「では、新しい人が増えたことですし、自己紹介してはどうですの」
真砂子のその言葉でその場にいた面々は自己紹介した。
「私達、あなたのことなんて呼べばいい?」
と麻衣が訊ねる。
「最年少ですし、真夜と呼んでいただければ」
「了解!私のことは麻衣ってよんで」
「……いや、谷山さんは先輩ですので、さすがに呼び捨てというわけには」
「う~ん」
麻衣が難しい顔をする。
「麻衣さん、でどうでしょう?」
「そうだね、そうしよう!」
「麻衣さん、所長さんはどう呼べば……」
「ナル!ナルって呼んで。由来はナルシストのナル」
それを聞いたナルが麻衣を睨む。
麻衣はそれを見てあっかんべーをする。
「お二人は仲がいいんですね」
「ありえません」「そんなことないやい」
二人が同時に真夜にツッコミを入れる。
皆がどっと笑った。
そんな時、滝川の携帯が鳴る。
少し話しただけで、切ったようだ。
「ぼーさん、どしたの?」
麻衣の問に「またスタジオに出たんだってよ」と滝川が答えた。
「ならわたくしも同行いたしますわ」
「いや俺だけで大丈夫だけど」
「違いますわ、真夜さんの霊視の実力を見せてもらうのです」
真砂子に滝川も賛成する。
「では、行くとしますか」
滝川は真砂子と真夜を連れてオフィスを出た。
オフィスside
「普通に話聞くなんてホント珍しいよね、ナル」
「そうだな」
「真夜が、美人だから?」
少しニヤリとして麻衣が言う。
「姿勢、服装に隙がなかった。だから、少なくとも冷やかし遊びの類では無いだろうと思ったからだ」
そう言って、ナルは麻衣に軽蔑の視線を向ける。
「へええ~ナルもちゃんと人の事見てるんだねえ」
ナルは麻衣には返事せず、リンを呼んで所長室に入った。
「リン、真夜はアンチサイコメトリだ」
リンは机を隔てた前にいる白皙の美貌を見つめる。
言葉の意味をはかりかねた。
「といいますと?」
「僕は真夜をサイコメトリできない」
まだ詳しく調べたわけじゃないから詳しくは分からないが、と付け加えた。
「ナルは、真夜さんのPKや透視は本物だと思いますか」
「PKは本物だろう。ジーンのように僕にエネルギーのトスが出来る。彼女自身もPKの能力者だから、僕が力を送らなくても増幅された力が送られてくる」
「ジーンの代わりができる、ということですか?」
「ああ、トスに関してはな。僕もようやくPK解禁だ」
「良かったですね、しかし無理だけは「分かってる」
「透視は、今のところ白とも黒とも言えない。彼女にはサイコメトリが使えないから、嘘を見抜くこともできない」
まあ、平気で嘘をつくタイプにも見えないが、といいナルはリンを見つめる。
「リンはどう思う」
「今のところは何とも。目を光らせておきます」