東方英雄伝 ~ラノベの主人公が幻想入り~ 【完結】   作:カリーシュ

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52話 『とおりゃんせ』

 

―????

 

side三人称

 

 

 

 

 

「―う……此処は、どこだ……?」

 

「……それが分かれば、こんな混乱して無い」

 

 

 

4人が目を覚ましたのは―

 

 

 

足元の部分だけ淡く光った、一本道の上だった。

 

 

 

 

 

「…魔力はカラのまま。 だけど、身体へのダメージは一通り回復している―

 

……魔理沙たちと合流出来た、て訳でもなさそうだな」

 

キンジが状況を判断し、いつでも発砲出来るようにベレッタを構え―

―ようとして、物が無いことを思い出す。

 

「? どうした?」

 

「……拳銃、あの野郎にパクられてたんだった」

 

「………取り敢えず、歩こうか。 このまま此処にいても、どうしようも無いしな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜精霊武偵剣士幻想殺し探索中〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―あの後、分かったことを並べると、

 

・何も無い空間に光る道が浮かんでいるように見えるが、実際はトンネル状になっている。

 

・壁、天井の材質は不明。

 

・霊力や魔力の自然回復速度が非常に遅い。

 

・幻想殺しは効果無し。

 

 

 

「……で、どこまで続いてるんだ? この道」

 

「さぁ?

………ただ、オレの勘だけど、妙にトラップのニオイがするんだよな」

 

「トラップのニオイ?」

 

聞き返した士道に、キリトが頷く。

 

 

「……丸岩が転がって来るとかないよな?」

 

「地面がほぼ平坦だ。 迫って来ることはあっても、転がって来るは無いな」

 

「ならいいんだけどよ―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―うん、薄々分かってた。 不幸だっっ!!」

 

当麻の絶叫で、後ろを振り返ると―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―床が、ジワジワと無くなっていた。

 

「―よし、逃げるか」

 

「落ち着け、まだ遠いだろ。

それに、光が消えただけかもしれない」

 

「…それに、そこまで焦る必要も無いみたいだしな」

 

安堵混じりのキンジの声に、前を見ると―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―扉だ。 これで外に出られるかもしれん」

 

 

 

鉄製と思しき、無骨な扉があった。

 

 

 

「……さっきまで無かったよな?」

 

「先に調べとこうぜ。 これでギリギリになって、鍵が掛かってた、なんてシャレにならないからな」

 

 

4人が、少しペースを上げて歩く。

 

 

遠くに見えたが、1分もしないうちにすぐ目の前まで辿り着くことが出来た。

が―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ノブ無くね?」

 

「鍵穴も特に無いな。

……内開きだから、そもそも鍵が掛かってるかすら分からんが」

 

―扉には、ノブも、取っ手も、鍵穴も、何かを引っ掛けるような窪みも、引っ張れるような出っ張りも無かった。

 

 

 

まさに、1度入れば出られない(一方通行)

 

 

 

 

 

 

 

「…えげつないな、こりゃ」

 

「ブチ破ればいいだけだろ。

キリト、3、2、1でやるぞ」

 

「オーケー。 いつでもいいぞ」

 

「―3

 

―ni」

 

 

 

―ギ、ギィィィ……

 

 

扉が、外側から少しだけ開いた。

 

何人かいるのか、複数の男女の切羽詰まった声が聞こえる。

 

 

 

「「………」」

 

「…ま、まあ、良かったじゃねえか! この扉、結構堅そうだったし! なっ、士道!」

 

「え!? お、おぉ!

手を怪我するよりはマシだろ! ホラ、こっちからも引っ張るぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

―ギ、ギギギ………ギィィィィイ―

 

 

 

 

 

 

 

 

「お……重い!?」

 

「キリト! 剣突っ込んでテコの代わりに出来ないか!?」

 

「いや、このまま引っ張った方が早いッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

―ギギ………ギギィィィィイ―

 

 

 

 

 

 

 

 

―扉が、徐々に開き、人1人分の隙間が出来る。

 

 

 

 

扉の向こうには―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―お兄ちゃん!! 無事!?」

 

「…は? 琴里!?」

 

赤い髪を、白いリボンでツインテールに結んだ少女。

 

 

「―良かった。 生きてるわね」

 

「―ッ!? ―ッ?! に、兄s、じゃ無くて………

カナ!? そっちこそ死んだんじゃ―」

 

足元まで届く、長い茶髪の三つ編みの女性()

 

 

「―キリトくん! やっと―

やっと会えた………!」

 

「あ、アスナ!?」

 

栗色の髪をした、騎士風の少女。

 

 

「いよーカミヤン! 生きてたかにゃー! やっぱ悪運強いぜよ!!」

 

「土御門!? おまっ、よくここに来れたな! 俺もここがどこか分からんけど!」

 

アロハシャツ、グラサン、金髪の格好だけ見れば怪しい少年。

 

 

 

4人が、予期せぬ再会に喜んでいる(約1名(キンジ)は戸惑っている)と―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ピキ、ピキピキピキ、ピキピキ………

 

 

 

「ん……げぇ!?」

 

「どうした士、道―

……逃がさないってか? ハタ迷惑なこって」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―道が、すぐ目の前まで消えていた。

 

 

 

「? どうした、カミヤン?」

 

「あー……扉のこっち側には、後道が10メートルくらい……もうそんなに無いか?」

 

「っ!? 早くこっちに来い!1人ずつなら通れるハズだ!!」

 

 

 

 

 

「―士道ッ! 先に行け!」

 

「!? キンジ!?」

 

「このメンツで一番先輩(古参)だろ。 早いトコ彼女の所に行ってやれよ」

 

「―っ! すまない!」

 

 

扉の隙間を潜り、外に出―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………霊夢(・・)?」

 

「は?―」

 

 

ふと、士道が、消えた道の先を見ると―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

手を振っている博麗霊夢が、

霧雨魔理沙が、

フランドール・スカーレットが、

魂魄妖夢が、立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっ、道あるのかよ?!

……焦って損したぜ。 こっちに来いよ、そこは―」

 

何も無い、と言おうとして、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行って―

―アンタの居場所は、そっちなんだから」

 

―確かに、そういった風に聞こえて、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢達が、消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……オレの見間違え、か?」

 

「…いや、俺にも聞こえた」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……気がつけば、誰からとも無く、笑っていた。

 

 

 

 

 

そして―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

士道は、扉の内側に戻った(・・・・・・)

 

 

 

「!?!? お、お兄ちゃん!?」

 

「…悪い、琴里。

………ごめんな」

 

 

 

「………待ちなさい。

キンジが私の言うことを聞かなかったことは………なかったよね?」

 

「……偶には反抗したい年頃でね。

―多分、最初で最後の、な」

 

 

 

「―ちょ、キリトくん?! 皆……

皆、待ってる―」

 

「……すまない。 やる事が出来た。

……きっと、もう、帰らない」

 

 

 

「……ま〜た女の子かにゃ〜?

―上条、本気か?」

 

「……不幸にも、な」

 

 

 

4人は、消えた道に向かって歩みだす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【―オ前達ハ、何ダ?】

 

誰かが問う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その応えは、たった一言だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―『幻想』だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ルルイエ

 

sideクト

 

 

「……来たか」

 

目を開き、組んでいた腕を解く。

 

 

 

何もしなくても感じ取れる、純粋な、『力の集合体』―

上昇し、声が届く範囲に現れた、その存在達に苦笑する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……その姿になるのは2度目だねぇ。 士道」

 

「あの時の声……やっぱりお前だったか」

 

5番目の精霊『イフリート』の限定霊装―赤い和服に、透明な、光る謎素材で出来た()を纏ったモノ。

 

 

 

 

 

「……私、戦闘民族を幻想入りさせた覚えは無いんだけど?」

 

「諦めろ。 幻想郷じゃ常識に囚われたら負けだ」

 

身体から溢れる星属性の魔力―金色の光がオーラの様に見えるモノ。

 

 

 

 

 

「予想通りというか何というか………

おめでとう、で良いのかな?」

 

「自分でもビックリだよ。

―悪い気はしないけどな」

 

飛膜状の、蝙蝠のような―吸血鬼の翼を持ったモノ。

 

 

 

 

 

「……初めて空を飛んだ感想は?

―てかそれ、幻想殺しの効果は?」

 

「知らねぇよ。

―ただ、護りたいモノを護れる力だって事が分かっていれば、それで十分だ」

 

右腕から、あらゆる『幻想』を噛み砕く、巨大な龍の顎が顕現させたモノ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―EX、か」

 

……こりゃ詰んでるかな?

 

 

「―じゃ。 第二ラウンドと行こうじゃないか」

 

「オーケぇ。

 

 

 

 

 

 

 

―最終ラウンドだっっっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

―普通ならな!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―EXが、お前らの専売特許だと思うなよ、主人公(操り人形)辞めたキャラクターA(ヒーロー)ども。

能力使用!!―」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―私も、なれるんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―旧支配者の司祭(クトゥルフ)!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―EXにな!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―身体に、力が溢れてくるのが分かる。

 

霊力が、神力が、魔力が、妖力が、

 

 

 

 

 

―それだけじゃない。

 

 

 

 

 

―数多の『世界』を巡り、手に入れたチカラの全て(・・)を解放する。

 

 

 

 

 

 

 

四肢の先まで、チカラが染み渡る。

 

どんな医療技術も、回復魔法も、再生能力も、体質も、アイテムも、治すことの出来なかった腐敗すら治っていく。

 

 

髪は水の神性らしい水々しさを取り戻していく。

 

翼にも肉と皮が戻り、久し振りに空気を打つ。

 

暴走するチカラが、早速左手の骨の一部を大きく変異させ、タイラントシリーズのような爪が―更に発達し―大剣とも鋏ともとれる形になる。

 

 

 

チカラの影響は、服装にすら影響する。

 

肩が辛うじて隠れる程度の黒いワンピースだけだったのが―

 

 

何処からともなく、足首まで届く漆黒のレザーコートが現れ、

 

腰周りの布地が変化し、2丁拳銃用のホルスターを始め、ナイフやグレネード、サブマガジンなどが収納出来るホルダーやミニポーチが付いたベルトになり、

 

更に左腰には、特殊な片手槍を吊るし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【……さぁ】

 

 

 

左手の、当然残っている指の部分で拳銃を―サプレッサーを外した黒いベレッタM92FSカスタムを抜銃する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【―決着をつけようか!!!!】

 

 

 

 

 




補足説明
EXキンジ:血流に魔力が混じり、更にヒステリアモードが強化された状態。
溢れ出た制御外の魔力がオーラの様に見える。
簡単に言えば、髪が逆立ってない超サイヤ人。
EXキリト:ユナの影響が出てないので、通常の吸血鬼状の翼が生えている。
EXクト:コピーした全ての能力を解放した状態。
左手の変異が特に激しいが、感覚的にはウルヴァリンの爪が更に変異したようになっている為、指等手の機能は失われていない。

能力使用(アイテム)原作一覧
漆黒のレザーコート:ウェスカー(バイオ)、ダンテ(DMC)、キリト(SAO)
片手槍(ガンランス):モンハン
拳銃(サムライエッジ):ウェスカー(バイオ)


なお、ガンランスはオリ武器。
考えてあるザックリとしたスペック。

属性 無
砲撃 収束型
装弾数 6
デザイン
深緑色のラギアバーストの先端が、海竜の尾ではなく、クトゥルフの爪の様になっている。

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