東方英雄伝 ~ラノベの主人公が幻想入り~ 【完結】   作:カリーシュ

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注:⑨話ですが、チルノ、及び東方、ラノベキャラは一切出ません。
ある人物の過去編となります。


グロ描写注意!



3⑨話 Same day in the rain

 

―??前

―とある都市

 

side????

 

「あーぁ。 今日も疲れたなぁ〜」

 

学校帰り、電車を待ちながら軽く伸びをする。

ふと眠気の残る頭で腕時計を見れば、長針と短針は無慈悲にも帰宅ラッシュの時間帯である事を示していた。

 

「うげ〜〜ぇえ。 人混みマジニガテなんですけどぉ」

 

ボヤくだけボヤいて、「いつもの事だし、まいっか」と考え、鞄から1冊の本を取り出す。

 

クシャクシャになることを恐れてか、カバーの外されたその本のタイトルには、

 

―『とある魔術の禁書目録(インデックス)』と書かれていた。

 

 

その人間は、本を読む事が好きだった。

勿論アニメやゲームなども趣味としていたが、その人間が何よりも好んだのは、本―世間一般で言う、『ライトノベル』や漫画、小説と言ったモノだった。

 

 

人間が、栞を挟んでいたページから読み始めて数分後、

 

『○○〜。 ○○〜。 扉の側にお立ちのお客様は―』

 

「うげぇ……やっぱ混んでる……」

 

本数増せよ。 どーせ人件費ケチってんだろ○ェーアー○と○京○ト○(某鉄道会社s)、と、知る人が知れば怒りだしそうな事を考えつつ、本をしまって無理矢理人の隙間に体をねじ込む。

 

(ラノベ1冊広げる空間すらないとはこれ如何に。

……今度から乗る場所変えよっかな)

 

取り敢えず、席にふんぞり返って如何わしい表紙の雑誌(でもタイトルは某有名なコミック雑誌。 最近の子供って怖ぇ)を広げて真面目な顔して読んでるスーツ姿のヲヤヂに三つ目が通る式の呪詛を吹っかける。

異論も反論も受け付けるけど、後悔も反省もしない。

 

 

 

そんなこんなで家の最寄りの駅に到着。

直感にビビッと来たので財布の残高を確認して―野口サンが1人に鍍金硬貨1枚+ちょっちのアルミコイン。少ねぇ(泣)―ブッ○オ○に駆け込み、コミック棚の最深部まで突き進む。

 

(っっおっっっしゃぁぁぁぁぁあああ!!!)

 

そこには予想通り(外れる事の方が圧倒的に多いが)、○○が最も好きなシリーズ―『東方project』の同人誌が置かれていた。

 

(秋葉や池袋まで行くのはちと手間だし新品は高いからなー。 取り敢えず買いっと)

 

ザッと目を通して、絵や大まかなストーリーが好みに合うかだけ確認、バイオ5のグラサンクラスの勢いでレジに並ぶ。

勿論脳内は|『最終鬼畜妹』がフルスピードで鳴り響いてる《ヘブン状態》。

 

 

 

「大漁大漁〜」

 

ホクホク顔で帰路に着く。

帰ったら読もうとにかく読もう絶対読もう! とノリノリのハイテンションで歩いていく。

 

周りはもう暗く、終電まで大分本数があるとはいえ、人通りは無く、近くの大通りを車が走っていく音だけが聞こえる。

 

 

 

 

何時も通りの道。

 

 

 

ちょっと『幸運』であっただけで、変わりない日常。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

けれど、そんな日常は、

 

 

 

 

 

長くは、続かなかった。

 

 

 

 

 

―翌日

 

「……………アカン、寝みぃ」

 

(やっぱ昨日買った奴読み終わってから調子乗ってよ○つ○(某無料動画サイト)見まくったのが不味かったかな……兎に角眠い)←タダの(バカ)

 

蛇行する程ではないにせよ、何時もより遅いペースで駅のホームを歩いていく。

 

(まあその分早く出たし、電車ん中で仮眠すりゃ少しはマシになんだろ。

―お、キタキタ)

 

ショボショボする目で始発電車を眺める。

 

今日もまた、何時もと同じ、つまらない1日が始まる。

そう再確認して、溜息を吐いた。

 

 

 

 

―トン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………おろ?」

 

おかしい。

 

さっきまでは、ホームの反対側が見えていた。

 

なのに、今は、真っ黒い『ナニカ』で覆われていた。

 

(…電車か? でもこんな真っ黒いの、SL位でしか見ないような―)

 

状況を確認しようとして、気が付いた。

 

 

首が動かない(・・・・・・)

 

 

(…は? え、ゑ、ぇ?)

 

 

声も出ない(・・・)

 

 

音も聞こえない(・・・・・・・)

 

 

眼球運動だけで、隣を見る。

 

 

 

 

レールの間を平行に引かれた、ナニカの破片が混ざった、アカイ液体が、あった。

 

 

(……………は??)

 

 

目を凝らした。

 

 

 

指の様な出っ張りのある、アカイ棒があった。

出っ張りの根元近くには、見慣れた腕時計がついていた。

 

 

バールの様に、先端がL字状になった、太い棒があった。

先っぽは尖っておらず、革で出来たカバーの様な物がついていた。

 

 

 

白いモノが見えた。

バラバラになっていたが、透明な糸の様な物が、辛うじて、ソレラが元は一塊であった事を示していた。

 

 

 

突然、視界が明るくなった。

 

 

 

 

 

ホームの天井が見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の瞬間、激痛が、全身を覆った。

 

(痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイっっっっっ!?!?!?!?)

 

全身の神経を鑢で擦る様な痛みだった。

 

全身の骨の繋ぎ目という繋ぎ目を一旦外し、それからその骨を、肉ごと、一本ずつ、断ち切り、捻り切り、焼き切り、引き千切り、すり潰し、突き割るような痛みだった。

 

 

 

今更の様に、先ず右脚の膝から下が、

 

 

左脚丸ごとが

 

 

右手の指が

 

 

骨盤より下が

 

 

右手そのものが

 

 

背骨が

 

 

左手の肘から先が

 

 

脊椎が

 

 

 

電車に引き摺られるショックで

 

 

叩き割れ

 

 

摺り切れ

 

 

血というペンキが、

臓物という装飾が、

線路と言うキャンパスにぶちまけられていく痛みが

 

全身を

 

蝕む。

 

 

 

 

 

(あー……コリャ死んだな。

どーせなら、もうちっと穏便なほう、方で、……

 

……しな、せ―やがれってん、だ………い――)

 

 

意識が一気に遠くなる。

 

 

 

 

 

遠く、遠く、深く、深く、深く、―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―現在

―????

 

side??

 

「―フォォォォォォォイ!?!?

なんっじゃ今の夢ぇぇぇぇぇええ?!?!?」

 

ベットから跳ね起きる。

 

思わず自分の身体を見て、触って、軽く動かして、始めて落ち着く。

 

「……そーいや、あんなこともあったっけねぇ。

―いつ以来だよ、生前(・・)の夢を見るの」

 

汗だくの服をどうにかすべく、能力を発動して水分やミネラルの類を消し飛ばす。

 

「……………」

 

次に、己の一部が残念な身体を見、能力を発動させる。

 

が、ウンともスンとも言わない。

 

「………チッ」

 

舌打ちをして、立ち上がる。

 

 

 

 

 

『ソレ』は、それしか無いのか、黒い厚手のワンピースを着ていた。

 

『ソレ』は、所々が醜い灰色に変色、壊死している身体を持っていた。

 

『ソレ』の手脚は、能力によって剛腕にも爪にも、盾にも刃にもなった。

 

『ソレ』は、鈍く輝く、深淵の様な蒼の瞳をしていた。

 

『ソレ』は、身体の様に所々壊死している、()の様なイメージを持てる深緑の髪をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"邪神" クトは、転生者である。

 

 

テンプレな死に方をし(死んでから多少意識があった所為で痛い目に遭ったが)、

 

テンプレにも神様に第二の人生と能力を貰い、

 

テンプレにも原作(ただし複数)に介入し、もう既にかなりの人数の未来を、そのチートな『程度の能力』で変えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ1つ、異常だったのは―

 

 

 

 

 

転生させた『カミサマ』は、

 

 

 

 

 

あらゆる時空間において、『最()』で『最()』で『最()』で『最()』で『最()』な、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『魔王』であったことだった。

 

 

 

 

 





補足説明
魔王:
『秩序ある世界の外で口には出せず切れぎれに囁かれる血も凍る最期の危機――
全ての無限の中核で不敬にもだえ、泡だつ最奥の混沌に潜む最期の無定形の黒影――
その名を敢えて口にする者もなく、呪われたフルートの消え入るような単調かつ遣る瀬無い調べと、鈍く篭った太鼓の下卑た狂おしい連打の中で、時を超え、想いもよらぬままに、闇に閉ざされた室で飢え齧るもの』
引用:『クトゥルー 闇の黙示録』

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