で無双したらいい。

 

 これはオレが城を落とす前に考えていた孫家の動きの中でもかなり好ましい分類に入る。こうなるように色々と準備したり、城攻め決行の日時を微調整した甲斐があったというものだ。

 

 この知らせを聞いてからオレ達は南陽郡内の他県を落としにかかる。太守の袁術が既にいないこともあり、ほとんど抵抗らしい抵抗もなくあっさり落ちた。これもまた良い報告だが─────。

 

「捕虜を捕えた?」

「ああ、大将の耳に入れておこうと思ってな」

「報告してくるってことはそれなりの人物か。誰かは知らんが逃げ遅れるなんてドン臭いな」

 

 城を落とせば領主だけでなく、城に仕えている役人達の処遇も考えなくてはならない。

 

 城を落とす過程において勇敢にも戦いを挑んで来る者もいれば、占領される前にそそくさと逃げ出す者もいる。その辺は個人の自由だ。挑まれれば斬るが逃げるならわざわざ追わない。

 

 それ以外にも降伏を願い出る者もいる。黄巾賊が暴れ回るような御時世だ。逃げたところで行く当てが無ければ仕方ないんだろう。郷土出身の役人なんかは基本的に降伏を願い出てくる。

 

 それらは捕虜という名目を付けては占領前と同じように働かせる。給料だって変わりなく払うし休みだって必要に応じて与える。オレの下で働くのが嫌なら別に辞めても構わない。正直なところ相手をしている余裕なんてないので干渉は緩い。というか捕虜に対する興味が特別無い。

 

「まあ、ここへ連れて来いよ。ここ最近は気分も良いし話ぐらいは聞いてやってもいいかな」

 

 そのことは既に周知であった。だから文鴦が口に出したということは理由があるはずだ。

 

 孫家が離れたとの報告を聞いたオレは気分が良かった。一先ずは危機が去り、当面はなんとかなるだろうと。それでも世の中は甘くないもので、浮かれていたオレの下に悪い知らせが届く。

 

 

 

 

 

 数刻後、南陽郡宛県は城内の謁見の間。

 

 矛を持った文鴦に連れられるのは二人の女。その姿を見た途端、オレは頭を抱えたくなる。

 

 下半身の褌がモロ見えな髪の短い女についてもツッコミたいが、一旦は置いておく。鋭い目付きで睨んできているが、オレ達がやったことを考えれば睨まれるのも至極当然だろう。

 

 問題はもう一人の女。どこか既視感を覚えるその容姿。スタイルの良い褐色肌。長く艶のある髪。その髪の色も瞳の色も、なんなら身に付けている衣服でさえもあまりに酷似している。

 

 どう見ても褐色肌の女は孫策の血族。つまり孫家の一員だろう。袁術が孫家の人間を固めずに分けたのは耳にしていた。裏切られないための人質か。それとも戦力を分散させるためか。

 

 郡内の他県を落とさない理由の三つ目はこれだった。早々に落としてしまうと孫家の関係者が逃げ遅れてしまう危険性があったためである。こうならないために攻め落とすのを遅らせたというのに、どうして今になってノコノコ捕えられているのか。なぜさっさと逃げ出していないのか。

 

「…………お前さん達は孫家の関係者だな。両方初めて見る顔だが、名前はなんて言うんだ」

 

 頭が痛かった。せっかく孫策一行が郡外に立ち去ったのに、これで戻って来るかもしれない。

 

「────ッ! 賊に名乗る名などない!」

「あっそ。ならいいや。どうするかな…………」

 

 目付きの鋭い褌女が威勢良く言い放った。そしてその表情には瞬時に怒気が帯びる。

 

 褌にばかり目を奪われそうになるが、褌女はかなり使えそうな雰囲気がある。パッと見だと丸腰のようだが帯刀しているオレや矛を持っている文鴦を前にしても臆した様子は無い。

 

 無手でも制圧する自信があるのか。それとも暗器でも忍ばせているのか。どうせボディーチェックもガバガバに連れて来たのだろう。なら仕込みがあると警戒するのは当然の流れか。

 

 しばしの沈黙が場を包む。誰も口を開かなかったしオレは孫家の血族を見て気持ちが萎えていた。褌女はオレとの距離感を頻りに図っている様子。隙を見せたら襲い掛かってきそうだ。

 

 オレは腰に帯刀している剣に目線を送った。孫家の関係者相手に抜いたら不味いが、どうせもう不味いことに変わりないだろう。出来ることなら穏便に済ませたいものだが、仕掛けられて流せる程の余裕もなければ、そんなに人間も出来てはいない。来るなら来い、と覚悟を決める。

 

 長い沈黙。それを破ったのは孫家の女だった。女は唾を飲み込むと一歩前に出て口を開く。

 

「…………私の名は孫権。字を仲謀。この子の名は甘寧。字を興覇…………だ」

「蓮華様!?」

「君は名乗ってくれるんだな。しかしまあ、孫権と甘寧ときたか。こりゃ本格的に不味いな」

 

 乾いた笑いが零れそうになる。そりゃこれだけ孫策と似ていれば姉妹ともなってしまうか。

 

 これほどの大物を一体誰が捕えて来たんだろうと考えるも、孫権と甘寧の二人には争いがあったような痕跡は見当たらない。抵抗をしないで捕えられたと見るのが妥当なところである。

 

 しかしそんなことがありえるのか、と疑問に思う。褌女こと甘寧も言っていたが、オレ達は外から見れば完全に賊のそれだ。女なら捕まれば薄い本も真っ青な展開だって頭に過ぎるだろう。

 

「頭領である貴方……いや、お前に一つ尋ねたい」

「ああ、オレのことか。まあ、聞くだけは聞いてやるよ。答えるかは知らんがな」

 

 あれこれ考えていると今度は孫権の方から質問が投げ掛けられた。そして孫権と目が合う。

 

「何故お前は此度の騒ぎを起こしたのだ」

「説法でも聞かそうってか。今更そんな…………」

「そうではない。領主の袁術に不満があったにせよ、もっと違う方法があったんじゃないか?」

 

 その発言を聞いたオレは首を傾げた。二言目に続く言葉にしてはどうにも違和感がある。

 

 これまでの捕虜なら対面しても反乱を起こしたことを罵倒してくるか単純に命乞い。または自分の処遇を聞いてくるパターンが圧倒的に多い。この手の質問をされるのは初めてだった。

 

 高度な煽り文句かとも考えたが、どうも孫権は真面目に尋ねてきているようだ。意思の強そうな蒼く澄んだ瞳をしている。その瞳にはなぜか敵意の色は無く、ただ真っ直ぐにオレを見ていた。

 

「オレは別に袁術に不満なんてないぞ。ただ城を落とせる自信があったから落としただけだ」

「…………飢えた領民のために?」

「それは理由の一つに過ぎん。まあ、時世に合わせただけさ。今は悪魔が微笑む時代だからな」

 

 良く言えば領民のため。悪く言えば金のため。後は責任を押し付けて好き勝手にしたかった。

 

 何か理由を述べるならそんなところか。ただ早速ながらに悪さをしたツケが回ってきそうでウンザリする。巡り合わせが悪いと捉えるか、こうなるのも当然と捉えるかは難しいところだ。

 

「しかし孫権はどうして捕まったんだ。横の甘寧がいれば逃げ出すぐらい訳も無いだろう」

「逃げ出すとはなんだ貴様!?」

「思春、落ちついて。確かにお前の言う通りだ。私達は自ら進んでこの城へきた。私は────」

 

 見極める必要がある、と孫権は呟いた。

 

「とにかく月影。しばらくの間、世話になる」

「世話になる? もしかして居座るつもりか?」

「食い扶持は用意するし邪魔立てもしない。城の空いている部屋を一つ貸してくれればいいわ」

 

 そう言い残すと孫権は、オレの返事も聞かず下を向いて謁見の間から歩き去って行った。

 

 孫権の思わぬ言葉に呆気に取られる。孫権ってこんなぶっ飛んだ性格をしているのかと。だが呆気に取られたのは甘寧も同じようで、孫権の後を追うことを忘れ無防備に立ち尽くしていた。

 

「やけに肝の据わった姉ちゃんだな。大将の名を知っていたが、もしかして知り合いか?」

「いや、知らん。名乗ってないよな。別に名前ぐらい知っていてもおかしくないが…………」

 

 オレは長くこの付近の地域を中心に活動していた。だから名前ぐらいと思わなくもない。

 

 文鴦だってオレの名が売れたから腕試しを挑んで来たこともある。ここへ来る途中でウチの連中の誰かから聞いたのかもしれない。だが、なんだろう。孫権の態度に妙に違和感を覚えてしまう。

 

「おう、甘寧。ボーっと突っ立ってるとこ恐縮だけどオレ達って初対面だよな」

「なっ!? 気安く話しかけるな! 私は貴様のことなど知らん。人心を惑わす逆賊め!」

 

 ハッと我に返った甘寧。その口は悪いがこっちの方が当然の反応に思えてしまう。

 

「ともかく蓮華様の仰った通りだ。非常に遺憾だがこの城で一番の部屋を直ちに用意しろ!」

「え、何言ってんだよ。お前達は捕虜だぞ?」

 

 捕虜にそんな待遇をするわけがないだろう。

 

 ましてや相手は孫権に甘寧ときた。他の連中ならまだしも猛獣を野放しするのは危険過ぎる。

 

「二人共簀巻きして牢にでもぶち込むかな」

「な、なんだと!?」

「大将の言う通りだな。そんで孫家の連中や官軍がやって来た時に矢避けの盾代わりとするか」

「くっ…………殺せ!!」

 

 様式美の流れだ。まあ流石にそんなことはしないが、ここへ残られると非常に困ってしまう。

 

「それが嫌なら孫権連れて出てってどうぞ。馬も道中の路銭も用立てしよう。返済もいらん」

「…………なぜそう極端に変わるんだ。至れり尽くせり過ぎて裏を考えずにはいられん」

「孫家とかち合うのは困るんだよ。お土産でも渡すから宜しく伝えといてくれ。マジで切実に」

 

 いくらか物騒なことを言って脅しはしたが、この二択なら誰もが迷わず後者を選ぶだろう。

 

 フンと鼻を鳴らして甘寧が立ち去った。決して悪い話じゃないと思うがどうなるか。甘寧は孫権を様付けで呼んでいたし護衛のような立ち位置だった。おそらく決定権は孫権にある。

 

 となれば孫権の一存で決まるはずだ。なんだか掴みどころの無い女だったが、英傑というのはあんな感じなのだろうか。思えば以前街で見かけた孫策も昼間っから酒ばかり飲んでいたが。

 

「で、大将はどうなると思うんだ」

「普通はあれだけ言えば出て行くが、おそらく二人は残るな。理由は謎だがそんな気がする」

 

 文鴦の言葉にオレは返事を返す。理由はわからないが二人が城に残るような予感がした。

 

 

 

 

 

 そして幸か不幸かその予感は的中してしまう。翌日以降も孫権と甘寧は城に残った。

 

 魏延は仲間が増えたと喜んでいたけどオレは複雑だった。二人をどう扱えばいいかわからない。邪魔立てしないと孫権は言っていたが正直なところ居るだけで既に邪魔だ、と思ってしまう。

 

 四六時中、城の中で野生の虎が放し飼いされているような状況。ただでさえ気が休まらないのに余計に悪化しそうだ。慣れればサファリパークと楽しめるのだろうか。そしてもう一つ────。

 

「お頭どうしたんです。剣柄なんて握って」

「いや、なんだ。一瞬なんか気配がしたような」

 

 孫権と甘寧がやってきた翌日からだろうか。

 

 昼夜を問わず、オレは背中に薄い影が伸びているような違和感を感じ取るようになった。

 




 原作二年近く触ってないので細かい設定やキャラ同士の呼称等が怪しいです。
 犬が苦手なの焔耶だったか蒲公英だったか考えるレベルで、風が頭に乗っけてるホウケイの口調とか覚えてません。恥ずかしながら色々間違えて書くこともあるかと思われます…………。

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