暖かな陽気が続き夏を思わせるような日差し。かと思えば陽が暮れる頃にはまだ少し肌寒い風が流れてくる。
学校から帰る頃にはまだ辺りは明るいものの僅かな寒さを覚える。
そんな逢魔が時とでも言うだろうか、公園のベンチにその人は居た。
「や、今帰りかね少年」
「少年って…。まぁ今から帰るとこですが雪ノ下さんはなんでここに?」
少し元気が無く、言葉数が少ない雪ノ下さん。
いつもはこっちを見透かしているような視線も今日は鳴りを潜めている。
「んーわかんない。なんとなく、かな」
「はぁ、雪ノ下さんでもそういうことあるんですね」
こういうのは不謹慎なのかもしれないが元気が無い雪ノ下さんもなんだかこうグッとくるものがあるな。
「はは、珍しいもの見たって顔してるよ?まぁまぁ立ってないで座りなって」
「いやいいですもう帰るんで」
「座るよね?お姉さん同じことは二回言わないわよ」
「…わかりましたよ」
「冗談よ冗談。君は本当に可愛いなぁ」
いや明らかに不機嫌そうな顔したじゃないですかー。って脳内で一色風に言うくらいにはガチだった。
そして雪ノ下さんの可愛いは怖い。
構われすぎて壊されたりしないだろうか。まぁ構われすぎる前にそこまで興味持たれないだろうけど。
「ねぇ、比企谷くん。肩、借りてもいい?」
「え?」
どういう意味ですか?と聞く前に俺の肩に頭を置いてくる雪ノ下さん。
これどういう状況だよ…。
「…あの」
「いいから」
「…はい」
思わず、はいとか言ってしまった。本当逆らえねぇんだよなぁこの人には。
「今日ね特に理由はないんだけど、憂鬱な気分なの。そういう日ってたまにはあるじゃない?だから実はちょっと元気貰おうかと思って比企谷くんのこと待っちゃった」
毎日憂鬱だと思ってる俺の経験からするとこういうのは何かパワーを貰えるものが必要なのかもしれない。
だけど、俺で元気もらえるってどういうこと?雪ノ下さんは元気玉か何か?
「俺なんかで元気出るんですか?」
「うん。なんたって私比企谷くんのこと気になってるし」
「はぁこういう時にそういう冗談は勘弁してください…」
「ふふ、さぁどうだろうね。まぁ少しこのままで居させてよ」
そう言って雪ノ下さんは目を閉じた。
この人にもこういう無性に元気が無い日があるのか。
何故だか親近感が湧く。
ナデナデ
「…んっ」
「あっすいませんつい」
「んーん。いいよ。続けて」
言葉少なげにそう告げられる。
なんか、可愛いなこの人。
「…私にもお兄ちゃんが居たらこんな感じなのかな」
「どうでしょうね。もし居たら雪ノ下家の長男なんで凄い人そうですよね」
「そうかな?でもきっと私や雪乃ちゃんをこうやって甘えさせてくれるんだろうな」
「でも、今は俺で我慢してください」
「…うん」
どれくらいの時間が経ったのだろうか辺りはもう暗くなり始めてきている。
「んーー!なんか落ち着いちゃった!明日からまた頑張れそうだよ」
「そうですか」
「本当ありがとね」
「いえ、特に何もしてませんし」
「そっか、そういうことにしとくね」
「はい」
「じゃあもう暗くなってきたし帰ろうか」
「ですね。それじゃ」
そう言って雪ノ下さんに背を向け歩き始めたところで後ろから声がかかる。
「じゃあまたね、は ち ま ん!」
つい顔が赤くなってしまい後ろを振り返らずに進む。
じゃあな 陽乃。
…なんてな。
Twitterで俺ガイルのスロットメーカーなるものをやったら
言葉数の少ない
雪ノ下 陽乃 は
とても可愛い
と出たので思わず執筆。
パッと書いたので短くてすみません。