アマツさんの大冒険   作:死神 零@8928

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行き着いた結果、アマツさんは森丘に着いたようです。

……最近低評価がチラチラと見える気がします、辛抱します(´;ω;`)


森丘篇
第八話 森丘のアマツさん


森丘。

正式はアルコリス地方に存在し、地名はそれぞれシルクォーレの森とシルトン丘である。

 

そのシルクォーレ森……つまりはエリア7にてそいつはいた。

 

あのアマツマガツチだ。

しかも渓流と同じように水辺の上で丸くなって寝ている。

 

それは無理もないだろう。

ユクモ地方からアルコリス地方までの距離は長い。

 

アマツマガツチは長旅で疲れていたのだろう。

 

なので疲れを癒すためこう寝ているのだ。

 

しかもここエリア7は日を遮る影が多く、寒すぎず、暑すぎずと丁度良い温度を保っている。

 

どうやらアマツマガツチはここが一番気に入ったらしく、のんびりしている。

 

しかもここは水辺。

つまりは魚が生息している。

 

食事にも持ってこいだろ。

 

ただし、ここは森丘。

ハンターで言うなら狩猟場の一つだ。

 

つまりは危険域だというのは変わりない。

凶暴なモンスターもいるのも必然である。

 

何が言いたいかと言うと……アマツマガツチの周囲にランゴスタの死体が降ってきたのだ。

 

それを見かけたドスランポスは死んだランゴスタに近付き、口をつつく。

 

だがドスランポスは気付いていない。

ドスランポスの上に緑の雷を纏った飛竜の存在に。

 

その飛竜はドスランポスを睨み付け、口にしていたランゴスタを喰らい終わった後、飛び出す。

 

その時にドスランポスは上を向いてその飛竜の存在に気付くが時既に遅し。

 

飛竜が持つ強靭な翼に叩き付けられ、骨が砕かれ、内蔵が潰れてしまった。

 

ドスランポスは呆気なく絶命。

その上にその飛竜が飛び乗り、ドスランポスの肉を喰らう。

 

奴が持つ特徴は二股に分かれた鋏のような尻尾に大きく鋭い一本角を持つが、最大の特徴はなんといってもその翼。

 

飛竜ではあるが故、その翼は大きいがサナギから孵った蝶のような翼膜をしている。

 

それは美しいが、奴の残忍なる性格故か凶暴性を発揮させている。

 

奴の名は電竜【ライゼクス】。

かの空の王者を地に叩きつける程の飛行能力と戦闘能力を持つ飛竜種である。

 

電竜は咆哮を上げ、すぐに水辺へと視界を移す。

 

そこには見慣れない姿をした龍がいた。

……まぁ、もちろんの事、あのアマツマガツチであるが。

 

ライゼクスの咆哮が小さいからとはいえ、ここまで起きないとは本当にのんびりとした性格である。

 

……だが、それが気に入らないのかライゼクスは威嚇もせずに電気ブレスを放つ。

 

電気ブレスは水辺へと着弾。

 

もちろんの事だが、水は電気を通す。

 

そのため、水辺にいたアマツマガツチが感電してしまう。

 

普通ならば感電死してもおかしくない状況であるが、このアマツマガツチはというと……。

 

 

ーん?

 

 

まるで寝起きのような子犬の如く、眠そうな顔をして平然とライゼクスを見つめる。

 

そこは流石は古龍と言ったところだろう。

 

だが、ライゼクスは翼を振り回し、やる気のある行動をする。

 

その姿はまさに挑発してるようだった。

 

 

ー……。

 

 

だが、もう知ってるだろうがこのアマツマガツチ。

ある程度の事でなければ興味を示さない程のマイペースだ。

 

つまりは……再び丸くなって寝始める。

 

 

ーカチッ…!

 

 

もう定番になってるがライゼクスはブチ切れた。

そっちから喧嘩売ってきた筈なのに勝手に切れるライゼクスは翼を広げ、大空に舞うと空中で体勢を整え、アマツマガツチへと急降下する。

 

しかし、アマツマガツチはいち早くそれに気付き、気だるそうに浮遊して避ける。

 

結果、ライゼクスは水辺へとドボォンッ!!と突っ込んでしまう。

 

だが、ライゼクスはすぐに羽ばたき、水辺から脱出し地に降り立つ。

 

それをただ睨……んでおらず「なんだこのジンオウガみたいなやつ」とでも言いたげそうに首を傾げて見つめるアマツマガツチ。

 

対してライゼクスは殺気を込めた鋭い瞳でアマツマガツチを睨み、威嚇。

 

ちなみに食いかけのドスランポスだが、たまたま近くにいた雌火竜【リオレイア】が回収して去っていった。

 

その雌火竜を他所にライゼクスは動く。

 

翼を振り上げてアマツマガツチ目掛けて振り落とす。

 

そしてアマツマガツチはいつものようにバックしてそれを避ける。

 

だが、ライゼクスの猛攻は続く。

 

今度はもう片方の翼で叩き付けるものの、アマツマガツチは避け、次に間合いが詰まったところに尻尾回転を見舞う。

 

 

ードゴッ!!

 

 

案の定、これはヒットした。

 

尾はアマツマガツチの頬を捉え、打撃する。

 

だが、何事も無かったかのように舞う。

 

舞った後、やや遅れて地に緑の電流が走った。

 

その正体はライゼクスの持つ二股に分かれた鋏型の尾から放たれたものだ。

 

そしてライゼクスに変化が起きた。

 

電流を流し終えた後、ライゼクスの尻尾が緑色の雷を帯びたではないか。

 

こう見ればジンオウガが持つ【超帯電状態】に似てるが、全く持ってこれは別物。

 

ライゼクス自体強力な電気を持つ。

 

それは部位を一定に動かす事により電力が貯まるという仕組みである。

 

雷を纏った部位の攻撃はより強力になり、雷属性を宿している。

 

……だが、アマツマガツチはどうでもよかったらしく、空中で身体を丸めていた。

 

……戦闘中だというのに睡眠を取る。

余程疲労してるとは言え、戦闘中に寝るというのはどう言ったことか……。

 

それが引き金になったのかライゼクスは羽ばたき、アマツマガツチに近付く。

 

飛行能力を持つライゼクスであるが、ハンターとの戦いではどちらかと言えば地上戦を得意とする。

故に、空の王者のように空からの攻撃はあまりしない。

 

だが、今回の相手は古龍。

しかも常に飛んでいる状態の古龍だ。

 

これは飛ばずには居られない。

 

まず、ライゼクスはブレスを放つ。

それと同時に運動エネルギーが溜まったらしく、頭とトサカに電気が走る。

 

音に反応したのかアマツマガツチは体勢を立て直し、水ブレスで相殺させる。

 

相殺させた後、ライゼクスはアマツマガツチに急接近し、尻尾で挟もうとする。

 

 

ー!!

 

 

この時、アマツマガツチは珍しく目を見開く。

 

上体を起こし、下半身を鞭のようにしならせ、上に向かって上げる。

 

これはアマツマガツチの攻撃の一種である【尻尾振り上げ】攻撃である。

 

突然の尻尾攻撃によりライゼクスは対応出来ず、自分の尻尾が当たる前に攻撃をくらい、よろめく。

 

ライゼクスはそのまま地に叩きつけられる前に受け身を取り、アマツマガツチを睨み付ける。

 

だが、アマツマガツチの様子がおかしい事に気付く。

 

なんと、アマツマガツチは自分の尻尾を噛み付いてるではないか。

 

なんでこうなったかと言えば……単に自分の尻尾先に痒みが来たらしく、かいてるだけらしい。

 

つまりは、先程の尻尾振り上げは攻撃のつもりではなく、そもそもこの為だけに振り上げたのだろう。

 

何というタイミングの良さ、そして運の良さなのだろうか。

 

けれど、ライゼクスは容赦なく攻撃を仕掛ける。

 

ブレスが無駄だと理解し、再び飛翔。

それと同時に電気が翼に帯び始める。

 

また接近戦へと持ち込むようだ。

 

 

ー!!

 

 

そこへまたアマツマガツチはライゼクスを見るなり目を見開く。

 

……いや違う。

アマツマガツチはライゼクスを見ていなかった。

 

なら何を見てるかといえば……この戦闘が起きる前、先制攻撃として仕掛けたライゼクスのブレスが水辺に着弾した影響なのか本来あまり見かけない【ドス大食いマグロ】がこんがりと焼けたまま浮かんでるものを見ていた。

 

それを見た瞬間、アマツマガツチは身体を丸めて方角を調節し、水辺目掛けて突進。

 

しかも何故か全身に水を纏っている。

 

その突進のせいでライゼクスは巻き添えに…地面へと叩き落とされるのと同時に電荷してた部位が全て元通りになってしまう。

 

だが、それを無視してひたすらドス大食いマグロを食らいつく。

 

久々に食べる大物に満足してるのかこれまでに無いほどの満足感に満たされた顔をしている。

 

……ちなみにライゼクスは諦めたらしく、大人しく撤退した。

 

だけどアマツマガツチはそれをも無視し、食事に夢中だった。

 

アマツマガツチよ、森丘に参られてもその性格は相変わらずであった。

 

 

ー続くー




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本当にありがとうございます( *・ω・)*_ _))ペコリン

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