レミリア と ボボボーボ・ボーボボ   作:にゃもし。

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紅魔館、幻想郷へ向かう道中で…
空中の檻


 

 

 明くる朝、ゴリラ兄弟の母であるカトリーヌ花子を筆頭にたくさんのゴリラに見送られながら私たちは紅魔館跡地を去る。そして今現在、私たちは日本に向かっている飛行機の機内にいる。

 

 

『パチェ、貴女の魔法で幻想郷に直接、転移できないの?』

 

 

 ──と、出発する前に我が家の魔女に尋ねてみたのだが…… 彼女は指を一本ずつ立てながら……

 

 

『度重なるモヒカンたちの襲撃で魔方陣がダメになった。

 中途半端な術式だと『*いしのなかにいる*』状態になる可能性がある。

 転移のための魔方陣を直そうにも設備が整っていないと無理。

 何よりも やる気が起きない

 

  

 ──という、ありがたくない返答が返ってきたのである。そんな紆余曲折があって、私たち紅魔館組はボーボボと共に(天の助と首領パッチは未だ復活ならず)飛行機に乗ってるわけなのだが……

 

 

「姉さま、モヒカン が空を飛んで、こっちに向かってるよ♪」

 

 

 窓際の座席に座っているフランがはしゃぎながら窓の外──渡り鳥の群れのように空を滑空しているモヒカンたちを指差している。そんな妹の言葉につられて目を向けたのか、後ろの座席に座っているであろうパチェたちの声が聞こえてきた。

 

 

「翼もないのによく飛べるわね」

 

「舞空術の類いじゃないですか?」

 

「おそらく魔法道具(マジック・アイテム)を使っているのでしょう。組織で既存のやり方にとらわれない新たな飛行方法を模索していましたから」

 

 

 呆れつつも感心したパチェの声。意見を述べる美鈴。最後に憶測を立てたのは咲夜。

 

 最初に言ったパチェの言う通り空を飛び交うモヒカンたちは翼を持たずに飛行している。彼らはいつもの世紀末ファッションにいつもの髪型。いつもと違うのは風避けのために着けているだろうゴーグルと背中に背負っているリュックぐらいだろうか? そんな連中がそこかしこに気持ち良さそうに大空を飛んでいる。

 

 やがて、そのうちの一人が目敏くこちらを見つけたのか、フランがいる窓へと急接近、そのまま窓にカエルのようにへばりつくと片手を背中にあるリュックへと回して中からある物を取り出す。それはある人物を模したぬいぐるみであり、見覚えのあるものだった。

 

 

いぬさくや?

 

 

 二頭身姿の咲夜に犬耳が付いたそれをいそいそと窓に貼り付けると、モヒカンは機体の壁を蹴って飛行機から遠ざかる。

 

 どうやら飛行機に近づいたモヒカンは他にもいるらしく、機内のあちこちで窓に顔を向けながら乗客達がざわめく。そして、窓の外の状況が他の乗客に知れ渡った頃、窓の外にあるいぬさくやの両目がキラリと光る。

 

 

「レミィ、魔道具の一種よ。離れて……」

 

 

 パチェが警告を発する間もなく、機内が一度大きく揺れ、直に止まる。異変が収まったのを確認して窓の外へと視線を移せば……

 

 

「──止まってるわね。この飛行機」

 

 

 今まで流れていた外の風景が、揺れを境に完全に止まっていた。いや、風の流れで雲がゆっくりと流れてはいるが…… そんな中、乗客たちを落ち着かせるためだろう聞き覚えのある男の声のアナウンスが流れる。

 

 

『乗客の皆様にお願いがございます。機内での……

 命をかけた最終奥義!! ……のしすぎにはご注意ください』

 

 

なにこの機内アナウンス!?

 

 

『おい、天の助。こんな逃げ場のない空で命をかけた最終奥義を使うバカはいねえよ。こういうときはこう言うんだよ』

 

 

「首領パッチの声よね? これ? 今度は何?」

 

 

おすぎ! おすぎ! おすぎ! おすぎ! おすぎ!

 おすぎ! おすぎ! おすぎ! おすぎ! おすぎ! ……のしすぎに注意してください』 

 

 

機内アナウンスで何をやってるのコイツら!?

 

 

 訳のわからん機内アナウンスで騒然とする飛行機内。それも当然だろう。空を飛ぶモヒカンに、安心できない乗務員がいるのだから……

 

 

「劣化したものとはいえ、咲夜を模した人形の能力で航空機の時間、正しくは航空機の周りの空気を固めて即席の牢屋に仕立てる。さらにフラン対策に複数、それも視界外に配置」

 

 

 講義染みた口調で誰に言うわけでもなく喋り始めるパチェ。

 

 

「でも大事なのはそこじゃない。連中は私たちが幻想郷に向かうのを嫌がっていること、そのために私たちをここで足止めさせている。それが重要よ」

 

 

 パチパチ パチパチ

 

 

 まばらな拍手とともに前方から近づいてくる一つの気配。案の定というか、そいつはモヒカンだった。モヒカンにしては、やや細身の体躯。銀色のコートに水泳で使うようなゴーグルをかけた目立つ容姿だが、それよりも真っ先に目についたのは──

 

 

決闘者(デュエリスト)か……

 

 

 ぼそっと呟いたボーボボの言う通り、モヒカンの左腕には決闘盤(デュエルディスク)と呼ばれる物が填められていた。

 

 

「まさか本物?」

 

「いや、これは ただの飾り だ」

 

 

 私の疑問に律儀に答えるモヒカン。連中の出所不明の謎技術ならやりかねんと思っていただけにちょっと残念に思ってしまった。

 

 

「──だが、俺の領域(テリトリー)とイマジナリーフレンドの能力を合わせれば、それに近いものを実現させることができる!」

 

 

 モヒカンが言った途端、彼を中心に飛行機内の景色がぐにゃぐにゃと歪みながら変わっていく。

 

 

 




( ´・ω・)にゃもし。

◆筆が進まない。すまん。

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