ただシャドバやってただけだし...。
...(っ´∀`)っドゾー
あの恐ろしい花妖怪ーーー幽香、だったか。ーーーとの死闘からおよそ2ヶ月後ぐらい経ったころ。私達はようやく諏訪の里に着く事が出来た。幽香との戦闘のせいで、もしかすると私が本当に人外と言う噂が出回っているのではないかと少し心配になったりもしたが、別段そんな事は無かったようだ。一安心。
諏訪の里は前に居た里よりも数倍大きく、それに比例して人の動きも激しい。あちらこちらから商人の声客を呼び込むが聞こえて来ており、商業で発展している面も見受けられる。新鮮な野菜に魚。(ここは内陸地であり、海の魚は扱っていないようだ。うーん、私、
聞くところによると、ここ、諏訪の里は近くの山の上に大きな神社があり、そこを中心として発展しているそうだ。そのため、その神社で作られたお札は大層人気があるそうだ。妹紅も気になっているそうだったし、後で寄るとしよう。
さて、その神社には『後で寄る』と言ったのには理由がある。それはズバリ、『温泉』である。
諏訪の里には、神社(諏訪神社と言うそうだ。)の他にももう一つ有名なものがある。それが温泉なのだ。温泉は言葉で表すと、「熱い水に浸かったり、熱い水を体にかける」と言う意味不明な行動にしか聞こえないが、それはそれは天にも登るような気持ちよさだそうで。ここは一つ、天に登ってやろうじゃないかと言う事だ。私も興味があるし、妹紅も行きたがっているので、早速行こうではないか。
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カポーン、と心地よい音が聞こえてきそうな温泉にやって来た。
「ん〜、なんと言うか、これは凄いねぇ…。」
「うん。言葉では表せないね…。」
私と妹紅は今、目の前に広がる光景に見とれ、立ち尽くしていた。
温泉からもうもうと立ち上る湯気。それに浸かり、とても幸せそうにしている人々。そして何よりも、とにかく広いのだ。温泉と言っても、せいぜい1度に入れるのは10〜15人ほどだと思っていたが、詰めれば40人ほどは入れるのではないかと言うレベルだ。
そんな広大な温泉を目の前に、私達は立ち尽くしていたのだ。
「...取り敢えず、入ろっか。」
「ん、そだね。」
いつまで経ってもそこに突っ立っていると、周りからすればただただ迷惑なだけなので、意を決して入ることにする。
チャポン、と音を立てながらいざ入水。いや、入湯か。
......ああぁ...、温泉を発明したのって誰なんだろう。今すぐその人のところへ行って溢れんばかりの感謝の意を伝えたい。
何だこの気持ちよさは。まるで体から疲労が湯に溶け出ていく様だ。ここまで歩いてきた時の披露も、幽香と戦った時の疲労も、全てを流してくれる。横の妹紅も気持ちいいのか、自然と顔がにやけている。いつもなら気持ち悪い、と一蹴するのだが、今だけは理由が分かっているのでそんな事はしない。もしかすると、私もにやけているかもしれない。まあ、今はそんな事はどうでもいいと思えた。いつか私の家が出来たら、絶対に温泉が欲しいな、と思った。
しばらく温泉を楽しむと、名残惜しいが出ることにした。お昼時もとっくに過ぎていた。このままでは神社に行けなくなってしまう。すぐに用意を済ませ、神社へと歩き始めた。さらば、温泉。また来るよ。
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神社は想像以上に高い位置にあり、里を少し出たあたりには既に石段があった。急勾配を避けるためか、石段は左右にうねっている。半分ほど登ったところで、妹紅が肩で息をしているのに気付き、おんぶする事にした。少しはしゃいでるところを見て、不老不死とは言え、まだまだ子供だな、と思うと同時に、私にもこういう頃があったら良かったな、と少し寂しく感じられた。
石段を登りきる頃には今度は私が肩で息をしており、妹紅がはしゃぎながら手を引くので、無理矢理走らされるのが大分体に堪えた。ちくせう。誰がチミを石段のテッペンまで運んだと思っているのだね。
温泉と同じで、神社も想像以上の広さだった。本殿は文句の無いほど広く、地面には石畳や砂利が敷かれており、小さいながらも小売店もあった。前を通り過ぎようとすると、小売店に居た、緑の髪に付けた花飾りがチャームポイントっぽい女の子が声をかけてきた。
「あら、本殿までいらっしゃったんですか?石段も長かったでしょうに、わざわざ御参りありがとうございます。」
「どうも、こんにちは〜。...って、え?本殿までわざわざってどういう事ですか?」
「あー、旅の方でしたか。実はですね、知っての通り、ここまで来るのには石段が長すぎて、年配の方々にはなかなか来てもらえないんですよ。」
普通の人でもここまで来るのは大変でしょうに、と心の中で少し毒づく。
「なので、里の方に分社を作ったんですよ。そこでもお守りを売っているので、最近はここへ来てくださる人が少ないんですけどね〜...。」
なるほど、分社があったのか。まあ当初の目的はここに来ることだからいいんだけど。もしお守りを買う事が目的だったら、今頃石畳に拳を打ちつけてバキバキに割ってしまっていただろう。
「......それで、さっきからあそこに座って私のことを睨んでる御二方はどちら様で?」
「......え?神奈子様と諏訪子様が見えるんですか?」
緑の髪の少女は驚いた顔でこちらを見つめる。そんなに不思議なことなのだろうか。あ、もしかしてあの2人は神様なのだろうか。それなら見えなくて当...、私、なんで見えるんだろ?
「妹紅はあの2人見える?」
「...2人って、何の事?誰も居ないじゃん。」
うーむ、どうやら妹紅には見えないようだ。余計になぜ見えるのかが気になる。
「.........あんた、鬼だね?」
「......どうして分かったんです?」
「え?え?どういう事です?」
紫の髪の女性が問いかける。微かだが殺気を放っているところを見ると、こっちはその気になればいつでもお前を殺せる、と言ったところだろうか。しかし、緑の髪の少女は全く分かっていない様子。どうやら、まだ見習いのようだ。......まあ、見習いに見抜かれたらそれはそれで困るんだけど。
「んで、鬼様が角まで隠してなんの御用で?」
「あ、別に角、隠してないです。私、生まれつき角が無いんですよ。」
「......え?角が、無い?」
いつの間にか紫の髪の横に来ていた金髪の女の子が驚きの表情を浮かべている。それもそうだ。角は鬼の象徴なのだ。鬼は角がなければ鬼とは言えない。結果、私が迫害を受けるような状況になる訳だ。はぁ、せっかくお忍び旅行的な気分で楽しんでたんだけれども、バレてしまっては迷惑がかかってしまうだろう。
「あ、私たちはただ単に神社を見に来ただけで危害を加えるとかどうこうするというわけでは無いのでどうぞお構いなく。」
危害を加える程の力は無い、とは流石に言えない。
「ちょっと、優ー!私だけ置いてかないでよー!」
これ以上追求されても困るので、さっさと退散することにしよう。あ、お守り買い忘れた。まあいい。里の分社で買おう。『安全祈願』とか無いかな…。
「なあ、ちょっとあんた。」
「...なんですか、まだ何か用がお有りで?」
「......あのさ、また。また、来なよ。今度は観光とかじゃなくて私たちに会いにさ。」
少し拍子抜けした所があった。今日あったばかりの得体の知れない私にまた来いと言うとは、何か企んでいるのかと怪しんでしまう。あ、あれか。私がボッチなのを推測して今度女子会やろうぜ的なやつか。そりゃあいい返事をするしかない。
「はい。喜んで。また来させて頂きます。」
その返事が返ってくると、紫の髪の女性はすぐにふふっ、と微笑んだ。私は永遠に出来ないであろうそんな大人っぽい笑みが、羨ましく思えた。
あ、そう言えば、これは友達になった、と言うことで良いのだろうか。うん、良いのだろう。じゃないと女子会とかしないよね。
▼.神奈子と 諏訪子が 友達に なった!(気がする!)
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「優、ねぇ...。不思議な妖怪ね。少し調べておこうかしら。」
優ととあるスキマ妖怪が出会うまで、あともう少し。
相変わらずの主人公の交友関係ェ...。
遂にゆかりんが出ましたが、もうちょっとしたら出ると思います。
では、気長にお待ち下さい〜。