if~刹那君は操縦者~   作:猫舌

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第3話

刹那サイド

 

 

ベッドに腰掛けて荷解きをする僕の目の前で水色の髪の女性が正座で母さんに説教されている。先程僕にセクハラを仕掛けたこの人はIS学園生徒会長《更識 楯無》さんであった。

IS学園の公式サイトとかパンフレットに映っていたから覚えている。そんな生徒会長様が一方的に怒られてる光景は哀れの一言だった。

 

 

「・・・次やったら、分かってるわね?」

 

「はい!すみませんでした!」

 

「よろしい。そう言う事はせめてお付き合いしてからする様に」

 

「お母様・・・」

 

「貴女にお母さんと呼ばれる筋合いはない!」

 

「え、これコントか何か?」

 

『多分本人達は真面目です』

 

 

セシアの言葉に苦笑しながら母さんに話し掛ける。

 

 

「助けてもらった僕が言うのもあれだけど、どうして此処に?」

 

「偶にこの学園の人達の健康診断があるの。それで今日は来ていたわけ。まさか入学初日で《刹那きゅんコール》が鳴るとは思わなかったわ」

 

「なにその恥ずかしい名前!?」

 

 

真剣な表情で語る母さんにツッコミを入れる。とんでもないネーミングセンスだこの人は・・・。

やがて母さんは帰って行った。今日も父さんにソーンウィップをするのだろうか。それから僕は更識会長を座らせて話をする。

 

 

「えっと。つまり会長は僕の警護をしてくれるんですよね」

 

「そうよ。織斑君はブリュンヒルデって言う大きな後ろ盾がある。だけど貴方の方はイリアステルのテストパイロットだけじゃ効果が薄いの」

 

「中々の大企業なんですけどね」

 

「それでも自分の事を過大評価してる女性達は多いから、何が起こるか分からないの。だから、私に依頼が来たのよ。これでもお姉さんは強いんだから♪」

 

「生徒会長は学園最強って話ですか?」

 

 

ウインクしてきた会長に言うと、目を見開いた。

 

 

「知ってたの?」

 

「自分の通う学校の事を調べるのは当たり前だと思うのですが」

 

「勤勉で何よりよ」

 

 

そう言って何処からともなく取り出した扇子を開く。そこには《見事!》と書かれていた。その内プラカードで会話とかするんじゃないだろうかこの人は。

つまりはこの人が護衛として僕と同室になる、と。ああ、計画進められないじゃないか。仕方ない。自分の身の安全を優先しよう。

 

 

「それじゃあ、二人で過ごす上でのルールを決めましょう」

 

「賛成よ。お互いに仲よくしたいもの」

 

「はい。ではまず入浴の時間帯を・・・」

 

 

ルールを取り決めた僕達は、入浴と食事を済ませて早々に寝る事にした。会長が夜中にソーンウィップの悪夢を見て魘されていたのは自業自得だと思う・・・。

 

 

~翌日~

 

 

僕達は起床して食堂へと朝食を摂りに行った。なんでもIS学園の生徒は基本無料らしい。僕は朝はガッツリ食べる派なのでラーメン大盛りと牛丼得盛り、カレーライス大盛りにチョコパフェを頼んで食べる。

文句無いボリュームと味に満足していると、僕を会長が見つめて来る。

 

 

「どうしたんですか?」

 

「随分幸せそうに食べるんだなって」

 

「だって美味しいんですもん。自然と笑顔になりますよ。はむっ・・・おいひ♪」

 

「ふふっ♪(可愛い)」

 

 

やがて食べ終わり、食後のお茶を楽しんでいるとのほほんさんと女子二人が僕達の前に来た。

 

 

「不動君おはよー。隣良いかな?」

 

「僕は構わないよ。会長はどうですか?」

 

「ええ、どうぞ。不動君のクラスメイトかしら?」

 

「は、はい!更識生徒会長!おはようございます!」

 

「おはようございます」

 

「おはよ~」

 

 

のほほんさんは相変わらずの挨拶だった。彼女達は朝食の載ったトレーを置いて座る。そして僕が食べた後を見て苦笑いを浮かべて言った。

 

 

「不動君って朝から食べるんだね」

 

「その分動くか頭使うから問題ないよ。それに朝ちゃんと摂らないと持たないんだ」

 

「ふーちゃん燃費悪いね~」

 

「否定は出来ないかな?」

 

 

のほほんさんの言葉に答える。その後、織斑が一緒に食べようとか言って来たけど無視して部屋に戻り、教室へ向かった。今日の放課後にアリーナの予約に行かなきゃ。この日も特に思う事はなく、放課後になった。

 

 

~放課後~

 

 

「それじゃあ明日の放課後ね」

 

「ありがとうございます」

 

 

授業が終わり、僕はISの機動訓練施設であるアリーナの予約に来ていた。本当は予約でいっぱいだったのだが、会長が使う予定だった枠を譲ってくれた。代わりに一緒に訓練する事が決定したが・・・。

その後入浴を済ませた僕は会長と夕食を摂りに食堂へ向かった。だが入り口で会いたくなかった奴と遭遇してしまった。

 

 

「お、刹那じゃないか。一緒に飯食おうぜ」

 

「却下。会長、行きましょう」

 

「え、ええ。また誘ってね~」

 

「おい待て貴様!」

 

「・・・何かな?」

 

 

織斑の横を通って進むと織斑の隣にいた女子《篠ノ之 箒》が怒りの形相でこちらを見ていた。

 

 

「態々一夏が誘っているのに無下にするとは何様だ!」

 

「別に誘ってくれなんて言ってないし。それに朝に彼が声を掛けた時に邪魔そうな視線を向けて来た君に言われたくない」

 

「な、なんだと!」

 

「図星だからって逆ギレしないでよ」

 

 

叫ぶ篠ノ之を無視して進む。これが束の妹か・・・思ってたより酷いな。

朝より少し量を減らして頼む。うん、美味い。こうしてこの日も終了し、時は翌日の放課後となった。

 

 

~翌日[アリーナ]~

 

 

複数あるアリーナの一つを貸し切り状態で使う僕と会長。彼女曰く、僕の機体を秘匿する為の特別処置だそうだ。ありがたい。

準備運動する僕の隣で会長は訓練機である《打鉄》を纏っていた。

IS学園には訓練機が二種類存在する。日本で製造されたIS《打鉄》とフランスで製造された《ラファール・リヴァイヴ》だ。僕はその二種類を改造した機体をテストパイロット用に使っている。

 

 

「それじゃあ、始めましょう」

 

「はい。来い、《ラファール》」

 

 

その声に手に持ったブレスレット。待機状態のラファールが光を放ち、装甲が展開される。装甲は青をベースとした装甲と首元に白のマフラー。背中には大きなバーニアが装着され、僕の目元を赤いゴーグルが守る。なにより印象的なものは巨大な拳の右腕だ。

これが僕と父さんのロマンとチートの結晶である《ラファール・リヴァイヴ・サモンズ》なのだ。

 

 

「それが、ラファール?」

 

「武装はたっぷり積んであるので油断すると負けますよ?」

 

「なら、早速試しましょうか!」

 

 

そう言って、会長は打鉄の装備である日本刀型ブレードで斬りつけて来た。僕はそれをギリギリで躱す。まずは様子見で行こう。

斬撃は止まるどころか勢いが増して来る。やがて斬撃からの突きが飛んで来たので、右腕の拳で思いっきり刃先を殴る。すると会長の手からブレードが飛んで後ろの地面に刺さった。

それを見て会長は両手を上げる。降参の合図だ。むぅ・・・手加減された。本当なら突きではなく別の動きをすれば戦いを長引かせる事が出来た筈なのに・・・。

 

 

「手加減しましたね?」

 

「したけど後悔してるわ。ISの防御がある筈なのに腕が痺れてるもの。どんな威力なのよその腕」

 

「これですか?これはこの形態の武装で《スクラップ・フィスト》って言うんです。本当ならパンチとかすると自分もダメージ負うんですけど、僕の機体は全てそれが無い様にしてます」

 

「な、なんてデタラメな・・・形態?」

 

「言ってませんでした?僕のラファールは特殊武装を換装させる事で複数の形態になれるんですよ。勿論、通常の武装も積んでますよ」

 

「ほ、他にもあるの?」

 

「全部は言えませんけど例えばこれとか」

 

 

僕は形態の内の一つを会長に渡す。そのデータに目を通すと冷や汗をかき始めていた。

 

 

「何このチート!?相手の武装を一定時間戦闘から除外する!?それって完全な武器殺しじゃない!」

 

「量子変換の技術を応用すればコレ位可能ですよ。僕の機体は相手の機体に干渉する武装が多いんです。ちゃんとIS委員会にデータも提出してますし問題はありません」

 

 

まあ、それが誰にでも造れる訳ではないけど。父さん曰く、この技術を扱えるのは僕と束、ブルーノさんに父さん自身だけらしい。後はイリアステルの前社長と前幹部の方々なら恐らくと言っていた。

そんな事を思い出す僕に会長は溜息を吐いてデータを返して来た。

 

 

「模擬戦の時は気を付けるのよ?」

 

「あ、模擬戦の時は打鉄の方使うんで」

 

「ファッ!?じゃあなんで今日ラファール使ったの!?」

 

「なんか気分じゃなかったんで」

 

「手加減したとはいえ、気分次第で使った機体に負けた・・・?」

 

「因みに打鉄のスペックデータです」

 

「もう止めて!私のライフはもう0よ!」

 

 

これ以上は耐えられないと言った表情で会長は目を逸らす。結局この日はラファールの形態を幾つか使って訓練を行った。

まさか途中で専用機を使ってくるとは思わなかったけど。結果?どうやら会長の本気に勝てた様です。

 

 

~数日後[模擬戦当日]~

 

 

やって来ました。模擬戦当日。僕と織斑はアリーナのピットで模擬戦の開始を待っていた。正確に言えば織斑は専用機が貰えるそうでそれの待ちだけど。

僕も適度に機体も動かしたし、やれる事はやった。後は相手がどんな戦い方かだ。と言っても既に機体の戦闘データは分かってるんだけどね。

 

 

----《ブルー・ティアーズ》

 

 

イギリス代表候補生セシリア・オルコットの専用機。

その性能は一言で言えば長距離用の機体。

兵装は巨大な特殊レーザーライフル《スターライトmkⅢ》。

そして機体名の由来となった装備である計6機のビット武器とミサイル武装である《ブルー・ティアーズ》だ。

恐ろしいのはビット兵器は理論上、ビームの軌道を操作するBT偏光制御射撃(フレキシブル)である。だが、彼女の戦闘記録を見る限りではどうやら使えない様だ。それが分かった時、少し拍子抜けしてしまったのは悪くないと思う。だってISの適正ランクがAだから可能条件満たしてる上に代表候補生なんて肩書き持ってるんだよ?普通出来ると思うじゃん?警戒するじゃん?いらなかったよ。

この怒りどうしてくれようかって友達にメール送ったら、

 

 

[知らん。そんな事は俺の管轄外だ]

 

 

って冷たい対応をもらいました。他の子は[かっとビングだぜ!]とか応援メールくれたのに。なので今日は八つ当たり感覚で勝とうと思います。そして織斑に代表の座を譲ろうと考えています。

勝者の言葉は絶対だから。それに面倒事は嫌いなんだ。

 

 

「なあ、箒」

 

「なんだ・・・」

 

「この一週間、剣道しかしてなかったんだけど・・・」

 

「・・・」

 

 

織斑の言葉に何故か関係者でない篠ノ之が目を逸らす。何故いるのかと聞いたらお前には関係無いだの、終いには自分は篠ノ之束の妹だ!などと七光りな発言をして来たので放っておく事にした。

なのに織斑は僕に声を掛けて来る。止めてくれ、君が話し掛けると自然と彼女の殺気が僕に来るんだ。

 

 

「刹那は一週間何してたんだ?」

 

「アリーナ借りて特訓してたよ。君は、いや何でもない」

 

「アリーナって借りれたのか!?」

 

「君は学園のパンフレットをもう一度読み直せ」

 

 

なんで織斑は学習しないの?逐一僕に聞くなよ。お願いだからある程度は自分で考えるか調べるかしてくれ。もうやだ僕疲れた。

そんな僕達の前に駆け足で山田先生が来た。

 

 

「お、織斑君織斑君!は、はぁ・・・はぁ・・・」

 

「や、山田先生落ち着いて。深呼吸深呼吸。吸ってー」

 

「すーh「はいそこでストップ!」っ!・・・!」

 

「なにやっとるか」

 

「いてっ!?」

 

 

先生を虐める織斑の背中に飛び蹴りを叩き込む。山田先生は自分が騙されていた事が分かると呼吸を再開して咳き込む。僕は未開封の水のペットボトルを開けて渡した。

 

 

「これ飲んで落ち着いてください」

 

「あ、ありがとう・・・んくっ、んくっ」

 

 

水を飲んで一息吐いた山田先生に聞く。

 

 

「それで、織斑に用があったんですよね」

 

「はっ!そうです!織斑君の専用機が届きました!」

 

「本当ですか!」

 

「そうだ。さっさと最適化処理(フィッティング)を済ませろ。これが織斑の専用機《白式》だ」

 

「白式・・・」

 

 

そこにはグレーに近い色をしたISがあった。それを見て僕は思う。

 

 

「(あれ白騎士じゃない?)」

 

 

見た目と色こそ若干違うが、そこにあったのは間違いなくあの白騎士だった。次の瞬間、僕の頭に声が流れ込んで来た。

 

 

----貴方が、不動刹那?

 

----君は、白騎士?

 

----うん。今は白式だけどね。

 

 

間違いなくそれは白騎士、今は白式のコアの人格だった。幼い少女の声は興味深そうな声で僕に話し掛けて来る。

ISを使える様になったその日から僕はセシア以外のISコアの人格の声が聞こえる様になった。僕の使用するセシア以外の二機も人格があるが、基本的には喋らない。傍から見れば無機物に話し掛ける痛い人か、ボーっとISを見る痛い人のどちらかしかないから気を使ってくれているのだ。

イリアステルの研究所に居た時は普通に会話していたので仲はそこそこ良いと思う。束はそれを聞いて、[ますますせっちゃんには夢を叶えてもらわないと!]と研究のペースを上げていた。放っておくと無理をするので定時にしっかりと仕事を切り上げさせています。今は研究所の地下にある寮で生活している。今度顔見せに行こう。

思い出しながら白式との会話を続ける。

 

 

----正直この子のお守とかダルい。

 

----いきなり愚痴ブッこんだよこの子。

 

----だってどう見たって馬鹿じゃない。

 

----そう言わずに守ってあげなよ。一応元相棒の弟なんだから

 

----君が良い。No.0が羨ましいな。

 

----僕はもう3機いるんで諦めてくれ。

 

----何時か、私を纏ってね。

 

----機会があれば考えるよ。

 

----よっし!

 

 

最後にガッツポーズでも取ってそうな声を出して白式の声は聞こえなくなった。気が付くと織斑が既に白式を身に纏っていたが最適化処理が終わっていないらしい。

すると織斑先生が僕に言った。

 

 

「不動、お前が先に出ろ」

 

「はいはい。精々織斑の最適化処理が終わるまでは持たせますよー」

 

 

----ちゃんと仕事しなさいな。

 

----はーい。

 

 

なんとも不抜けた返事なんだろうか。やる気のない白式にてんやわんやしている織斑を一瞥しながら出撃用のレーンに立つ。

そしてラファールでなくもう一つの機体である打鉄の改造版、《白鋼(しらがね)》を展開する。待機状態の時はラファールと組み合わさったブレスレットになっている。

頭の中で白鋼に話し掛ける。

 

 

----一応戦闘映像をセシアに送っておいて。

 

----了解した、主殿。

 

 

侍な感じの喋り方で僕に返事する白鋼。

ラファールと共に僕を支えてくれた仲間。僕は少し笑顔になりながら言う。

 

 

「モード、《エクシア》」

 

 

展開された装甲は青と白を基調としていて、右腕には大型の実体剣《GNソード》が装着される。剣を折りたたんでいる状態ではライフルを発射する事も可能だ。

そして両腰に装備された二本の実体剣である《GNロングブレイド》と《GNショートブレイド》は極太なワイヤーでも一刀両断できる。

そして両肩後部と腰背部に装備された《GNビームサーベル》と《GNビームダガー》も問題無く機能する。

そしてさりげなく手首のパーツからは《GNバルカン》が発射される様に設計されている。

最後に左腕に《GNシールド》が装備される。

・・・うん!相変わらずのガンダムだね!しかも全身装甲じゃないあたり、嫌いじゃない。流石に俺がガンダムだ!なんて言うつもりは無いし。

GN粒子もあるしこの機体普通にアカンよね。使うけど。

そんな事を考えながら目の前に視線を向けて出撃する。

 

 

「不動刹那、白鋼。出撃します」

 

 

GN粒子を吹かして、僕はアリーナ内の上空へと飛び立った。

その先にはブルー・ティアーズを纏ったオルコットさんが見下す様な目で見ていた。

 

 

「それが貴方の実験機ですか?もはや打鉄の面影がありませんんわね」

 

「そこは気にしないでくれると嬉しいな」

 

「・・・不動さん。貴方に最後のチャンスを上げますわ」

 

 

そう言ってオルコットさんは偉そうに語り始めた。

 

 

「今なら私に頭を下げればこの模擬戦、無かった事にして差し上げますわよ」

 

「冗談。わざわざ勝てる勝負を捨てる気は無いよ。君こそ今の内に降参したら?」

 

「ありえませんわね。貴方が負けて奴隷になる未来しかありませんわ」

 

「それこそありえない。そこまで言うのなら、叩きのめされる覚悟はしておいてよ」

 

「どこまで私を馬鹿にしますの!?」

 

「そう思うのなら僕を倒してみな」

 

「・・・そうですか。なら」

 

 

僕の言葉に怒り心頭なオルコットさんは兵装であるスターライトmkⅢを構え、試合の合図が鳴った瞬間、

 

 

「おさらばですわね!」

 

「遅い」

 

「なっ!?」

 

 

自信満々に撃って来た射撃を軽く躱す。うん、正常に動けるね。僕はそのままオルコットさんへと接近する。

 

 

「エクシア、目標を駆逐する」

 

「させませんわ!」

 

 

く~っ!言いたかったんだこの台詞。折角同じ名前だからこのモード造ったら言おうと思ってたこの言葉。ああ・・・満足したぜ。

 

 

----そんな事で、主殿に満足されてたまるか。

 

----冗談だよ。

 

 

白鋼に言葉を返しながら進むと、オルコットさんの機体から4機のビットが射出され、そこからビームが放たれる。あれがブルー・ティアーズのビーム兵器。

でも、曲げられないのなら怖くない。

 

 

「よっと!」

 

「くっ!ちょこまかと・・・!」

 

「そこっ!」

 

「ビットが!?」

 

 

ビットを一つライフルで落とし、オルコットさんへ追加でビームを放つ。オルコットさんは大きな弱点がある。

彼女はビットを使う時、操作に集中してその場から動けないのだ。それに射撃が正確すぎて逆に次に来る場所が読めてしまう。良くも悪くも教科書通りと言った所だ。

僕は射撃を避けながらライフルで撃ち落としたり、GNソードで斬り裂く。

 

 

「なんで当たらないんですの!?」

 

「集中力無さ過ぎ。もっとよく狙いを定めて」

 

「お黙りなさい!」

 

「・・・仕方ない」

 

 

僕は残りのビットの射撃を正面から突っ込んでビームが当たる前に通過する。白鋼の性能を舐めないでもらいたい。

そのままオルコットさんに接近する。そしてオルコットさんはドヤ顔で腰にある残り2機のミサイルを放つ。

 

 

「お生憎様。ティアーズは6機ありましてよ!」

 

「知ってるさ!」

 

「そんな・・・きゃっ!?」

 

 

ミサイルを構えたタイミングで僕も急停止し、腰背部のGNダガーを投擲する。ちょうどミサイルが発射されたタイミングでダガーが直撃して爆発を起こす。そのまま爆煙に突撃してオルコットさんの前へ現れる。そしてGNソードで斬り付けた。

 

 

「きゃあああああああっ!」

 

「おっと、まだ残ってた」

 

 

オルコットさんの集中力が切れた事によってただの的と化した残りのビットを撃ち落とす。これでオルコットさんの武器は手元のレーザーライフルのみ。

僕はゆっくりとしながらライフルでオルコットさんをジワジワと追い詰める。やがてオルコットさんのレーザーライフルに当たり、彼女は完全に丸腰になった。

 

 

「こんな・・・何故、男なんかに」

 

「君が偏見持ち過ぎなだけだ。僕みたいな奴なんてたくさんいるさ」

 

「負けませんわ・・・絶対に。私は・・・!」

 

「悪いけど、これでゲームセットだ!」

 

 

GNソードを構えて再度正面から接近する。そして刃が届こうとした距離で、

 

 

「《インターセプター》!」

 

 

申し訳ない程度に装備されていたらしい接近戦用のショートブレードを出現させる。ただ慣れていないのか、口に出して装備すると言う初心者レベルの動きだった。

だがこの状態なら僕は勢いよくショートブレードに当たって自滅だろう。でも、それは普通のISを使っていたらの話だ。

白鋼のこの形態の推進力なら・・・問題無い。

僕はショートブレードが当たる寸前でターンする。そのままオルコットさんの背後に回ってGNソードを横に一閃して相手のSE(シールドエネルギー)を0にする。

 

 

----勝者!不動刹那!

 

 

そして僕の勝利を告げる音声がアリーナに響き渡った。僕はそれを耳にしてからGNソードを収納してゆっくりと地面へ落ちて行くオルコットさんの腕を掴む。心ここにあらずが顔をで堕ちて行く彼女は放っておけば地面に激突しただろう。

自分が掴まれている事に気が付いたオルコットさんは虚ろな目で僕を見上げる。

 

 

「私は・・・負けましたのね」

 

「そうだね。言ってしまえば僕は無傷だ」

 

「圧倒的な差でしたわ」

 

「僕だって死ぬ気で訓練して来たんだ。それに僕はイリアステルの看板を背負ってるからね。早々負けたりはしないさ」

 

「まさか男に負ける日が来るとは思ってもみませんでした」

 

「君は物事を狭く見過ぎだ。一度自分の考えを忘れてみなよ」

 

「忘れて、ですの」

 

「そうさ。君が思っている程・・・」

 

 

地面に着陸して僕を見上げるオルコットさんに笑いながら言う。

 

 

「世界はまだ腐っちゃいない」

 

「・・・そう、ですわね」

 

「うんうん。分かってもらえてなによりだ。あ、次の試合大丈夫?装備全破壊しちゃったけど」

 

「予備の装備はありますから大丈夫ですわ」

 

 

そう言ってオルコットさんは立ち上がって僕に言った。

 

 

「勝者の言う事に従って、少しだけ自分の考えを見直してみますわ」

 

「それがいい。それじゃあ、次の試合頑張ってね」

 

「はい。不動さんも、ご健闘を祈っています」

 

 

そう言ってオルコットさんはピットへと歩いて行った。僕も飛行してピットに戻る。

白鋼を解除して、待機室へ戻ると織斑が怒った顔で僕の胸倉を掴んだ。

 

 

「お前、なんであんな事したんだよ!」

 

「・・・はぁ?」

 

 

また面倒事になりそうだ。白式、なんとかしなよ。

 

 

----刹那が私を使ってくれるなら考える。

 

 

ダメみたいですね(諦め

 

 

刹那サイド終了

 




刹那の機体に関しては、


《ラファール・リヴァイヴ・サモンズ》:遊戯王系

白鋼(しらがね)》:ガンダム系

《セシア・アウェア》:エクストリーム系


といった感じにしています。
戦闘描写難しいな・・・!

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