ZERO-OUT   作:Yーミタカ

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ここでクイズです。
ルイズが飛ばされたのはどこでしょう?
正解は三話の後書きで。


第二話 捕食者

 薄暗い明かりの中、一人横たわる少女の長いピンクブロンドの髪をカンテラの明かりが艶かしく照らす。

「ん・・・うん?」

少女・・・ルイズは目を覚まし、起き上がろうとするが身体に力が入らない。

目だけで周囲を見回すと、少なくとも魔法学院の医務室や、寮の自分の部屋ではない。

「(ここ、テントの中?背中痛い・・・やっぱり夢じゃなかったのね。)」

ルイズはこの三日間の放浪が、自分の失敗魔法で気絶している間に見た夢じゃないかとどこかで期待していたが、そんなはずもなく現実に戻ってきた。

「(わたし、どうしたんだっけ?たしか河を見つけて、お水を飲もうとして・・・)ハッ!?」

男に捕まったのを思い出し、ボヤッとかすみがかかったような意識が一気に覚醒したルイズは、指を動かすのも億劫な手を無理やり動かして胸元に置いた。

身体には自分が羽織っていたマントがかけられていて、それをどけて服の乱れを調べる。

彼女の服は盗賊に襲われた時に破られ、ボタンが全て使い物にならなくなったため前の合わせを結んでいたのだが、それをほどいた様子はなく、腰に手を動かして下着も調べるが、下着を脱がされた形跡もない。

「(ヘンなことされたりしてないわね・・・まさか、助けてくれたの?)」

ルイズが状況を飲み込めないでいると、テントの出入り口が開き、先の上半身裸の青年が入ってきた。

それに身構えるようにルイズも体を起こして青年をにらもうとしたがすぐに目をそらす。

「あ?起きたか?」

「起きたかってアンタ・・・」

「飲むか?」

青年はルイズと反対側の角に座ると、ルイズにぶっきらぼうに白い金属の筒を投げ渡し、ルイズは弱った手でわたわたしながらそれをつかむ。

「・・・何よ、コレ?」

「水だよ、水。河の水なんか飲もうとするほど喉乾いてたんだろ?少しずつ飲めよ、がぶ飲みすると胃がひっくり返るからな。それと、ありあわせのモンで粥作ったから、こっちもゆっくり食えよ。」

青年はそう言いながら木の椀に野菜と肉、そして麦に似た穀物を煮込んだシチューのようなものを入れてルイズに出した。

ルイズは白い筒を振ると、中から

『チャプ、チャプ・・・』

と、液体が入っているような音がする。

ルイズとしては青年が何者かなど関係なく中身を飲み干したかったが、飲み方がわからない。

その白い筒は軟らかい金属でできており、どこを見ても完全に塞がれている。

ハルケギニアにはこのように奇妙な入れ物は存在しない。

「・・・どうやって飲むの?」

「あぁ、わりぃ、力、入らねぇのか。貸せ。」

青年はルイズから白い筒を引ったくると、筒の上側にだけついている、輪のような部品を引っ張って、筒の一部を破ってルイズに渡した。

「ありがと・・・」

そう言って口をつけようとして思いとどまるルイズ。

「ねえ、コレ、いくら?」

「は?」

「飲んだ後で言われても困るから、先に言って。」

それを聞いて青年はクスクスと笑い始めた。

「な、何よ!?」

「いや、わりぃ、しかしオマエ、出すモンねぇだろ?やるよ、遠慮すんな。」

「し、失礼ね!たしかに、こっちのお金は持ってないけど・・・」

「は?金?今どきケツ拭く紙にもなりゃしねぇぜ?」

「ケ、ケツって・・・」

「ドコの集落にいたか知んねぇけどよ、『州』で通用すんのは、一番は水、二番が食い物、三番目に種だ。その次が『カラダで払う』だが、コイツを頼るのはウマかねぇな。」

青年がそう言ったのを聞いてルイズは疑問に思う。

「ねえ、あんなにたくさん流れてる水が何で一番なの?」

「オマエ、どっかの箱入りだったのか?そこいらの河の水なんざ、放射能汚染されてるに決まってんだろ?オレが言ってんのは飲める水のこった。」

またルイズの知らない単語が出てくる。

「ホウシャノウ?」

「そっからか・・・オレも詳しくねぇけど、飲んだら長い時間かけて体をボロボロにしていく『毒』っつったらわかるか?」

「それなら・・・じゃあアンタ、わたしを助けてくれたの?」

「オイオイ、ヘタに人を信用すんなよ?さっきみてぇに『いくら』とか聞くくれぇじゃねぇと骨の髄までしゃぶられるぜ?」

青年は小バカにしたように笑いながらルイズから顔を背けると、ルイズは赤面し、

「じゃあやっぱり、わたしにヘンなことしようってんじゃ・・・」

「ヘンなことってオマエ、そういう『商売』の女だろ?何を今さら言ってんだ?それにオレだって選ぶぞ?何が悲しくてオマエみてぇなガキ抱かなきゃなんねぇんだよ?」

この言葉がいくつかルイズの怒りのツボに触れた。

「い・い・か・し・ら、ミスタ?まず勘違いしてるみたいだけど・・・わたし今年で17よ?」

「あ?背伸びしても買わねぇのは一緒だぜ?」

「ホントよ!!それとわたしは、しょ、しょしょ・・・娼婦じゃないわよ!!」

言葉を選ぼうとしたルイズであったが、ストレートに言わないと通じないと思い、そう言った。

「は?イヤ、そんなカッコしてて違うっつっても説得力ねぇぞ?」

青年がそう言うとルイズはさらに顔を赤くした。

彼女は先述のとおり、破られたブラウスの合わせを結んでおり、その下に着ていた下着、スリップはその用をなさなくなるほど破られて、捨ててしまったたため素肌の上にブラウスを着ている。

小さな胸の頂が少し透けて見え、ヘソを出してくびれたウェストを強調するような装いで、スカートも裾からショーツが見えるまで破かれ、年頃の少女らしい細くて健康的な右太ももをさらしてしまっている。

「これは!!これは・・・」

理由を話そうとして、ルイズは肩を震わした。

乱暴されそうになったのもさることながら、そのような狼藉を働いた連中がもうこの世にいないということ、デスクローに惨殺されたところを思い出したのだ。

そんなルイズの様子から青年は大体の事情を察し、今までの自分の誤解を恥じた。

「あぁ、そのな、悪かったな・・・」

「え、何が?」

「いや、ンな目に遭やぁ、カンケーなくてもヤローってだけで怖ぇだろうに、無神経なこと言っちまったな・・・」

「ま、待った、多分半分くらい勘違いしてるわ!話すから!!」

ルイズはそう言ってこれまでのことを断片的に話した。

「・・・父さまについて旅してたんだけど、盗賊に襲われてね。不意だったせいで父さまは殺されて、アイツら、わたしにあの汚い手で触ってきて・・・カッとなってエイヤァってやっつけてきたのよ。」

「カッとなってエイヤァはウソだろ、いくらなんでも!」

「ホントよ!そうね・・・よいしょっと。」

少し休めたおかげで多少体力が戻ったルイズは水を一口飲んでテントの入り口まではって行き、テントから頭を出して周りを見る。

テントの外はすでに日が落ちているため薄暗く、すぐ近くに先ほどの河が流れている。

上を見上げると橋が渡されており、テントの近くは星や月の明かりすらないため一段と暗い。

そんな中からルイズは、河に浮かぶ島のような岩に狙いをつけた。

岩にしては丸っこく、目立つためそれを目標にしたのである。

「どうしたんだ?」

青年がルイズの上から頭を出す。

「あの河の中の岩を見てて。」

「河の中の岩?あったか、そんなの?」

「ホラ、アレよ!あの丸いの!」

ルイズが杖でその岩を指すと、青年は顔を青くした。

「オイ、何するつもりか知らねぇけど・・・」

「『ファイア・ボール』!!」

「やめろ!!」

青年の静止は間に合わず、ルイズは岩に『失敗魔法』を放った。

すると岩から

『ピギャ!?』

と、奇妙な鳴き声がして宙を舞う。

「クソッ!!」

青年は銃を持ってテントを飛び出した。

周囲を警戒しながら『岩だったもの』ににじりよっていく。

そして青年は銃の先でツンツンと岩をつつくと、安堵の息をついた。

「ねぇ、急に飛び出してどうしたのよ!?」

ルイズもおぼつかない足取りながらも青年を追いかけていき、河に入ると青年の近くで河の流れに足をとられて倒れそうになり、青年に抱き止められる。

「無茶すんなよ、本調子じゃねえんだろ?」

「ありがと・・・それより、何なの、その岩?」

ルイズは青年につかまったままそう尋ねると、青年は銃の先端でその『岩』をひっくり返した。

すると、岩の下から醜い顔をした胴体が出てきたのだ。

カニの顔を人間のものと同じ大きさにしたようなその顔を見てルイズは小さく悲鳴をあげた。

ルイズが吹き飛ばしたのは、岩に擬態した巨大なカニだったのだ。

「な、何よコレ!?い、岩じゃなかったの!?」

「マイアラーク・・・群れで水辺の集落全滅させたりするトンでもねぇヤツだ。普通はこんな流れの速ぇ河にはいねぇから、『はぐれ』だろうな。」

青年はそう言ってルイズの手を引きながらマイアラークの死体を岸に引き上げ、太ももに帯びていた短剣を抜いて、マイアラークの岩のような殻と胴体の間に差し込んで殻を剥がした。

「な、何やってんのよ!?」

「オマエのおかげで夕飯が一品増えたからな。」

そう言って慣れた手つきでマイアラークを解体していき、肉と足を取ると、殻の中にマイアラークの頭部を入れ、荷物から花を取って添えると、手を合わせて河に流した。

「今のは?」

「親から習わなかったか?こうやって『御返し』しろって。」

青年が言っているのはいわゆる『精霊信仰』における、『あらゆるものに精霊が宿っているから、礼をつくしなさい、さもなければ手痛いしっぺ返しを受ける』という考え方だ。

「わたしがいたところにはなかったわ。」

「オマエ、まさかとは思うが州の外から来たのか?」

「・・・ええ、まあ、そんなところよ。」

ルイズがそう答えると青年は怪訝な顔をしてマイアラークの肉の下ごしらえを始めようとしたとき、ルイズはずっと言おうとしていたことを言うことにした。

「それとアンタね・・・レディの前なんだから上くらい着なさいよ!!」

 

 ルイズに言われてシャツを着た青年が作ったのはマイアラークの肉を混ぜたピラフであった。

最初はルイズにもと考えてスープのようにしようとしていたが、ルイズが『丁重に』断ったため、青年の分だけ作ったのだ。

二人は食事をしながらお互いのことを話す。

「その・・・さ、ずっと『アンタ』『オマエ』じゃ何だから、名前くらい教えてよ。」

ルイズが青年にそう尋ねると、青年は少し思案して答えた。

「才人だ。平賀 才人。『火の国』で『ミブロウ団』って言う、まあ自警団みてぇなことしてんだ。」

青年、才人がそう言うと、ルイズも答えるように名を名乗った。

「わたしはルイズ。ちょっとトラブルがあって、住んでたところを離れて行商をやってたんだけど・・・盗賊にね・・・」

あとは先に話したとおりというように話を切る。

無論、半分以上ウソだが、真実を話したとしても才人は信じないと思ったから、それらしい当たり障りのない話をしたのだ。

「まあ、あんなことできるなら追っ払ったってのもホントだろうけどよ、ルイズが住んでたトコじゃ、みんなできるのか?」

「みんなじゃないわ。父さまはできなかったしね。」

ルイズとしては、単に自分の行動を見かねたからだとしても、助けてくれた才人にウソを並べるのは大変心苦しく、自分の話からはなるべく早く離れてほしかったから、食べ物に話題を変えた。

「そういえばさ、サイトが食べてるその串焼き、何なの?」

「あ?コレならゴキブリだけど、まだやめといた方がいいぞ?胃が弱ってんだからよ。」

「ブッ!?ゲホッゲホッ・・・それ、まさかこっちのシチューにも入ってないわよね?」

「そっちのは鹿肉だ。ゴキブリは虫肉だから煮たら溶けちまうんだよ。」

ルイズは食べ物の話題に変えたのを後悔した。

鹿と言われて思い当たるのは、この世界に来た初日に見た双頭の鹿である。

「(ゼッタイ、アレよね。)」

すでに半分以上胃の中に入ってしまったのを思うと何を今さらと考えてしまう自分にルイズは自嘲した。

「(イヤね、だいぶこっちに染まってきてるわ。)」

一瞬、食べることに忌避をおぼえたがすぐに気にならなくなり、残すことなくルイズはシチュー、もとい粥を完食した。

そして才人は使った食器を洗い、荷物の中にしまうと、ルイズに毛布に似た袋を渡した。

「・・・これ、何?」

「何って寝袋だよ。中にファスナーがあるだろ、コレを引き上げるんだ。」

そう言って才人は外の金具を引き上げると、金属でできた合わせが閉じていき、ルイズは袋の中に入るような形になった。

中は外気をいれないため、地面が固くて寝苦しいことを除けばルイズの自室のベッドのように暖かい。

「アンタのは?」

「一人旅だったからな、一つしかねぇんだよ。遠慮すんな、オマエが使え。」

才人は先ほどルイズが使っていた毛布にくるまると、銃をすぐ近くに置いてカンテラの火を消した。

「消していいの?あの怪物たち、火がついてたら怖がって寄ってこないんじゃないの?」

「そりゃ迷信だ。山火事みてぇな火ならまだしも、こんなちっこい火なんざ、怖がるどころか呼び寄せちまう。」

才人はルイズにそう言うと、座って銃を支柱にして眠りについた。

「(不幸中の幸いってヤツね。この世界の人間ってみんな盗賊みたいな人ばっかりかと思ってたけど、こんな人もいるんだ。)」

歴戦の戦士がするような眠り方の才人をじっと見たあと、ルイズもまぶたを閉じ、眠りの世界へと旅立った。

 

『へぇ~、あの男に寄生することにしたんだ?』

眠ったルイズの夢に、またもう一人のルイズが現れた。

「何よ、またアンタ?それより寄生ってどういうことよ!?」

『そのまんまの意味よ。アイツと一緒にいれば、何にもしなくても食べ物と水がもらえるもんね~、『物乞いのルイズ』なんちって~』

もう一人のルイズは一瞬だけボロボロの服になってルイズをからかうと、すぐに元の魔法学院の制服姿に戻る。

「こ、これは、アイツがくれるって言うからもらってやっただけよ!恵んでくれなんて一言も言ってないわ!!」

『へぇ~、彼が助けてくれなかったら毒の水飲んで死んじゃってたのはだ・れ・か・し・ら~?』

痛いところを突かれルイズは反論する言葉を失う。

『その上、食べ物まで恵んでもらってさ~、何とも思わないの~?』

ルイズは以前のように逆上しそうになるのをおさえて、

「・・・どうしたら満足なの?」

と、静かに尋ねると、もう一人のルイズはやはりからかうような調子を崩さず、

『アンタ、物を買ったらどうする?』

と、質問で返してきた。ルイズのことを『たった一人のおともだち』と言ってくれる王女様ならば、『どうするの?』と、さらに質問で返しそうではあるが、ルイズはそこまで浮世離れしていない。

「・・・代金を払うわ。」

『どうやって?エキュー金貨もここじゃ多分、石ころよ?アイツが言ってたでしょ~?一番は水、次が食べ物、三番目が種。じゃなかったら?』

もう一人のルイズがそう言うと、ルイズは夢の中だというのに顔や体が熱くなってくるのを感じた。

「で、で、で、できるわけないでしょ!?そ、そ、そ、そんなふしだらなこと!!」

『あらあら~、それじゃあやっぱり物乞いのルイズじゃない?』

「あぁもう!!とっとと消えなさい!!」

ルイズがそう怒鳴ると、もう一人のルイズは消え、彼女は暗闇の中に放り出された。

目が慣れてくると、テントの中だと理解したルイズは口をおさえる。

「(今の、寝言で言ってないわよね?)」

チラッと才人の方を見ると、ルイズが眠った時と変わらず、座ったまま眠っている。

そんな彼をじっと見ていると、ルイズの心臓がドキドキと、音が聞こえそうなほど強く脈打つ。

誘われるように寝袋から出ると、足音を殺して才人の近くに忍び寄る。

近づいたことで才人の顔が薄暗くても見えるようになると、ひときわ大きく心臓が跳ねた。

「(どうしちゃったのかしら、わたし・・・こんなにドキドキして・・・)」

似たような感情を彼女が抱いたのはもう10年前。

いわゆる『初恋』の時だ。

ルイズはそんな考えを頭を振って振り払う。

「(そ、そんなわけないじゃない!・・・でも・・・あぁ、もう!ツェルプストーじゃあるまいし!!)」

実を言うとルイズは、かつてあまりにも隣室がうるさかったため苦情を言いに行こうとし、ふと何をしているのか気になり、鍵穴から隣室の女生徒、ツェルプストーの部屋を覗いたことがあった。

その時、ツェルプストーは1ダースはいる彼女のボーイフレンドの一人を部屋に呼び込み、情事に耽っていたのだ。

ルイズは最初、『不潔!!』と思っていたが、最近では時おり覗きに行ってしまうくらいには興味を持ってしまっている。

「(きっと今のわたしは普通じゃないのよ、だから彼とツェルプストーみたいなことしたいとか、考えちゃうのよ!!)」

ルイズは自分の中でそう結論付け、才人にさらに近づく。

「(ツェルプストーにできたことがわたしにできないわけないわ、まずは手と口で・・・そのあとお乳ではさ・・・めないわね、わたしのじゃ、じゃあ・・・)ヒッ!?」

ルイズの妄想は才人によって中断された。

彼のズボンに手を伸ばした瞬間、眉間に銃を突きつけられたのだ。

長い銃は相変わらず支柱にしており、ルイズに向けたのは懐に隠し持っていた短い銃である。

これもまたハルケギニアには無い銃だ。

彼女に才人が使う銃に関する知識は皆無だが、その銃もハルケギニアのものよりはるかに高性能であることは容易に想像がついた。

「な、何すんのよ!?ビックリしたじゃない!?」

「そりゃこっちのセリフだ、用があんなら呼べよ。」

才人の方に分があるが、だからと言って銃を向けるのはやりすぎだろう。

「で、何か用か?」

「その・・・さ、さっきのお水と食べ物のお礼・・・」

「いらねぇっつったろ?まだ言ってんのか?」

才人は銃を持った手を振ってルイズに寝袋へ戻るよう促すが、ルイズは引き下がらない。

「恵んでもらったなんて、父さまに叱られるわ!・・・だから、何でもするから・・・」

顔を真っ赤にして声を絞り出すルイズに、才人は首を横に振った。

「じゃあ、すぐに寝袋に戻って寝ろ。明日、フラフラされてちゃ困る。」

「な、何よ!?わたしみたいなの、女だって思えないっていいたいの!?」

「あぁ、ンなちんちくりんじゃ、ヤるより仕事頼んだ方がマシだかんな。」

「ち、ちんちくりんって何よ!?」

夜中だというのに二人がそんな言い合いをしていると、ドォンドォンドォンと、ルイズの失敗魔法を大きくしたような音にまざって、ガランガランガランッと、壊れた鐘が鳴るような音が響く。

ルイズはとっさに才人にしがみつくように抱きつき、才人はそんなルイズの肩を抱いてテントを出た。

短い銃は右脇の小さな鞄のようなものにしまい、片手で長い銃を持っていつでも撃てるようにして、慎重に音がした方をうかがう。

「ッ!?」

「キャッモガッ・ ・ムウゥムウゥッ!!」

月明かりが浮かび上がらせたシルエットを見て、才人は目を見開き、悲鳴をあげそうになったルイズの口をおさえた。

「静かにしろ、気付かれるぞ。」

才人がルイズに耳打ちすると、ルイズは首を縦に振って答え、才人は手を離した。

「ぷはっ、な、何なのよ、アイツ?」

「デスクローだ。・・・もしかして何かあったのか?」

才人はルイズの異様に怯えた様子から、直感的にルイズがこのデスクローと何か因縁があると考えた。

しかしルイズは首を横に振るだけで何も言わない。

「なぁ、頼むよ、ホントのこと言ってくれ。そうじゃねぇとアイツをどうすりゃいいのか決めらんねぇからよ。」

「・・・あのね、盗賊を追い払ったっての、見栄はったの。ホントは、あのドラゴン・・・デスクローっていうの?アイツが盗賊を襲ってる間に逃げてきたのよ。三日は前だから、おんなじのかわかんないけど・・・」

「道なりに三日歩いたぐれぇならまず間違いなく同じヤツだ。ヤツらはな、テメェの縄張りで見つけた獲物は縄張りを出るまではゼッテェ逃がさねぇんだ。大方、いつでも狩れると思って道すがら、他の獲物を喰いながら追っかけてきたんだろ。」

ルイズにそう言った才人は立ち上がり、長い銃の持ち手を左手で銃床の方にスライドさせた。

「イ、イヤ・・・見捨てないでよ・・・」

ルイズは才人が自分の話を聞いて、自分を囮にして逃げると思って才人の足にしがみついた。

そんなルイズの頭を才人は優しく撫で、

「心配すんな、明日のメシ狩ってくるだけだからよ。こっちが風下だから、オメェは隠れて静かにしてな。」

と言って、ルイズの手を振りほどいてデスクローの背後に回り込むように忍び足で歩いていく。

残されたルイズはガタガタと震えていた。

デスクローに喰い殺されるということではなく、才人がデスクローに殺されるのではないかと怯え、震えているのだ。

才人に言われたとおりすぐテントに隠れ、寝袋を頭からかぶり、息を殺して気配を消すルイズの脳裏に、幾度となく直接見た、デスクローに殺された盗賊の姿に才人がかぶる。

「(イヤよ、そんなのイヤ!)」

イメージを振り払おうと耳をふさぐが、まったく意味をなさない。

『ねぇねぇ、そんなに逃げたければ逃げちゃえば~?』

ルイズの耳にまた自分の声・・・否、もう一人のルイズの声が聞こえる。

その声でまたルイズはもう一人のルイズとの空間だと気づく。

「な、何なのよ、今はアンタなんか相手してらんないのよ!」

『プププッ、ホントはいつまでもアタシと話していたいクセに。』

「こっちにはアンタと話すことなんかないのよ、とっとと消えなさい!!」

『へぇ~、いいの、そんなこと言って?元の世界に戻ったら・・・』

もう一人のルイズが背を向けるとルイズはテントの中に戻される。

「(今回はヤケに素直ね・・・)」

『グオオオォォォ!!!』

「キャアアアァァァ!!!」

テントを力任せに剥いだデスクローが、右手に持った才人の亡骸を目の前でバリバリと丸かじりし、次とばかりにルイズにそのカギ爪を突き立てた。

「イタイ・・・イタイよぉ・・・?」

生きたまま踊り食いにされるかとルイズが思った瞬間、全てが消えて暗闇の中に戻された。

また、もう一人のルイズがケラケラと笑いながら出てくる。

『って、こんな風になっちゃうかも?ルイズの踊り食い、ウェ、マズそ!』

「あ、悪趣味ね!こんなときに!」

『じゃ、逃げちゃう?また逃げちゃうの?』

またもやもう一人のルイズは消え、テントの中に戻されるルイズ。

冷静に考えればまたもやもう一人のルイズが見せる幻覚で間違いないのだが、ルイズは恐怖にかられ、テントから飛び出した。

外では才人を踏み殺したデスクローが、ルイズの足音を聞いて彼女の方を向く。

そんなデスクローに背を向けて一目散に逃げるルイズだが、逃げ切れるわけもなく背中からカギ爪を突き刺され、地面に縫い付けられたところでまたもやもう一人のルイズの空間に戻された。

『今度はルイズの標本!銅貨一枚(1ドニエ)!!うわ、これは高い!!金貨百枚貰っ(マイナス100エキュー)てもいらないわ!』

もう一人のルイズはまたケラケラと笑う。

そんなもう一人のルイズに、破れたスカートに挟んでいた杖を抜いてルイズは魔法を唱えた。

「いい加減、うるさいのよ!!ファイア・ボール!!」

もう一人のルイズに炎の球が襲いかかる。ルイズにとって初めての成功だ。

『あ、危ないじゃないの!!』

「ふんだ!もう声だけなんだからとっとと消えなさい!!」

初めての成功で気が大きくなったルイズがそう言うと、今度こそ本当にテントの中に戻ってきた。

「(ファイア・ボール、これならあのドラゴンも怖くないわ!大魔法使いルイズ様の伝説はここから始まるのよ!そうね、自伝の一番最初は、『私の初めての魔法は異世界のドラゴンとの戦いの中であった。その世界では『デスクロー』と呼ばれているドラゴンを、私はファイア・ボールのただ一発で焼き尽くした!!』これで決まりね!!)」

先ほどまでの弱気はどこへやら、そしてたかだか火の魔法で最も簡単な『ファイア・ボール』に成功したくらいでこの喜びようもどうかと思うが、ルイズは勇んでテントから飛び出した。

 

 ルイズがテントから飛び出す少し前、才人はデスクローの背後、すなわち風上に回り込み、わざと姿をさらそうとしていた。

「(ったく、らしくねぇな。デスクローにこんな貧弱な装備で挑むなんてよぉ。それも不意討ちじゃねぇ、真っ向勝負を。)」

才人は心の中でそう自嘲する。

デスクロー相手に戦うならば、今の彼の装備では自殺志願もいいところである。

だが、そんな装備でも、『奇襲』ならば勝機があったが、『真っ向勝負』ならもはや博打である。

なぜ奇襲をしないかというと、ルイズのためである。

もし奇襲で殺しきれなければ、デスクローはルイズを捕食するために襲ってそのまま逃げる可能性がある。

しかし、才人自身をマークさせればデスクローは才人を先に捕食し、そのすきにルイズが逃げれば、運が良ければデスクローの縄張りから出ることができるかもしれない。

彼はルイズを見た時から自分が普段、取らないような行動ばかり取っていることに戸惑いを覚えていた。

まず、普段の彼ならば汚染された水を飲もうとする人間を止めたりしない。

そして、行きずりの人間に水や食料を分けたりしないし、寝床を提供したりもしない。

何らかの見返りが期待できるならばその限りではないが、ルイズはほぼ間違いなくスカンピン。

女としても、才人の好みは、『胸はスイカのように大きく、背は自分より少し低いくらい、腰はギュッとくびれ、尻は安産型、大人びた顔立ちに浅黒い肌の、蒸せ返るような色気を醸し出す女。明るい赤毛のストレートヘアなら最高。』といったもので、ルイズのように『10歳の子供と間違えるような幼児体型、頭二つも低い身長、生っ白い肌に幼顔』な女は完全に射程外である。

余談だが、才人の好みどおりの女となると、才人はまったく面識がないがツェルプストーだ。

そして労働力としても、ルイズの細い腕や足では大したことができるはずもない。

さらに言えば、不審な行動を取っていた相手に銃を向けて、引き金を引くのをためらうこともないし、デスクローに追われている相手を危険をおかしてまで助けたりしない。

「(どうかしてるぜェ、まったくよぉ。)オラ、トカゲ野郎!こっちだ!!」

才人は短い方の銃、44口径マグナムを空に向かって三発撃った。

この銃はかつて、州の外にあったと言われている『米の国』で狩猟に使われていた銃を州でコピー生産したものである。

狩猟用であるこの銃だが、所詮はピストルであるため、全高10メートルを越えるデスクローには力不足だ。

「グオオオォォォ!!!」

「オメェも殺る気だな、行くぜ・・・」

才人はマグナムを右脇の鞄・・・ホルスタにしまい、長い銃に持ち変えた。

こちらの銃はショットガンだ。

こちらも『米の国』で使われていたもののコピー品であるのだが、これは特別だ。

『米の国』の軍隊が使っていたもので、使いこなせればドラム型弾倉に込められた散弾100発が尽きるまでフルオートで散弾をばらまき続けるという凶悪な銃である。

才人はこのショットガンをもって、デスクローに股抜きするように滑り込み、片足に散弾の嵐を浴びせかけて吹き飛ばそうと考えたのだ。

デスクローの武器は相対するとカギ爪や牙と考えがちであるが、一番の武器は、かつて地上を支配したという、太古の大型ハチュウ類のように二本の足で縦横無尽に飛び回る機動力である。

これを破るには、どちらか片方でも足を潰せばよい。

もっとも、『できれば』の話であるが。

才人はそんな危険な博打に打って出るため、体を前傾させ、デスクローに飛び込むタイミングをうかがっていると、沈黙を切り裂くように甲高い声が響いた。

「ファイア・ボール!!」

ルイズだ。

初めての魔法の成功に自信をつけて、デスクローにファイア・ボールを放ったのだが、いつものように失敗魔法の爆発がデスクローの上で起こっただけであった。

「ど、どうして・・・さっきは・・・」

「グルルルルル・・・」

唸りながらデスクローがルイズの方に振り向く。

「ルイズ、逃げろ!!」

才人はショットガンをデスクローの背後から撃つが、デスクローの背中のうろこは非常に硬く、遠距離から散弾を撃っても効果がない。

「ファイア・ボール、ファイア・ボール!!ファイア・ボール!!!」

ルイズはファイア・ボールを何度も唱えるが、全て失敗し、デスクローの頭上で爆発が起こるだけである。

しかし、それを見た才人はあることに気付き、ルイズに新たな指示を出した。

「ルイズ、そのまま続けてくれ!!」

「え?ええ!!ファイア・ボール!!ファイア・ボール!!ファイア・ボール!!!」

デスクローはルイズの失敗魔法を嫌うようにフラフラと千鳥足で避けようとする。

そんなデスクローの後ろから才人は股の間に滑り込み、滑り抜けながらデスクローの腹に、弾倉に残っていた散弾を全て叩き込んだ。

「グギャアアアァァァ!!!」

断末魔の叫びをあげたデスクローは、ズシンと、力なく地面に倒れる。

才人は万一のため、マグナムを出してデスクローの頭に狙いを定めながら、確実に死んでいるかを確認する。

そんな才人にルイズは恐る恐る近づいた。

「ね、ねえ、それ、大丈夫なの?」

「あぁ、間違いねぇ、死んでるぜ。」

才人がそう言うと、ルイズはヘナヘナと、才人に抱きつくようにしなだれかかった。

「よかった・・・よかったぁ・・・」

緊張の糸が切れたルイズは何度も繰り返す。

「おぉ、よしよし、怖かったな。」

「・・・こどもあつかいしないでよ・・・」

才人が慰めると、ルイズは鼻声でそう返した。

「それにしても、すごいわね。こんな怪物、一人で退治しちゃうなんて・・・」

ルイズは落ち着きを取り戻すと、才人にそう言って称えた。

しかし才人は首を横に振る。

「何言ってんだ、一人じゃなかったろ?」

そう言った才人はルイズを指差す。

「え?でも・・・」

ルイズは自分の失敗魔法などまったくデスクローにダメージを与えていないと答えようとしたが、それをさえぎるように才人は続ける。

「オマエの爆発させるヤツ、たしかに当たっちゃいなかったけどよ、衝撃で脳を揺すったんだよ。爆音は耳を潰したみてぇだし、爆煙を吸い込んで鼻もきかなくなってたろうよ。とどめに、コイツは目があんまりよくねぇらしいんだが、それも爆炎で見えなくなってたと思うぜ。コイツは俺が腹をぶち抜くまで、揺れる白いモヤの中だったわけだ。」

才人はルイズの失敗魔法がデスクローに与えた見えないダメージを説明し、

「オマエがこうしなけりゃ、俺は命張った大博打しなけらゃならなかったんだから、感謝してるぜ。ありがとよ。」

と、つけ加えた。それを聞いたルイズは大きな目に大粒の涙を浮かべ、才人の胸に抱きついてワンワンと泣き始めた。

「ど、どうした?」

ルイズが泣き始めた理由がわからず才人がそう聞くと、ルイズは涙ながらに答える。

「グスッ・・・ホントはね、あの爆発してるの、ただの失敗なのよ・・・わたしがいたトコじゃ、いっつも成功率がゼロだから『ゼロのルイズ』ってバカにされて・・・でも、こんなわたしでも役に立てて・・・サイトを助けられて・・・」

才人はそんなルイズの頭を優しく撫で続けた。

 

デスクローの襲撃から一夜が明け、朝陽が山から顔を出すと、ルイズは目を覚ました。

彼女には寝袋に入った記憶がない。

しかし、自分の体は寝袋にくるまれ、しっかりファスナーも閉められている。

「~~~!!!」

最後の記憶を思い出したルイズは顔を真っ赤にする。

才人の胸に抱きついて、最後は泣き疲れてそのまま眠ってしまったのである。

寝袋の中でバタバタと暴れるルイズに、テントの外から声がかけられる。

「起きたか?早くしねぇと朝飯、冷えちまうぞ?」

そう言われてルイズは、才人の顔を見たくない一心で寝袋の中に籠城を決め込もうとするが、肉を焼く匂いと、嗅いだこともないスープの香りに負け、渋々寝袋を出て、テントから顔を出した。

才人の顔を見ると、カアッとルイズの頬が紅潮する。

しかし才人は何食わぬ顔で、ルイズに昨日の粥に入っていた、『麦に似た穀物』を炊いたものと、肉と野菜が浮かんだ茶色いスープ、そして串焼きの肉と野菜を出した。

ルイズが才人とたき火を囲んで彼の真似をして座ろうとしたが、あぐらをかくような形になり、恥ずかしがってももを寄せて座る。

そして、朝食を食べようとして、問題が起こった。

才人がルイズに用意した食器は昨日のスプーンのようなものでなく、二本の棒であったのだ。

見たところ急作りらしく、削ったあとが新しい。

「どうした?もしかしてハシ、使えねぇのか?」

「え、ええ、わたしのいたところにはなかったから・・・」

「仕方ねぇな、昨日のレンゲ、洗っちゃいるから使うか?」

才人はそう言って、乾かしていた食器から、昨日のスプーンを取った。

「ま、こっちで生活するなら、ヘタでも少しずつ覚えた方がいいぜ?」

スプーン・・・レンゲを渡しながら才人がそう言うと、ルイズは恥ずかしそうにうなずいた。

「(多分、トリステインとマナーが全然違うのね・・・見ながら覚えないと・・・)」

そう考えてルイズは才人のしぐさを見ながら食事をする。

そうすると、いろいろと違いがあるのに気づかされる。

たとえば、トリステインでは皿、器を手に持ったりしないが、州では持って、こぼさないようにする。

これは、椅子に座る習慣がないか、座る時と座らない時があるからだろうとルイズは推察した。

何より驚いたのは、スープを飲むのに、器に口を付けて直接飲むことだ。

「(これなんか、トリステインでやったら怒られるなんてものじゃないわよ。)」

そんなことを考えながらルイズは真似をしてスープを飲む。

「ん?どーした?」

ルイズがジッと才人を見ているのに気付き、才人がそう尋ねると、ルイズはあたふたして理由を考える。

「その・・・そうよ、アレ!あの干してるの、何かしら?」

ルイズは、天日干しにされている生肉を指してそう言った。

彼女にもそれが干し肉であることはわかったが、何の肉かはわからない。

才人もそう考え、肉の種類を答える。

「あぁ、昨日のデスクローだよ。多かったから干し肉にしてんだ。」

「・・・アレって食べられるの?」

「現に食ってんじゃねぇか、今。」

「コレ!?」

才人は、ルイズが手に持っているスープの椀を指す。

中に浮いている肉は、デスクローの肉であったのだ。

ちなみに、串焼きの肉もデスクローの肉だ。

「オメェのおかげで狩れたデスクローだ。どんどん食え。ただでさえガキみてぇな身体してんだからよ。」

ルイズは今まで食べていたのが『人を喰った猛獣』であると考えて、間接的に人を食べているような気がして食が止まる。

「・・・人を喰った猛獣を食うってのはな、喰われた連中を弔う意味もあるんだ。イヤかもしんねぇけどしっかり食え。」

「・・・わかったわよ。」

ルイズはそう言ってスープを一気飲みし、串焼きもガツガツと食べ始める。

「その調子だ、たくさん食わねぇとオマエ、

ガキのままババァになっちまうかもしんねぇから・・・」

才人がそう言った瞬間、ルイズは才人の分も引ったくって串焼きを食べ始める。

「ハグハグハグハグ!!!!」

「コラ、テメ!俺のだぞ、それ!!!」

「ムシャムシャ、ゴックン!!うっさいわねぇ、アンタそんなにおっきいんだから、それ以上大きくなる必要ないでしょ!?だったらわたしによこしなさいよ、こんなにいたいけなわたしがこのままじゃ、かわいそうでしょ?」

「自分で言うな、自分で!!」

ここから、才人とルイズは争うように串焼きを取り合いながら食べ、それが終わると二人で食器を洗って片付け、キャンプを守る罠を修理し、もう一夜過ごして完成した干し肉を回収してキャンプを片付けた。

「なぁ、ルイズ。もう体は平気だと思うけど、行くあてはあんのか?」

テントも全て片付け終わると、才人はルイズにそう尋ねる。

「ここまで歩いて来たみたいに、道沿いに歩いて町を探すつもりよ。」

つまり、行くあてはないと言っているのと同じだ。

「・・・そっか、ならよ、一緒に来ねぇか?」

「え?でも、いいの?」

「ああ、俺の町に行くからよ、あてもなく歩きまわるよりはずっといいと思うぜ。」

ルイズは少し考え、首を縦に振った。

「そうか、なら、来いよ。」

この時ルイズは、この世界に来て初めて笑顔を見せたのであった。




はい、才人が出てきた時点でもう答え出たようなものですが、正解は次回。

平賀 才人(17)
ゼロの使い魔の主人公ですが、原作のように貧相な坊や(世紀末視点)ではありません。
身長190㎝、体重100㎏、バスト130㎝、ウエスト90㎝、ヒップ105㎝、首回り45㎝の立派な世紀末人です。
彼の『ミブロウ団』がミニッツメンみたいな扱いになります。
主な武器
フルオートショットガン、44マグナム。


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