リリカルなのは×BLAZBLUE 無印編   作:シャケ@シャム猫亭

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VS 吸血鬼

 最初に我に返ったのは、アリサだった。

 

 

 

「あ、アンタ! 何で来たの!?」

「目の前で拐われやがって。ほっといたら目覚めが悪いじゃねえか、この馬鹿が」

「ば、馬鹿ですってぇ!!」

「何度でも言ってやるよ、馬鹿、バァーカ。悔しかったらそこから抜け出してみるんだな、馬鹿が」

「キー! バカバカ言うな!!」

 

 

 

 まるで子供の口喧嘩。

 いや、片方は子供なのだから間違っていないのだが。

 

 

 

「貴様、何者だ?」

「何者、ねぇ……「死神」とでも名乗れば良いのか?」

「はっ、下等生物の分際で紛いなりにも神を名乗るとは、大きく出たな」

「どーでもいいだろ、そんなこと。それより、さっさとそいつらを開放しろよ」

 

 

 

 心底めんどくさそうにラグナは言う。

 先程の言葉がなければ、助けに来たとは信じられないような態度だ。

 

 

 

「ちょ、ちょっとアンタ、もっとやる気出しなさいよ!」

「黙れ馬鹿」

「ま、また馬鹿って言った!!」

「俺は一応テメェらに借りがあるから、助けに来ただけだ。白馬の王子じゃねえんだよ。わかったら黙って見てろ馬鹿」

「―っ!!」

 

 

 

 アリサは言葉にならないほどなのか、顔を真っ赤に怒らせ、プルプル震えている。

 

 

 

「下等生物が! 吸血鬼たるこの僕と自動人形を同時に相手して勝てると思ってるのか!!」

 

 

 

 氷村の吐いた言葉に、それまで面倒くさそうにしていたラグナの態度が急変する。

 

 

 

「おい、テメェ。俺の聞き間違えじゃなきゃ、吸血鬼って言ったか?」

「ふん、そうだ。今更怖気づいたのかい?」

「いや、聞きたいことが出来た。テメェが吸血鬼ってなら、あの性悪ウサギの居場所も知ってるんだろ? 答えろ、アイツは、レイチェル=アルカードはどこに居る?」

「…………レイチェルという名前に聞き覚えはないが、真祖の血族であるアルカードの名を人間風情が口にするな。万死に値する!」

「上等だ。てめえをぶっ飛ばして、全部吐かせてやる!!」

 

 

 

ラグナは腰の大剣を左手で逆手に握り、腰を落とす。

 

 

 

 

 

「RAGNA=THE=BLOODEDGE」 VERSUS 「HIMURO=VAMPIRE」

 

 

 

 THE WHEEL OF FATE IS TURNING

 

 

 

 ACTION

 

 

 

 

 

「アイツを殺せ!」

 

 

 

 氷村の命令を聞いたメイドは、刀をラグナに振りかぶる。

 それを逆手の大剣で受け止めたラグナは、ガラ空きの胴へ蹴りを叩き込む。

 それによって、メイドが1メートルほど下がるが、メイドはまるで痛みなど感じていないかのようにすかさず刀を構える。

 そのため、ラグナは追撃を入れることができなかった。

 

 

 

「そういや、自動人形って言ってたな。道理で蹴った感触がおかしいわけだ」

「よそ見してイイのかい?」

 

 

 

 ラグナの死角から氷村が拳を振るうが、ラグナはそれを横に転がることで回避する。

 氷村の一撃はコンクリートの床に突き刺さった。

 

 

 

「っち、馬鹿力め!」

「褒め言葉として受け取っておくよ」

 

 

 

 ラグナが悪態を吐く間に、メイドの刀が下段から切り上げるようにして迫る。

 バックステップを踏むことでそれを回避し、お返しに大剣を横薙ぎに振るう。

 素早く戻された刀でそれを受け止めるが、ラグナの一撃は重く、刀が耐え切れずに折れる。

 それを無表情で見つめたメイドは何の未練もなく刀を捨て、太もものホルスターからナイフを抜き、両手に持つ。

 一方、氷村はラグナに上段蹴りを繰り出すが、ラグナは上体を逸らしてそれを回避。

 氷村の軸足に蹴りを入れて転ばせ追撃を入れようとするも、メイドが投げたナイフによって牽制され、大きく下がることになる。

 

 

 

「クソ、ちょこまかと!」

「っち、やっぱ二対一はウゼェ」

 

 

 

 ラグナは逆手に持っていた大剣を持ち替え、下段に構える。

 

 

 

「今度はこっちから行くぜ」

 

 

 

 ラグナは氷村に向かって走りだすが、すぐにその間にメイドが割り込んだ。

 だが、それこそがラグナの狙い。

 氷村とメイドが直線上に乗れば、両者を同時に見ることが出来、死角からの攻撃を注意しなくて済む。

 

 

 

「ウオリャ!」

 

 

 

 下段から振り上げた大剣はバックステップで躱される。

 ラグナはすぐに一歩踏み込み、返す刃で上段から振り下ろした。

 メイドは横にずれて避けようとしたが、間に合わなかった右腕が付け根から切り落とされる。

 だが、今度はそれで終わらない。

 

 

 

「インフェルノディバイダー!」

 

 

 

 ラグナが身体ごと飛び上がり、下方から大剣を振るう。

 メイドは何とか左手に握ったナイフを割り込ませるが、受け止めきれず身体が宙に浮く。

 防御した腕は弾かれ、続くアッパーによってメイドは完全に体勢を崩した。

 

 

 

「落ちろ!」

 

 

 

 宙でも体制を保っていたラグナが、容赦なく踵落としを決め、メイドは地面に叩きつけられる。

 そこへ止めとばかりに大剣を持ったラグナが落ちてくる。

 

 

 

「ベリアルエッジ!」

 

 

 

 大剣はメイドの胸を貫き、地面へ結いつけた。

 メイドはガクガクと妙な動きを数秒だけ見せたが、すぐに動かなくなった。

 

 

 

「さて、後はテメェだけだ」

「こ、この、下等生物がああああぁぁぁ!!!」

 

 

 

 氷村は激昂し、ラグナへと飛びかかった。

 しかし、力が強いだけで大した戦闘訓練も積んでない氷村の攻撃は、ラグナに取っては目をつぶってでもよけられる。

 繰り出された拳をヒョイと避けると、その腕を掴み一本背負いの要領で投げ、床に叩きつけた。

 そのまま氷村を仰向けにし、関節を決める。

 氷村は力ずくで抜け出そうとするが、力で外れないのが関節技。

 力を込めるほど、氷村に痛みとして返ってきた。

 

 

 

「勝負あったな」

「く、クソがああっ!!」

「………はぁ。同じ人形使いでも、こうも違うとはな」

 

 

 

 カグツチで遭遇した少年の人形使い。

 まだ年端も行かないのに、氷村の何倍も手強かった。

 正直、あれを基準にしていたから、拍子抜けもいい所だった。

 

 

 

「さて、色々吐いてもらうぞ」

 




カラミティトリガーのラグナに「ベリアルエッジ」は搭載されてませんが、そこはご愛敬ということで。ついでに、VS 黒服男での「まだお」もですね。

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