前回の終盤はゴリ押し感がありました。
今後はそういう事の無いように気をつけさせていただきます。
では、(∩´。•ω•)⊃ドゾー
綺麗だったつい昨日までの廊下は血で
壁に耳を当てると、何か言い争っているような声が聞こえる。ちらり、と妹紅の方を見やると、妹紅は頷く。
いざ、突入ーーー
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輝夜の部屋は、廊下や庭ほど汚れてはいなく、強いて挙げるとすれば、1人の女性から垂れているだけである。
その女性はーーー
「優!貴女何しに来たの!?」
ーーー、輝夜では無かった。ほっと一安心・・・している場合では無い。輝夜は怪我をしていなくとも、その女性は見る限りではなかなかに重症である。
何とかして助けなければ...、何とかって、何だ。(二回目)
「優!聞いてる!?早く!早く逃げて!!」
「あー、一つ聞いていい?これどういう状況?」
パッと見た限りでは、見たことの無い武器を構えた人?が数十人ほどで輝夜とその女性を取り囲んでいる。うーむ、全く状況が分からん。したがって、この質問をした私は悪くないはずである。
「あー?誰だ貴様ァ。」
...。凄く・・・、柄が悪いです。
日常生活で出会いたくないタイプナンバーワンである。
「私は、優。輝夜の友人です。」
「わ、私は・・、えっと、か、輝夜さんの友人の友人です!あっ、藤原妹紅です。」
そう言えば、妹紅は輝夜と直接的な縁があった訳じゃ無いのか。しかし、友人の友人って...。
「...。プッ。いや、輝夜様に貴様のような下民の知り合いがいる筈ないだろう。下民はすぐに嘘を吐く。全く、これだから下民は嫌いなんだよ。こうして話しているだけでも吐き気がする。」
「優!こんな奴の言う事聞いてないで早く逃げて!そうじゃないと、貴方が殺される!」
「どっちにしろ姫様も、永琳様も、下民共も皆殺しにするつもりだ。逃げても結局は殺されるのだ。諦めろ。精精月の民と話せたことを冥土の土産にするんだな。」
ーーープチッ。
私の中で、何かが切れる音がした。(そんな気がした)
輝夜を、殺す?下民共も、殺す?月の民と、話した事が、冥土の土産?
月の民は、そんなに偉いのか?
私は、『月』と言うものがどんな場所なのか知らない。どんな偉い人が住んでいるのか知らない。どれだけ強いのか、知らない。どれだけ賢いのか、知らない。
だが、そんな事が人を殺めても良いという理由になるのだろうか?
人の人生を奪っても良いという理由になるのだろうか?
人を悲しませても良いという理由になるのだろうか?
月の世界では、人を殺めてもいいのかもしれない。
月の世界では、理由になってしまうのかもしれない。
月の世界では、悲しませて良いのかもしれない。
しかし、そんな決まりは、ここでは通用しない。
月の民(笑)がなんと言おうと、私は、怒る。
大切な友人を殺すと言う。みんなの日常を殺すと言う。
これでキレるなという方が酷である。
「ーーー私は、嘘を吐いた。」
「何だぁ?いきなり。はん、やっと認める気になったか。姫様に下民の知り合いがいるわk」
「私は、輝夜の『友
「はぁ?何言ってーーー」
衝撃。
私を中心に、衝撃波が波紋の様に広がる。真横に居た妹紅は一瞬で吹き飛んでゆく。ああ、これは怒られるな、と余計な事を考える。それよりも、体から溢れんばかりに湧き出る力。あ、一番弱そうだったやつが白目を剥いて倒れた。湧き出過ぎて、一種のオーラのようになっている様だ。
まあ、この時点で何人倒れようが関係は無い。どの道全員倒すのだ。少し楽になるだけだ。
一歩、踏み出す。
地面から岩の様なものが突き出し、四人、倒れる。
二歩目を、踏み出す。
一部屋根が崩れ、五人、倒れる。
三歩目を踏みしめる。
残るはこの全身から汗を垂れ流しているリーダー格のみ。
この技は、鬼の世界に古来より伝わる、一撃必殺の技。
ーーー三歩必殺。
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次に目を開けた時には、屋敷には穴が開き、大変風通しが良くなっていた。
ふぅ、疲れた。この技は強力な反面、馬鹿みたいに体力を使うのだ。っと、忘れてた。妹紅を探しに行かなければ。
「おーい、妹紅〜。生きてる〜?死んでたら返事して〜。」
「・・・。」
「お、生きてるか。良かった良かっ」
「良かねーよバッキャロー!」
「おお、しかも元気そうだ。これで医者に行かなくても良いな。」
「そういう事じゃねぇー!!」
「ゆーう?ちょぉーと、いいかしら?」
「・・・。(すっごい嫌な予感...。)」
そーっと、振り向くと、輝夜がいつにも増してニコニコしながら立っている。あ、何だ。怒られるわけじゃないのか。良かっt
ーーーパシィィーーン
張り手の快音がボロボロになってしまった屋敷に響く。い、痛い。普通に痛かったぞ、今の。どっかのサイ〇人が怒るレベルだぞ。
「何て・・、何て無茶するのよ!!」
「だってああするしか無かったじゃないの。」
「でも・・、でも・・!」
残念ながら、私は馬鹿かつ単細胞なので、実力行使しか思い浮かばない残念な人である。
和解?ナニソレオイシイノ?状態とはこの事である。
「まあ過ぎたことは良いじゃないの。んで?永琳さん、だっけ?これからどうすんの?」
「そうねぇ、月の追手に見つかるわけにもいかないし、どこかで姫様とひっそり暮らすわ。」
「ん。まあお元気でね。」
「...。結局私何もしてないじゃない。」
妹紅がブツブツ言っているが気にしない。だって私がやっちゃったんだもの。下手に私が関わると面倒くさそうなことになりそうだかんね。
「じゃあね、輝夜。また、いつか。」
「あ、優!それに妹紅さんも!」
「は、はいぃ!?な、何ですか!?」
ずっと独り言を言っていたので、急に呼ばれてびっくりしたようだ。全く、いつまで引きずってたんだか。
「永琳のね、特性の傷薬があるの!これ!」
「・・・、ほう。これを私達に飲めと?」
すごくおどろおどろしい液体を目の前に突きつけられると、人はどんな顔をするのだろう。大抵は酷い顔をするのだろう。きっと私も今、そんな顔をしているだろう。それほどこの液体は酷い色をしているのだ。
「飲むの?これを?」
「そ!ささ、ぐいっとぐいっと♪」
ゴクリ。
oh......。これを不味い以外で表すことが出来ないレベルの不味さである。
「...、何も変わった感じしないけど。」
「効能は見てないからわかんない。多分後から来るんじゃないの?」
「それダメなやつだったらどうするんだよ...。」
「ま、大丈夫、大丈夫!それを記念にと思って忘れないでね!」
「逆にどうやって忘れたらいいのよ・・。」
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「さて、これからどうする?妹紅。私はこれから旅っぽいものに行こうと思うんだけど。」
「ん。じゃあ私も行く。」
「ほんとに良いの?」
「もう決めたの。優に付いていくって。だから後悔しない。」
「そっか。んじゃ行くよ。」
こうして、私と妹紅の二人旅が始まったのであった。