東方英雄伝 ~ラノベの主人公が幻想入り~ 【完結】   作:カリーシュ

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16話 幻想の狂

 

―白玉楼

 

 

「ちょ、藍さん!?トーマ!?どうしちゃったんだみょん!?」

 

「…藍?いくら何でも結論を急ぎ過ぎじゃない?貴女らしくないわよ?」

 

「…ちょっと…黙ってて下さい…!これは、…ソう…幻想郷のタメデ…」

 

「…様子がおかしいみょん」

 

「かみじょー。私たちもちょっと手を出すわよ」

 

 

 

〜幻想殺し半霊亡霊祈祷中〜

 

 

 

「…私は、…間違っテ無イ…間違ってナイ…

 

式神『十二神将の宴』!!」

 

「ちょーっち痛いわよ。

 

桜符『完全なる墨染の桜-封印-』」

 

 

バシュシュシュシュ!

 

 

「…グゥ…」

 

「――!!」

 

「みょん!?おかしいみょん!」

 

「…何かおかしい所あったか?西行寺さんが撃った光弾?が藍さんに当たりまくってるだけ」

 

「大問題みょん!スペルカードルールは力を持った存在が相手を殺さないように作られた、一回当たったらお終いの勝負だみょん!」

 

「…てことはつまり?」

 

 

「…藍。貴女何を考えているの?」

 

「……あ………る………え…た……」

 

「…

 

『反魂蝶-伍分咲-』」

 

「式輝『狐狸妖怪レーザー』」

 

 

(迎撃は出来るから、反応は出来ている。なら疲れ過ぎじゃないわね。とすると―誰かに操られている?でも誰が?何の為に?

 

まあ今の予想が正しいなら―)

 

 

「かみじょー。今からこの子撃ち落とすから、何処でも良いから触ってみてくれない?」

 

「ほえ?コッチも流れ弾避けるのに必死

 

「お願いね〜」

 

―あぁもう!不幸だー!」

 

 

「―それじゃあ」

 

「!?

 

『狐句狸さんの契約』」

 

「藍ちゃんごめんね〜。

 

ラストスペル『西行寺無余涅槃』」

 

 

ブワッ――

 

 

「…グェ」

 

「トーマ!落ちてきたみょん!今みょん!」

 

「うおぉぉお!!間に合えー!!」

 

「? 間に合うって何にみょん?」

 

 

―ガシッ!

 

パキンッ

 

 

「…みょん」

 

「あらあら」

 

「イテテ、全身擦り傷だらけでせう…

 

藍さんは―よかった。間に合ったか」

 

「…フツーさっき自分に殺す宣言した相手をお姫様抱っこするみょん?」

 

「良いわねー。最近の子は」

 

「そういう問題みょん!?」

 

「そういうもんよ。それもそうだけど―」

 

「みょん?」

 

「久し振りにラストスペル撃ったからお腹空いちゃったわ」

 

「…ふ」

 

「ふ?」

 

「ふこーだみょーーーん!!」

 

 

 

―翌日

 

 

「……う――此処は…?」

 

「あ、藍さん。目を覚ましたみょん?」

 

「妖夢…なら此処は白玉楼…?」

 

「そうだみょん……

 

…って、それどころじゃないみょん!藍さん昨日何やってくれたか分かってるみょん!?」

 

「昨日?昨日は確か…橙の寝顔を完徹で眺めて…紫様を探して妖怪の山まで行って…結界に異常があったから、それを直して…

 

そうだ妖夢!!昨日誰か見慣れない奴が冥界にいなかったか!?出入り出来ない筈の幻想郷に幻想入りした奴がいる筈n」

 

「えぇい、ツッコミ所が多過ぎるみょん!!幽々子様叩き起こしてからゆっくり尋問だみょん!!」

 

 

 

―しばらくして

 

 

 

「じゃあそろった所で改めてツッコミみょん」

 

「…すまない、その前にそこの栗頭は誰だ?」

 

「…栗…ウニもあれだけど栗…」

 

「トーマ心折れるの早すぎみょん!?藍さん昨日のこと覚えてないみょん!?」

 

「…すまない」

 

 

 

〜半霊説明中〜

 

 

 

「―こんなことがあったみょん!」

 

「…そんな事が…?すまない、上条」

 

「別に良いって。ビリビリに比べればこうやって話し合える分ずっと良い」

 

 

(妖夢ー)ヒソヒソ

 

(何でしょう?)ヒソヒソ

 

(お姫様抱っこの件は話さないのー?)ヒソヒソ

 

(―!!べ、別にいいみょん!ワザワザ話す必要はないみょん!!)ヒソヒソ

 

(そーなのかー)ヒソヒソ

 

 

(…何ヒソヒソ話してんだ?)

 

(…断片的にしか聴こえないな。おひ…まだ…後で幽々子様に聴いておこう)

 

 

「と、取り敢えず置いといて!完徹って何だみょん!そりゃフラフラにもなるみょん!」

 

「あぁ。最近夢見が異常に悪くてな。夜中に跳び起きる生活を送っているうちに段々寝なくなってな」

 

「…一応聞くみょん。どれ位寝てないみょん?」

 

「悪夢が始まったのが丁度結界の暴走と同じ時期で…本格的になったのが紅霧異変からだから…かれこれ一ヶ月はうたた寝すらしてなかったな」

 

「それいくら妖怪でも死ぬみょん!?」

 

「そのせいか、ここ数日は時々視界に空飛ぶ油揚げがちらついてな」

 

「誰かこの人寝かしたげてぇ!!」

 

「…ところで、その悪夢っていうのは何だ?一ヶ月完徹させるような夢なんてあるのか?」

 

「アレは、……」

 

「…藍ちゃん凄い勢いで顔真っ青になってるわよ?辛いなら話さなくても…」

 

「…いえ、大丈夫です。夢の内容そのものは単純ですから。

 

…半魚人の大群が、訳のわからない言葉を叫びながら追ってくるんです。しかも、その夢を見るたびに、段々、近づい、て―!?」

 

 

ギュッ

 

 

「…大丈夫。もう大丈夫だからな」

 

「―//」

 

 

「…みょん。やっぱトーマはタラシだみょん」

 

「あらあら。妖夢も大変ねぇ」

 

「どういう事ですみょん?」

 

「え〜?妖夢は何時からかみじょーを名前で呼ぶようになったのかなって」

 

「…ゑ?」

 

「まさかの無意識!?」

 

「幽々子様がツッコまないで下さい。キャラがブレるみょん!オラ二人とも離れるみょん!!

 

…にしても半魚人の大群、みょん。半魚人って人面魚みょん?」

 

「人面魚じゃなくて、魚面人が正しいと思うけどな」

 

「魚面、みょん?

 

…想像出来ないみょん」

 

「お面やマスクの類か?だったらまだ」

 

「ぱっと見でも分かる程水掻きが発達していたし、首にエラらしき皺や鱗もあった」

 

「…ますます想像つかないみょん」

 

「そもそも上条さんはオカルトは全く分からないんでせう」

 

「…河童とは違うのかしら?」

 

「河童は見た事がありますし、一応妖怪の山の河童を〆てみましたが変わりませんでした」

 

「…河童ェ」

 

 

「―そろそろお暇させてもらうよ。橙にも心配かけているだろうしな」

 

「今度はちゃんと寝るみょーん!」

 

「分かっているよ。それじゃあ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…上条当麻、か。また変わった奴が幻想入りしたものだな」

 

「―らんしゃまー!」

 

「お!橙!」

 

「らんしゃま!昨晩は何処へ?」

 

「ん?白玉楼へな。そうだ、面白い人間が幻想入りして来たんだ。今度橙にも会わせて――」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー、うん。いきなりノロケ話ならいいや」

 

 

「―!? お前は誰だ!?」

 

「おっと逃がさない。

 

恐符『イベント式金縛り』」

 

「な!?がっ!!?」

 

「さて、さて。

 

幻想殺しが来た以上、ゆっくりジワジワ行くタイプは解除されちゃうからねぇ。もう一発で効くヤツでも」

 

「お、前か!?悪夢の、正体、は!?」

 

「…流石九尾。ホラゲ特有の特定の動作しか出来ない状態を再現したその状態で動くとは」

 

「そりゃあ私の自慢の式だもの」

 

「!?!? 紫様!?」

 

「やっほいゆかりんどったの?『準備』は済んだの?」

 

「まだ6割、と言ったところかしら」

 

「わひー。早くしないと、あの短気な『魔王』がフルパワー状態で突っ込んで来るよ?」

 

「それもそうね」

 

「ちょっ、待って下さい紫様!?

 

『準備』って、『魔王』って何なんですか?そもそもこの橙は―」

 

「ハイハイ取り敢えず発狂しとこうか」

 

「…クト」

 

「分かってるって。一発で済むようにしとくよ」

 

「一体、何の話だ!!」

 

「さぁ?これから分かるんじゃない?

 

狂乱『Deep Ones(深きものども)』」

 

「待て、貴様――ひっ!?」

 

 

ピト―ピト―

 

 

「これ手は、なん、」

 

「君の夢に出てきた魚面人だよ。その水掻き、見覚えあるでしょ?」

 

「ひっ、私に、触るな―」

 

 

ピト―ピト―ピト―ズルッ ズルッ

 

 

「辞め、引っ張るな、辞めろ、辞めてくれ、」

 

「クッケケケ。ようこそ――

 

 

恐怖と狂気と絶望と混沌(クトゥルフ神話)の世界へ」

 

 

「い、嫌だっ!紫様!助けてください!!紫様!!?」

 

「…」

 

「ひっ!だ、誰かぁ!!幽々子様!!妖夢!!上条!!ちぇ、っゲホッ!?」

 

「ちょっとディープ・ワン?それ殺しちゃダメだよ」

 

「お願い、助け、て…誰、かー」

 

――ダレカ……タスケテ………

 


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