眼鏡(ほぼ触れない)
喫茶店(場所だけ)
な感じですがよろしくお願いします。
それは路地を入っていった目立たない場所にあった。
「はぁーめんどくせぇ」
彼の名前は比企谷八幡。
髪の色は綺麗に染まったブラウン。
耳には鈍く光る銀のピアス。
彼は目つきが悪く接客のために黒縁のメガネを愛用している。
その目つきの悪さから見る人が見たら不良と呼ばれてもおかしくはない。
そんな彼はこう見えて喫茶店 はち の店主だった。
☆☆☆
「ひゃっはろー!」
「…どうも」
「あれあれ?おかしくない?私お客さんだよ?どうもじゃないよね?」
「チッ、はぁ、いらっしゃいませ」
「うんうん舌打ちは聞かなかったことにしてあげる」
「それで、ご注文はどうします?」
「んーじゃ比企谷くんのオススメで!」
「甘めのブラジルコーヒーですね」
「まって嘘!嘘だから!…ブラックで」
「かしこまりましたよお客さん」
この人本当めんどくせえな。
ここ週2回くらい来てんじゃねーか?暇なの?
チッやっぱ人に優しくすると良いことねーな。
☆☆☆
それは突然の夕立の日の出来事。
「はぁ、最悪。雨の予報なんてなかったじゃないの。都築でも呼ぼうかしら」
「すんません。コーヒー淹れたんですけど飲みます?」
「なにナンパ?悪いけど他所当たってくれない?お姉さん今虫の居所が悪いの」
「いや、この店のオーナーなんだが…。まぁいいや飲まないのな」
「え、あ、すみません。頂いていいですか?」
「はぁ、中にどうぞ」
「とりあえずこれで水分拭いちゃってくれ」
「…どうも。(ついてないと思いきやこんなこともあるんだね。流石私!)」
「はい。これコーヒーね」
「…暖かい。(でも凄く甘い!!)」
「あんた今凄く甘いって思ったろ」
「え、声に出てました?」
「いや、その猫被ったような顔から滲み出てた」
「は?」
「すみませんごめんなさい殺さないで」
「何よ、人をそんな魔王みたいに」
なんだこの人猫被ったような顔してたと思ったら急にコロコロ表情変えやがって。
それから2人は色々な話をした。
自己紹介、歳、出身など話題は尽きなかった。
その日この店を出る頃には、陽乃はこの店が気に入っていた。
通うに連れ自分を出していけて、さらに彼のことを知っていける。
そんなところがこの店に通う理由になっていたのだった。
☆☆☆
「でさ比企谷くん、今度妹を連れて来てもいいかな?」
「はぁなんでまたこんな店に」
「うーん、なんだか比企谷くんなら妹と仲良くなってくれそうだと思って」
「いやいや人と仲良くなったことなんて生まれてから一度もない俺には無理ですよ。こんな見た目ですし」
「大丈夫大丈夫!うちの妹は私に似て見た目じゃ人を判断しないから!」
「いやあんた初対面の時思いっきり見た目で判断してたじゃねーか」
「あれ?そだっけ?」
「…はぁ。」
「あっ!ため息ついたな!コノコノー」
「ちょ、やめ、近い近い近い柔らかい近い!」
「あはははは、参ったかね比企谷くん」
「参りました参りました。あっほら外に迎えが来てますよお嬢様」
「あっ本当だ。じゃあまたねー」
「はい。ありがとうございました雪ノ下さん」
「…陽乃。」
「え?」
「私のことは陽乃でいいよ」
「わかりましたよお嬢様。では、陽乃さんまたのご来店を」
「うん。じゃあ今度こそまたねー!」
はぁ、嵐みたいな人だなあの人。
最初の頃に比べるとだいぶあの違和感バリバリの態度もなくなったみたいだけど。
さーて疲れたなー今日は店閉めちゃおうかなー。…小町にばれませんように。
そこは路地を入っていったところにある喫茶店。
今日も目立たず細々と喫茶店 はち は閉店していった。