最古の鬼は月を望む   作:星助

1 / 1
どうも、星助と申します。
駄文ですが読んでってください。
あと日本神話についてはようわからないので、ggって書いてます。


陰陽の鬼

鋼とも例えられる屈強な体に、異常な身体能力、そして誇りとなる角。

 

鬼、と呼ばれる存在が初めて誕生したのは、地球が生まれた少し後のことだった。

陰と陽の乖離の時、彼は初めて自我を持った。

 

2mほどの身長に、筋肉の鎧。 万里先を見通す視力に万里先の物音を感じる聴力。 ひと蹴りで成層圏寸前まで飛び上がる跳躍力に、溶岩の中であっても活動をやめない生命力。

額には一対の黒い刀の切っ先の様な角が生えている。

黒い地に赤の模様が入った着物を着た男だ。

 

「暇じゃのぅ…」

 

彼は標高が700mを超える山の頂きにどっかりと座り込み、下を見回しながらそう独り言ちた。

右手には不恰好な鉄の容器の様な物を握っていて、時々それに口をつけて、中の液体を飲んでいる。

 

「おお、イザナギ君か。」

 

彼の隣に現れたのは日本を作ったと言われる神、イザナギだ。

 

「やあ。 最近どうです?」

 

「暇じゃ、途轍もなくの。 アメノミナカヌシ君たちと遊んで貰ったんじゃが… どうやらはしゃぎ過ぎた様で眠りについてしまっての。」

 

彼は額の角を指の腹で擦りながら言う。

 

「まあ、これは悪くないのう。」

 

彼は容器を目線まで上げて、チャプチャプと揺らして見せた。

 

「それは?」

 

「腐らせた果物を潰して、少しの間置いてみた。 こりゃあ効くぞ? 飲むかの?」

 

「では少し。」

 

イザナギはそう言って彼の隣に座り、容器を受け取る。

 

「これはなかなかに…」

 

「じゃろ?」

 

彼はイザナギから容器を取り返し、グビグビと煽ぐ。

 

「ついでに空間拡張もやってみた、どうじゃ?」

 

「ほぼ完璧じゃないですかね? その辺を私に聞かれても困りますが…」

 

「いつか先生が見つかるといいのう…」

 

「あなた以外使えるひとがいないじゃないですか?」

 

「そうじゃったわ。」

 

彼はカラカラと笑いながら立ち上がる。

 

「お、面白いことが起きそうじゃぞ?」

 

「ええ… 私にとっては全く嬉しくないですが…」

 

イザナギの台詞のすぐ後に、5kmほど遠くの火山が噴火した。

 

「儂は眠るとしよう。 あいつらが一度滅びれば新しいことが起こるはずじゃ。」

 

「え、ああ、はい。」

 

彼はその場に寝転び、妖力の結界を作る。

 

「次起きた時にはどうなっとるかのう?」

 

「さあ、わかりませんね。」

 

イザナギは気づいたらその場からいなくなっていた。

 

「ふぅむ… しかしこう明るくては寝付けんのう…」

 

彼は状態だけを起こし、夕焼けの空と先ほど噴火した火山から流れ出る溶岩をみた。

 

「お、そうじゃ。 能力を使えば…」

 

彼の能力によって、結界の中から外の光は見えなくなった。

彼の能力である『陰と陽を操る程度の能力』により、結界の外を陰で覆ったのだ。

 

「ふわぁ… 寝るかの。」

 

彼は再び地面に寝転び、少ししたらいびきをかき始めた。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。