東方英雄伝 ~ラノベの主人公が幻想入り~ 【完結】   作:カリーシュ

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推奨BGM:
『Trust in you』
『scarlet・bullet』
『crossing field』
『No buts』


53話 東方英雄伝

―ルルイエ

 

 

「『ヒノカグツチ』!

―『ダブルサーキュラー』!!」

 

【初っ端から生きが良いねぇブラッキー!!】

 

ギリィッ!!

 

 

キリトの右手に収束した妖力が炎の剣を形作ると同時に、二刀流ソードスキルを発動。

 

クトが振り下ろした左手を紅剣で弾き、右の剣を突き出すが、空中を前転して回避する。

 

 

「―隙だらけだ!

(メギド)』!!」

 

【隙?

―無いんだなぁ、これが。

『ウォーターカッター』!!】

 

ジュワッッ―ドオォォンッッッ!!

 

 

灼爛殲鬼からの熱線と高圧水流が激突、水流が即座に気化し、小規模な水蒸気爆発が起こる。

 

【ほな次ぃ!!

『荷電粒子砲―

っとぁ!?!?】

 

「―くっ!!」

 

右手が変異、正立方体の宝石を組み合わせた様な形に変わり、甲高い音と共にエネルギーがチャージされ始めるが、龍の顎が噛みついてくるのを確信すると同時に急上昇、必勝の一撃を紙一重で回避する。

 

 

【さぁ、来いy

「『マスタースパーク』ッッ!!」

―ファっ!?】

 

ドォンっ!!

 

 

桜花を警戒したクトにマスパが炸裂し、僅かにダメージが通る。

 

 

【〜〜っ!? ゆ、油断したねぇ……

でも、今程度のパワーなら、何発喰らったとしても私を斃すことは出来ない!!】

 

「―ま、そりゃ斃すつもりで撃ってないからな」

 

 

カチャッ

 

 

【……は?】

 

 

2丁のベレッタの銃口が、クトに向けられる。

 

【……『ヰ筒取り』。

―自分の弾幕の中を通ったのか。 まさか最初から狙っていたの?

…恐ろしい事考えるね】

 

「俺としては、こっちの手札を全部知ってるだろうお前の方が恐ろしいけどなッ!」

 

バスバスバスバスバスバスバスッッ!

 

【クケケ! よく言うよっ!!】

 

左右の銃口から連射された弾丸を、全て回避する。

 

 

 

 

 

 

 

「―『グングニル』!!」

「いっけぇぇぇぇえ!!」

 

【クケッ! 押し返して―

「―『ソニックリープ』!!」

「『桜花』ッ!!」

―チッ!! A.T.フィールド全開!!】

 

バキバキバキバキバキバキバキバキ!!

 

展開された光の壁を熱線と龍王の殺息が貫くが、僅かなタイムラグの間に回避、キンジとキリトの一撃を左手で受け止め、2対1の鍔迫り合いになる。

 

 

ギリッ………ギギ………

 

「―で、何時までそうしてるつもりだ?」

 

【? ……どういう意味だ?】

 

「惚けんなよ。 まだ何か隠してるだろ、お前」

 

【………クッケケケケケ!!

なら引きずり出させてみろよ、魔法使い!!!】

 

「―そうさせてもらうッッ!

『秋水』ッ!!」

 

「『灼爛殲鬼』!!」

 

「『バーチカル』―

『ヴォーパルストライク』!!!」

 

【!!! ゴホッ!!】

 

ゴウンッ!! ドグァッ!!!

 

キンジの一撃で拮抗が崩れ、左手が大きく跳ね上げられ、その隙に炎の戦斧と、スキルコネクトの一撃が炸裂する。

 

 

 

 

 

【―チッ!

『ユメヲタツホノオ』!!】

 

「『弾幕弾き(ビリヤード)』―

なっ!?」

 

ボボボボボッ!

 

 

クトが宣言すると同時に、人魂の様な火球が弾幕状に発射され、迎撃の為の魔力弾すら掻き消し、4人に迫る。

 

「幻想殺しと同じ効果か?!」

 

「分からない! 兎に角避けろ―

 

【させるかっ!!

『ユメノナイセカイ』!!】

 

瞬間、世界から光が消え―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ドギャギャギャギャギャッ!!

 

「うわっ!?」

「ガっ?!」

「ガハッ!!」

 

「―?! オラっ!」

 

パキンっ!

 

士道、キリト、キンジを斬撃が襲い、偶然か、ノーダメージの当麻が龍の顎で火球を噛み砕いた。

 

 

 

 

 

「い、いったい何が―」

 

【休憩する暇があると思うか?!

『裁きの礫』!!】

 

 

 

――ドゴォン! ドゴォン!!

 

 

 

宣言と同じに、空から光弾が降り注ぐ。

1発1発が地面を砕く威力のソレを遮蔽物にして避け、弾き、打ち消して突き進む。

 

 

【―フォースをお忘れかな?!

『イレイザーキャノン』!!】

 

それを見越して、クトは広範囲爆破が可能な光弾を撃つ。

 

そして、緑の光弾は―

 

 

 

「―『銃弾返し(カタパルト)』ッ!!」

 

 

 

―クトに投げ返された。

 

 

【………ゑゑ?!?!

ちょっ!?

か、『風穴』っ!!】

 

咄嗟に広げた掌に発生させたブラックホールの様な穴で吸い込み、技を強制キャンセルする。

 

 

 

 

 

そして、その数瞬で―

 

 

【!!! し、しまっt―】

 

「『桜花』ッ!!」

「『灼爛殲鬼』!!」

「『ヴォーパルストライク』!!」

「―これでも、喰らえ!!」

 

4方向から、協力な一撃が同時に炸裂した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【―グゥゥ………】

 

「……終わりだ、クト。

―オレたちの、勝ちだ」

 

クトは、龍王の顎に噛まれ、砲門と銃口と剣先を突き付けられていた。

 

 

 

【……………はぁ。

わぁーったよ】

 

「……これで、異変解決か」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【―『幻想殺し(イマジンブレイカー)』】

 

パキンっ!!

 

「「「「?!?!」」」」

 

宣言で、―

 

 

 

当麻の龍の顎が一瞬揺らぎ、その隙に脱出した。

 

 

「『幻想殺し』って、俺の能力?! どうやって?!」

 

【お忘れかなー?

―私は、能力コピーの条件は相手に勝つだけ(・・・・・・・)とは言ってないよぉ!?

それと、―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ここから先は予習(・・)の時間も追加しよぉか!!

暴虐公(ナヘマー)

終焉の剣(ペイヴァーシュヘレヴ)』!!!】

 

右手に顕現させた黒い大剣に逆霊力を凝縮、

―堕天使の一斬が解き放たれた。

 

 

 

 

 

「うぉ!? 『灼爛殲鬼』!!」

 

射線上にいた士道は、咄嗟に戦斧を振り回した反動で躱し、その間に3人はクトに殺到する。

 

 

「『三歩必殺』ッ

―ガァァァァッッッ?!?!?!」

 

ミキィッ!!

 

【おー痛そォだな。 さて、私は今一体何をしたでしょォか?!】

 

キンジの最強の一撃をクトが受けた瞬間、寧ろ殴ったキンジの左手から異音が響く。

 

 

「―『ジ・イクシリプス―」

【そぉだキリト、アイス好きか?

―『オルレアンの氷花』!!】

 

パキパキパキパキっ!

 

大剣を変異させ、ソードスキル発動前のキリトを氷漬けにしていく。

 

 

「キンジ! キリト!

―テメェ!!」

 

【クッケケケ!!

優先! 『龍王の顎』を下位に!

肉体を上位に!】

 

ドゴォっ!

 

「?! クソっ!!」

 

 

右手で龍の頭を殴り、今度は殴った部分を消滅させた。

 

 

「―『グングニル』!!」

 

【元気だねーっ!!

クッケケケケケケケケ!!!】

 

熱線すら、砂の盾を複数使って防ぎきる。

 

 

【ホラホォラ、こちとらまだ暴れたりないんだよぉ!!

『ヒャクレツケン』カッコジョジョ式ぃ!!

オォラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ、オルゥァア!!!】

 

両手での連撃が、一気に接近した4人を襲う。

 

その一撃一撃は重く、平然と音速を超え、全身を打ちのめし、吹き飛ばす。

 

 

 

 

 

「ぐぇっ!? て、テメェ……っ!!」

 

【……オイオイ、一回逆転されたらもうへばってんのか?

―ま、再逆転させんし、する暇も与えんがなぁ!!

『ロンギヌスの槍』!!!

 

 

 

 

 

―これで、終わりだ】

 

現界させた、二重螺旋状の矛先の赤い槍を、膨大な量のチカラを籠めて投げつける。

 

その一撃は、例え完全なる不死の存在であろうと絶命させる、即死の一撃―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―『へばってる』?」

 

「―『再逆転させない』?」

 

「―『これで終わり』?」

 

「―ンな訳無いだろッ!!!」

 

 

―槍に、真っ直ぐ突っ込む。

 

 

【……オイオイ、それじゃ自滅だろ。 その一撃は、幻想殺しじゃ逸らすことも出来ない、触れたら即死の―】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『夢想天生』!!!」

「『ファイナルマスタースパーク』!!!」

「『そして誰もいなくなるか?』!!!」

「『待宵反射衛生斬』!!!」

 

ドッゴォォォォォォォォォンンッッ!!!!!

 

 

 

 

 

【………ハァ?!?!】

 

あらぬ方向からの弾幕が、槍を撃墜し、4人を護った。

 

その先には、―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【なっ―霊夢?!

どうして?! 私の結界は完璧だったハズ―】

 

あの4人が、いた。

 

「あのねぇ………結界術は私の十八番よ? 少人数が潜り込める程度の穴を開ける位は朝飯前よ」

 

【だが、神話の魔術も組み込んで―

紫かァァァァァァァァァアアアアア?!?!】

 

「―随分と余裕だな?」

 

【!?!?】

 

 

霊夢たちに気を取られた、その間に―

キンジたちは、回避不可の距離まで近づいていた。

 

 

【クゥっ! 『反射』ァ!!】

 

音速の拳と斬撃を防ごうと、能力を展開して―

 

 

 

 

 

 

 

―ドゴォッ!!

 

【ゴハァっっ?!?!】

 

拳が、クトを捉えた。

 

 

【な……んで? ど、どうやって―】

 

「さっき弾き返された時、お前を殴る直前に、少しだけ妙な抵抗があったから、膜っぽい何かで威力を跳ね返してると思ってな。 物は試しで、お前に触れる直前―抵抗に触った瞬間に橘花(逆ベクトルの桜花)を使った」

 

【な―か、賭けに出たの?!】

 

「勘で何となく効きそうだったからな。

それとお前―

 

 

 

 

 

 

 

随分と余裕だな(・・・・・・・)?」

 

 

【―!? しまった、あと2人―】

 

―気づいた時には、もう遅かった。

 

 

「―『灼爛殲鬼』!!」

「―噛み砕けぇぇぇぇえ!!」

 

【優先―神の右手―A.T.フィールド―ギャァァァァァアアアア!?!】

 

龍の顎と、炎の戦斧が、炸裂し―

 

 

 

 

 

―クトは、地面に堕ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

sideクト

 

【ご……がっ………!】

 

うぅ………強……分かっちゃいたけど強…!

 

ていうか土壇場で、しかも1回で反射のカラクリ見破って木原神拳って、あり得ねぇだろJK(常識的に考えて)

 

 

 

 

 

 

 

―あぁ。

 

【……常識……無かったねぇ……】

 

気配を探り、相手の位置を確認―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【―『Call of Cthulhu』】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ラストスペルを発動させた。

 

白、黒、碧、緑の弾幕とレーザーが、適当な隙間を作りながら放射状にばら撒かれる。

 

 

 

 

 

私が、一番最初に作り、改良し続けた弾幕。

 

『クトゥルフ』としての、本来の能力のみを使って描かれる、スペルカード。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―スペルカードには、作った奴の『想い』が込められる。

 

 

……誰の台詞だったか、もう覚えてない。 そもそもこのスペルカードを作った時は、まだ結構荒れてた時期だ。 ロクな感情は篭っちゃいない。

 

……本来の計画なら、私はここで負け、もう狂気神話の怪物があの幻想郷に絡む事は無くなる。

 

前世で憧れ続けた存在に殺されるなら、悔いもない。

 

 

 

 

 

 

 

―でも、この時間が終わる事が、余りにも惜しくて―

 

ついでにクトゥグアとハスターまであのザマだしぃ―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【―クケケ。

………最後の、悪足搔きといこうか】

 

右手を握り、左手は担ぐように構える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―当然のように弾幕を潜り抜けた4人に、その両方を奮った。

 

 

 

【―I'm absolutely crazy about it(楽し過ぎて発狂しそうだよ)!!!】

 

 

「―オレはお前を『否定』する!!」

「―散らせてみやがれッ!!」

「―アンタに(コンテニュー)は無いっ!!」

「―その『幻想』をぶち殺すっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―そして、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ゴグシャァァッッッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―私は、負けた。

 


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