レミリア と ボボボーボ・ボーボボ   作:にゃもし。

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モヒカン・ランド

  

 

 昼を過ぎた頃。「紅魔館の卵」という謎の物体の捜索のために私を筆頭に美鈴、ボーボボ、首領パッチ、天の助──の計5人はゴリラたちが建てた仮住まいの家を後にする。

 

 美鈴はともかく、他の3人の面子に若干……いや、かなり不安が募るが……それも致し方無しと早々諦めた。

 

 先の戦闘で咲夜は負傷。フランは性格に難があり、人が多いとこには連れていけない。パチェはフランが暴走した時のために彼女の魔法は必要になる。ゴリラの集団など、もってのほか。

  

 

 ──といった理由でこのメンバーになったわけなのだが……

 

 

「ボーボボはまだいいとして、天の助と首領パッチは置いていった方がいいかもね」

 

 

 私から名を告げられて「えっ?」みたいな表情でこちらに顔を向ける二人。人がいる大通りを普通に歩けると思ってたのかコイツらは……

 

 ボーボボは身長が高く、黄色のアフロにサングラスという目立つ格好をしているものの、姿形は人間である。一応。

 

 それに対して天の助と首領パッチは……言わずもがな。ボーボボもそのことを理解しているのであろう。「うんうん」と顎に手を当てつつ頻りに頷いてみせた後、彼は言い放った。

 

 

「やっぱ、全裸 はマズイよなー」

 

全裸以前の問題よ!!

 

 

 

 

「とりあえず、天の助にマントを羽織らせて、ぬいぐるみの振りをした首領パッチを小脇に抱えれば大丈夫だろ」

 

大丈夫な要素が一個もないんですけど!?

 

 

 いそいそと天の助に黒いぼろぼろのマントを羽織らせ、小脇に首領パッチを抱えさせるボーボボ。一通り終えてから、額の汗を拭いながら彼は満足気に言った。

 

 

よし、これで完璧だ

 

どこが!? これじゃあ、ただの不審者だよ!!

 

 

 

 

「よーし、準備も整ったこどだし、そろそろ行くぞ~!」 

 

「ちょっと! それで行くつもりなの!?」

  

 

 「「おー!」」と屈託の無い笑顔のボーボボを先頭に出発する三人。私はもはや「どうにでもなれ」と言わんばかりに冷めた目で彼らを眺めつつ、美鈴に日傘を差してもらいながら彼らの跡をつける。

 

 

 

 

 少女移動中 NowLording…

 

 

 

 

「よし着いたぞ」

 

 

 そう言って立ち止まるボーボボ。彼に釣られて足を止める私たち一同の前にあるのは郊外にある遊園地の一つ。その遊園地の入り口にはデカデカと名前が掲げられていた。

 

 

モヒカン・ランド

 

 

なんか物凄く凄まじく、おかしな場所に着いたんですけど~~~!!?

 

 

「すいませ~~~ん。大人2枚、子供1枚、不審者1枚お願いしま──す」

 

 

 私が盛大に叫んでる横で一人チケットを購入するボーボボ。さらっと不審者って言ってるし……。もっとも不審者呼ばわりされた当の本人は自分のこととは思っていないのか、普通にアーチ型のゲートをくぐろうとして……

 

 

「待て、そこの不審者」

 

 

 ──モヒカンの名を冠している遊園地なだけあって世紀末ファッションに身を包んだモヒカン頭の従業員に背後から肩を掴まれて止められていた。正直、モヒカンなんぞに不審者呼ばわりされたくない。

 

 

「モヒカンを忘れてるぞ」

 

 

 自分がつけている黄色のモヒカンを取り外し、天の助に被せる従業員。

 

 

モヒカン・友情・フォー・エバー

 

 

 去り際にそんなことを宣いながら親指を立てると、ゲートの横に移動して入り口を守る門番の如くに背筋を伸ばして突っ立つ。

  

 

「それじゃあ、中に入るか」

 

「え!? ちょっと、さっきのモヒカンの言動について何か言うことないの!?」

 

 

 こちらが声をかけるも、大した問題ではないと言わんばかりにずかずかと進んでいくボーボボ。

 

 ゲートをくぐった先は、従業員がモヒカンということ以外は何の変哲もない遊園地の風景。

 

 パチェから貰ったログポースもどき(パチェの魔力に反応する魔法道具(マジック・アイテム))を確認すると指針がぐるぐると狂ったように回っていた。

 

  

「ここに入った途端、これがこんな風になるってことはここの遊園地のどこかにある──ってことでいいのかしら……?」

 

 

 腕時計のように腕に嵌めたそれをじっと凝視するもこれといって変化は起きない。

 

 

「ここでじっとしていても話は始まらない。時間はかかるが怪しそうな場所から虱潰しに探すしか方法はないだろう」

 

 

 ……と語るボーボボの視線の先には戦隊もののヒーローショーが行われる野外広場。そこには人だかりができていた。

 

 

「先ずは怪しそうなあそこから探ってみよう!」

 

 

 首領パッチを小脇に抱えた天の助を連れて、生き生きとした表情で一直線に駆け寄る。

 

 

「いやこれ絶対ボーボボが行きたがってるだけでしょ!?」

 

 

 そんなことを言いながらも彼ら三人と一緒に人の壁をかけ分けていく。

 

 

地球戦隊おじひんがーZ!!

 

 

 最前列にたどり着いた頃にはショーの始まりを告げるそんな掛け声がステージから発しられ、続けざまに俳優たちが勇ましい音楽とともに現れた。

 

 

『暑苦しいおっさん! おっさんレッド!!

 

 

 一昔前の主人公が着るような服装をした小太りのおっさんがステージの右から現れてポーズを決める。

 

 

『貧血気味のおっさん。おっさんブルー……』

 

 

 続けてよれよれのスーツを着たバーコード頭の気の弱そうなおっさんが柱にもたれかかりながら弱々しく言う。

 

 

『戦場に咲く一輪の華! おっさんピンク!!』

 

 

 最後に現れたのは……一言で言うならばピンクのゴスロリの衣装で女装したおっさんだった。ご丁寧に長い黒髪のかつらをしているが、一目でおっさんだと分かる。うん、おっさん以外の何者でもない。ついでにちょび髭が生えてるし……

 

 

「っていうか戦隊もののヒーローが おっさん でいいの!?」

 

 

 やがてステージ中央に集まるおっさん三人。彼らの背後で赤・青・ピンクの爆煙が巻き起こり、観客席に向かって声高らかに名乗りを上げる。

 

 

「「 6人中3人揃って地球戦隊おじひんがーZ!!!! 」」

 

 

「全員じゃないの!? あとの3人は!? というか普通5人なのに何で6人!?」

 

 

 ボーボボたちが紅魔館に来たせいである程度、日本の文化を知るようになった私だが……。それでもおっさんがヒーローの話なんぞ、聞いた試しがない。

 

 もっとも、ボーボボを含めた観客たちは皆熱い眼差しでステージ上のおっさんを見ていたが……

 

 

『『 良い子の諸君! 地球がヤバイ!! 』』

 

 

 おっさんレッドとおっさんピンクが腕を組みつつ背中を合わせで観客に向かってそう言い放つ。ちなみにおっさんブルーは力尽きたのかステージ脇にあるベンチで「ぜはーぜはー」言いながら腰かけていた。体力ないなら無理しないでほしいものである。

 

 

このモヒカン・ランドに吸血鬼が紛れ込んでいる!

 

 

 おっさんレッドの言葉にざわつく会場。それとは別に明らかに分かる、私たちに向けたおっさんレッドの視線。

 

 

「「 えー、やだー。こわーい 」」

 

 

 なぜかボーボボたち3人は内股、口元に拳を添えて不安を煽る格好を作っていた。

 

 

「貴方たちは誰が吸血鬼なのか知っているでしょうが……」

 

 

 三人を呆れた目で見ていると突然、人だかりが二つに分かれて、その奥から屈強そうな三人の男たちが出現、歓声が湧き上がる。

 

 

『このピンチのときに、あいつらが駆けつけてくれた!!』

 

 

 異様な熱狂に包まれる会場。老いも若きも関係なしに「リスペクターズ! リスペクターズ!」と連呼する。

 

 現れた三人はそれぞれ、モヒカン頭の巨漢。派手な化粧を施したスモウレスラー。赤い鉢巻に白い胴着をした男。いずれも戦闘を得意とした人間だと一目で分かる出で立ちをしている。どことなく某格闘対戦ゲームのキャラに似ているが……

 

 

「モヒカンと相撲取りは知りませんが胴着の男は偽物ですね。本物はもっと強い気を発してました」

 

「『~ました』って、美鈴は会ったことあるの?」

 

「ええ、日本で一度拳を交えたことがあります」

 

 

 なぜか自信満々に答える美鈴に思わず「そっか、実在してたんだ。リュウ」と呟く私。

 

 

「上等だ。こちらから出向く手間が省けた。ヒーローショーを潰された恨み、お前たちで晴らすとしよう」

 

 

 怒りの炎を滾らせてボーボボが彼らと対峙するように向き合う。正直、しょーもない理由だが……

 

 

「こいつらを倒して目的のものをぶんどるわよ」

 

 

 私もまたボーボボの意見には大いに賛成である。

 

 




(´・ω・)にゃもし。

敵キャラ考えるの、わりとスキ。

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