リリカルなのはvivid もう1人の聖王のクローンの人生 作:アテナ(紀野感無)
あと春休みが一週間もないとか………時間がたつのは速いですね。
しっかりと課題を終わらせたいと思ってます。
それではどうぞ
〜試合会場 医務室〜
「なあ!シャマル!ユタは、ユタは大丈夫なんか⁉︎」
「落ち着いて、はやてちゃん」
いまここには未だ昏睡状態のユタ。
はやて、シャマル、シグナム、ザフィーラ、なのは、ヴィータがいた。
はやては、ここにいる誰よりも不安に押しつぶされそうになっていた。
なのはやヴィータも見たことのないほどの表情だった。
「――—今の所は心拍・脳波レベル正常、リンカーコアも正常。だから命に別状はないと思う」
「ほ、ほんまか?」
「うん、ただ―――」
〜八神家テラス〜
「…………」
はやては一人でうなだれていた。
未だにシャマルに言われたことを理解できていなかった。
いや、理解したくなかった。
(ユタちゃんは、もう二度と右腕と左目が機能しない可能性がある。もし、機能したとしても……選手をやっていくのはとてもじゃないけど無理だと思う。むしろ今まで見たいな日常生活を送れるか…)
「なんでや……なんで神様はあの子から大事なもんばっか奪うんや……」
そうだ、6年前にはユタにとって一番大事な人を目の前で奪われ、今度はユタ自身の大事な生き甲斐が無くなった。
はやては知っていた。
自分を喜ばせるために夜もシグナムたちに内緒で練習していたことも。
エリオに好意を寄せていて良い姿を見せたくて必死になっていたことも。
口では自分の生まれのことはどうでも良いと言いながらもその生まれて来たきっかけの聖王女に恥じないようにしていたのも。
結婚したことはないが、人生で、初めての
だから、はやてもできる限りの応援をした。
だが、その結果
ユタは二度と公式試合で戦うことができなくなった。
「ウチのせいなんかな-----」
そうだ、最初にシグナムが隠れて練習していたユタを見つけた時に魔法戦技はやったらダメだと言った方がよかったんじゃないのか?
そしたらユタは―――
「はやてーこんなとこにいたのか。晩飯冷めちまうぞ」
「ヴィータ……」
と、そこにヴィータが来た。
「まだユタのこと考えてんのか?」
「そらそうや。自分の子供を心配せん親がどこにおるんや」
「そりゃそうだ」
はは、とヴィータが笑うがはやては全く笑っていなかった。
「ユタなら大丈夫だよ。すぐに良くなる。右腕や左目が機能しない【可能性がある】んだから、動かなくならないと決まったわけじゃない。それに、どーせあいつのことだからアニメがー!とか言いながらすぐに目覚めるさ」
「うん…」
「だから……お前も元気な姿でいてやれ」
「うん……」
はやての瞳は、濡れていた。
(う……ん、どこだろう……ここ。身体中がやけに痛いけど……わたし、何してたっけ?)
なんだろう、意識があるのに動けない。なんか周りに白衣を着た人が何人かいるのはわかったけど…
私は何をしてたんだろう?ベットに寝てる?
「……ユタ?」
「か…あさ…ん?」
周りを見渡すと母さんがそばにいた
「ユタ、ユタ、ユタァ!」
「え?わ!ちょ⁉母さん⁉痛い!腕とかすごい痛い!」
「ユタぁ…よかった…目を覚ましてくれた…」
と、母さんが泣きながらベットに寝ていた私を抱きしめてくる。
やばい、超恥ずかしい。
「か、母さん!ちょ、ちょっと離れて!」
「う、うん。ごめんごめん。つい」
と、母さんが涙をぬぐいながらいったん離れる。そして、医者に報告に行くとかで部屋を出て行った。
「うーん、記憶があいまい。なんで私入院してるんだっけ?」
『そんなことすら忘れたんですか。マスター』
「あ、プライド」
と、近くのタンス?みたいなところにプライドがおかれていた。
「うーん、都市本戦決勝前日にインタビュー受けてそのあと母さんたちと家で話してたのは覚えてるんだけど………」
『どうしました?』
そうだ…だんだん思い出してきた。私は……
ジークさんに負けたんだった。
「そうだ、私、ジークさんに最終的に完敗だったんだっけ?」
『そうですよ。だんだん記憶の整理もできてきました?』
「うん…それで…」
そうだ、なんで忘れてたんだ…。
「プライド…今すぐジークさんを呼び出せるかどうかヴィクターさんに聞いてみてくれない?」
『そういわれるかと思いまして…すでに連絡をしてあります。あと十分ほどで到着するようです』
「だんだん、何がどうなったのか思い出してきた…私…最後にジークさんに何を言われたのかも…」
『?なんのことですか?』
(ユタ…………ごめんな)
「なんで…なんで謝るんですか…。私の頑張りは何だったんですか。しかも……あんな………あんな」
使ったことを後悔するような、自分を責めているような顔をするなんて。
けど、同時にあんな顔をさせてしまった自分の弱さが悔しい。
ジークさんへの怒りと自分の弱さへの怒りがいろいろと入り混じってもう訳が分からなくなってきた。
コンコン
「ユタ!目を覚ましたのね!」
と、入ってきたのはヴィクターさんだった。
よほど急いできたのか肩で息をしている
「ヴィクターさん」
「あなた、3日も目を覚ましていなかったのよ」
「え」
嘘、そんなに私寝てたの?
「そ、それよりジークさんは?」
「ああ、それなら…」
と、ヴィクターさんがさっき入ってきた扉を見る。
すると、隠れているであろうジークさんがいた。
隠れているであろう、っていうのは確かに隠れているんだが長いツインテールで見事に見えているんだよね
頭隠して髪隠さず的な?
だけど、今はそんなことに笑う余裕なんて一つもなかった。
むしろ見たことによってより怒りが増していた。
「ジークさん…」
「ユタ……」
隠れるのはあきらめたのかおどおどしながら出てきた。
「その……ユタ。ごめんな」
「…………んで」
ジークさんはとても申し訳なさそうに謝ってくる。
だけど、それにより私はただ怒りが募っただけだった。
「なんで!なんで謝るんですか!」
「ユ、ユタ?」「ユタ⁉」
「なんで…私に最後の技を使ったのがそんなに悔やむことなんですか……。そんなに私は全力を使うに値しない選手でしたか…」
もう、後半は泣きそうなくらい、声が擦り切れそうだったのが自分でもわかっていた。
「ユタ……」
「私は……ジークさんが本気でやってくれると言ってくれて、とてもうれしかったです。答えれるかわからなかったですが、私も本気でやるつもりでした。いや、やりました。それに自分にも、家族にも、今まで戦ってきた人にも恥じないように戦おうと思っていました。けど………けど、なんで全力で戦って謝られないといけないんですか………。ジークさんにとって私は本気を出す価値すらない相手だったんですか!」
「違う!ウチはそんなこと……」
「ならなんで本気でやるなんて言っておいてあんな……」
と、怒りに身を任せて包帯だらけだった(さっき気づいたが)体を無理やり起こしジークさんに近づこうとする。が、ヴィクターさんに止められる。
「ユタ!よしなさい!傷口が開くわよ!」
「っ!」
その際にとてつもない激痛が走り顔をしかめてしまう。
『マスター』
と、プライドが話しかけてくる。
「なに、プライド」
『まだ完全に治りきってないのに動くので傷口がひどくなりかけてます。なので寝ていてください。そして頭を冷やしてください』
「……わかった。すいません二人とも、怒鳴り散らしてしまって」
と、涙をぬぐいながらベットに戻る。
『今回のは私の治癒魔法では手に余りますのでおとなしく療養していてください』
「うん、わかった」
と、ベットに戻る。
『ヴィクターさん、マスターをお願いしてもいいですか?ジークさんは私を持って退室をお願いします』
「え、ええ」「わ、わかった」
~病院屋上~
『すいません、ジークさん。マスターのお見苦しい姿を』
「えーよ、それに…ああいわれるのも当然や」
と、ジークは力のない声で言う。
『……ジークさん、まさかとは思いますが都市選抜以降の大会を辞退する……なんて言いませんよね?』
「え?な、なんでや」
『お願いですから…事態なんてやめてくださいね?もし辞退するというのなら……それこそマスターを侮辱することになります。マスターはああいってましたがなんだかんだジークさんには憧れているんです。ジークさんが勝ち進むことを望んでいます』
「…………」
『どうか、どうかお願いします』
~病室~
「ユタ、大丈夫?」
「は、はい。見苦しいところをお見せしました。母さんやシグナム姉さんが見てたら怒るだろうなぁ……」
「ユタ………あの子の最後に使った技、何かわかる?」
「?いいえ、何か特別な技なんですか?」
「そうなのよ。あの子の最後に使った技はね…【エレミアの神髄】って言ってね。あの子が受け継いだ技なの」
「そうなんですか。でもそれが何か?」
「あの子はね、エレミアっていう一族の末裔なの。それで……あの子は今までのエレミア500年分の
「……!」
は?ちょっとまって。それってことはあの技も…?
けどエレミアって言ったら………
人体破壊を極めた一族だった気がするんだけど。
「あの子はね……昔はあの力がよく暴発していてね。触れるものすべてを壊していたの。今ではだいぶ制御できるようになっているんだけどね。それでも、あの子の体が【命の危険】を感じたら無条件で発動してしまうの。でも、あなたも受けてみてわかったでしょう?アレは問答無用で何もかも壊してしまうから試合では使わないって決めてたのよ。今回の件だってあなたのご家族を除けば一番心配していたのはあの子なのよ?」
「それでも……謝るなんてしてほしくなかったですよ…。私も選手なんですから怪我くらい覚悟してますよ」
でも、私………とんでもないことをジークさんに……
「ユタ、これは私からの個人的なお願いなのだけれど」
「何ですか?」
「これからもあのことは仲良くしてやってあげてね。また前みたいに、一緒にご飯でも食べてあげてもらえるかしら?あの子、放っておいたらジャンクフードばかり食べてしまうのよ」
「…はい!もちろん。ってその前にジークさんにさっきのこと謝らないと……すいません。自分ジークさんを探してきます」
「ええ、でも無理しないのよ?」
「はい!」
そして、この後ユタが左目と右腕のことを知るのはまた別の話――—
どうでしょうか?
近いうちにユタのが拾われた経緯やその後などを番外編で書こうかなとも思ってたりします。
読んでくださりありがとうございました