――――奉仕部は今日も駄弁る。
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「みんなー、焼き肉食べたいかー!?」
「おー! ほら、ゆきのんも! おー!」
「……おー」
「今日ちょっと家があれなんで、帰っていいすかね」
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「いやね、最近、なんだか貯金しているのも馬鹿らしくなってきてな。たまには教え子たちと親交を深めるのもいいかと思った次第さ」
「はあ……。ていうか、事情はわかったので、羽交い絞めはやめてください。逃げませんから」
「……おい、雪ノ下、由比ヶ浜。戸塚を呼べ。ちょうどテニス部も練習を終えた頃だろう」
「貴様! 卑怯だぞ!」
「ふはははっ、なんとでも言い給えよ!」
「……ヒッキー、楽しそう」
「そうね。でも、放っておいて早く戸塚君を誘いに行きましょう」
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「あの、平塚先生。本当に僕も一緒でいいんですか……?」
「ああ、構わないよ。そのほうが、そこのぶーたれているやつも喜ぶだろうさ」
「えっと、その……うん、僕も八幡と焼き肉、食べたいな……」
「平塚先生。飛ばしてください。一刻も早く、焼き肉屋へ!」
「……ヒッキー、食い気味だ」
「もうやだこの人たち……」
「おー、すごい。めっちゃ速いよ、ゆきのん」
「ゆ、由比ヶ浜さぁん……」
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「とりあえず生で」
「いや、飲まないでくださいよ。あんた一応引率で、しかも車で来てるんでしょうが」
「ちっ……。じゃあ、ノンアルコールで」
「んー、ゆきのん、どうする?」
「由比ヶ浜さんに任せるわ。……その、恥ずかしながらこういう店はあまり経験がないの」
「へぇ、薄々知っていたけど、雪ノ下さんって本当にこう、箱入りって感じなんだね」
「遺憾ながら、ね……。戸塚君はなにを頼むのかしら」
「うーん、どうしよっかな。……でも、こういうのって、こうして悩むのが楽しいんだよね」
「あ、それ、あたしわかるよー」
「さ、君たち、早く注文したまえ。焼く係は私と比企谷が務めよう」
「え、俺普通に食べた、」
「八幡、ありがとね」
「よぉぉしっ、どんどん焼いてやらぁ!」
「この男、チョロすぎないかしら……」
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「ひきがやぁっ、ほら、おまえものめーっ! にゃははは!」
「うわっ、酒くせぇ! ノンアルコールじゃなかったんすか!?」
「……その人、だいぶ前から生を飲んでるわ」
「なんで止めないの!?」
「いえ、家の人間を呼ぶから、構わないかと思ったんだけど……」
「あ、そうですか……」
「はい、八幡。こっちの、焼けたよ」
「あ、ああ、サンキュ。ていうか、戸塚、結構焼くの様になってるよな」
「え、そうかな。えへへ」
「ヒッキー、レモン取ってー」
「おう、ほら」
「ありがとー」
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「たまにはこういうのも、いいかもな……」