東方英雄伝 ~ラノベの主人公が幻想入り~ 【完結】 作:カリーシュ
―まyoイノtiくrIン
side妖夢
「―う……あれ?
みょんはまだ生きてる……みょん?」
朦朧とした頭で周りを確認する。
最初に感じたことは、「ここは何処?」だった。
辛うじて残っている何本か纏まっっている竹を除き、大半の竹が薙ぎ倒され、へし折られ、粉微塵になるまで潰され、塵と化していた。
傷口を確認すると、肩から流れ出る血も固まり、これ以上悪化することはないように見える。
そして―
「……トーマ。
トーマは、どうなったみょん!?」
広がり、月明かりで見やすくなった視界には、上条当麻も、魚面人も見えなかった。
―それなのに、何処からか断末魔のような絶叫が聞こえる。
「…またいつもみたいに不幸だとか言いながらヒョッコリ出てくるみょん?
みょんには分かるみょん。
だから……
……だから………」
頬を熱いモノが伝う。
現実を、認めたくないと。
そんな『幻想』を、ぶち壊してくれると信じて。
「……早く、出てくるみょん。
早くしない、と、幽々子様の、食事作り、全部、押しつけ―」
上からナニカが水音を立てて落ちてくる。
妖夢の涙で歪んだ視界には、ソレは、
ヒトの、手足に見えた。
「―あ、ハハ。あはははは……」
爆発音と断末魔は鳴り止まない。
視界の端には、魚面人、異常な巨大さのカビの生えた蟲のようなナニカ、馬の頭を持つ歪な竜のようなモノが見える。
「トーマ……こんなみょんで、ごめんみょん」
自分には、剣があった。
自分には、経験があった。
自分だって、戦えた。
その筈なのに。
「トーマにばっかり戦わせて……
みょんは、いつも後ろで見ているだけで……」
白玉楼でもそうだった。
自分を一瞬で下した相手に勝ち、さらにもう1人を殴り飛ばした。
人里でもそうだった。
右手の力で、狂気に暴れる半獣を抑えた。
永遠亭でもそうだった。
永琳の弾幕と矢を前に、ただひたすらに、前に突っ込んでいた。
私には、力がないから。
私には、幻想を殺す力なんてないから。
そう言い訳していた。
彼は、唯の人間だったのに。
私より、体も脆い、寿命も短いのに。
彼は、前に進むことしか出来なかったのに。
だからこそ、突き進めたのだろう。
「トーマ……みょんは、トーマに伝えたいこと………話したいことが、まだいっぱい―」
風切音が迫る。
この短い期間で何度も聞いた、魚面人の鉤爪の音。
その鉤爪は、妖夢の首に―
―届くことなく、見覚えのある巨大なレーザーに焼き尽くされた。
「……はぇ?
―マスタースパーク?」
「―あらあら。久し振りに目が覚めたと思ったら、私を私の花畑ごと封印してくれた連中に会えるなんて…
ラッキー、ね」
緑色の髪を持った妖怪が、傘を構えていた。
さらに、
ゴッッッッッッと鈍い音を立てて、
馬頭の竜を咥えた、
その首元には―
「―トー、マ?」
「悪い、妖夢。
―助けるのが遅れた。もう少しだけ、待っててくれ」
side上条
右手の切断面から現れたドラゴンの、生首の先に咥えた象程のデカさのソレを、力むことで出る吐息だけで爆散させる。
「…凄まじい力ね、それ。 シャンタク鳥が何も出来ないまま一方的に蹂躙されるだなんて」
巨大カビの生物の甲殻を踏み壊しながら、突然現れ、
「……アンタは?」
「人に名を聞く時には、まずは自分からよ、ボーヤ」
「…上条当麻だ」
赤白い光の奔流をドラゴンの口から発生させ、魚面人の群を壊滅させながら応える。
「風見幽香よ。
―取り零すと後が面倒よ」
上条のレーザーを躱した生き残りに、再びレーザーをぶっ放す。
「…どっから出てきたんだ? 何を知っている?」
「あら、貴方が私を解放してくれたんでしょうに。 その龍の力で」
「……アンタは、
「何も。だから教えて欲しいのよ。
怪我人の手当ても必要みたいだし、ね。
取り敢えず―
ようこそ、『太陽の畑』へ」
全ての形容しがたきナニカを薙ぎ倒すと―
竹林の竹は消滅し、開花前の向日葵が辺り一面に生える花畑に、上条達はいた。
―太陽の畑
「―なるほど。『
確かにその能力なら、封印も結界も破壊出来るわね」
あの後。
妖夢を解放し(ひたすらバカと連呼された。不幸だ)、風見さんの家で妖夢の肩の手当てをして貰いつつ、自分の知っているのことの全てを話した。
右手に宿る、幻想殺しについて。
なぜ、あの場にいたのか。
ドラゴンについては、何も知らないこと。
右手については、ドラゴンが消えたタイミングで何故か再生していた。
「今度はコッチの質問タイムだみょん。
封印されてたって、どう言うことみょん?
それにさっきの魚面人たちについても何か知ってるみょん?」
「魚面人……深き者どものことね。
……今から、1年くらい前かしらね。
―あの日も、何時も通りの日常だったわ。
花に水をやって、声に耳を傾けて、入り込んでくる雑魚妖怪を消し飛ばしたり、妖精を吹っ飛ばしたり。
何時も通りの日常に、なる筈だったわ―
彼らが、来るまでは」
推奨BGM『旧支配者のキャロル』
―1年前
―太陽の畑
ゴウ、とレーザーが突き抜ける。
圧倒的な破壊力で振るわれる暴力の嵐が突き抜ける。
血飛沫は舞い、四肢は吹っ飛び、あるべきモノを失った頭蓋や骸が大地に転がる。
それでもなお彼らは、冒涜的なナニカは、止まるということを知らない。
何十、何百もの、魚の顔をしたヒトガタ、巨大な胞子嚢のようなモノを纏ったザリガニと蝿の混ざったようなナニカ、蝙蝠の羽と馬の頭を持った鱗の生えたモノ。
それらに齧られ、引き裂かれ、啄ばまれながらも叩き潰していった。
けれど―
「―へぇ。深き者どもとミ=ゴとシャンタク鳥の大群相手にそこまでやるなんてねぇ。
流石にこれ以上の消耗はキツイかなぁ。このまま続行したら全滅だよ。ダゴン、ハイドラ。 そろそろ封印の準備して」
届かない。
2体の巨大な魚面のヒトガタの肩に腰掛けた、あの女に届かない。
「貴様……っ!!」
マスタースパークが、放たれる。
が、
「おおこわいこわい」
真上に立てた人差し指から発生した、禍々しく輝く碧いエネルギー球に吸収される。
「なっ……!?!?」
「さて、さぁて。
―綺麗な花火を打ち上げようか」
エネルギー球が打ち出される。
「ふ、ざ………
―ふざけるなっっ!!!」
もう一度、マスタースパークを撃つ。
より妖力を注ぎ込んで。
より威力を上げて。
けれど、足りない。
打ち返すことも、弾くことも出来ない。
徐々に、押し切られる。
「ああああああああぁぁぁぁぁぁあああああっっっ!!」
そう長く持たず、やがてエネルギー球は、幽香ごと、太陽の花畑に堕ちた。
「くぅっっ……!?!?」
落下と同時に、ナニカの紋様―深緑の、8本の触手の生えた頭―が浮かび上がり、幽香を戒める。
「ち、くしょう。 こんな……こんな奴らに―」
意識が遠のいていく。
最後に聞こえた、耳障りな奴らの言葉は、―
「クッケケケケケケケケ! 見てよ! ダゴン!ハイドラ! こんなにも綺麗な花火だよ!―」
―現在
「―で、気がついたら貴方達が暴れていたのよ」
「……」
「…みょん」
空気が沈む。
けれど、誰1人として音を発することの出来なかった空間に、最初に鳴り響いた音は―
『―上条、妖夢、聞こえる!?
見つけた…見つけたわよ!!
―ヤツらの手掛かりを!!!』
―幻想郷の、反撃の狼煙が上がる音だった。
ク「……フリーザェ」
やらかしたねぇ(笑)。
ク「……うん、やった覚えあるよ。
アルティメットサディスティッククリーチャーなんて敵にいても味方にいてもコッチに絶大な被害を出してくれそうなヤツを抑え込めるって、調子乗ってフリーザの戦闘力コピって
で、結果がこれとww
ク「……恨まれてるよなぁ。
絶対後で八つ裂きにされるよなぁ。
うぉぉぉおおうぅ……ブツブツ」
おーい?
という訳で、クトが機能停止したので、さっさと補足説明に入りまーす。
補足説明
ドラゴン:幻想殺しの奥に潜むモノ。
原作とあるでも未だに設定がハッキリしないから幾らでもチートに出来る。実際にウチのカミやん
シャンタク鳥:馬の頭、蝙蝠の羽、鳥の足を持ち、灰色の鱗に覆われている、象程の大きさの神話生物。
とある邪神の眷属として有名。
深緑の、8本の触手の生えた頭:とある邪神の紋章。