東方英雄伝 ~ラノベの主人公が幻想入り~ 【完結】   作:カリーシュ

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推奨BGM:『最速最高シャッターガール』
『恋色マスタースパーク』


43話 『不可能』を『可能』にする男

―妖怪の山 麓

 

sideキンジ

 

―ビシィッ!!

 

「―――――!?」

 

 

放たれたカマイタチを弾幕弾き(ビリヤード)で防ぎながら、即席の作戦を立てる。

 

―魔理沙が気がついた、首筋の蠢く黒いヤツは、リグルからニョグタについて聞いた時に出てきた『ショゴス』というニョグタの小型版に見えなくもない。

何せ不定形なもんだから、特徴らしい特徴が、"黒いタールの様な生物"だけで、ハッキリ言って確かめようがない。

 

 

だが、アレがショゴスだとすると―

 

 

 

 

 

「魔理沙、後どれ位魔法が使える?」

 

「アレを炙るつもりなんだぜ?

……正直、1回持つか持たないかなんだぜ」

 

「ok、分かった」

 

 

 

コッチが戦う準備が整うのを待っていたと言わんばかりに、向こうも、―はたても、行動を再開する。

 

 

「―――――」

 

「あやっ!? 瞬間移動をどうにかしないと、そもそも攻撃すら出来ませんよ!?」

 

再度、虚空から連続でカマイタチが放たれる。

 

 

……カマイタチ?

 

 

 

 

 

 

 

――ッ!!

 

 

「文!! お前の能力って、『風を操る程度の能力』だったよな!?」

 

「だから何ですか!! 瞬間移動に風でどう勝てっていうんですか!!」

 

 

 

「―瞬間移動じゃない、ただ疾いだけだッ!! 風の流れに集中しろッ!!」

 

 

 

「え、えぇえ!?」と驚いている文を放置して、相手を

―特に、カマイタチが放たれた瞬間を見る。

 

速過ぎて、本人は全く見えないが、

 

 

 

―風に靡くツインテールなら、ギリギリ目で追える。

 

 

このスピードに、目を慣らせば―

 

 

 

 

 

「―そこかッ!!」

 

バスッ!

 

「―――――!?!?」

 

 

よし!

 

弾を当てられた(・・・・・・・)!!

 

 

このまま追い込めれば―

 

 

 

 

 

 

 

ガッッッッ―!!

 

 

 

 

 

「………は?」

 

突然、腹に異物感が生じる。

 

ふと、見下ろしてみれば、

 

 

 

 

 

 

 

撃墜した筈のビヤーキーが、噛み付いていた。

 

 

 

「―ッ!?!? わ、忘れてた……ッ!!」

 

 

状況は最悪。

 

コッチの勝利条件は、はたてを捕まえて、ショゴスを炙る。

 

だが確定では無い上に、捕まえる時点で、魔理沙は一度しか魔法を使えないから参加出来ず、文は相手の動きに翻弄されっぱなしだ。

そして俺もこのザマで、動けない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―万事休す、八方塞がり。

 

 

 

トドメに、さっき腕一本犠牲にして霧散させた竜巻が、もう一度発生されようとしている。

 

 

 

 

 

―ここまで、なのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―キンジさん。 諦めちゃ駄目です」

 

「……文?」

 

見れば、文が、何かを決意したよう、に―

 

「―1つだけ聞かせて下さい。

 

 

―貴方は、私のことを、魔理沙さんのことを、勇儀様や萃香様、椛のことを、どう思っていますか?」

 

「?……どういう意味だ?」

 

何で今、そんな事を―

 

 

「あやや、分かりにくかったですかね? なら言い方を変えます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私のこと―私たちのことが、好きですか?」

 

「っ―!? ちょ、文!? タイミングを考えるんだぜ!?」」

 

 

 

―今まで見たことの無い、真面目な顔で聞いてきた。

 

 

「……………」

 

「……………」

 

 

「……………」

 

「……………やっぱり、答えられませんよね。 すいません、忘れてくださ―

「俺は、好きだぞ」

 

―へ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幻想入りしてから、色々とあった。

 

 

現実での悩みなんて「それがどうした?」と言わんばかりに吹っ飛ばされ。

 

 

物理法則その他諸々の常識も消し飛び。

 

 

数々の、空想でしかなかった存在と、戦って、笑って、―

 

 

 

 

 

―そんな世界が、そしてそこに住むメンツが、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―楽しくない、好きじゃないワケねぇじゃねぇかッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

「―さっきも言ったハズだぞ。

俺は、魔理沙も、文も、何もかも―

 

この『幻想』を、護りたいんだ」

 

「き、キンジ、さん……」

 

 

 

……うーん、感動してくれるのはいいんだが、ハラに腐りかけた干物(ビヤーキー)が噛り付いてる状態だと締まらんな。

 

 

 

 

 

 

 

……じゃあ、気合も入れなおしたところで―

 

「―反撃と行こうか……ッ!!」

 

文は黄色のナニカに突撃し―

 

魔理沙も、あらかじめ八桂炉に魔力を注ぎ始める。

 

俺は、空いてる左手を隙間に捻じ込んで、ビヤーキーの口を強引に開かせる。

 

 

血が足りない―なら魔力で代用。

 

激痛が走る―今更知るかッ!

 

 

 

「ひ―

 

ひ・ら・けェェェェェェェエエエッッッ!!!」

 

隙間が、広がっていく―

 

 

1センチ―

 

 

 

3センチ―

 

 

 

 

 

5センチ―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10センチ―!!

 

 

これだけあれば十分だッ!!

 

出来た隙間にナイフを突っ込み、口内に突き刺してやる。

 

「―――――っっ!?!?!?

ギギギギギギイィィィィィィィィィィィィィイイイ!!!」

 

ガラスを擦るような不快音が響き渡るが、

これで、動けるッ!!

 

 

 

 

 

 

 

side文

 

―あの宣言、きっと私たちの想いには気がついて無いんでしょうね……

 

苦笑しながら、空を駆ける。

 

 

目指すは、超巨大竜巻―

 

 

―では無く、敵本体。

 

向こうも気がついてるらしく、竜巻はそのままで、顔をこちらに向けている。

 

 

「あやや、一応挨拶はしておきますか?」

 

「―――――」

 

「……だんまりと。 そもそも喋れないんですかねぇ、おおあわれあわれ」

 

「―――――」

 

 

目下最大の問題は、あの竜巻。

 

今の規模なら、まだギリギリ私の能力でも打ち消せる。

 

なら私がやるべきことは―

 

 

 

「あやや、ひょっとして言葉も理解出来ないんですか。 力に傾倒してオツムが追いついていないとは、さぞかし不便でしょうねぇ?」

 

「―――――」

 

 

煽って、煽って、煽りまくって、あの竜巻の制御を手放させること―!!

 

 

「―――――ァ」

 

「あれー? 何言ってるか全然聞こえませんよ―? ひょっとしてアレですか、そんな身体に悪そうなモン首に巻いてるから声すらロクに出ないんですか。 察せず失礼しましたぁ」

 

「―――――ォォ」

 

 

風の流れが乱れた……!

 

あと、もう一押し!!

 

 

「それとも何ですか? 折角天狗なんていう高等種族に憑依出来たのに、貴方自身もオツムが弱いんですかねぇ、おおゆかいゆかい」

 

「――ォ―rォ―s――……

 

kor―――ウ!!」

 

 

パァァァアンっっっ!!

 

 

「っ―!? そ、そうこなくっちゃぁ!!」

 

 

冒涜的な威圧感を叩きつけられ、一瞬怯みましたが……

 

どうやら、運は私たちに向いているようです。

 

 

 

 

 

あの竜巻、勝手に潰れてくれましたよ!!

 

 

「―――――!!」

 

「っ! そこぉ!!」

 

瞬間移動も、相手がブチ切れてるお陰か、直線的―

 

しかも―

 

 

 

「……そうですか。 風の神性でしたか」

 

「―――――」

 

 

竜巻、カマイタチ、高速移動。

 

 

もう、流れは掴めました―

 

 

 

 

 

「ここから先はずっと、私の、私たちの番です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―幻想郷を、『風神少女()』をナメるなっっ!!!」

 

 

相手が加速する。

 

スーパースローの視界の中で捉えた狙いは、左脇。

 

回避と同時にフードを掴んで、下に放り、

追撃でひざ蹴りを叩き込む。

 

「―――――!?」

 

「―まだまだぁ!!」

 

そのまま腹部を殴り飛ばし、トドメに一回転しながらの踵落としを肩に叩き込む。

 

やった、勝ったっ!!

 

 

「―――――!?!?!?」

 

「―っ!? なっ―」

 

 

はたての身体から力が抜けると同時に、首筋の黒い水―ショゴスが襲い掛かってくる。

 

この距離だと、逃げられない―!!

 

咄嗟に身構え―

 

 

 

 

 

 

 

「―お疲れ、文。 後は任せてくれ」

 

 

―ボコボコの右腕でショゴスを受け止めたキンジが、いた。

 

 

 

 

 

 

 

side魔理沙

 

魔力―充分溜まった。

 

ターゲット―キンジが捕まえたのを弾き飛ばして、浮遊中。

 

そして、何よりも―

 

 

 

 

 

「「…ラストスペル―」」

 

 

八桂炉の中心に、火がつく。

 

ベレッタのトリガーが、引かれる。

 

 

 

 

 

 

 

そう―

 

キンジも手伝ってくれる。

 

それだけで、力が溢れてくる。

 

 

 

さぁ、ショゴス―

 

 

もう回避もガードも、誰かに取り憑くこともさせないぜ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「―『ファイナルマスタースパーク 炎』!!!」」

 

 

 

ゴッッッッッッ―――

 

「―t―k―r―r――!?!?!?」

 

 

火の属性魔法を即席で編み込んだ魔砲。

 

それが、ショゴスを焼き尽くしていく。

 

 

 

「「これで………これで終わりだぁぁぁぁぁぁあああああっっ!!!」」

 

「―――――リ――リリ―――………」

 

ショゴスが、次第に小さく、萎びていく。

 

 

 

 

 

 

 

そして、私たちの魔力が底をついた時には―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ショゴスは、ただの黒い炭と化していた。

 

 

 

 

 

 

 

「……勝った、んだぜ?」

 

「……ああ。

 

俺たちの勝ち、だ―」

 

 

―ドサッ

 

 

「…キンジ?」

 

私たちの勝ちが、決まった瞬間。

 

限界をぶっちぎっていたらしいキンジが、倒れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―????

 

sideキンジ

 

「…………ここは、何処だ?」

 

気がついたら、戦いが終わった直後の格好のまま、知らない場所に立っていた。

周りには、正しく星の数程の本や石板があり、それが仕舞われている棚ですら頂上が見えなかった。

 

そして、なにより―

 

「大量の本に……この魔力や霊力は、本から溢れてるのか?」

 

一瞬ヴワル図書館の可能性を考えたが、あそこは上質な絨毯を敷いてる。 剥き出しの、何の種類か見当もつかない堅い材質の床ではない。

 

 

 

始めての場所を、警戒しながら歩いていくと―

 

 

 

 

【……オマエハ、人間、カ? キンジトオヤマ】

 

「―ッ!?」

 

突然、目の前に黄色のコートが現れた。

身長は3メートル程もあり、顔の部分には、何の飾りも無い、目の部分だけが空いている仮面を被っていた。

 

……コートや仮面の隙間を見るに、中身は不可視の存在のようだが。

 

「……そういうお前は誰だ? そのコート―さっきまで俺たちが戦っていたヤツと、何か関係があるのか?」

 

【……………オマエハ、人間、カ? キンジトオヤマ】

 

……堂々巡りになりそうだな。

 

[……ただの魔法使いだよ。 ちょっと常識がぶっ壊される、綺麗な所のな」

 

【…………………オマエハ、フシギ、ダ。 マルデ、アノカタト、共ニイルヨウナ、気ニナル】

 

「どういう意味だ?」

 

【オマエガ知ル必要ハナイ】

 

質問をばっさり切り捨てた後、仮面を近づけてジロジロと観察してくる。

 

………なんかハリポタの吸魂鬼みたいだな、こいつ。 色もサイズも違うケド。

 

 

【………人アラザル者ヨ。

「人間だって言ってるだろ」

………人間ヨ。

 

 

オマエハ、ナゼ戦ッタ?】

 

 

「………は?」

 

【……人間ハ、己ノ利益ノ目的、カ、己ノ命ヲ優先スル、ト、聞ク。

腕ヲ犠牲二シテマデ、オマエハ、ナゼ戦ッタ? キンジトオヤマ。

オマエガ守ルハズデアル運命ノ存在ハ、マダ、オマエノモトニハイナイ、トイウノニ】

 

「……俺が護る筈の存在がまだいない?

 

 

 

―いい加減にしろ」

 

 

こいつ、さっきっから聞いてれば―

 

 

 

 

 

「……アンタ、さっきっから何様のつもりだ?

俺が護る筈の存在を、どうしてお前に決められなくちゃいけないんだ。

利益が無きゃ、自分の命がかかってなきゃ、戦っちゃいけないのかよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―誰かの為に戦うのに、自分の利益やらなんやらは関係無いだろ。

誰かを護る―幸せにする為に、戦う。

これは、俺の意思だ。 俺は、俺自身の意思で戦った。

その結果で腕が吹っ飛ぼうが、死のうが、知ったことじゃ無い」

 

【……………理解、出来ヌ。

 

 

 

 

 

―ダガ、オモシロイ】

 

「……はぁ?」

 

音も無く、コートの裾が上がっていく。

手に相当する場所には、3つのクエスチョンマークが、点の部分を内側にして円状に並んでいるマークが彫られた物が握られていた。

 

【………持ッテイケ、キンジトオヤマ。 仮ニモ我ヲ除ケタノダ。 オマエニハ、資格ガアル】

 

「………」

 

そのナニカを、受け取る。

 

持った質感はただの石に近い―いや。

物はただの石コロだ。 問題は、彫られた印。

この印そのものに、トチ狂った量のエネルギーが凝縮されてやがる……ッ!?

 

「お、オイ!? 何だこれ!?」

 

【………『黄衣の印』。 我ヲ指シ示ス紋様。

ソノ印ガオマエト共ニアル限リ、オマエニハ我ガイル】

 

「全力で返品するぜ」

 

【出来ヌ相談ダナ】

 

笑っているのか、肩の部分を震わせている。

 

【………サア、モウ行ケ。 オマエガ護ルト定メタ者達ガ、オマエノ帰リヲ待ッテイル】

 

「…ご丁寧にどうも」

 

振り向くと、光が溢れ出ているトンネルがあった。

ここを通れってことなのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

その光の中で―

 

【―オマエノ問イニ応エヨウ。

我ガ名ハ、『ハスター』。

大イナル『風』ヲ司ル、神デアル。

 

……キンジトオヤマ。 人間ノ枠ニ収マリキラヌ者ヨ。 自分ノ想イヲ突キ通シテミセヨ。

…決シテ迷ウナ。 オマエガ護ルベキ存在ヲ、見失ウナ】

 

「……言われるまでもねぇ」

 

確かに、アイツ(ハスター)の声を聞いた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―妖怪の山 麓

 

「―ジ! 死んじゃダメなんだぜ!! キンジ!! キンジ!!!」

 

「…………ぐッ、―う……?」

 

目を覚ますと―元の妖怪の山だった。

 

「キンジ!! 目が覚めたんだぜ?!?!」

 

「!? おぐぅ!?!?」

 

き、きゅ、急に抱きついて来―

 

「ちょ、おい、魔理沙!?

―?」

 

「………た」

 

? ボソボソと、何か呟い、て―

 

 

 

 

 

 

 

「―本当に、生きててよかった…!」

 

 

 

 

 

 

 

「…あー、おう。 心配、させて悪かったな」

 

……き、気まずい。

 

前の世界で徹底して女を避けてたから、こんな時どうすればいいか分からんし―

 

 

 

 

 

「いや〜、おあついね〜。

そういう時は頭を撫でてやる位はしてやれよ〜」

 

…!? この声、は―

 

「伊吹、萃香―ッ!?」

 

「久し振り〜」

 

酔っ払った幼女―にしか見えない、鬼がいた。

 

 

「……地底に帰ったんじゃなかったのかよ?」

 

「地上から馬鹿デカイ気配を感じたから、『疎』で隠れられる私が見に来たんだよ〜。

……出てきた先で元に戻れないほど猛烈な竜巻に巻き込まれた時には酔いが醒める程驚いたけど」

 

「……よく復活できたな」

 

「へへへ、鬼の四天王だからね。 あの程度で死ぬ程ヤワじゃないよ。

 

……ところで、右手の調子はどうだい?」

 

「? 右手の調子?」

 

さっきから違和感は感じるが、あのズダボロっぷりだから気にして―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……なんで傷一つないの???

 

ていうか体に、少ないけど魔力とは別の流れがあるんですが??

 

「………俺が気絶してる間に何があった?」

 

「…えっと、それはですね……」

 

言いづらそうに応えるのは文。

萃香は何故かニヤついている。

 

 

「―腕、なんですが。 どう見ても手遅れな状態でして………

 

 

―完全に切断して、移植、したんですよね……」

 

「……誰のをだ? 」

 

 

ゆっくりと指指した先は―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

酔っ払い幼女(萃香)だった。

 

 

「……………は!?!?!?」

 

「いや〜、最初はイッペンバラし()てから戻せば行けると思ったんだけど、タダの怪我じゃなくて呪いか何かが蝕んでたっぽくてね。

あーコレダメなやつだっつって、私の腕をそっちのブッた切った切れ目ごと疎密を弄ってくっつけたんだよ。

も〜あんな細かい操作すんのはヤダからね〜」

 

「………へ? じゃあ今お前に生えてる腕は?」

 

萃香のやつ、普通に右手で酒呑んでるよな?!

 

「私の能力は、『疎密を操る程度の能力』だぞ〜。 私自身をちょっと薄くして、腕を一気に再生させたんだよ。 鬼は、環境と妖力量によっちゃあ首だけからでも全身再生出来るからね〜」

 

「」

 

……ホントに生物なのかよ、鬼って。

 

 

「―キンジさん、迷いの竹林の方も片付いたみたいですし、霊夢さんと合流しましょう」

 

「それもそうだな。

 

 

………魔力カラで飛べないけど」

 

「……あー、私もなんだぜ。 回復剤もニョグタとの戦闘で使い切ってるし」

 

………オゥ。

 

 

 

 

 

「……ところで、アレなんだい? 見たこと無い奴だけど」

 

ヤベェどうしようと悩んでいると、萃香が聞いてきた。

なんだよ今忙し

 

「ギィィ」

 

 

「」

 

「」

 

「」

 

……見覚えのある石コロをカギ爪に持ったビヤーキーが、こっちを見つめていた。

 

「………使えるモンは使っとくか」

 

何故かは知らんし考えたく無いが、どうやら友好的みたいだからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……ちなみに、黄衣の印を受け取った瞬間、消えたと思ったら、魔力と妖力(文が教えてくれた)が一気に増えた。 ついでに神力の類もあったらしいが、合わなかったらしくちょっとしか増えなかった。

 

……イヤこんなにいらないんですけど!? 勢い余って魔理沙たちまで全快してるし!

返品に対して出来ぬ相談って、こういうことかよあの野郎(ハスター)ッッ!?!?

 

 

 

 

 




補足説明
黄衣の印:そこまでチートアイテムではない。 魔力その他回復作用はハスターの気分次第。
風の操作能力等ナシ。
ビヤーキーを呼び出せるが、黄金の蜂蜜酒+呪文での召喚と違い、呼び出すだけ。 場合によってはそのまま襲われる。
破棄、解呪不可。
ぶっちゃけ棄てられないだけのマジックアイテム。 ほぼ使い道ナシ。
鬼の腕:やったねキンちゃん! あと一息で名実共に人間辞められるよ!
キンジ「オイバカヤメロ」

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