まさか俺の推しメイドがこんな近くにいたとは   作:ハイネ1021

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この作品は完全オリジナル作品です。
この作品に登場する学校・人物は全て架空のものです。
それではお楽しみ下さい。


ご帰宅1回目!

人は辛い時あるいは嫌なことがあったとき何かに縋りたくなったり、どこか拠り所を見つけたり、癒しや安らぎを求めたくなるものだ。

 

その対象は人それぞれ違うだろう。

 

しかし大抵の人は各々趣味に落ち着くと思う。

まぁ自分の好きなものには我を忘れるほど夢中になれたり、そればかりに没頭できるしな。

 

なによりありのままの自分でいられる。

 

さて、俺はこんなことを語って何がいいたいのか。

 

結論を言おう。

 

俺が好きなものはただ一つ。

 

美少女。それに尽きる。

 

そして、ーーー

 

 

 

 

 

「「お帰りなさいませ、ご主人様♡」」

 

 

 

 

 

ーー俺は今、こうして

メイドカフェに通いつめる日々を送っていた。

 

 

 

 

 

 

まさか俺の推しのメイドがこんな近くにいたとは(ご帰宅1回目)

 

 

 

 

 

 

俺の名前は真坂直人。

都内の隣見川高校に通う高校2年生である。

 

高2と言っても、今日が新学期なので実質なりたてではあるが。

 

成績は学年10位、スポーツテストではA評価、人望も…まぁそこそこよしとみた。

学校生活はまぁ人並みには充実してると言ってもいい。

 

しかし、

そんな俺にも苦手なものがある。

 

それは、式も終わりクラス替えも済んでやっと落ち着けたかと思ったその時に目にした。

 

 

男子生徒1「お、進級早々のお前の髪型イケテネ?!ウェーイ!!」

 

 

男子生徒2「だろぅ?これで瀬川さんにアタックしちゃおーかな。」

 

 

女子生徒1「えーナニソレウケル〜www」

 

 

男子生徒3「おめーちょーし乗んなよぉ〜、お前があの超絶美少女の瀬川にokもらえるわけねぇーだろぅ?」

 

 

男子高校生2「と思うじゃん??こーゆーのはノリが大事なんだって!」

 

 

そう。俺はこういったノリをした奴ら、いわゆる「ウェイ系男子」、

「ウェイ系女子」が大の苦手である。

 

 

彼らのノリには正直ついていけない。

ていうより意思疎通を図れそうにない。

 

 

なにしろ彼らには自分の確固たる意志というものを持ってないように思える。

 

 

別に考えは人それぞれだし否定する気はないが、ただ人に流されていき、

いかにもミーハー臭が漂うような場の雰囲気が俺にはどうも気に食わなかった。

 

一言で言えばアイデンティティ、

つまり彼らには「自分らしさ」というものが全くと言ってもいいほど見受けられないのだ。

 

特に趣味に関してはそれが顕著だ。

 

前に一度、彼らのような人間と俺に

こんな出来事があった。

 

ーーーー。

 

確かあれは中学3年の頃。

オタクと言われるのにちょっと慣れてきた頃のことだ。

当時俺はちょっと萌え要素の強いアニメに俺はハマっていた。

そのアニメキャラの柄のした筆記用具を使ってたのを見られたせいか、ある男子生徒からこんなことを言われた。

 

男子「お前さ、なんでそんなアニメみてんの?」

 

主人公「なんでって…、好きだからに

決まってるでしょ。

 

男子「え、マジかよ…。

ちょっとないわー…。」

 

彼は引き気味でそう言った。

その時彼には腹が立った。

そのアニメを1ミリ足りとも知らないくせにそんな発言をすることが。

 

しかしなんとか気持ちを抑えて俺はこう問いた。

 

主人公「悪かったな。

じゃあ聞くけど、そういう君こそどうしてそんな歌手が好きなのさ。」

 

男子「そんなの決まってるだろ。

流行りだよ。流行に乗れなきゃみんなの話題についていけないだろ?

そんなの悲し過ぎるじゃん。」

 

飽きれた。

それを聞いた俺はこいつに言葉を返すのも馬鹿馬鹿しくなった。

 

 

ーーー。

 

と、言った具合だ。

それ以来この種の人間とは必要な話以外は口を開くこともなければ、聞く耳も持たなくなった。

 

その点、彼らが馬鹿にしてるオタクという人種はなかなか侮れないものだ。

 

彼らは自分の好きなものにはとことん追求しその愛する心の深さと言ったら計り知れないのだ。

 

もちろんその度合いはライトからヘビーな人まで、人によっても違うわけだが、彼らが夢中になってる姿を見てると俺はどことなく安心する。

 

 

時にそれが過剰になっていることがたまに傷で、世間の目はそれを見て

「オタク=気持ち悪い」

なんて構造が成り立ってしまっているのは事実だ。

実際、数年前までの俺もその一人だったしな。

 

 

しかし蓋を開けてみると、

彼らはみんなそれぞれ個性豊かでいい人たちばかりだった。

みんなが一等星のように輝きを放っているようにみえた。

 

 

そして何より自分の好きなものを好きだと表現できる。それが例えさらにその「好き」を共有することができる。

こんなに素晴らしい世界があると知った時は感動したよ。

 

 

 

…おっと失礼。

これ以上話を長くするとキリがないな。これは俺の悪い癖だから直さないとな。

 

 

俺はすることもなかったので、

彼らの話の続きに耳を傾けてみた。

 

 

男子生徒3「いやいや、お前じゃ無理だw何たって、あのハイスペックオタク人間の真坂でさえもこの前振られたって噂だぜ?」

 

 

女子生徒1「あははっ。ナニソレウケル~!」

 

 

いやいやウケないから全然。

てか黙って聞いてれば人様の噂話かよ…。

 

 

そう、俺は去年の確か秋くらい、同じクラスメイトだった瀬川奈緒に告白した。

結果は見事に振られたがな。

まぁ当然と言えば当然だな。

俺みたいな2〜3次元の美少女が大好きな女たらしなオタクにOKの返事をくれる方がおかしい。

 

しかしそれが未だに噂になっていようとは…。ま、気にしないけどね。

 

それより気にくわないのが、

 

男子生徒1「しっかしあのオタク真坂がまさかね〜。真坂だけにまっさかー、なんつってwあはははっ!」

 

男子生徒2「おいおい、真坂に聞こえてるぞ〜ww」

 

男子生徒3「まっさかぁーあははっ!」

 

女子生徒1「なにそれチョーウケルンデスケド~!」

 

いやいや、全っ然ウケないんですけど。

てか人を馬鹿にするのもいい加減にしろよ?

お前ら人として恥ずかしくないのか?

 

 

とうとう俺の怒りも頂点に達し、席に立ち上がろうとした。

 

 

その時だった。

 

 

???「あなたたち!事情はよくわからないのだけど、他人のことそんな風にからかって楽しいわけ?」

 

男子生徒1「げっ…野澤…!?なんでお前がここに…。」

 

そう、確かこの人は、この学校の中でも瀬川にも劣らぬ超絶美少女のうちの一人、野澤 奈々だ。

長身でとくに足がすらっとして、

全体的にモデル並みのスタイルのよさだ。周りの女子がガキにしか見えないくらいに大人びいている。

それが彼女に対しての第一印象だった。

 

野澤「そんなこと、どうだっていいわ。それよりも真坂君?って言ってたかしら。彼がかわいそうでしょ。

今すぐその話をやめなさい。」

 

男子生徒1「ああ、悪かったって…。

もうこの話はやめにするよ。」

 

野澤「それでいいのよ。

あと謝る人を間違えてるわ。

もし聞かれていたと思っているのなら

彼に後で謝っておきなさい。」

 

そう言い残して教室を去っていった。

あの男子生徒の態度の変わり様をみていればわかるが…、

彼女は滅茶滅茶強い。

 

こちらも噂話で申し訳ないが、彼女は中学の時スケ番だったらしい。

まぁ今時珍しいものだが。

 

そのせいもあってか彼女が金髪で登校してきたことがあり、もちろん校則違反であったので先生が3日間ほど軽い停学処分を下した、というのは有名な話だ。

 

俺も実際に話したことはないので、

どんな人かと思えば……、

 

真坂「(なんだ、優しくていい奴じゃないか…。)」

 

素直にそう思えた。

 

そういえば……、

 

 

「あの人」も初めてに会った時は金髪だったっけな。

 

 

 

放課後すぐにさっきの男子生徒らは俺に謝ってきた。

もういろいろとめんどかったので、適当に応対して俺はとっとと下校した。

 

 

俺は学校を出ると真っ先に秋葉原へと向かった。

今は秋葉原へ行く用事は一つしかなかった。

 

その用事とは…、

 

 

ピンク一色に染まった壁に囲まれた癒しの聖域……、

 

 

今日も俺はその入り口に立つ。

 

 

そう、メイドカフェである!

 

 

俺の今現在一番のマイブームである。

 

 

 

今日は新学期早々超絶イライラしたかな。

 

しかしラッキーなことに俺の推しのメイドさんのお給仕日である!

 

そうだ。俺は今日イライラした分、推しのメイドさんに癒してもらうんだ!

 

さあ!

ーーlet's go to the sanctuary!!

 

「「「お帰りなさいませ、

ご主人様!!」」」

 

うおおおおおお!!!

帰ってきた感が半端ないゾー!!!

 

入った瞬間、ふわっと漂う甘過ぎるおのオーラ、その中にいらっしゃる数々の美少女たち。

うん、ここは俺のためだけにあるような空間だよ。

言っちゃなんだが、あんな学校の血生臭い空間とは大違いですな。

 

メイドさん1「お帰りなさいませ、ご主人様。こちら『魔法のお水』でございます♪」

 

真坂「ありがとうございますっ!」

 

まずは席に着いて『魔法の水』を飲み落ち着く。

 

メイド1「ご主人様、今日は誰をご指名しますか?」

 

そんなのは決まっている!

もう1人しかいないだろう。

まぁみんなかわいいけどね。

 

真坂「『ななみん』さんでお願いしますっ!!」

 

メイド1「『ななみん』ですね、今お呼びしますので少々お待ちください。」

 

そしてすぐに『ななみん』さんは来た。

 

ななみん「おー!なおちゅん久しぶり〜!!」

 

真坂「お久しぶりです!ななみんさん!!会いたかったですよ!」

 

ななみん「ななみんも会いたかったぞ〜〜☆。今日はゆっくりしてってね〜♡」

 

ああ、天使だ。

天使が俺の目の前にいるぞ!!

 

他のメイドさんと違うところは、

タメで接してくれるので、やはり

こちらも気楽にお話できるというところか。

 

俺が初めてご帰宅した時にはこの口調にだいぶ安心感を得られたものだ。

 

ななみんさんの素晴らしいところはそれだけじゃない。

長身でとくに足がすらっとして、

全体的にモデル並みのスタイルのよさあってか、メイド服がこの上なく似合っている。

 

…あれ?今日俺似たようなこと口にしなかったっけか……??

 

確かあれは……、

 

真坂「野澤…さん……?」

 

ボソッとその名前を口にした。

 

ななみん「……えっ…。」

 

ななみんさんは少し驚いた様子だった。

 

真坂「あっ…、ご、ごめんなさい!

俺なんかまずいこと言いました?!」

 

いかん。いかんぞ!真坂直人!

ななみんさんの目の前で他の女子のことを考えるなんてことは!

 

まぁ確かに野澤さんに似てなくはない…ていうか驚くそっくりではあるが、あるはずがない。いやそんなことあってはならない!!

あのななみんさんが野澤奈々なんてことはっ!絶対に!(必死)

 

ななみん「…う、ううん!全然っ!こっちも急に驚いたりしちゃって

ごみーんね☆」

 

コツン☆とグーにした手を頭においてとどめのテヘペロ。

 

ほらみろ。やっぱりななみんさんはななみんさんだ。(謎)

 

その愛想があまりにも可愛らしかったので、

 

真坂「はいななみんビームいただきましたー!なおちゅんバッタンキュンッ!DEATH☆」

 

ななみん「なおちゅんの心はこのななみんさんが頂いたゾー!ガオー☆」

 

などと、自分でも訳のわからない言葉を発しては、ななみんさんもそれにちゃんと返してくれる。

 

このノリがここ、メイドカフェの楽しみの一つであるのだ。

 

ちなみに『ごみん』はななみん語の一つであり、ごめんの意である。

 

『ななみんビームいただきました』は

ななみんさんに萌えた時に、ご主人様である俺が言うものである。これはななみんさんが自分で考えたらしい。

うん、さすが過ぎるね。

 

そして言い忘れていたが、

『なおちゅん』は俺のことだ。

これもななみんさんが俺につけてくれたニックネームだ。

 

ななみん「あ、そういえばなおちゅん今日でご主人様カードのランク昇格なんじゃないかにゃ?」

 

真坂「あ、そうなんですよ!ようやくブロンズからシルバーになれます!」

 

ななみん「おー!!おめでとー!!

シルバーカードの裏の名前誰に書いてもらう?」

 

真坂「もちろん、ななみんさん!あなた以外考えられないですよ!」

 

ななみん「わぁー!ありがと〜なおちゅん!ななみんもメタメタ嬉しいよっ!!」

 

真坂「俺もななみんさんに名前を書いて頂けるなんて、これ以上の幸せが一体どこにあろうか。いやないです!!

反語!!」

 

ななみん「も〜そこまで言われるとななみんさんも照れるゾー♪」

 

ななみん「すぐに戻ってくるからちょっと待っててね〜」

 

待つこと数分、ななみんは銀色のカードを持ってきてくれた。

 

ななみん「はい、これがななみんさん特製シルバーカードだよ♪

いつも来てくれてありがと♡」

 

真坂「うおおおお!!! ありがとうございます!ななみんさん!!!

俺一生大事にしますねぇぇ!!」

 

ななみん「うん、そういってくれるとななみんもメタメタ嬉しい♡」

 

あ〜〜今にも俺の心が全て浄化されそうだよ〜〜。もうななみんさん需要しかないよ〜〜。

 

ななみん「あ…ごめんねなおちゅん…。もうそろそろご出発の時間になっちゃった…。」

 

真坂「あ…楽しい時間ってあっと言う間ですね…。」

 

ななみん「うん…でもまたすぐにでもおいでよ。ななみん待ってるから。」

 

真坂「はい!またすぐに行きます!」

 

ななみん「うん…。ありがと。

あ、はいこれ。今日のチェッキのお写真。」

 

写真には俺とななみんが写っていた。

既に2ショットの写真は4枚持っているのでこれで5枚目となる。

 

真坂「ありがとうございます!これも部屋に大切に飾らせて頂きます!!」

 

ななみん「ありがとう!まぁ来たらいつでも一緒に撮ってあげるから♪」

 

ななみん「じゃあ、またね!今日は

楽しかったよ。」

 

真坂「はい!俺もこれ以上にないほどに楽しかったです!!」

 

ななみん「うん。私も。じゃあ…」

 

ななみん「いってらっしゃいませ、

ご主人様っ♪」

 

俺はななみんさんのその笑顔を出口の自動ドアが閉まるまでずっとこの瞳で見つめてた。

 

 

 

至福の時間が幕を閉じた。

まるでいい夢を見ていたかのようだ。

 

メイドさんはあくまで仕事なので、

ななみんさんがホントは俺のことをどう思っているのかはわからない。

悔しいが他にお給仕してもらってるご主人様もいるわけだしな。

 

だけど彼女が俺に見せてくれた笑顔は本物なんだと俺は思ってる。いや、少なくともそう信じたい。

 

 

次の日

 

今日は学校で席替えが行なわれる日である。

まぁ席替えなんて微塵も興味ありゃしないけど。

 

教室をあたり見回すと、そこには昨日俺のことをかばってくれた野澤奈々がいた。

あいつ、俺のクラスだったんだな。

後でちゃんとお礼しないとないとな。

 

この席替えが俺の人生を180度回転させることになろうとは、この時の俺、

いや俺たちには知る由もなかった。

 




どうも!ハイネ1021です!
いかがだったでしょうか?
新作描いちゃいましたよ!!
主人公の真坂直人君は少し僕と重ねてる部分もあるので
正直僕の経験談や心情、欲といったものが所々に見られるかと思います笑笑
ですが完全オリジナルで描かせていただくのはまた新鮮な感じがして、執筆していてとても楽しかったです!
こんな感じのハイネではありますがこれからもどうか応援よろしくお願いします!
ではまた次回お会いしましょう!

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