リリカルなのはvivid もう1人の聖王のクローンの人生   作:アテナ(紀野感無)

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はい。ようやく番外編が終わりです。

放置しすぎてワロエナイ…

ちゃんと完結させてから別の作品に手を出すべきですね…


流石に番外編で話の区切りが多すぎたと思ったので準備編 前座編 本番編とまとめております

ですので最初の方は見たことあるかもしれません



それではどうぞ


レッツ、サプライズパーティー!本番編

「よし…料理は…まあそこはご愛嬌で…他の仕掛けは無事。なら…」

「ひとまず魔力をいっぱい使うコレから行ってユタさんはその後回復に努めてもらったほうがいいんじゃ」

「あの映像て何分くらいありましたっけ?」

「大体20分くらい、かな?」

「うーん、リオちゃんにコロナちゃんの方は大丈夫?すぐいけそう?」

「「バッチリです!」」

「うん、よし。あとは…アインハルトやヴィヴィちゃん達は、母さんがどれだけいい人か、とにかく褒めちぎるようなトークショーをお願い。んで、フーカとリンネでエキシビションマッチで来てくれたみんなを魅せる。オーケー?」

「「オス!」」

 

チームナカジマのみんなとリンネ達との『母さんを絶対泣かせる』作戦会議は順調に進んでいった。

本来はエキシビションマッチは私とみんなが対戦する予定だったが、私自身が怪我をしてしまってるのもあり、見送りになった。

 

「よし、それじゃあみんな、いくよー!」

「「「「「おーー!!」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

「ほえー、予想以上にしっかりと組んであるなぁ」

「その為に貯金の半分以上使い尽くした、みたいなことぼやいてましたけどね。あ、加減はどうですか?」

「バッチリやで〜。ごくらくやわぁ〜」

「それは何よりですー」

 

「はむ…美味しい〜。ユタちゃん、また料理の腕あげたねぇ」

「おや…これはルーフェンの時に見た料理だね」

 

「おお!八神司令の子供の頃の写真ですー!」

「可愛い〜!」

「あ、もしかしてこの水色の髪の人が…」

「うん、ユタちゃんのお姉ちゃんの五月雨マリナちゃん。とっても美人でしょ?」

 

今現在、式の始まりの挨拶などを担当するユタとリオ、コロナ以外のみんなは会場内---いつも試合をしている場所に広げられていた椅子に座ってご飯を食べたり、八神一家は順番にユミナによるマッサージを受けていたり、高町一家は『八神はやての成長記録』と名付けられていた年代別に並べられていた写真を順に見ていたりしていた。

 

無限書庫の司書長のユーノやティアナ、ナカジマ家のみんな、ジークリンデから始まりヴィクトリアやエルス、ハリーなど親しい選手も招待されていたようで、ざっと50人くらいだろうか。

管理局のお偉いさんとかは流石に躊躇ってしまったとか。

それでも自分の使えるツテを使えるだけ使って誘っていった結果だ。

 

 

「はーーい!皆さん!ご満喫いただいてますでしょーか!」

 

 

しばらくすると、マイクを使っているのか、やたらと大きいユタの声が響いた。

一同は、同じ方向---観客席の手すりに木の板などを使って作った簡易的な立ち台に目を向けた。

そこには…

 

「ぶっ!」

「え、ええ…」

「いや、ちょっ…よくあの2人も乗っかったね…」

 

 

はやて、なのは、フェイトのセットアップ時の姿をしていたユタ、リオ、コロナがいた。

ユタがはやてを、リオがなのは、コロナがフェイトの格好をしていた。

 

 

「さて!みなさんまずは私が主催する『八神はやて誕生祭ならぬ八神はやての結婚相手を見つけようの会!』…ではないのでご安心を」

 

煽り文句を言った瞬間、ユタの顔の横を何かが通ったのは言うまでもない。

 

「コホン。えー…改めまして皆さん、私が主催する『八神はやて誕生祭ならぬ八神はやてをとことん甘やかしたりなんなりして嬉し泣きさせようの会』にお集まりいただき感謝感激雨嵐です。あ、これは冗談じゃないので。

今日の私の目的はただ一つ!我が母である八神はやてを思いっきり嬉し泣きさせることです!皆さん、どうからご協力をお願いいたします!

あ、もちろん誕生パーティもやりますよ。

ただその前にみなさんへ一言。

この度はこちらの都合とはいえパーティ開始を予定時間を大幅に遅れさせてしまい、待たせてししまって大変申し訳ありませんでした。

これを払拭できるほどの楽しいものにしますので、ご期待ください!

よし、挨拶はこの辺にして…それじゃあ…2人とも」

「「はい!」」

 

リオとコロナは魔力で作った黒い板----遠くからでもわかるほどの結構な大きさ-----のようなものを取り出して空中に浮かせ、そこからは一本の黒い紐のようなものが出ていた。

ユタはそれを持ってはやての元へ歩いていく。

 

「はい、母さん。これに炎系統の魔法で火をつけてみて」

「ほいほい。火がつけばええんか?」

「うん。ひとまず母さん泣かせの作戦その1。まあとりあえずつけてみて」

「ほいほい」

 

はやては炎の魔法をその黒い紐につける。

すると炎は紐を伝っていき黒い板に付いた。

 

「わぁ…」

「すごい……」

「綺麗ですー!」

 

と、様々な声が上がった。

聞く限りは好評だろう。

 

「……」

 

はやては口を閉じるのを忘れてじーっと見ていた。

 

「はい!これより『八神はやて生誕祭』を始めまーす!」

 

黒い板だったものには、様々な色のついた火が絵のようになって、満面の笑みを浮かべたはやてとそれを囲むようにして八神家のみんなが描かれていた。もちろん、リインフォースやマリナも。

リインフォースに関しては、ユタはシャマルから『大事な家族』としか聞いていなかったが、それだけでこの中に描くには十分だった。

現に八神家のみんなには効果覿面だったようで、みんな懐かしむような顔をしていた。ヴィータに至っては泣きかけてた。

 

「さ…それじゃあここからは少し自由時間でーす!みなさん食べたり飲んだりしちゃってください!私は次の準備にかかりますのでー!」

 

そう行ってユタは何処かへきえていった。

 

「いやー、凄いねえ。3人の力作なのがビシビシと伝わってきたよ」

 

「ありがとうございます!でも、アイディアはぜーんぶユタさんなんですよ!」

「そうなんです!」

 

「へぇ〜。ふむふむ…影で板を作って…そこにコロナの作ったゴーレムで絵の形を作って…ユタの影で縫い止めて…。そこにリオの魔力を引っ付けたのね?しかも…炎系統の魔法を感知すると連鎖的に炎が付いていくようになって、色も調節して…こうなるのね」

 

「さすがルーさん!」「ご名答です!」

 

これを別室で見ていたユタは、ルーテシアの観察眼に心底驚いていたとか。

 

 

「それじゃあ…次!の!出し物です!」

 

 

用意が済んだユタは、白い布のようなものと、投影機のようなものを上からゆっくりとおろした。

 

「コホン。えー、これより始まりますのは、私と、ほか協力してくれた方によるビデオメッセージです。まあ、私が7割方喋っているんですけどね。それでは、ご静聴お願いします」

 

そして、会場内は薄暗くなった。

 

 

『あーあー、よし、声オッケー震えてないね。顔も強張ってない…ね。うん、自然体自然体』

「どわぁぁ⁉︎なんでこっからあるの⁉︎ストップストップ!」

 

最初に映ったのは深呼吸などをして撮る直前のユタだった。

顔が強張って恥ずかしがってるのかほんのりと赤い。

 

「ぷ、プライド!なんで…」

『私なりのサプライズですよ』

「いらないよ!」

 

ユタとプライドのいつも通りとも言えるコント(?)を止めたのは、というよりユタを止めたのは周りから起こった失笑だった。

 

「っ、き、気を取り直して…えーと…どっからだ…あ、うん。ここからだ…。これでよし…。え、えー。どうも。お騒がせしました。それではどうぞ」

 

ユタは赤面しながら再度動画を流した。

 

『えー、みなさん。いかがお過ごしでしょうか。私が初めて一から全部考えて開いたパーティなので、あと自費なのもあるので所々拙いでしょうが、楽しんでいただけてるでしょうか?まあ、この辺の前置きは多分そっちで私が適当にパパッと済ませているでしょうからこの辺で。

まずは母さん。えーと〜もう三十路だっけ?ああ、冗談です。冗談ですから母さん?私に向かってクラウソラス打とうとしないでね?わかってるからね?』

 

動画でユタはそう言っているが、予言したかのように、はやてはクラウソラスをユタに向かって撃ち込もうとしていた。

流石に周りに止められていたが。

 

『えー、改めまして。母さん。26歳の誕生日おめでとう。心の底からお祝いをするとともに、私から一言。多分後でぶん殴られますが、これは心の底から思っています。

 

早く想い人見つけて!おねがいだから!いっつも私とエリオのことに関して弄ってくることが正直めんどくさい!頼むから早く誰かとくっついて!母さん美人なんだから性格隠してシグナム姐さんたちが何もしなければ多分いい人見つかるから!』

 

「よーしユタ!覚悟せえよ!」

「誰がするかっ!いい加減見つけてよお願いだから!毎回エリオと何かするたびにいじられる身にもなってよ!」

 

「まあまあ!はやてちゃん落ち着いて!」

「じょ、冗談ですよ!多分…」

「ユタ、覚悟はできてるな…?」

 

「し、シグナム姉さん、そんなドスの効いた声で言わないで…。まだ死にたくないから…」

 

八神家は案の定ドタバタと色々起こっていた。

はやてはみんなに無理やり止められていて、ストッパーがいなければ魔力弾の撃ち合いが勃発していただろう。一方的な、だが。

 

『とまあ、多分そっちでは私が母さんに色々とやられてるでしょうから、ここからはご機嫌とりにいきましょうか。というより、今からは煽りもネタも何もなしで。ここからは本気で母さんへ、いつも想っていることを、伝えようと思います。

 

 

…母さん、八神はやてさん。私を、私とお姉ちゃんを、家族へ、八神家へ迎え入れてくれて、本当にありがとうございます。

私は、本当に幸せです。母さんと出会えて、みんなと家族になれて。

捨てられて、途方に暮れていた私達を、拾ってくれて、今までずっと護ってくれて、家族として幸せにしてくれて、私はとてもとても感謝しています。

いつも喧嘩とも言えないチマチマした煽り合いをしてますが、それでも私は、母さんを、ずっとずっと大切に想っています。

今までも、これからも。本当に…本当に、ありがとうございます。感謝しても、しきれません。

私は、母さんを、八神はやてを愛しています。

 

…ダメ、やっぱり恥ずかしい…』

『いえ!とても良かったですよ!」

「そうですよ!すごい気持ち伝わりました!』

『まさかユタさんがあんな風に恥ずかしがるとは…』

『とてもレアだねフーちゃん』

 

 

「だぁぁ!なんでこんなシーンまであるの!私切り取ったはずだよ!」

『私が組み込んだからに決まっているでしょう?』

「いらんわ!ただの公開処刑じゃん!」

『羞恥プレイの間違いでは?』

「どっちでもええわ!」

 

またプライドの策略により、ユタが恥ずかしがって顔を真っ赤にし湯気が出ている姿がバッチリ映されていた。

 

「うぅ…プライドにデータ転送させるんじゃなかった…」

『え?私に送った時点でそういうことに使えということだったのでは?』

「…もう突っ込まないよ。疲れた」

『おや、珍しい』

 

そこからは、普通の映像だった。

時間を見つけていろんな人に頼んだお祝いの言葉が続けて言われる。

 

 

『『『はやてさん、お誕生日おめでとうございますー!』』』

 

最後に、ヴィヴィリオコロナのトリオで締めくくり、計25分ほどのビデオメッセージは終わりを告げた。

 

「はーっ…ねえ、母さん。離して。私やることある」

「ええやん。もう少しこーさせときぃ」

 

ユタは、絶賛はやての抱き枕になっていた。

はやての機嫌がそこそこいいのは誰の目から見ても明らかだろう。

 

「うーん…それじゃあ、予定変えようか…。フーカ、リンネ。すぐ準備できる?」

 

「オス!いつでもいけますよ!」「私もいつでもいけます!」

 

「オッケー。んじゃあ…管理局の方々いるけど、そのみんなの度肝を抜くくらいの、派手な試合を頼むよ?」

 

「「オス!」」

 

そして、ユタを除くチームナカジマのみんなで簡易リングを設立していった。

 

「それじゃあ、勝負の内容はどうしようか?考えていたのはいつだったか2人がやったような形式。もしくは公式の試合形式。2人はどっちがお好み?」

 

「そうじゃな…前のは正直…もうやりたくないが」

「3ダウン、もしくはK.Oで終わり、でいいんじゃない?」

「そうじゃな。じゃあそれでお願いします」

 

「オッケー。んじゃ、勝った方はアインハルトとガチバトルね」

 

「へ?」

「これは…」「負けられなくなったね」

 

こうして、フーカとリンネはやる気がグンとあがり、アインハルトは急に振られた為何が何だかわかっていなかった。

 

「さ…みんなを魅せよう。2人とも。期待してるよぉ〜」

 

 

 

 

 

 

 

「さて皆さんお食事中、お話中ですが簡易設置されたリングへご注目ください」

 

私がマイクで言うとウィンターカップの時のような…簡単に言うとボクシング?だっけそんな感じのリングにみんなが注目した。

 

「今宵見て頂きますのは非常に稀な組み合わせ。DSAA・U15…違う。もうU15じゃないんだっけ。まあいいや、嘗てU15ワールドランキング1位だったリンネ・ベルリネッタによる試合。対するはリンネ・ベルリネッタの幼馴染、そして奇跡のルーキーとしてウィンターカップにて世界チャンピオンと対戦するまでに至るまでなんと4ヶ月。いやはや、全くもって羨ましい才能ですよ。そんな選手は…フーカ・レヴェントン!管理局の方々がやるような命を張った戦いではありませんが、互いに自身のプライドをかけて戦うストライク・アーツ。きっと皆様もご満足いただけると思います。そして何よりその後にももちろんあります。勝った方にはU15で全戦全勝、オールKO勝利というなんともまあものすごい化け物…失敬、格闘競技世界チャンピオンであるアインハルト・ストラトス選手と戦ってもらいます。

 

さあ、ドキドキハラハラの試合、心ゆくまでお楽しみください!

 

…それじゃあ、準備はいいかな、二人とも」

 

「「はい!」」

 

軽い演説の後フーカとリンネに確認をするとやる気は十分な声を出していた。

 

「じゃあ、1ラウンド…どうしようか、とりあえず5分。長すぎる気がするけど1ラウンド5分の計3ラウンド。ダウン…3だと少ないな、5回にしようか。計5回ダウンされた時点で負け。その他はウィンターカップの時と同じルールにしようか。それでいい?」

 

「はい」

「大丈夫です」

 

「セコンドについてはフーカはノーヴェさん、リンネはジルさんでいいかな?」

 

念のためジルさんたちにも確認をするとみんな頷いた。

 

「よし…それじゃあ始めよう。ルーさんの最新式のダメージフィードバックだから遠慮なく、ぶつかりあって。治療に関してはエキスパートな方が2人ほどいるから、そこはご心配なく。

 

それじゃ……レディー……」

 

私の声で、二人とも構える。

 

「ゴー!」

 

そして幼馴染の二人は思う存分ぶつかりあった。

 

 

 

 

 

 

「本当は…私が、みんなを驚かせつつ怖がらせつつ最終的には熱狂…なんてことをするつもりだったんだよなぁ…。演舞というかなんというか…その為に何度フーカ達と練習したことか…何度管理局の空のエースさんとかにアドバイスもらったことか……あの二人のせいで全部水の泡…」

 

「いや、あんたの影での怖がらせはシャレにならん」

「「「「確かに……」」」」

「流石にセーブするよ。ちょっと驚かそう、ってくらいだよ」

 

でも、何故か一番初めに考えてたやつは全員に却下されたんだよね。何でだろ。

 

そして今もなお、フーカとリンネは激しい拳と拳の打ち合いが行われている。

 

…やりたかったなぁ。

 

「にしても…フーカ、いつのまにか私のカウンターも身につけてない?え、なにあの子、怖っ…」

「フーカさん、いつも練習してましたからねー」

「カウンターなら私よりヴィヴィちゃんの方が汎用性高いでしょうに…」

「私とユタさんのカウンターは…なんというか、種類が違いますからね」

「まあ、そりゃそうたけど…ずーっと毎日練習してようやく身につけたものをこうもアッサリ習得されてると…なんというか、羨ま悔しい」

 

そんなことをヴィヴィちゃんと話していると、噂をすれば何とやら、フーカがリンネの拳を掌でうけ、その場で回転、そしてリンネの側頭部に裏拳を叩き込むという私の独特のカウンターを披露し再度会場が沸いた。

 

あと少なからず読んでいる管理局の方々がウチに欲しいなんて言葉が聞こえる。

 

やっぱりあの二人はすごいね。

 

「あーー!もう!わたしもやりたいーー!!」

『今後の選手生命に支障をきたしても良いのならどうぞ、バカマスター?』

「相変わらずのなんの混じりけもない罵倒…。私の愛機、ドS度上がってる気がする…」

『マスターにだけですのでご心配なく』

「余計ひどい気がする」

 

プライド、壊されないからって何でもしていいとか思ってない?思ってるよね?絶対思ってる。

今度スリープ状態にして中にあるデータ全部見てやろうか。

 

『おっと、それは怖いですね。近いうちにデーター他に移した上で破棄しないといけませんね』

「ねえ、なにが入ってるの?すごい怖いんだけど」

 

プライドの中身……考えたくない。黒歴史が大量に詰まってそう…。

 

『それはそうと、もう決着がつきそうですよ』

「はいはい。にしても…フルラウンドまでやっぱりもつれ込んだかー。あんだけ激しい打ち合いしてるのにどこにその体力があるの…?」

『神様からのギフト、ですかね』

「私も欲しかったなぁ」

 

そんなことを言ってたらリンネがフーカの顎を下から打ち抜いた。

とても綺麗なアッパーでフーカはたまらず倒れた。

 

そして、それがフーカの5ダウン目だった。

 

「そこまで!ダウン5回目により勝者はリンネ!」

 

審判をしてくれていたルーテシア---ルーさんが勝者の名を告げる。

フーカとリンネはかつての喧嘩の後のようではなく、嬉しがりもし悔しがってもいる。

 

だがその顔はとても楽しいという顔だった。

 

 

…本当にやりたかったなぁ…。

 

 

っと、感傷に浸るのは後だ。司会の続きをしないと

 

「いやー、すごいね、相変わらず。さすがは元とはいえランキング1位と奇跡のルーキー。互いに4ダウンまでもつれ込んでも物怖じしないどころか余計に前へ出るお二人はさすがと言わざるをえないよ。

 

…さて、ではメインといきましょう。言い方は悪いけど二人の試合は前座のようなもの。ここからは世界チャンピオンが挑戦者を迎え撃ちます。

 

チャンピオン、アインハルト・ストラトス!そして挑戦するは先程見事に相手を下したリンネ・ベルリネッタ!

 

さて、怪我はないとは思うけれど、リンネは大丈夫?」

 

「はい!むしろ絶好調です!」

 

「アインハルトは?」

 

「私も大丈夫です。むしろより燃えてます」

 

「あはは。どうやらチャンピオンは愛弟子に当てられたご様子。私もなんですがね。

 

では、これより始まりますのはリンネ・ベルリネッタによるチャンピオンへの挑戦!皆さまどうか応援してあげてください!あ、もちろんチャンピオンの応援でも構いませんからね。もしくは私でも、私の母さんの恋路でも…「クラウソラス」あだっ⁉︎」

 

と、突然魔力弾ぶつけられた…。しかも硬度が…石以上じゃん…。超痛い…。母さん!流石にやりすぎ!

 

『自業自得です』

「知ってた。くっそ…いつかやり返してやる…。と、ごめんね。それじゃあ二人とも。ルール確認だけどさっきのリンネ達の試合と同じ。1ラウンド5分の計3ラウンド。ダウン5回とったら負け。他はウィンターカップと同じルール。セコンドはリンネは引き続きジルさん。アインハルトも同じくノーヴェさん。オーケー?」

 

「「はい!」」

 

「それじゃあ行くよ。レディー……」

 

私の声で二人は構える。

 

「ゴー!」

 

そして挑戦者(リンネ)チャンピオン(アインハルト)はぶつかりあった。

 

 

……私もやりたかった!

 

 

 

 

 

 

結論から言うと、やっぱりアインハルトは強い。

少しの間リンネがペースを掴みかけた場面はあったがそれもすぐに終わり終始アインハルトのペースだった。

 

最後は綺麗にKO勝利。

さすがと言わざるをえない。

 

…わたし、よくアレに勝てたよ…。魔法戦技とはいえ…。格闘技?そんなもん勝率2割切ったくらいですよ。勝ってたの本当に最初だけ。

自分で言ってて悲しくなってくるな…。

 

「えー、それではみなさん!素晴らしい戦いを魅せてくれた3人へもう一度盛大な拍手をお願いします!」

 

 

パチパチパチパチパチ!

 

 

そして3人は会場が揺れるのでは、というくらいの拍手を浴びて笑ったり恥ずかしがったり堂々としていたりなど三者三様の反応をしていた。

 

「よし…それじゃあこのまま次のイベントへ行きましょうか。

さーて……ゲーム大会!やりますよー!初心者でも安心!十分あれば誰でもできるゲームです!もちろん豪華(?)景品付!あ、もちろん私も参加するので。自分で開催して自分で優勝かっさらう気満々なのでご注意を。それでは…」

 

そして私は控え室に置いてあった機動六課をモチーフにしたゲームを持ってきてテレビに接続し、それを大画面で見れるように映像を見せた時に使ったモニターにも繋いだ。

 

このゲームは最大3vs3までできる対人仕様のアクションかつ戦術ゲーム。

操作はボタンとかではなく感覚で操作できるもの。

VRゲームのコントロールないバージョンって言えばいいかな?

コントロールがない代わりに自分の意思でキャラクターを動かすことができる。

 

ただのゲームだと無双出来る自信しか無いし、これならゲーム初心者でもなんとかなるでしょ、と思いまして。

ていうか、なのはさん達が逆に無双しそうではあるけど。

 

「えー、それじゃあ一回実演してみましょうか。うーんと…それじゃあそこのオタク…じゃなくてエルスさん、お願いできますか?」

「うるさいですよっ!あなたに言われたくありません!…ええと、これをつければよろしいので?」

「はい。あとは目に映る映像のチュートリアルの通りに進めてください」

「は、はぁ…なんだか怖いですね」

「安全性は保証しますよ」

 

渋るエルスさんもといオタクさんに無理やりVRをつける。

それから十分くらいしてチュートリアル終了とテレビにつないでいた画面に表示された。

 

「準備できましたよ」

「オッケーです。それじゃあ私も…」

 

そして私もVRをつける。

ゲームを起動ししばらく経つと目の前に広がったのはインターミドルでよく見る試合会場。

 

向かい側にはセットアップ状態のエルスさんがいた。

 

「体の感覚はどうです?現実の体は軽い睡眠状態ですが、こちらは文字通りゲームの中に入り込んだ感じでしょ?違和感はほぼ無く動けると思います」

 

「すごいですね…これ。まさかこんなゲームがあるとは…」

 

「そうでしょうそうでしょう。それでエルスさんが自身でチュートリアルを進めたのでエルスさん固有の技も使えるはずですよ。というより、そのためにデバイスも通してもらいましたから。ゲームの方に異常がない限りは現実と同じように戦えるはずです。

さて、物は試しということで、やってみましょうか。

私の体はご心配なく。あくまでもこれはゲームの中。現実ではありません。

大怪我を負うこともありえないです。なので…遠慮なく、行きましょう。

あ、怪我を負うと痛いのは痛いので。その辺はいつものインターミドルとかと同じです」

 

「なるほど。わかりました。それでは…テスター、というんですかね。始めましょうか」

 

「ええ。何気にエルスさんとまともに()りあうの初めてなので楽しみにしてますよ。番長からもよくエルスさんのいやらしさ、すごさは聞いているので是非ともこの機会に体験させてもらいます」

 

そしてエルスさんは手錠のようなものを持ち、私は影を展開した。

 

いつかのインターミドルであり得たかもしれない組み合わせ。

思う存分楽しませてもらおう。

 

番長?ヴィクターさん?ジークさん?シラナイデス。

 

なのはさん?シグナム姉さん?そんな人いたかなぁ?

 

「それじゃあ、今回は1ラウンド3分で。物足りないかもですが思う存分やりましょう」

「ええ!望むところです!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーー!やられました!」

「あっぶな…ギリギリ…。情報収集しといてよかった……」

 

今目の前には『YOU WIN!』という文字が浮かんでいる。

俗に言うS○Oみたいなフルダイブ型ゲームにて私とエルスさんがインターミドルの時のように戦った。

 

ぶっちゃけ、かなり危なかった。

なんでも捕捉して捕らえちゃうのは聞いてたけど私の影すらも動きを鈍らせてきた。

正直手数で勝てなければ勝ち筋がほとんど潰されていた。

 

「えー、こほん。皆様方聞こえていますでしょうか。このように自分だけの能力であろうと、デバイスを通してチュートリアルをしてもらうので全て使用可能です。まあゲームなのであまりにも大規模なものを使ってしまうと処理落ち、ここでいうとちゃんと魔法が反映されない可能性はありますが。特に管理局の空のエースさん、シグナム姉さん、ティアナさんあたりですね。というか、大人の方々は冗談抜きでこのゲームごとぶっ壊しかねないと思っているので。

ひとまず簡単にルールを説明しますね。

 

チーム構成は後ほどやるクジ引きにて行います。

ちょうど3で割り切れるだけの人数なはずなのであまりの人は出ないはずです。

その後はチームのリーダーを決めてもらい、そのリーダー同士で再度クジ引きをしてトーナメントでの場所を決定します。

魔力量に関してはU18までの方はそのまま。それ以上の方々は魔力量は半分にしてやらせてもらいます。

試合形式はみんなもやったことはあると思いますがルーさんの所でやる陸戦試合と同じです。

ライフは皆さん一律で5000。

以上。何か質問等あれば後ほど聞きますので」

 

そうして私とエルスさんは一旦ゲームの中からログアウトをした。

 

「はいっと、それじゃあクジ引き行きましょうか。まずはU18以下の子達からで」

 

そうしてU18の、まあ極端に言えばインターミドルに出てた子達。

それぞれでくじを引く。

そうしてできたのは2人チームが14。

ちなみに私の相方はまさかのヴィヴィちゃんでした。

 

「ほいっと、それじゃあ次はそれ以外の方々。では主役の母さんから引いてもらいましょか」

「ほいほい」

 

そうして母さんを始めなのはさんやフェイトさんたちも引く。

そして42人による14チームが完成した

 

ちなみに私のところに来たのはザフィことザフィーラだった。

 

「それじゃあ、各チームでリーダーを決めちゃってください!

 

…さーて、どうします?リーダーは」

 

3人で中心を向きザフィとヴィヴィちゃんと顔を見合わせる。

 

「そうですね…やっぱりユタさんかザフィーラさんがいいと思います」

「私もザフィがいいのは同意見。私の作戦は相手が単体かつ弱点がわかってる前提で組み立てるから。今回だとチーム戦で弱点なんていくらでもカバーしあえるし、集団戦は私よりザフィの方が得意だし」

「ふむ、だが俺は防御の方が得意だ。守り寄りの作戦になってしまうが、それでもいいならリーダーを引き受けよう」

 

こうしてリーダーはザフィに決まった。

さーて、久々の集団戦。

私の影がどこまで出来るか、試したいこともたくさんある。

 

 

 

 

「それじゃあ各チームリーダーも決まったようなのでリーダーはお集まりください」

 

集合をかけて集まったのは予想通りのメンツ。

母さん、なのはさん、ティアナさん、フェイトさん、ルーさん、ザフィ、ノーヴェさん、スバルさん、キャロ、シグナム姉さん、ヴィータさん、アインハルト、ジークさん、ヴィクターさん。

 

もうこの人たちだけでバトルロワイヤル開けばいいんじゃね、って一瞬思ってしまったのは内緒だ。

 

「では、14チームなので2チームシード権があります。1と14がシードにしましょうか。それじゃあ再度クジ引きですが、どうぞ」

 

こうして3回目のクジ引きしてください発言をし、対戦相手が決まった。

 

私のチームの初戦の相手はヴィータさんのチーム。

ヴィータさんにミウラ、あとは八神道場の子だ。

 

「さーて、それでは準備も整いましたので!ゲーム大会、始めましょー!」

 

 

 

こうしてゲーム大会という名の皆さんご察しの通り元機動六課組の無双ゲーが始まったのであった。

 

 

ちなみに母さんのセットアップだけちょっと昔の若い時に戻ってたりだとかなのはさんがちっちゃい頃になってたりだとか、色々仕組んでたんだけどボッコボコにされて元に戻しましたよ、はい。

なんでよチクセウ。

 

 

 

 

決勝戦は、なのは、リオ、ハリーさんチームと母さん、コロナちゃん、エルスさんチームで行われた。

私?なのはさんチームに負けてしまいましたよ。

 

「えー、個人的には母さんチームを応援したいところではありますが、なのはさんチームにいっつも弄ってくる母さんへ私の分も含めてやってやれ、という思いもあったりします。まあ何が言いたいかと言いますと、どちらのチームも頑張ってください。それじゃあ…ゲームスタート!」

 

司会が終わり、みんなの元へ行き、ご飯を食べる。流石にお腹減ったよ。

 

フーカ達と話してる間にもバトルはどんどん白熱していっている。

なのはさんチームはみんな火力ゴリ押しみたいなところがあるからガンガン前に出て行くのに対し母さんのチームは隠密に徹してヒットアンドアウェイの戦法だ。

チームリーダーの性格がよく表れてると思う。

 

「さて、私は最後の準備を……それじゃあコロナちゃんここから先はしばらくお願いね」

「わかりました!お任せください!」

 

コロナちゃんにここから先をしばらく任せて私は最後の催しであるアレを準備しに行った。

 

 

いろんな親御さんに聞いたんだ。

 

親が子にしてもらえて一番嬉しいことなんて、決まってるよね?

 

 

 

 

 

 

 

「いよっし!勝った〜!」

「あー!やられたわぁ…。やっぱり火力は物を言うなぁ…」

 

ゲーム大会という名のバトル大会はなのはチームが勝利で収めていた。

最終的になのはのブレイカー、ハリーのイレイザー、リオの双破龍神翔というド派手にド派手重ねたような技で一帯を処理落ちしかけるほど吹っ飛ばして終わりを告げた。

 

格闘技などに身を置いている人が多いからかこの決勝戦はとても熱狂していた。

 

「お疲れ様でした皆さん!」

 

ゲームの中にいた6人がログアウトをし体をバキボキとならしながら起きてきた。

 

「おーおー。そうや、これゲームやったわ…」

「作り込みすごいねぇ。これ」

「あれ?ユタさんは?」

 

「最後の準備があるそうですのでここからは私が引き継ぎです!まずはなのはさん、ハリーさん、リオ。ゲーム大会での優勝おめでとうございます!まずはこちらをどうぞ!」

 

そうしてコロナに誘導される形でみんなの前になのはチームの3人は立った。

そして周りに褒められて気恥ずかしそうにしながらもコロナが次に出した映像に皆が注目した。

 

 

『えー、これが流れているということはゲーム大会は終わったのですね。どなたかはわからないですが優勝者の方、おめでとうございます。私の予想としてはなのはさん率いるチーム、もしくは母さん、シグナム姉さんあたりを全員蹴散らして私のいるチームが優勝……と思いたいですが現実的では無いでしょうね。堅実的な所を言うとなのはさんかシグナム姉さんあたりでしょうか。まあ何はともあれ、優勝おめでとうございます。参加者の皆様方も今回のゲームはどうでしたでしょうか?普通の家庭用ゲームだと私が無双して終わらせれる自信しかなかったので今回のようなゲームを用いらせてもらいました。あ、ちなみに○○○じゃねえか!っていうツッコミは無しでお願いしますね。特にコロナちゃんエルスさん。さて、話が長くなるのもアレなので、優勝者の皆様方にはもちろん商品がございます。二位以下の方は申し訳ないですが予算の都合上ないです!あ、母さんの結婚相手を探してくれたら考え……いや冗談です。母さん?私がいないからってモニターぶっ壊さないでね?借り物だからね?見てないけどわかるからね?

 

…コホン。それでは私から代理を頼まれた方、優勝者の皆さんにアレを渡してください』

 

映像から出てきたのは予想通りユタで所々冗談を交えながら話していった。

そして映像の中のユタの言葉を合図にコロナは優勝者の3人へ綺麗に包装された箱を一つずつ渡す。

 

『渡されましたか?それではこの場で良いので開けてみてもらえると嬉しいです』

 

渡された3人は箱を丁寧に開けるとその中に入っていたのは白い色をしたリストバンドだった。

 

『今、「あれ?意外と普通?」って思いましたよね?でも、実はそれ結構有能品でしてね。一旦腕につけてもらえるとわかりますよ』

 

ユタの言葉に疑問を持ちながらも3人は真っ白なリストバンドを手首へつけた。

 

「…わぁ!」

「すげぇなこりゃ…」

「綺麗…」

 

付けた瞬間になのはのは鮮やかな青。ハリーは赤、リオは赤と金色が入り混じったようになっていた。

 

『ふふ、付けた瞬間にその人に合わせて色をつけるんですけど、鮮やかでしょ?私が付けたときにも赤と黒が混じったような感じですけど幻想的というか、すごいキラキラしたんですよ。そして何より、名前を刻めます。自分の名前でもよし、好きな人でもよし。自分の座右の銘でもよし。ちなみに私はそのまんま、ユタ、です。さて、と』「これにてゲーム大会は終了です。みなさん、お疲れ様でした、ではここからはしばらくの間自由にしてくださって構いません。食事を再開するのもよし。お話をするのもよし。管理局にスカウトするもよし。あと1時間くらいは自由にしてください」

 

途中で映像が止まり、今度は本物のユタが現れ続きをいう。

そこからはまたしばらく会場で談笑が続いた。

 

 

 

 

 

 

「ふーっ、ふーっ……大丈夫。大丈夫…。なんどもイメトレしたんだ….」

「ゆ、ユタさん…?大丈夫ですか?」

「あ、アインハルト、いやまぁ、大丈夫なんだけどね…。問題なのが…

 

()()()()()()()()()()()()()…」

 

「…へ?」

 

唸っているのを見て心配したのかアインハルトが来た。

それに対して不安をそのままぶつけたのだが帰ってきたのは呆けた返事だった。

 

 

「いやだってさ!この誕生日会の目的はいっつも弄ってくる母さんを嬉し泣きさせてやろう!っていう趣旨なのに!母さん全く泣いてくれないんだもん!私なりに精一杯考えたのに母さん終始ニコニコしてるだけだし!」

 

「え、えーと…そう、でしょうか?」

 

でもアインハルトはそんな事はないように見えるらしい。一体何が見えてるのか。あの母親の笑みを。明らかに子供を弄んでる顔だよ。

 

「絶対最後になかせてやる…!」

「(あれは頑張って顔を強張らせてるだけなような気がしますが…。とても喜んでるようにも見えますが…。言わないほうがよろしいのでしょうか)」

 

 

 

 

 

「前からなんですが…ユタさんが何かをしてる様子を見ると、まるで自分のように感じてしまうんです…」

「なんとなくわかる」

「二人とも、声も似てるもんね」

 

と、ユタが悔しがってる様子を見ていた仲良し3人組の感想である。

 

 

 

 

「うー…」

 

「はやてちゃん?」

「どうしたの?」

 

 

「辛いんや!」

 

 

「「へ?」」

 

はやてが頬を抑えながら唸っているところをなのはとフェイトが見て何事かと思い近づき尋ねると第一声が『辛い』で、二人とも困惑していた。

 

「辛いって何が?」

 

「もう、笑みを抑えきれないんや!もうユタがウチのために用意してくれてるってだけで嬉しすぎるのに!もうあの映像の時点で泣きそうなのに!もう顔の筋肉が痛すぎてやばいんや!」

 

「そ、そう…」

「別に素直になっちゃえばいいのに」

 

「あかん!ユタのやつに泣き顔なんか見せてもうたらウチの負けや!」

 

「「ええ…」」

 

はやての言葉を聞いた二人は軽く呆れていた。

だがそれも八神家の日常のようなものかと思いそっとしておくことにしたとか。

 

 

 

 

 

 

 

「はい!皆さん八神はやて誕生パーティーは楽しんでもらえてるでしょうか!」

 

時間が来て最後の催しをする前に確認をしてみる。

すると会場全体から色々な声が聞こえる。

楽しい、料理が美味しいなど好評なようで良かった。

 

「ありがとうございます!頑張って準備した甲斐がありました!それでは名残惜しいですが誕生パーティーも最後の催しとなりました!」

 

そういうとまたもや会場にいる人が叫ぶ。おおーという声が聞こえるが、残念ながら主役は母さんだ。

 

「えー、それでは……八神はやてさん………。だー!こういうのは似合わない!母さん!壇上上がってきて!」

 

「えー、せっかくの雰囲気を何ぶち壊しとるん?」

 

「うるさいなぁ!八神家に雰囲気も何もない!もうここからは私らしく!慣れない敬語で疲れたの!普通に行く!」

 

もうめんどくさくなって普段の、家でのやり取りをするように母さんを私の立っている壇上に呼ぶ。

 

母さんは渋々ながらも来てくれた。

 

 

「で、なんや?まさかここで…普段の恨みを晴らすとかないよな?」

 

「ないない。流石にシグナム姉さんもいるのにそんな馬鹿な真似はしないよ。それに……これでも結構真面目なんだから。とにかく、母さんを喜ばせることだけを考えて今日のプログラムを組んだの。一年以上前からお金貯めて、地球にも実費で行ったりして母さんの故郷を見てきて、何が合うのか、母さんの好きなものは何か、色々調べたよ。その証拠に、今日の料理、母さんの故郷の料理もあったでしょ?」

 

「確かになぁ。お好み焼きなんか久しぶりに見たで」

 

「関西出身って言うから調べたら『関西って名前の街じゃないんかい!関西範囲広っ!』てなってね、それでとりあえず関西って言われてるところの有名な料理を片っ端から作ったよ。久しぶりに新しい料理に挑戦してちょっと疲れたけど、まあ楽しかったしそこは結果オーライ」

 

「まーなぁ、ちゃんと言わんかったウチが悪いわ。でもまぁ、あのお好み焼きはギリギリ及第点やなー」

 

「うぐ…次は有無を言わさずに合格にさせてやる…。……話が逸れたけど、誕生日に本人を前にしてやることと言えば一つしかないよ」

 

そして私は隠し持っていた長方形の濃い紫を基調とし所々が光っているかのような箱を母さんの前に持ってくる。

 

「誕生日プレゼント。受け取って」

 

「おお、なのはちゃんたちの優勝商品より箱が豪華やなぁ」

 

「当たり前じゃん。あっちを豪華にしたらこのパーティーの主旨が変わってくるよ。…それで、今開けてみてほしいんだ」

 

私の言葉で母さんが箱をゆっくりと丁寧に開ける。

 

その中に入っていたのは1から手作りなロケットペンダントが姿を現した。

ちなみにこれが一番時間とお金がかかってたりする。

 

「……」

 

「地球にある黒い宝石を5個使って作ったの」

 

そう説明するも母さんはロケットをみて固まってる。

 

「一つ目がブラックダイヤモンド。石言葉…っていうその石が何を意味しているか、っていうのがあるんだけどブラックダイヤモンドの石言葉は『物事を超越する』『未来を切り拓く』『魅力を高める』。母さんは正直規格外な魔導師で、私がとても尊敬できて、大好きな人だから。きっと何かを超越していくっていうのは簡単にしてくれる。だからこそこの石を使ったの。それに、母さんの活躍を知った時に、母さんは『未来を作っていく人だ』って思ったのをよく覚えてる。そして魅力は…正直語りきれないほどある。母さんの器の大きさ、優しさ、その全てが、私とお姉ちゃんは大好きです。今でも魅力的だけどもっと魅力が増せばきっと婚約者もできるだろうと、いう意味も込めております」

 

「…うっさいわ」

 

そう皮肉を交えていうも、母さんは俯いたまま特に何もしてこない。

 

「二つ目はオキニス。石言葉は『手中にある成功』。きっとこれからも母さんは仕事が大変で、何かあるたびに頭を悩ませるかもしれない。でも、きっとそれでも母さんは成功をしていく。そう思ってこれを使ったの。

 

三つ目はオブシディアン。石言葉は『不思議』。母さんは地球にいた頃から不思議な人生を送ってきたから、これも入れたの。

 

四つ目はブラックオパール。石言葉は『威嚇』。ただこれは元々黒い宝石にはカリスマ性や自身、魅力なんかの言葉の意味合いが篭ってて、ブラックオパールはその意味合いが最も強いの。それらを全部含めて『威嚇』になってる。今でも最前線で司令をしている母さんには、ぴったりだと思うんだ」

 

説明を淡々としていくけど、母さんは俯いて私の贈ったものを胸に抱いて動かない。

 

「最後がヘタマイト。石言葉は『燃える思い』『戦いと勝利』『勇気』『勇敢』『自信』。沢山言葉があるけれど、これからの母さんの未来を想って、これを使ったの。これからの戦い。命をかけたものじゃないかもしれない。でも、母さんにはこれからもずっと戦い続けるのだと思う。だから…その未来がいい方向に行くように、この石を使った」

 

首にかける鎖の部分をヘタマイト。外装の中心をブラックオパール。ブラックオパールを飾るようにオブシディアン。蓋の裏側にオキニス。そして写真などが入る所の周りにブラックダイヤモンド。

 

「母さん、ここでそのロケット開いてみてもらっていいかな?」

 

「…ああ」

 

母さんの目が赤い。…成功したかもしれないけど、私がこの贈り物で一番頑張ったのは中だ。

 

そっちをみてから感動をしてもらいたい。

 

開いた時に最初にロケットの中にあったのは母さんとなのはさんとすずかさん。母さんたちが小さい頃の写真をもらって母さんたちの出会いらしくそれを使わせてもらった。すずかさんは母さんたちの親友だとか。

 

「ここからね、一回閉じてもう一回開いてみてほしい」

 

そして母さんは言われた通りに一度閉じ、また開く。

 

すると写真の部分が変わっており、今度は母さんとリインフォースが映っていた。

 

「今はこれだけしかみてないけど、母さんの思い出となる写真を、これでもかってくらい使った。母さんの小さい頃から今に至るまで。ありとあらゆるものを。

思い出は色褪せる、とは言うけれどそれでも、母さんの人生を、辿ってきた軌跡を形として、母さんに贈りたいと思った。

ロケットなら首からかけていつでも持ち運べるし、見たいときに見れるって思ってね。

 

これが私なりの、精一杯の贈り物です」

 

「…ずるいわぁ。ほんと、ずるいわぁ。誰に似たんや、お前…」

 

「100パーセント、母さん似です」

 

母さんは、笑っていたけど泣いていた。

 

これは成功ということでいいのだろうか。

確かに嬉し泣きをさせるとは言ったけど…なんだろうなぁ、すごい罪悪感が。

 

「どうかな、母さん。喜んでもらえたかな?」

 

「ああ、めっちゃ嬉しいわ…。もうずっと泣かんよーにってしてたのに、もう無理やわ…」

 

「それは何より。元々母さんを嬉し泣きさせようってことで計画をしてたからね」

 

「くっそう…次はウチが嬉し泣きさせたる…覚えときーや…」

 

「はいはい。期待せずに待っております」

 

こうして波乱だった母さん誕生日パーティーは終わりを告げた。

 

母さんのガチ泣き顔はとてもレアだったので写真を確保はちゃんとしてロケットの中のデータに追加しておきました。

 

 

 

 

 

【後日談】

 

〜管理局〜

 

「え?」

 

「だから、ごめんなさい」

 

あれから数日後、管理局のなのはさんの元に呼ばれてそこへ向かってると途中で話しかけられた。

 

上の階級の人で大人の人に子供扱いされるのはよくあるが話しかけたきたのはまさの、あの誕生日会のときに散々荒らしてくれた二人のうちの一人だった。

 

「また突然、どうされたんです?」

 

「…シグナム大尉に地獄を見せられたといえばわかるかしら」

 

「…ああ」

 

女の人の青くなった顔を見て軽く同情してしまった。

元々シグナム姉さんの私への特訓方法は私の戦いのスタイル、に合わせて『得意技を中心にバランスよく』ではなく『得意技のみをとことん伸ばす』というスタンスだったはずで。私がシグナム姉さんにされていたのは『シグナム姉さんの剣撃をとにかく避けまくる』ということを中心に、本当に第三者から見るとシバかれてるという表現が正しいだろう。

 

「アレを週7でしょ…あなた、よく生きていられたわね…」

「自分でも思うよ。でもそれ以上にあの頃は明確な目標があったから。あとは単純に母さんたちを喜ばせたかったから頑張ってただけ。それじゃそろそろこの辺で。なのはさんに呼ばれているので」

「ああ。…本当に、すまなかった」

「もういいですよ。そういえばもう一人の方は?」

「….いまだにお前を認めようとはしていない。だが、おそらく時間の問題だ。明日からシグナム大尉はもっとキツくするって言っていたし…」

「本格的に御愁傷様。ああ、先輩からの助言だけど、一本取ることよりは本当に避けることだけ専念した方がまだマシだよ。まあ、私の場合は、だけどね」

 

その後は時間も押してたから急いでなのはさんの元へ向かった。

 

シグナム姉さんのアレはやっぱり相当おかしいのだと、同じ境遇になった人ができてなぜか嬉しいと思ったのは内緒だ。




どうでしょうか

はやてさんのイメージカラー黒で黒い宝石ってなんだと思い調べたら割と沢山あってびっくりしました。
でも石言葉のどれもがはやてさんに当てはまるな、とも思いました。

さて、次は本編をちゃんと進めますよー


読んでくれてありがとうございます

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