東方予知夢伝   作:鏡餅

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第ニ話 二人は

「出かけるか。」

 

洸は、そう言いながら昼ごはんの食器を片付けている。

 

早苗もその言葉に、ピクッと反応して言う。

 

 

「そうだね。洸ちゃん。」

 

 

早苗は少し笑ってそう言うと、服の準備をするのか、二階に上がって行った。

洸は、特に準備する物も無いので、暫く大人しく待っていた。

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

「お待たせ〜!」

 

 

そう言いながら、早苗は階段を下っていく。

 

 

が、

 

 

 

 

急ぎすぎたのか、階段を踏み外してしまう。

 

 

「あっ」

 

 

そんな早苗の声と同時に早苗の体を背中で受け止める 洸。

 

 

「洸ちゃん....」

 

 

「ったく、お前は何回この階段を上ってるんだよ?」

 

 

 

洸はそう言いながら、早苗をおんぶして外に出ようとした。

しかし、玄関の扉まで来たところで早苗がそれを制す。

 

 

「ちょっ、ストップストップ!」

 

 

何だ?とも言いたげな顔で洸は早苗の方を見る。

 

 

「いつまで、おんぶしてるんですか!?」

 

 

「え?ずっとだけど。」

 

 

「下ろして洸ちゃん!」

 

 

早苗は少し顔を赤くしながらそう言うと、背中でジタバタ暴れる。

 

子供か.....と、思いながらゆっくりと早苗を下ろす洸。

 

「それじゃ行くか。」

 

 

洸はそう言って、早苗の手を引いた。

 

「うん。」と、早苗は言いながら洸の手を握るが、二人きりで出掛けるのは当たり前のことだったからだいぶ慣れていた。

 

 

暫く人気の少ない、畑の道を通る二人。

 

 

「ねぇ洸ちゃん。」

 

 

「んー何だ?」

 

 

「どこいくの?」

 

 

「さぁね」

 

 

「教えてよ!」

 

 

 

そう言いながらむすっとする早苗。

 

 

そんな早苗を見ながら、笑う洸。

 

 

暫くお互い喋らなかったが、洸が口を開く。

 

 

「なぁ早苗帰るの遅くなるけどいいか?」

 

 

「えっいいけど...」

 

 

「そっか。」と笑顔で微笑む洸を見て、少し心の中があったまる早苗。

 

 

更に歩いていると、二人が中学生の時一番行っていたゲームセンターが見えた。

 

 

「まずここだな。」

 

 

洸はそう言って、大きくもなく小さくも無い普通のゲームセンターに入っていった。

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

「洸ちゃん、あれあれ!」

 

 

早苗は洸の服の裾をぐいぐい引っ張りながら、ある機械を指差す。

 

その機械はとあるリズムゲームで、最大2人まで出来るゲームだ。

 

流れてくる色の音符を足元の色に合わせる。と言うよくあるリズムゲーム。

 

中学生の時、二人はこれを一番やっていた。

 

 

「そうだな。アレやるか。」

 

 

洸は、少し乗り気でそれに賛同すると、早速200円を入れた。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

「あー楽しかった〜」

 

 

早苗はそう言いながら、腕を伸ばす。

 

 

「と、言っても俺の2勝だけどな。」

 

 

「洸ちゃんに勝てるわけないじゃん!」

 

 

早苗はそうツッコミながら、とある方向を見る。

 

それに気づいた洸が、恐る恐る言う。

 

「早苗...お前まさか...」

 

 

「そう、そのまさかです!」

 

 

早苗がそう言って指を指したのは、ホラーFPSゲーム。

 

3dサングラスを掛けて、中に置いてある銃の形をしたモデルガンで画面のゾンビなどにポインターを合わせて打つゲームだ。

 

洸は、怖いのがまず苦手なので中学生の時は、出来るだけこれを避けていたが、今日は避けては通れない。

 

 

「分かったよ。」

 

 

洸は、半諦め状態でそう言うと、そのゲームが出来る仕切りを越えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わっ!ちょっと待って、早苗俺の方めっちゃ来てるんだけど!」

 

 

「それは、洸ちゃんのプレイングスキルが無いからですよ!」

 

 

「プレイングスキル?ってヤバイ弾もなくなった!」

 

 

「ほら、そこの机に置いてありますよ!」

 

 

 

洸と、早苗はそうワーワー楽しく言い合いながらゲームをしていた。

 

 

洸も早苗も、お互い笑顔は絶えなかった。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

夕方6:00

 

 

日もすっかり暮れてきた頃、洸はある場所に向かおうとしていた。

 

 

 

「んーー次はどこ行くの?」

 

 

早苗は伸びをしながら、洸に聞く。

 

洸は少し悲しそうな顔をして言った。

 

 

「綺麗な場所。」

 

 

そんな洸の言葉に、早苗は考える仕草をとる。

 

 

「綺麗な..........場所?」

 

 

そんな事を呟いている間に『最後』の目的の場所に二人はつく。

 

 

「ほら、ここだよ。」

 

 

洸は笑顔でそう言い、この県内最大のタワーを指差す。

 

 

そこでは、今日限定のイルミネーションの祭りが行われており、タワーも良く光っていた。

 

 

「っわあ、綺麗。」

 

 

早苗は少し言葉に詰まりながら、そう言った。

 

別れの時間が近い...そう感じているのか、早苗は口を自分から開こうとはしなかった。

 

 

「ほら、あそこ空いてるから座るぞ。」

 

 

洸が早苗の手を引っ張って、とあるベンチを指差した。

 

そこの見晴らしはとても良さそうで、何故誰も座っていないのか不思議なぐらいだった。

 

 

「そうだね、洸ちゃん。」

 

 

 

二人がそのベンチに座って、お互いに今日の事について、触れ合っていた時足元に置いてあった、小さい飾りまで光をだしタワー圏内が一気にライトアップされる。

 

 

 

「っ!?」

 

 

早苗は少し息を飲み、驚いたような表情を見せる。

 

そして、声を押し殺して泣いた。

 

 

 

そんな早苗を見て、洸は少しだけ焦るが自分も見ていると悲しくなってくるので、優しく早苗を抱きしめる。

 

 

 

そして、言う。

 

 

 

 

「今日は、楽しかったな。『また』行こうな。」

 

 

そんな洸の言葉に早苗は何とか息を詰まらせながら言った。

 

 

「っ...う..ん。」

 

 

ライトは二人を照らした状態でずっとずっと光り続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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