ラフムに転生したと思ったら、いつの間にかカルデアのサーヴァントとして人理定礎を復元することになった件 作:クロム・ウェルハーツ
深夜、小腹が減ったからコンビニへと向かう。やはり、24時間営業は便利だ。時計の針が頂点を回る時間にも関わらず食べ物を買うことができるのはいい文明。
目に入ったおにぎりとカップラーメン、そして、リンゴのカード──もちろん、最大額だ──をレジに持っていく。
スマホが鳴った。APが全回復する5分前にセットしたアラームの音だ。そこまでするか普通……って言いやがった友達は沼に引き摺り込んだ。今では、友達も立派な廃課金兵ですwww
コンビニの店員の『毎度ざぁーっす』という声を後ろに、スマホを取り出してセイバーの顔が描かれたアプリを立ち上げる。
そろそろ、ガーチャーのクラスで自分もカルデアに召喚されてもいい頃だと思う。毎月、食費を削って課金しているのだから。
そう言えば、課金は家賃までと決めていたハズなのに、いつの間にか家賃を超えていたことがあった。ジャンヌオルタのピックアップの時だ。ピックアップすり抜けで青セイバーが来るのは悪い文明。
しかし、アプリが中々立ち上がらない。
だけど、こう考える方が建設的だ。アプリの立ち上げが遅いが、そのお陰で立ち上がるまでのワクワク感が毎回得られるのだから、良しとしよう。
嘘。運営、修正はよ。
と、FGOが立ち上がった。本当にフォウくんには頭が下がる想いだ。ランナーとして実装して欲しいぐらいに。
画面が変わる。タイトル画面をタップするとお知らせ画面に変わった。お知らせ画面を閉じるために右上の×印に軽く触れ、続いて、フレポ情報を読むことなく左端の閉じるという所をタップする。もはや、アンリマユは宝具5となっているからフレポなど必要ない。フレポガチャが回せないなら、課金すればいいじゃない。
やることはいつもと変わらない。
カルデアゲートから曜日クエスト、一番スタミナを消費するクエストを選んで、と。
「FGOは本当におもしろいなぁ……」
だが、それがいけなかったらしい。
プップーという音に嫌な予感がして振り返ると、ヘッドライトの眩しさを感じた。次いで、自分の体に奔る重い衝撃。
トラックにはねられた。
地面を転がりながらも手の中のスマホは離さない。
「引き継ぎ設定をしているから……大丈夫ッ!」
引き継ぎ設定をしていれば、大丈夫。大丈夫なんだから。
『歩きスマホは事故の元よ。キリエライト、あなたも気をつけなさい』という所長の声が耳元でしたような気がした。
そんなことより所長、タイツください。
多分、この時は混乱していたのだろうと思う。普段ならこんなことは言わない。段々、薄れていく意識の中、スマホの画面が青くなっていたことに気が付いた。きっと、誤作動を起こしているのだろう。第一部を全クリしたから、今見ているようなレイシフトをするムービーは流れない。ムービーを流すためには、メニューからマイルームに飛び、マテリアルの特異点での記録、プロローグを最後まで見ないと見れないのに。
けど……眠い。とても眠い。こんなに眠いのは最終章の柱折りで3日ほど徹夜した時以来だ。とてもじゃないけど、眠気に逆らうことなんてで……きな……い。
レイシフトする画面を見ながら、意識が遠ざかっていくのを感じていた。