ボーボボの語る「平凡」とやらをフランに教授すべく、彼は超絶奥義・ワンダフル鼻毛 7DAYSを放ち────無機質な石畳でできた牢獄を学校へと姿を変えさせた。
そしてボーボボの奥義が始まる。
【 月曜日 】
「まずは月曜日! 学校に登校したらテロリストが校舎を占拠!」
「 もうこの時点で平凡じゃないんですけど!? 」
いつの間にかに校庭に出ていた私達。
ボーボボの後ろでは校舎を囲むように刀と盾で武装した──日本の妖魔だろう──和装をした人外が包囲していた。
「てめぇら大人しく言うことを聞いておけよ!
少しでも妙な真似をしてみろ! ここにいる人質の命はねぇからなぁ!?」
声が聞こえた方向に顔を向けると校舎の窓から顔を出して威嚇している首領パッチがいた。
首領パッチがテロリスト? ...と思ったが彼の後頭部に銃を突きつけているテロリストの一味らしき覆面をした男の姿があった。
「 お前が人質なんかい!? 」
「首領パッチに人質としての価値はない!
ゆっくり達よ! 人質のことは一切気にせず鎮圧してこい!」
「 いいの!? 」
ビシッと指差すボーボボの号令の下、わらわらと校舎に向かうゆっくり達。
ものの数分でテロリスト達を鎮圧、学校の解放に成功した。
犯人達は白い獣耳と尻尾を生やした少女に腕を縄で縛られて次々と護送車に詰め込まれていく。その中には虚ろな表情で下を向いたまま歩く首領パッチの姿もあった。
「 一緒に連れてかれとる!? 」
【 火曜日 】
「次は火曜日だ! 先日の学校襲撃事件に校長先生からお話があるそうだ!」
朝の全校朝礼。校庭に集まった生徒に扮したゆっくり達に白髪混じりの映画を撮っていそうな校長が語りかける。
「突然ですが、君達にはこれから殺し合いをしてもらいます」
校長のデス・ゲーム宣言にゆっくり達がざわめき始める。
「爆弾付きのチョーカーを首に填めてもらう予定でしたが...
君達の体ではチョーカーがつけられないので計画を断念せざる得ませんでした」
先ほどのテロリスト達と同じく身柄を拘束され、これまた同じ少女が今度はパトカーに校長を乗せて、けたたましくサイレンを鳴らしながら走り去っていく。
「普通、やる前に分かりそうだと思うんだけど...?」
【 水曜日 】
「水曜日だ! どんな犯罪に巻き込まれても対処できるように身構えておけ!」
もう決定事項になってる。
側面にぬのオブジェが付いた車が校庭を爆走、車体を斜めに傾けながらボーボボの手前で止まり、中から慌てた様子の天の助が出てきた。
「ボーボボ大変だ! 街の人間達がゾンビになってこっちに向かってきてるぞ!」
「 人の手でどうにかできるレベルじゃない!! っていうかバイオ・ハザード!?」
校門には夥しい数のゾンビ。
ゾンビ達の重みで門柱にヒビが入り、鉄格子がイビツに歪み......長くは持ちそうにない。
「ゾンビごときに臆する俺達ではない! えーりんの薬を大量放水!」
どこから調達してきたのか消防士の格好をしたボーボボ達三人がホースをゾンビに向けて門越しに液体を浴びせる。
液体に触れたゾンビから元の姿に戻っていくも数が数だけに...
「ヤバいぞ、ボーボボ。薬が足りない...」
元から青い顔をさらに青ざめさせる天の助にボーボボが苦々しく答える。
「一か八か、首領パッチ・エキスで代用してみよう...」
「 んなもんで代用すな!! 」
「許せ、首領パッチ!」と当て身を喰らわせて気絶させるとタンクの中に放り込んで放水を始める。
首領パッチの体液と思われるオレンジ色の液体がゾンビにばら蒔かれ... 意識を取り戻していく。
何故あのエキスで戻ったのか、腑に落ちない私に天の助が答える。
「どうやら
「なにそれ...」
【 木曜日 】
「木曜日! 教室入ったら今流行りの異世界召喚!」
とうとうファンタジーの世界が入ってきちゃった...
足下に光輝く魔方陣、空間が揺らめき転移した先は────
*「りゅうおうが あらわれた!」
竜の頭をした杖を片手に、魔法使いの格好をした男の前に着いた。
「「 いきなしラスボス!!!? 」」
「ならばデュエルで勝負だ!」
デュエルディスクを腕に装着して勝負を挑むボーボボ。
りゅうおうも同じようにデュエルディスクを腕に填めて...
*「望むところだ!」
「 受けちゃうの!? そんで何でラスボスのお前がそれを持っているの!? 」
バトル・フィールドにモンスターが具現化し、ボーボボとりゅうおうの決闘が始まった。
ターン制で進むこと暫し、決着が着こうとしている。
「出でよ、
プレイヤーにダイレクトアタック! りゅうおうに滅びの
白銀のコートを風に靡かせながら茶髪の青年が巨大な白龍を召喚
口から閃光を吐き出してりゅうおうを攻撃────りゅうおうが光に飲まれてLPが0になる。
決闘終了を告げるアラームの音が鳴り響き、少し遅れてボーボボ達が青年の勝利に喝采した。
「 プレイヤー変わっとる!? っていうか社長!?」
【 金曜日 】
「華の金曜日! 恒例の異世界召喚だ!」
もう二回目で恒例になっとる....
着いた先は、地を埋めつかせんばかりの白い鎧を装備した兵士の大軍と巨大な四つ足の兵器が闊歩している光景。
空に視線を移せば黒雲と見紛う空飛ぶ円盤の群れ、遥か向こう空の彼方には母艦とおぼしき鉄でできた星が浮かんでいた。
「敵は銀河征服を目論む 帝国軍!! 」
「 もう剣と魔法でどうにかできる相手じゃないんですけど────っ!!!? 」
「心配無用だ! こんなこともあろうかと紅魔館の地下でひっそりと秘密兵器を作っておいた!
出ろぉぉぉ──っ!! パチュリィィィ──っ、ロボぉぉぉ~~~っ!!!!」
ボーボボが指をパチンと鳴らすと大地を割ってドラム缶ようなフォルムの──パチェを模したロボットが飛び出してきた。
大きさは前に見たヒソウテンソクよりも大きい。
デフォルメされた顔。円柱形の体に細長い腕と短い足。
右手がアーム状に対して、左手はドリルになっていてギュインギュイン回転させている。
「 ひとんちの地下で何を作っとんじゃぁぁぁっ!? 」
一抱えほどの大きさのある古めかしいリモコンを地面に「よっこらしょ」と置くボーボボ。二つあるレバーをガチャガチャ動かすと、ポケットから携帯電話を取り出してピコピコとボタンを押して何かを入力、最後に左腕に嵌めてる機械装置に向かって叫ぶ。
「パチュリー・ロボ! プラズマ・ハリケーンだ!」
「 ロボット動かすのに何でそんなややこしい手順が必要なの!? 最後だけでよくない!? 」
電波を受信したらしくパチュリー・ロボが一言『ま"っ!』とドリルの尖端を敵に向けると...
高速回転したドリルが電撃を纏った風の渦を生み出し、敵を凪ぎ払い母艦に大きな風穴を空け、爆破。それを見た残りの帝国軍が撤退を始める。
「 パチュリー・ロボ、強っ!? 」
【 土曜日 】
「一週間も残すところ僅かだ! 土曜日いくぞ!!」
なぜか怒り気味でホワイトボードにでかでかと書かれた土曜日の文字を片手でバンバン叩く。
地平線の向こうから土煙を上げてこちらを目指してやってくる集団が現れる。そいつらは月から金に出てきた連中の集まりだった。
「上等だ! 一度舞台退場した敵役が主人公達には勝てないってことを思い知らせてやるぜ!」
場所は変わって採石場。その窪んだ底にてボーボボは「いくぜ野郎共!」と首領パッチと天の助を連れて集団と激突し...
数秒後にはあっさりと敗北、全員が首から下を地面に埋められた。
「「 ま、まいった... 」」
「 まいるな!! 」
敗北を認めたボーボボ達に敵対勢力が彼らに銃口を向け、引き金を引いて止めを刺そうとしたその時... 頭上の一点から幾重にも枝分かれした雷が地上に降り注がれる。
突然の雷に処刑を中断する軍団。
「何者だ!?」「どこにいる!?」──と怒号が飛び交い、やがて一人の兵士が高く聳える崖に立つ影を指差す。そこには緋色の羽衣を纏い、触角のような飾りが付いた帽子を被った女性が天を指差していた。
「「 土曜の夜はサタデーナイトフィーバー!! すなわち衣玖さんの出番! 」」
ボーボボ達からの黄色い声援を受け、掲げた右手に羽衣が重なり合って──巨大なドリルと化す。
崖から飛び降り、ドリルを下にして彼女は落ちていく。
「 必殺! ギガァ... ドリルゥ... ブレ衣玖ぅ────っ!! 」
必殺技の名前を叫びつつ戦場の中心地にドリルの尖端から激突。
大地が割れ、岩盤が窪み、二度の爆発が発生、採石場に大きなクレーターができあがった。
「「 衣玖さんのお陰で脱出できたぜ!! 」」
ドリルによる攻撃で砂塵が舞い上がる戦場。
全身アザだらけで頭から血を垂れ流し、ほうほうの体で穴から這い上がるボーボボ達がいた。
「 超瀕死なんですけど!? 」
私が言葉を発したと同時に空間が揺らぎ始める。
フランと対峙するように向かい合うボーボボ。
「フラン。俺の超絶奥義・ワンダフル鼻毛 7DAYSでこの狭い牢獄の外にある世界と、そこに住まう人間達のことを学び、知ったことだろう...」
「 イヤイヤ、無理でしょ!?
どこをどうやったらあの奥義から人間のことを学ぶことができるのよ!? 」
採石場だった場所は────満天の星空を背景に、足場は小さな銀河へと変貌した。
小さな銀河といっても学校の校庭ぐらいの大きさがあるが...
「知識を得たら次は実戦あるのみだ!
人間達は戦争という愚かな行為をする一方でゲームやスポーツといった娯楽を生み出している。
これからやるのは世界でもっとも盛んに行われている競技といっても過言ではない!
それでフランを外に出しても良いかを判断する!」
【 日曜日 】
「『 ジャンケン 』で!!」
「 戦場が壮大なわりに勝負方法がショボいんですけど!? 」
ビシッとポーズを決めるボーボボ達に、首を傾げながらフランが尋ねる。
「ジャンケンって、なーに?」
「「 そこから!? 」」
(´・ω・)にゃもし。
ギャグを考える人ってスゴいわ。毎回思うよ。特に原作者。
今回も特殊タグを使いまくり、作る人には頭が上がりません。
とりあえず次は戦闘シーン(?)の予定です。