街も桜色に色づき出会いの季節が始まる。
その中でも変わらず喫茶店 はち は開店する。
「ふんふーん♪」
本日のお客様はこの人…
「お兄ちゃんやっはろー!!」
「おう小町よく来たな。後その挨拶馬鹿っぽいからやめなさい」
「お兄ちゃんがサボってないか監視しないとね!この挨拶は小町の知り合いの先輩が使ってるんだ、可愛いでしょ?」
「はいはい可愛い可愛い世界1可愛いよー」
「うわぁ適当だなこの人…」
「はぁ、まぁその辺座ってろ。今紅茶入れてやるから」
「わーい!お兄ちゃんの紅茶本当美味しいよねー。それでこそお爺ちゃんがこの店お兄ちゃんに任せただけあるね!」
「あぁ爺ちゃんか。この店渡されたのが懐かしいな…」
☆☆☆
この店の先代の店主の祖父に呼ばれたのはまだ中学生の八幡だった。
その頃、八幡は今よりも目が鋭く敵意を周りに振りまきながら過ごしていた。
小さい頃、暗いという理由だけで八幡は虐められていた。
ある時八幡は思ったのだった。
強ければ、周りから恐れられれば、こんな思いをしなくても済むのかと。
八幡は戦った。元々の運動神経や人間観察のおかげか幸いにも八幡は負け知らずだった。
そこから、八幡は周りからは不良と恐れられた。
「なぁ、八幡よ。もう充分じゃないか?」
「何がだよ爺ちゃん」
「もう充分八幡は強い。その強さを間違ったことに使ってはいけないよ」
「そうかな…。でも今こうしてることで上手くいってるから変えるのはこえーよ…」
「そうだな怖いな。物事を変えるには勇気が必要だ。しかし八幡、お前のやり方ではいつか大事な人が出来た時そのやり方では本当の意味で助けることは出来ない」
「じゃあ、じゃあどうしろってんだよ爺ちゃん!」
「まずは人はそんなに悪い人ばかりじゃない。ってことを知ろう。儂の店でも手伝ってみるか?」
「手伝うって、俺まだ中学生だよ?受験だってあんのに…」
「お前が高校生になるくらいまで爺ちゃんが頑張ってやる。だから、高校生になったらこの店は任せる。そこでゆっくりでもいいから人との繋がりを持ちなさい」
「爺ちゃん…。わかったよ、その口車に乗るよ。待っててな爺ちゃん」
☆☆☆
「いざ高校生になったらスパルタだったもんなぁ爺ちゃん…。眼鏡までかけさせられるし」
「でもお兄ちゃんの眼鏡姿小町は好きだよ?目つきも和らいでカッコよく見えるもん!」
「まぁ店にいる時くらいしかかけないけどな」
「ダメだよ、人前ではかけなきゃ。それで心が許せる相手には眼鏡を外すの。そのギャップで女の子はイチコロだよ!そしてお姉ちゃん候補を増やすんだよ!」
「イチコロって、別に殺さねーよ…。そして別に俺には小町が居ればそれでいい。ふっこれ八幡的にポイント高い」
「それは小町的にはポイント微妙だよ…」
妹さえいればいい。
あれ?なんだか聞いたことあるような…。
「ま、まぁいいや。んでなにする?帰る?」
「本当すぐ帰りたがるんだから…。ダメだよせめて夜遅くならないくらいまでは営業しないと!小町も手伝うからさ」
「はいはい、いつもすまないねぇ」
「それは言わない約束でしょ♪」
こうして今日は小町の手によりいつもより長めの営業時間になったのだった。
そしてお爺ちゃんはその頃家の縁側に座り喫茶店 はち の情景を思い浮かべるのだった。
次回のお客様は誰になることやら…。
説明回ということで面白くはないと思いますがよろしくお願いします。
前回、雪乃を助けたのは八幡の優しさということで納得頂ければ幸いです。