最古の鬼は月を望む 作:星助
駄文ですが読んでってください。
あと日本神話についてはようわからないので、ggって書いてます。
鋼とも例えられる屈強な体に、異常な身体能力、そして誇りとなる角。
鬼、と呼ばれる存在が初めて誕生したのは、地球が生まれた少し後のことだった。
陰と陽の乖離の時、彼は初めて自我を持った。
2mほどの身長に、筋肉の鎧。 万里先を見通す視力に万里先の物音を感じる聴力。 ひと蹴りで成層圏寸前まで飛び上がる跳躍力に、溶岩の中であっても活動をやめない生命力。
額には一対の黒い刀の切っ先の様な角が生えている。
黒い地に赤の模様が入った着物を着た男だ。
「暇じゃのぅ…」
彼は標高が700mを超える山の頂きにどっかりと座り込み、下を見回しながらそう独り言ちた。
右手には不恰好な鉄の容器の様な物を握っていて、時々それに口をつけて、中の液体を飲んでいる。
「おお、イザナギ君か。」
彼の隣に現れたのは日本を作ったと言われる神、イザナギだ。
「やあ。 最近どうです?」
「暇じゃ、途轍もなくの。 アメノミナカヌシ君たちと遊んで貰ったんじゃが… どうやらはしゃぎ過ぎた様で眠りについてしまっての。」
彼は額の角を指の腹で擦りながら言う。
「まあ、これは悪くないのう。」
彼は容器を目線まで上げて、チャプチャプと揺らして見せた。
「それは?」
「腐らせた果物を潰して、少しの間置いてみた。 こりゃあ効くぞ? 飲むかの?」
「では少し。」
イザナギはそう言って彼の隣に座り、容器を受け取る。
「これはなかなかに…」
「じゃろ?」
彼はイザナギから容器を取り返し、グビグビと煽ぐ。
「ついでに空間拡張もやってみた、どうじゃ?」
「ほぼ完璧じゃないですかね? その辺を私に聞かれても困りますが…」
「いつか先生が見つかるといいのう…」
「あなた以外使えるひとがいないじゃないですか?」
「そうじゃったわ。」
彼はカラカラと笑いながら立ち上がる。
「お、面白いことが起きそうじゃぞ?」
「ええ… 私にとっては全く嬉しくないですが…」
イザナギの台詞のすぐ後に、5kmほど遠くの火山が噴火した。
「儂は眠るとしよう。 あいつらが一度滅びれば新しいことが起こるはずじゃ。」
「え、ああ、はい。」
彼はその場に寝転び、妖力の結界を作る。
「次起きた時にはどうなっとるかのう?」
「さあ、わかりませんね。」
イザナギは気づいたらその場からいなくなっていた。
「ふぅむ… しかしこう明るくては寝付けんのう…」
彼は状態だけを起こし、夕焼けの空と先ほど噴火した火山から流れ出る溶岩をみた。
「お、そうじゃ。 能力を使えば…」
彼の能力によって、結界の中から外の光は見えなくなった。
彼の能力である『陰と陽を操る程度の能力』により、結界の外を陰で覆ったのだ。
「ふわぁ… 寝るかの。」
彼は再び地面に寝転び、少ししたらいびきをかき始めた。