ダンジョンで出会ってしまったのは間違っていただろうか?   作:ハヤさん。

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書きだめしてるんで一気に投稿できるんです。


第六話[怪物進呈/救出決行]

何か···アイズさんとか出番無いような···? ヘスティアも···。ゴメンよ、二人(一人と一神)とも···今回は出る思うから···アイズさんは、ちょっと待って。

 

「解せないわ」

 

では、どうぞ召し上がれ!!!

 

 

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第6話

   [怪物進呈/救出決行]

 

 

「神様ー? 朝ですよー? 」

 

「うぅーん···あとちょっと···」

 

今日も良い朝だ。僕はカーテンを開け、注ぎ込む陽光を思い切り吸い込み、うんと伸びをする。光合成でもできそうだ。

 

昨日、ルミナから貰った言葉[自分の強さに自信と誇りを]。これは、これからずっと僕の心に刻まれ続け、未来永劫消える事は無いだろう。

それにしても···リリとセツナさんが意気投合するなんて思わなかったな···何でも、好きな物が一緒らしく、今度また、[豊饒の女主人]で食事するのだそうだ。

 

「そうだ。神様が起きるまで、防具でも磨いておこう」

 

僕は、鍛冶師[ヴェルフ·クロッゾ]、ヴェルフから貰った防具を磨きに自分のクローゼットを開く。そこには、銀色の光を放つ防具が入っていた。···名前は[兎鎧(ピョンキチ)]らしい···何か、残念だ···。そうだ、ナイフも研いでおこう。

僕の武器は、今のところ二つ。一つは、神様から頂いた"神のナイフ"[ヘスティア·ナイフ]。僕の宝物であり、お守りだ。このナイフなら、どんな敵だって倒せる。そんな勇気が湧いてくる。

そして、もう一つは、ヴェルフがミノタウロスのドロップアイテム[ミノタウロスの角]から作ってくれた、短刀[牛若丸]。切れ味も見た目も凄い一級品。ミノタンにならなくて良かった···。

 

「うーん···あ、おはよう。ベル君···」

 

「おはようございます、神様! 」

 

ベッドからもぞもぞと顔を出したのは、ヘスティアファミリア主神[ヘスティア]様だ。寝起きはいつも以上に無防備で、二番目に危険なモード。一番危険なのは酔い。何されるか分かんない。

 

「···あ、そうか。今日は中層深部を攻略するんだっけ···忘れてたよ···ほっ、と」

 

神様は起き上がり、自分のクローゼットから何かを取り出す。···何だ?赤い、ローブ?

 

「これは、火蜥蜴のローブ。火耐性に長けているんだよ。中層深部からは、炎を使ってくるモンスターがいるんだ、注意してね」

 

そう言って、神様は"三人分の"ローブを手渡してくれた。これ···リリとヴェルフの分も···。そう言えば、エイナさんがこれつけて行けって言ってたな···。

 

「···ありがとうございます、神様···」

 

「ふふん♪ お礼は、帰ってきてから言いたまえ♪ ···無理はしないんだぞ?いいね?」

 

神様が満面の笑みを浮かべて、そして少し心配するような表情を浮かべる。

 

「···はい!! 」

 

大丈夫。僕は死なない。僕は元気良く、玄関から飛び出した。

 

「行ってらっしゃい···本当に、気を付けるんだぞ···? 」

 

ヘスティアは、一抹の不安を、拭いきれる事ができなかった。

 

 

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~バチバチバチ~

 

「あなたがセツナさんですか···」

 

「あぁ、[セツナ·クロカゼ]だ。よろしく頼むよ、ツクヨミ殿」

 

場所は変わってツクヨミファミリア。今は、セツナさんとツキ様が挨拶(?)を交わしているところだ。しかし、何故だ···?何故二人の間に閃光が見える···?

 

「この度は、"私"のルミナさんがお世話になりました」

 

ちょっと、ツキ様?なんで"私"って強調するんですか?

 

「はっはっは。いやいや、彼にはとても楽しませてもらったよ。うん、なかなかのテクニックだった」

 

···えっ!? 何の話!? テクニックって何!?

 

「ふえっ!?!?どどどどういう事ですか!?!? 」

 

ねぇ、セツナさん。何か誤解生んでない? ねぇ?

 

「どうもこうも、それしかないだろう? 」

 

「···はわわわわ···!!! そんな、ルミナさんの為に純血を保ってきたのに···!!! 」

 

じゅ、純血···? え? ドユコト? 俺の為···? えー!? この展開もしかしてー!?!?

 

「いやぁ、実に素晴らしかったよ。彼の[剣技]は」

 

「···へ? 」

 

え? 剣技?

 

「あの流れるような剣裁き、成り立ての冒険者とは思えないほど洗練された動き···かなりの努力をしてきたのが窺えたし、まずその剣だな。あの腰に刺してある紅い剣···あれは素晴らしかったよ···さて、ツクヨミ殿、あなたは何を想像していたのかな? 」

 

「へっ!?あ、あぅ···(ぷしゅ~)」

 

···つ、ツキ様···何考えてたんですか···?そんな顔が林檎みたいになるぐらいの事、って···。

 

「うぅ···セツナさん、あなたは強敵です···」

 

「ふふっ、誉め言葉として受け取ろう。しかしな···"そんな関係になるのは、やぶさかではないな?"」

 

「···うなぁぁっ!?!?」

 

···え? セツナさん···? それってどういう···

 

「よし。そうと決まったら、ルミナ君。一緒に風呂に入るとするか」

 

「ふえっ!? あ、いや···俺は···」

 

「ちょっとー!? なに自然な流れでお風呂に誘ってるんですかー!? 」

 

ちょっと待ってくれよ。セツナさん大胆過ぎじゃね? なんかもう恐いんだけど。

ツキ様はセツナさんの腰に抱きつき、必死に動かさんとする。背丈はあまり変わらない二人だ。セツナさんも、相手が神様だから無茶はできない様子。

 

「···そうだ!! ルミナ君に決めてもらおうではないか!! 」

 

「へっ? 何をですか? 」

 

「決まっているだろう。どちらと風呂に入るのか、君に決めてもらうよ」

 

····················???? んんんん~~~~~!?!?!?

 

「ちょ、ちょっと待って下さいよセツナさん!! これ、俺が風呂入るの確定なんですか!? 」

 

「勿論そうだが?」

 

「俺の意思が入ってねーーー!!!」

 

ああもう!! 何でいきなりこんな問題が発生するんだ!! セツナさん、恐ろしい子!!!

 

「そそそ、そんな事、私が許しません!! ルミナさんの貞操を守るためにも、私がルミナさんと一緒に入ります!! 」

 

「ツキ様あああああああああ!?!?」

 

そ、そんな!!!??? ツキ様一緒にお風呂!? あ、あのツキ様のすべすべで、柔らかくて、宝石のような輝きを放つ、白い雪のような体をもつツキ様が···生まれたての赤ん坊の姿を···!?!? ···あ、やばい。妄想してたらやばくなってきた。妄想でこれだ。本物だったら、風呂場が鮮血で染まる。

 

コンコン 「ルミナさん? いらっしゃいますか? 」

 

た、助かった!!! この際誰でもいい!! この話を逸らす事ができれば!! でも聞いたことのある声のような気がしたのは、俺だけだろうか?

 

「神は死んだ!!!」「え!?まだ死んでませんよ」「ツクヨミ殿、突っ込んだら負けだ」

 

あーもう煩いな!!! ネタぐらい分かってよ!!! ···あとでシルさんに意味の無い暴力を振るわれそうだ。

 

そこにいたのは、[豊饒の女主人]の制服をぴしっ と着た、整った顔立ちとエメラルドの瞳、エルフ特有の長い耳を持った[豊饒の女主人]従業員、[リュー·リオン]さんだった。

 

「おはようございます、ルミナさん」

 

ネタに突っ込んでこないところ、リューさんはとても良い人だ。漫才やるなら彼女が良い。冷たいツッコミになりそうだが、それはそれで味がある。じゃなくて!

 

「おはようございます、リューさん!! それにしても、こんな朝にどうしたんですか?」

 

朝、俺が店に行くことは多いが、彼女が家に来るなんて、初めてだ。それを考えると随分仲良くなったものだ。毎日通い続け、毎朝挨拶した甲斐があった。···それを思うと、なんかドキドキしてきた。平常心、平常心···。

 

「あ、あの···朝食が余ったしまったので、ミア母さんが分けに行けと···朝食、まだでしたか? 」

 

「えっ!? 本当ですか!? うわぁ、朝からミア母さんの料理が食べられるなんて!!」

 

よく見ると、リューさんは少し大きめのバスケットを右手肘あたりに下げていた。うわ···一杯持ってきてくれたんだな···

 

「あ、バスケット持ちますよ」

 

「い、いえ···お構い無く」

 

、と言われてもな。女性に重い荷物を持たせるわけにはいかない。俺は、リューさんの右手をとり、

 

「···っ!!!」

 

「···?あっ!? すみません!! 」

 

と言いつつ、ちゃっかりバスケットを持つ。でも、確かに手を握ってしまったのは悪い事したな···早く離さないと···あれ?

 

「···リューさん···?」

 

リューさんは、俺の手を離そうとしなかった。強く、強く握りしめていた。どうしたんだろう···?

 

「···ないでください···」

 

「えっ? 」

 

「私の手を、離さないでください···!! 」

 

「リューさん···?」

 

本当にどうしたんだ? いつものリューさんと全然違う。何か、いつもの頼りがいになる人じゃなくて、少し弱々しい小動物のようだった。

 

「···私、何を···!? すみません!! ルミナさん!!」

 

「えっ? あ、いや···」

 

リューさんは顔を上げ、直ぐに俺の手を離した。俺の手には彼女の手の温もりがまだ残っていた···あれ? リューさん···

 

「リューさん、涙が···」

 

「えっ? あ、あれ? なんで、私···」

 

リューさんは目元を拭い、涙を拭き取る。何があったんだろう···?でも

 

「···リューさん、悩み事か何かあるんなら、俺に相談してください。俺は、あなたの力になりますよ」

 

リューさんは、俺に[強い人]と言ってくれた。だから、俺は彼女を強く支えたい。

 

「···はい、ありがとう、ございます···」

 

そう言って、リューさんは、俺に爽やかな笑顔を向けてくれた。うん、いつものリューさんだ。

 

「それじゃあ朝ごはんにしましょうか。リューさんもどうぞ」

 

「え? いいんですか?」

 

「勿論ですよ。一緒に食べましょう? あ、食べてきたんだったら、紅茶とか出しますけど」

 

「い、いえ!!まだ食べてないので、いただきます(はい、アーンのチャンス到来!!)」

 

「そうですか、それじゃあ···」

 

 

「ルミナ君と一緒に入るのは私だ!!!!」

 

「いーえ!!!私ですよ!!!」

 

···忘れてた···。

 

 

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「はぁ···はぁ···」

 

「ぜぇ···はぁ···」

 

「はぁ···はぁ···」

 

ダンジョン第16階層。そこには、身につけている赤いローブがぼろぼろになった三人の冒険者がいた。それは、[ベル·クラネル]、[ヴェルフ·クロッゾ]、[リリルカ·アーデ]。

体力も魔力も底を尽きかけ、満身創痍の状態であった。

 

それは何故か。

 

[怪物進呈/パス·パレード]。通称[MPK(モンスタープレイヤーキル)]。あるパーティーを追いかけていたコボルト達を進呈された時から、運命の歯車は狂った。

 

次々と襲いかかるモンスターを退け、打ち倒してきたが、それも最早限界だった。ベル達は、[安全領域(セーフティゾーン)]へ到達するため、歩を進めている。これはリリの提案であった。[十数階戻るよりも、何階層か進み、18階層の安全領域へ進む。]

 

今、オラリオ最大勢力の一角[ロキ·ファミリア]が遠征中であり、ベル達の出発時間と、あまり時間差は無かった。今、この状態では通常のモンスターを倒すのもままならないが、幸い、階層主のモンスターは、倒されたあと、リスポーンするのに時間が掛かる。リリによると、リスポーンのタイムテーブルに間に合うらしい。一行は、リリの提案を信じ、歩を進めている。

 

しかし

 

「ふざ、けろっ···!!!!」

 

しかし今、二人は倒れ、ベルがそれを両脇に抱えている状態。亀のようなスピードでしか前に進めない。ヴェルフは[マインド·ゼロ(魔力消耗)]、リリは[ヒット·ゼロ(体力消耗)]で気絶してしまった。ベルは、残された体力と気力でなんとか前に進んでいる。

 

「···絶対に···三人で生きて、帰るんだ···!!!」

 

彼に、死ぬ未来も、二人を見捨てる未来も無かった。彼は今、強くあろうとしている。[ルミナ·トゥルーレコード]からもらった言葉が、彼の命を燃やしている。

 

 

虚空に、遅く、弱々しい足音が、それでも力強く響いていた。

 

18階層まで、あと僅か。

 

 

 

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「···なるほど、そういう事ですか」

 

「あの、リューさん?納得しないでね? 否定してね?」

 

朝食を食べ終わり(何故か三人にアーンされた。リューさんどうしたんだ本当に!?)、再びセツナさんとツキ様が喧嘩を始める。あーもう、煩いし、恥ずかしい!!!

 

「私だ!!!」「私です!!!」

 

ぬぎぎぎぎ、とおでこを合わせて超至近距離から睨み合う二人。何なのこの二人···。普通だったら神様ありがとう!!!って喜ぶイベントの筈だ。美人のどちらかと一緒にお風呂とか、最強イベントだろう。なのに、なぜだか全然嬉しくない。

 

「はぁ···」

 

「···あの二人だと、嫌なのですか?」

 

「え? あ、いや···嫌じゃなくて、寧ろ嬉しくんですけど···ね···」

 

「じゃあ、何故?」

 

「···恥ずかしいんですよ···」

 

そうだろう。普通一緒にお風呂って、互いに恥ずかしいだろう。なのにどうだ?何だこれは?自ら一緒にお風呂入りたい、とか言ってるし。いや、そういうのもあるよ?そういうイベントもまた一興だろう。だがしかしね、この有り様だぜ?

 

「私が(自主規制)を(自主規制)してやるんだ!!!!」

 

「なっ!? (自主規制)!? だ、駄目です!!! そんなの絶対駄目です!! (自主規制)は私がやるんです!!!!」

 

「何だと!? このエロ神!!!」

 

「な、何ですかこのビッチ!!!」

 

あーもう止めて!?!? 何この状況!? 読者の皆さんすみません!!! 不快に思われたらブラウザバックを推奨します!!!! すみません大森先生!!! すみません全国のダンまちファン様!!!

 

「って何言ってんだ俺はあああああ!?」

 

しまった、俺もメタキャラになるところだった···。

 

「······(自主規制)···(自主規制)···!? く、口とm」

 

「リューさああああああああん!?!? ストップ、ストオオオオオオオオップ!!!」

 

だ、駄目だこの状況!!! リューさんも壊れた!! 今、この中でまともなキャラは俺一人しかいない!!

 

 

 

~そうして、また時は過ぎていく~

 

え?結局どうなったかって? ···三人で風呂に入らせました。そして今、入ってます。

 

「ん?ほう、ツクヨミ殿。なかなかのモノをお持ちだな」ワシッ

 

「キャッ!? な、何するんですかセツナさん!!」「大きさはまぁまぁと言ったところか」

 

「···セツナさんはスタイル良いですね···羨ましいです···」

 

「ん? そうかね? ···え? おい、リュー···」

 

「?はい?」

 

「···お前、着痩せするタイプなのか? なんか、見た目と全然違うような···主に胸が」

 

「そうですか? まぁ、更級を巻いているので」

 

「そうなんですか···では早速」モギュ

 

「····っ!?!?!?」

 

「こ、これは····!? むむむ···リューさんも強敵です···」

 

 

···ブバッ。駄目だ、耐えられない。外出よう。

 

俺は鼻血を出しながら家を出た。

 

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「本当に申し訳ありません!!!」

 

[ヘスティアファミリア]の団員が居住する、廃教会に、一人の女性の声がこだまする。彼女の名は[ヤマト·ミコト]。[タケミカヅチファミリア]団員だ。

 

そして、ベル達に[怪物進呈/パス·パレード]を行ったパーティーのメンバーでもある。

 

「···それは本当なのかい···?」

 

一人の女神、[ヘスティア]の冷たい声が響く。

 

「あぁ、本当だ。···すまない、ヘスティア···こいつらも必死だったとはいえ···」

 

その質問に答えたのは、[タケミカヅチファミリア]主神。男らしい体躯と髻を持つ男神[タケミカヅチ]だった。

 

「···もし、ベル君達が帰ってこなかったら···僕は、死ぬほど君達を恨む···だけど、憎みはしない。約束する」

 

ヘスティアは、右手を差し出す。後ろから差し込む陽光が、後光のように輝く。

 

「どうか、僕に力をかしてくれないか···?」

 

「···っ!!! 仰せのままに!!!」

 

「···へへっ、ありがとう」

 

そして、入り口から入ってくる影が二つ。

 

「俺も力を貸そう···ヘスティアの親友として、ね」

 

[ヘルメスファミリア]主神、[ヘルメス]。そしてそのファミリアのエース[アスフィ·アル·アンドロメダ]であった。

 

「へ、ヘルメス!!!」

 

「よーうヘスティア。俺も協力するよ、俺も、ベル君を助けたいんだ」

 

 

 

こうして、ベル一行救出作戦が決行された。

 

 

 

 

その廃教会の屋根に、座り込む影が一つ。

 

「···なるほどな···」

 

深紅の瞳、深淵を思わせる漆黒のローブ、鋭く光る刃歯、そして、"腕に浮かぶ神象文字"

 

彼の名は[ミュート·ガーネット]。"変異を操る異端児"

 

彼の唇が、三日月形歪む。その顔に浮かぶのは、無邪気な少年の笑顔だった。

 

 

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「では、皆さん。また」

 

「おーう。また来いよリュー」

 

「あの、また来てくださいね···」

 

私は、[ツクヨミファミリア]が居住する一軒家を出て、二人(一人と一神)に挨拶をし、帰路につく。

 

あの後は凄まじかった。身体を洗っていたら、いきなりルミナさんの話になり、何度吹きそうになったり、顔を赤くしたことか···。ていうかあの二人(一人と以下略)、なんであそこまでルミナさんの事を知っているのだろう?そして、どのぐらい好きなのだろう···セツナさんは、ちょっとおかしい。会ってまだ数日しか経ってないのに、なんであそこまで好きなのだ?

 

まず、神が人に恋をしてしまっていいのだろうか?ツクヨミ様は、猛烈アピールをしているらしいが···そして、そのアピールの効果は出ているのだとか···。

 

あぁ、何か、もやもやする···心の底で何かがもやもやしている···。何だろう、この気持ちは。確かに、私はルミナさんが好きだ。だけど、これは好きだとか、そういう気持ちでは無いと思う。好きな気持ちというものは、どきどきするのだ。彼に会いたいと、彼に触れたいと思う事だ。

 

でも何故か私は今、彼に会いたいと、彼に触れたいと思っている。しかし、もやもやは晴れない。もやもやしながら、彼に会いたくはない。晴れ晴れとした気持ちで、彼におはようを言いたい。こんにちはを言いたい。こんばんはを言いたい。召し上がれを言いたい。おやすみを言いたい···さようならは、言いたくない。

 

そして、彼に、手を握ってほしい。

 

様々な感情がぐるぐると私の心を周り、消えては生まれ、生まれては消えて。何なのだ、本当に。この気持ちは、何なのだ。

 

 

私以外、誰かと話してほしくない。私以外、誰かを触れてほしくない。私以外、誰かの手を握ってほしくない。

 

「っ!!! わ、私は何を···!?」

 

自分の中に渦巻く感情を無理やり振り払う。何を考えているんだ私は!!! ルミナさんは、私のものなんかじゃ、ないんだ···。

 

「あっ! リューさん!!!!」

 

そして、今一番聞きたくて、一番聞きたくない声が聞こえた。彼は、こちらに向かって走ってくる。額に汗を垂らし、それのせいか、顔を少し上気させている。そして、私の名前を呼んでいる。

 

「る、ルミナさん···何処に行っていたのですか?」

 

私は至って普通に接する。平常心を保つ。だが、内面はぐらぐらと、今にも崩れそうなくらい不安定だ。

 

「えっ? ···いやぁ、変な気を起こさないように逃げたんですよ···あはは···」

 

「···?変な気···?」

 

「うっ···え、えっと···いや、美人三人がお風呂入ってたら、理性が爆発しそうだったんで···」

 

び、美人···!? その言葉だけで、私の心は舞い上がってしまう。他の二人も褒められているというのに、現金な奴だな、私は。それに、変な気···少しは、いや、多いに私を異性として見てくれている証拠だろう。私は、また少し前進できた。

 

「そ、そうですか···そ、それで、どうしたのでしょうか?」

 

「あ、そうだ!! 大変なんですよリューさん!! ベル達が!!」

 

「クラネルさん達が···?」

 

「とにかく、早く!!!」ギュッ

 

「っ!!!! ちょ、ちょっと···」

 

私は、またルミナさんに手を握られる。心臓が大きく跳ね上がり、顔が熱くなってくる。

 

しかし、そんな状況でも私は幸せだと、感じてしまった。

 

 

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「さてと···どうしようかな···ミノとアントはもうしたし···そうだ、コボルトがいたな···そして、[ゴライアス]、か···」

 

少年は、文字が刻まれた腕を掲げ、呟く。

 

『巡り廻る輪廻の環[トランスポート/空間転移]』

 

 

神象文字を残し、そこにはただ無が残った。

 

少年少女、そして神々の運命は、少しずつ"変異"し始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

第6話

   [怪物進呈/救出決行]

 

 

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何?お下劣?破廉恥? ···ふ、サービスさ。

 

というわけで、破廉恥満載でお届けした第6話でしたが、読んでいただき、ありがとうございました。さて、いかがだったでしょうか?たまには、ああいうシーンがあっても、良いと思うのです。(書きたいだけ)

 

今回は、リューさんの嫉妬心が芽生えましたね。いつもクールなリューさんが、好きな人を独占したいと妬いてしまう···じゅるり···。

 

リューさんは今までそんな事が無かったので、嫉妬心どころか、恋心も良く分かっていません。しかし、自分なりに貫いていく覚悟はあります。自分の手が血で汚れていようと、彼が自分の手をとってくれる限り、彼女は彼を好きでい続ける。いや、違いますね。手をとってくれなくても、自分から握りにいく。そんなリューに成長していくと思います。

 

さて、新登場した少年[ミュート·ガーネット]ですが、名前の由来を言っておきます。

 

ミュート=Mutation(ミューテーション)

 

ガーネット=garnet(ガーネット)

 

さて、意味は···? ・・・・・・正解は~~~

 

【深紅の変異】

 

 

 

 

 




僕の場合後書きっていらないんやなって。

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