角の無い鬼と幻想郷   作:暇人(暇では無い(´・ω・`))

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短編の方でご指摘を頂き、前書きを書いてみました。
前回の終盤はゴリ押し感がありました。
今後はそういう事の無いように気をつけさせていただきます。
では、(∩´。•ω•)⊃ドゾー


第3話 「月の民と二人旅」

 

 綺麗だったつい昨日までの廊下は血で塗れ(まみれ)てしまい、人だったものを見て気が遠くなりそうになりながらも廊下を駆け抜け、最奥の部屋へと辿り着く。

 壁に耳を当てると、何か言い争っているような声が聞こえる。ちらり、と妹紅の方を見やると、妹紅は頷く。

 いざ、突入ーーー

 

 

 

 

 ######

 

 

 

 

 

 輝夜の部屋は、廊下や庭ほど汚れてはいなく、強いて挙げるとすれば、1人の女性から垂れているだけである。

 その女性はーーー

 

「優!貴女何しに来たの!?」

 

 ーーー、輝夜では無かった。ほっと一安心・・・している場合では無い。輝夜は怪我をしていなくとも、その女性は見る限りではなかなかに重症である。

 何とかして助けなければ...、何とかって、何だ。(二回目)

 

「優!聞いてる!?早く!早く逃げて!!」

「あー、一つ聞いていい?これどういう状況?」

 

 パッと見た限りでは、見たことの無い武器を構えた人?が数十人ほどで輝夜とその女性を取り囲んでいる。うーむ、全く状況が分からん。したがって、この質問をした私は悪くないはずである。

 

「あー?誰だ貴様ァ。」

 

 ...。凄く・・・、柄が悪いです。

 日常生活で出会いたくないタイプナンバーワンである。

 

「私は、優。輝夜の友人です。」

「わ、私は・・、えっと、か、輝夜さんの友人の友人です!あっ、藤原妹紅です。」

 

 そう言えば、妹紅は輝夜と直接的な縁があった訳じゃ無いのか。しかし、友人の友人って...。

 

「...。プッ。いや、輝夜様に貴様のような下民の知り合いがいる筈ないだろう。下民はすぐに嘘を吐く。全く、これだから下民は嫌いなんだよ。こうして話しているだけでも吐き気がする。」

「優!こんな奴の言う事聞いてないで早く逃げて!そうじゃないと、貴方が殺される!」

「どっちにしろ姫様も、永琳様も、下民共も皆殺しにするつもりだ。逃げても結局は殺されるのだ。諦めろ。精精月の民と話せたことを冥土の土産にするんだな。」

 

 

 

 

 ーーープチッ。

 私の中で、何かが切れる音がした。(そんな気がした)

 

 輝夜を、殺す?下民共も、殺す?月の民と、話した事が、冥土の土産?

 

 

 月の民は、そんなに偉いのか?

 私は、『月』と言うものがどんな場所なのか知らない。どんな偉い人が住んでいるのか知らない。どれだけ強いのか、知らない。どれだけ賢いのか、知らない。

 だが、そんな事が人を殺めても良いという理由になるのだろうか?

 人の人生を奪っても良いという理由になるのだろうか?

 人を悲しませても良いという理由になるのだろうか?

 

 月の世界では、人を殺めてもいいのかもしれない。

 月の世界では、理由になってしまうのかもしれない。

 月の世界では、悲しませて良いのかもしれない。

 

 しかし、そんな決まりは、ここでは通用しない。

 月の民(笑)がなんと言おうと、私は、怒る。

 大切な友人を殺すと言う。みんなの日常を殺すと言う。

 これでキレるなという方が酷である。

 

「ーーー私は、嘘を吐いた。」

「何だぁ?いきなり。はん、やっと認める気になったか。姫様に下民の知り合いがいるわk」

「私は、輝夜の『友()』と言った。私は、人では無い。私の名は、優。種族は、鬼。私はこれから、キレる。」

「はぁ?何言ってーーー」

 

 

 衝撃。

 私を中心に、衝撃波が波紋の様に広がる。真横に居た妹紅は一瞬で吹き飛んでゆく。ああ、これは怒られるな、と余計な事を考える。それよりも、体から溢れんばかりに湧き出る力。あ、一番弱そうだったやつが白目を剥いて倒れた。湧き出過ぎて、一種のオーラのようになっている様だ。

 まあ、この時点で何人倒れようが関係は無い。どの道全員倒すのだ。少し楽になるだけだ。

 

 一歩、踏み出す。

 地面から岩の様なものが突き出し、四人、倒れる。

 二歩目を、踏み出す。

 一部屋根が崩れ、五人、倒れる。

 三歩目を踏みしめる。

 残るはこの全身から汗を垂れ流しているリーダー格のみ。

 この技は、鬼の世界に古来より伝わる、一撃必殺の技。

 

 

 ーーー三歩必殺。

 

 

 

 ######

 

 

 

 

 次に目を開けた時には、屋敷には穴が開き、大変風通しが良くなっていた。

 ふぅ、疲れた。この技は強力な反面、馬鹿みたいに体力を使うのだ。っと、忘れてた。妹紅を探しに行かなければ。

 

「おーい、妹紅〜。生きてる〜?死んでたら返事して〜。」

「・・・。」

「お、生きてるか。良かった良かっ」

「良かねーよバッキャロー!」

「おお、しかも元気そうだ。これで医者に行かなくても良いな。」

「そういう事じゃねぇー!!」

「ゆーう?ちょぉーと、いいかしら?」

「・・・。(すっごい嫌な予感...。)」

 

 そーっと、振り向くと、輝夜がいつにも増してニコニコしながら立っている。あ、何だ。怒られるわけじゃないのか。良かっt

 

 ーーーパシィィーーン

 

 張り手の快音がボロボロになってしまった屋敷に響く。い、痛い。普通に痛かったぞ、今の。どっかのサイ〇人が怒るレベルだぞ。

 

「何て・・、何て無茶するのよ!!」

「だってああするしか無かったじゃないの。」

「でも・・、でも・・!」

 

 残念ながら、私は馬鹿かつ単細胞なので、実力行使しか思い浮かばない残念な人である。

 和解?ナニソレオイシイノ?状態とはこの事である。

 

「まあ過ぎたことは良いじゃないの。んで?永琳さん、だっけ?これからどうすんの?」

「そうねぇ、月の追手に見つかるわけにもいかないし、どこかで姫様とひっそり暮らすわ。」

「ん。まあお元気でね。」

「...。結局私何もしてないじゃない。」

 

 妹紅がブツブツ言っているが気にしない。だって私がやっちゃったんだもの。下手に私が関わると面倒くさそうなことになりそうだかんね。

 

「じゃあね、輝夜。また、いつか。」

「あ、優!それに妹紅さんも!」

「は、はいぃ!?な、何ですか!?」

 

 ずっと独り言を言っていたので、急に呼ばれてびっくりしたようだ。全く、いつまで引きずってたんだか。

 

「永琳のね、特性の傷薬があるの!これ!」

「・・・、ほう。これを私達に飲めと?」

 

 すごくおどろおどろしい液体を目の前に突きつけられると、人はどんな顔をするのだろう。大抵は酷い顔をするのだろう。きっと私も今、そんな顔をしているだろう。それほどこの液体は酷い色をしているのだ。

 

「飲むの?これを?」

「そ!ささ、ぐいっとぐいっと♪」

 

 ゴクリ。

 oh......。これを不味い以外で表すことが出来ないレベルの不味さである。

 

「...、何も変わった感じしないけど。」

「効能は見てないからわかんない。多分後から来るんじゃないの?」

「それダメなやつだったらどうするんだよ...。」

「ま、大丈夫、大丈夫!それを記念にと思って忘れないでね!」

「逆にどうやって忘れたらいいのよ・・。」

 

 

 

 ######

 

 

 

「さて、これからどうする?妹紅。私はこれから旅っぽいものに行こうと思うんだけど。」

「ん。じゃあ私も行く。」

「ほんとに良いの?」

「もう決めたの。優に付いていくって。だから後悔しない。」

「そっか。んじゃ行くよ。」

 

 こうして、私と妹紅の二人旅が始まったのであった。

 

 


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