神奈が主人公のつもりだったのがいつの間にか妖夢に…まぁそれはそれでいいですよね!(開き直り
今回は神奈との手合わせです。戦闘描写は難しかったですが、なんとか伝わってくれたらなと思います。唐突の少年漫画感ありです(多分)。
それでは、どうぞ。
神奈が初めて白玉楼に来た日から3日。この間妖夢は神奈に白玉楼での仕事を教えたり、家事を教えたり、白玉楼の立場や幻想郷での習慣、スペルカードルールなど様々なことを教えた。神奈は刀だった頃の記憶があったことも手伝って数ある仕事をそつなくこなしてみせた。その有能ぶりも目を見張るものがあったが、それより妖夢が驚いたのは神奈の動きに無駄がなかったことだった。行動の端々に見える体の使い方、頭脳の使い方、所作など、どれひとつとっても優雅で、自然で、しかし無駄がない。妖夢は、そんな神奈の姿に尊敬の念を覚えると共に、自分のものにしようとしっかりと観察していた。
そんなこんなで今は昼過ぎ。午前中に掃除を終わらせ、昼食は先ほど食べ終え、夕食の下準備も終えたので妖夢は庭の手入れをしていた。
妖夢「一人でやっていた時は休む暇もなかったのに、二人だとこんなにも早く終わるんですね。助かりました。」
神奈「いえいえ。主を手伝うのは従者として当然のことですから。」
そう答えた神奈は今、庭が見える部屋で自己流の座禅のようなものをしていた。本当は妖夢の手伝いをしようとしたが、妖夢が庭の手入れを半ば趣味のように捉えていること、単純に妖夢のほうが上手かった事などから庭の手入れは妖夢が、それ以外を二人で分担してやることになったのだ。したがって神奈は暇だったので、精神統一に加えて自分の能力を探るために座禅もどきをしていたのだ。ちなみに今、神奈は白衣と青い袴のようなものを着ている。これは神奈がやってきた日の次の日に人里の服屋で仕立ててもらったものだ。普段はこれを着ることにしたようだ。
するとそこに幽々子がやってきた。
幽々子「妖夢ちゃん。神奈ちゃん。ちょっといいかしら?」
妖夢「何でしょうか?」
幽々子「ちょっと気になったことがあって…」
妖夢「何かあったんですか?」
幽々子「いや、そうじゃなくてね、昨日紫と話してたのよ。神奈ちゃんって、どれぐらい強いのかって。だから一度妖夢と手合わせしてみてほしいなって思ったんだけど、今は暇かしら?」
神奈「私はいいですが…」
妖夢「私も大丈夫です。前から気になってたんですよね。」
幽々子「それじゃお願いね?」
妖夢・神奈「はい!」
〜少女準備中〜
妖夢「そういえば、神奈はもうスペルカードを作りましたか?」
神奈「あ、まだ作ってないですね。どうしましょう?」
幽々子「手合わせだから大丈夫じゃないかしら。木刀だし。」
妖夢「そうですね。勝利条件はどうしますか?」
神奈「木刀を落とすか、一撃を入れる又は急所の寸止めでいいんじゃないですか?」
幽々子「じゃあそれで。準備はいいかしら?」
妖夢「はい。」
神奈「何時でも。」
今回はただの手合わせなので木刀を使い、簡単なルールでの対戦となった。二人は現在、互いに一本ずつ木刀を持って15mほど離れて構えている。
幽々子「それでは、はじめ!!」
ダン!!
妖夢は合図と共に神奈に向かって駆け出した。妖夢の瞬間的な速さは幻想郷最速と名高い烏天狗『射命丸文』ですら超えると言われている。全力ではないとはいえ、それでも数秒で間合いに踏み込んだ。そしてそこから上段からの切り下ろしを仕掛けた。が、
カン!!
それはいとも簡単に神奈に止められた。そこから神奈は木刀を上に弾き、がら空きの胴体に右上からの袈裟斬りを仕掛ける。妖夢はそれを後ろに跳んでよけた。
妖夢(簡単に防がれた。単純ではありましたけど何より力で負けている。ビクともしなかった。正面からの打ち合いは危険ですね。ならば速さで…?)
着地と同時に前を向いたが神奈がいない。
神奈「考え事とは随分と悠長ですね。」
妖夢(まさかっ!?)
妖夢が後ろを見ると神奈は既に振り下ろしの動作に入ろうとしていた。
妖夢(速い!! 間にあうか!?)
なんとか木刀を滑りこませたが、勢いに押されて何歩かたたらを踏んでしまう。一撃の重さもさることながら、剣速が尋常じゃない。手が痺れる。そこをさらに追撃が襲う。
カン!カン!カン!
なんとか凌いではいるが、それ以外をさせてもらえない。
妖夢(このままじゃ…なんとかしないとそろそろ厳しい……)
妖夢「くっ!!……っ!!今だ!!)
ようやく隙を見つけ、バックステップで距離を取る。しかし、
神奈「まだまだですね。」
妖夢「!!」
気付けば神奈が後ろにいて、首に木刀が添えられていた。
幽々子「そこまで。神奈の勝ち。」
神奈「ありがとうございました。」
妖夢「…ありがとうございました。」
手合わせは神奈の勝ちで終わった。
~少女移動中〜
場所を変えて居間に来た3人はお茶とお菓子を食べていた。
幽々子「それにしても強かったわね、神奈ちゃん。」
神奈「ありがとうございます。」
幽々子「妖夢ちゃんがあんなに押されたことあったかしら?」
妖夢「正直に言うとお師匠様より強かったように思えました。とは言っても悔しいですね…。」
神奈「それは当然ですよ。」
妖夢・幽々子「?」
神奈「私は今までの魂魄家の全ての剣豪と共に過ごしてきたんですよ。確かに前のご主人は強かったですけど、彼は歴代5〜6番目ぐらいですよ。」
妖夢「お師匠様よりすごい人がそんなに!?」
幽々子「それだけでそこまで動けるものなのねぇ。」
神奈「私ほど魂魄家の剣術を見てきた者はいませんからね。ひとりひとり振り方や癖があって面白いですよ。」
そこまで聞くと妖夢は何かを決意る
妖夢「神奈、私に剣術を教えてください。お願いします。」
妖夢はこの頃伸び悩んでいた。素振りや型は稽古や自主練習で何度も練習してきたが、今まで対戦相手が師匠である妖忌しかいなかったため実戦経験があまりにも少なかったのだ。その上最近では霊夢をはじめとした幻想郷の住人たちに対してあまりいい結果を出せていない。春雪異変では咲夜に涼しい顔で負け、永夜異変では霊夢に解決を取られてしまった。そのような事があったがために最近の妖夢はどこか焦っていたり、何か思い悩んだように素振りをすることが増えていた。簡単に言うと広い世界を知り、自信を無くしてしまったのだった。
神奈「いいんですか?ご主人の師匠とは違うやり方になりますし、何より私はご主人の従者ですよ?」
妖夢「構いません。私にはまだ主としての自覚なんて出来てませんし、するつもりもありません。私にとって神奈は大切な相棒です。相棒から剣術を教えてもらうのに恥ずかしいことなんてありませんし、お師匠様の教えも大事ですが私は強くなりたいんです!」
神奈「相棒…ですか。嬉しいことを言ってくれますね。では、ひとつだけ聞かせてください。ご主人が強くなりたい理由はなんですか?」
妖夢は数瞬考えると噛み締めるように言った。
妖夢「私は強くなって…幽々子様を…大切な人たちを守りたい!お師匠様に頼らなくても、幽々子様に庇護されなくても、霊夢さん達の手を借りなくても、みんなをこの手で守れるようになりたい!!」
妖夢は思いの丈を全て吐き出した。妖夢は何も出来ない自分を悔いていた。力の及ばない自分を恨んだ。それでも折れなかった。いつか師匠に追いつけると信じ、追い越せと自分を叱咤してきた。全ては守るため。大切な人たちを。大切な笑顔を。
幽々子「妖夢ちゃん…こんなに大きくなっちゃって…」
神奈「……いいでしょう。それほどの覚悟があるなら、ご主人はどこまでも強くなれます。様々な剣術を見てきた相棒のお墨付きです。信頼してくれていいですよ。」
妖夢「ありがとう!!これからよろしくお願いします!!」
神奈「…前から気になってたんですけど、ご主人私に対して堅過ぎじゃないですか?って、私が言えたことでもありませんが。」
妖夢「いや、まだ自分の刀が付喪神になったっていう実感が無かったから、どうしても初対面の人みたいな感じがしてしまって。あと、人の上に立った事もなかったから。」
神奈「はぁ…。まだまだ半人前ですね。」
妖夢「うっ!!す、すぐに認められるまでになってやりますよ!!」
神奈「ふふふ♪楽しみにしておきますね。」
幽々子「頑張ってね。」
妖夢「!!……はい!!」
この日妖夢はまた一つ強くなった。
いかがだったでしょうか。神奈が第一話とはだいぶ違うキャラになっている気がします。さらに、いつの間にか妖夢が落ち込んでいた設定になっています。その他にも、皆さんを勘違いさせるような設定が出てきているかも知れません。申し訳無いですが、今後もこんな感じになると思うので、温かく見守っていただけたらなと思います。
言い忘れてましたが、時期的に大体花映塚終わった辺りをイメージしています。なのであと1、2話やったら…奴らが…。
投稿ペースも全くはやくならず申し訳無い限りですが、頑張って改善していこうと思うのでよろしくお願いします。
では、また次回。