――――奉仕部は今日も駄弁る。
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「お兄ちゃん! お花見、行きまっしょい!」
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「小町、この包み、重いんだが……」
「えー、せっかく小町が丹精込めてお弁当作ったのにー」
「込めすぎだ……。もっと軽くてもよかったんじゃねぇの? 俺とお前しかいないわけだし」
「もー、やだなーお兄ちゃん。お兄ちゃんとだけだったら、小町、お弁当なんて作らないよー」
「…………」
「やだ、ちょっと。冗談だってば。急に立ち止まんないでよ」
「……わ、わかってたし。お兄ちゃん、小町の嘘くらい、見抜けるから! 見抜けるから!」
「……ガチ落ち込みだったじゃん」
「…………」
「…………」
「……。でね、今日はあたしとお兄ちゃん以外にも、人が来るんだよ」
「そうなのか。誰が来るんだよ?」
「なんとなく察せられてるくせに、それ聞いちゃうあたりがホントお兄ちゃん」
「ほっとけ」
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「こんにちは、小町さん。今日はお招き、ありがとう」
「やっはろー、小町ちゃん! 差し入れにお菓子とかいろいろ持ってきたよー!」
「わぁ、ありがとうございます! あ、もしかして手作りとかです?」
「ふっふっふ、実はその通り! 期待しててね!」
「楽しみです!」
「……おい、雪ノ下」
「大丈夫、大丈夫よ。だって、私がきちんと最初から最後までサポートしたもの。ええ、きっと」
「そ、そうか……」
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「やぁ、八幡。小町ちゃんも、こんにちは。今日、絶好の花見日和だね」
「いらっしゃいです、戸塚さん!」
「うん、いらっしゃいました」
「おう、こっち座れよ」
「いいの?」
「悪いことあるか」
「ふふっ、じゃあ、お邪魔します」
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「あ。せぇんぱぁい。奇遇ですねー」
「おう、一色か。なに、お前も花見に来たの?」
「ですです。じゃあ、せっかく会ったわけですし、一緒に、」
「そうか、じゃあな」
「ちょっ、先輩っ!?」
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「……ほら、けーちゃん、大志、挨拶」
「「おじゃまします!」」
「おう、よく来たな。まぁ、座れよ」
「ありがとうございますッス、お兄さん!」
「お兄さんじゃねぇ」
「はーちゃん、ありがとー!」
「おう、けーちゃん。いらっしゃい。……川崎もテキトーに座れよ」
「うん。……その、誘ってくれてありがとね」
「この際だからってだけだ。気にすんな」
「……そ」
「ああ」
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「ふむ。どうやら、私たちが最後のようだぞ」
「そうみたいだねー」
「先生も、陽乃さんも、ビール買ってきてるのはいいですけど、あんまり飲みすぎないでくださいね」
「わかっているとも。では、邪魔するぞ、比企谷兄妹」
「もう、固いよー、隼人ー」
「俺はいつもこうですよ」
「んー、それもそうね。……ふふっ。じゃあ、比企谷君っ、カンパイしよー!」
「え、ちょ、それビール!?」
「気にするなー!」
「しますよ!?」
「……やれやれ。じゃあ、俺も失礼します」
「イッキ! イッキ!」
「いい大人が囃し立てないでくださいっ、平塚先生!」
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「では、皆さん。お飲み物を手に取っていただいて、不肖この小町の音頭に合わせまして……いきますよー?」
『カンパーイっ!』