奉仕部で駄弁るだけ   作:ひょっとこ_

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八駄弁り

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――奉仕部は今日も駄弁る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「夕方にあいつらが来たのは、まぁなんとなく予想できてましたが、まさかあなたもとは、思いもしませんでした……」

 

 

「ああ、やはり、あの子らも来ていたのか。今日は誰も部室の鍵を取りに来なかったからな」

 

 

「そうなんすか……。ごほっ……」

 

 

「いや、すまないな。連絡はもらっているのだが、こうも顔を見ていないとやや心配でね。こうして、つい来てしまったよ」

 

 

「……彼女か、あんたは。いや、べつにいいすけど」

 

 

「ふむ。もう体調のほうはいいのかね」

 

 

「まぁ、よくはないですけど、昔から熱とかには強いほうなんで」

 

 

「……君な、病人というなら、それらしくしていたまえよ。ましてや、インフルエンザともなればなおさらだろう」

 

 

「や、でも先生いるし……」

 

 

「ふふっ。私のことは気にしてくれるな。今日は先生じゃなく、君の知人である一個人、ただの平塚静として会いに来たんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、比企谷。聞けば、今夜は両親不在に妹も外泊というではないか」

 

 

「ええ、まぁ。それで、夜まで看病するっていう心配性をさっき、やっと帰らせたとこです」

 

 

「そういうわけで、今夜は不肖この私が、君の看病を務めよう。体よく、明日は土曜日。私も仕事はない」

 

 

「……はい?」

 

 

「うん、大船に乗ったつもりでいてくれ」

 

 

「…………はい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「比企谷ー。なにかすることないのかー、比企谷ー」

 

 

「いや、まぁ、特には。ほとんどあいつらが片していってくれたんで……」

 

 

「つまらないぞー、比企谷ー」

 

 

「あんたホントなにしに来たんだ……」

 

 

「…………」

 

 

「…………」

 

 

「……チャイムが、鳴ったぞ」

 

 

「まぁ、そうですね……」

 

 

「……誰だろうな」

 

 

「……誰でしょうね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっれー、静ちゃんじゃん。どうしてここにいるの?」

 

 

「いや、それはこちらのセリフだぞ、陽乃」

 

 

「私? 私はフツーに雪乃ちゃんから比企谷君のこと聞いたから、からかいに、もとい看病しに来てあげたんだよ」

 

 

「……本音、隠す気ないだろ、陽乃」

 

 

「な、な、なんか増えてやがる……。ごほっ、ごほっ……」

 

 

「あ、比企谷君。ひゃっはろー」

 

 

「俺がなにしたってんだ……。恨むぜ、神様……」

 

 

「こんなに綺麗なお姉さん二人の、いったいいなにが不満なんだかねー」

 

 

「それは、まぁ、私と陽乃だからの一言で解決する疑問じゃないのか?」

 

 

「あはっ、それもそっか」

 

 

「わかってんなら、帰れよぉ……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「げほっ、げほっ……。ずびーっ……」

 

 

「ほらほら、大声出すから。横になって、あったかくしようね」

 

 

「うぅ……」

 

 

「汗拭いて、冷えピタ貼って。ついでに熱も計っとこっか」

 

 

「……はい」

 

 

「……うん。八度五分。ダメだよ、静ちゃん。ちゃんと寝かせてなきゃ」

 

 

「あ、ああ。面目ない」

 

 

「行きしなにポカリとアイスも買ってきたから、欲しかったら言ってね」

 

 

「じゃ、じゃあ、ポカリ……」

 

 

「はいはーい。ポカリね。……はい、どうぞ。ゆっくり飲みなね」

 

 

「す、んません……。げほっ……」

 

 

「いいよ、いいよ。君、病人だし。私、お姉さんだし。ほら、じゃあ、目閉じて、もう寝ちゃおう。ね」

 

 

「は、い……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかし、驚いた。存外に献身的な看病をするのだな、陽乃」

 

 

「そりゃ、ねぇ。うん、病気のときくらいはね」

 

 

「そうか。私にはできないことだったから、少し感心したよ」

 

 

「まぁ、なにもできなくても、誰かがそばにいてくれるだけで気が楽になることもあるし」

 

 

「そう、か……」

 

 

「さて、お台所借りて、なんか作ろうよ。明日土曜だし。実はお酒持ってきてたんだー」

 

 

「ふむ。やれやれ……」

 

 

「えへへー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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