高評価&コメントありがとうございます( *・ω・)*_ _))ペコリン
※誤字修正・2017/01/23 00:47:13
内容・「状態」ではなく、「上体」。指摘ありがとうございます
泡とは……液体が空気を包んで出来たものだ。
それは時折、生物の摩擦を消し、身動きを制限させることも可能とする。
泡は時として武器にもなる。
その性質を利用して狩りを行うのがこの泡狐竜【タマミツネ】である。
現段階、タマミツネの生態は全体から特殊な体液を分泌させ、泡を形成させる海竜である。
海竜でありながらも水中より陸での目撃が多く、その身体を支える四肢はその身に合わぬ機動力を得ている。
ちなみに今は雄の個体しか目撃され、雌個体の目撃例は未だに0である。
まぁ、そのことはどうでもいいとしよう。
ただ、そのタマミツネなのだが……。
ー(*´ω`*)
ー(๑¯ω¯๑)
その大きな尻尾を器用に使い、アマツマガツチを泡まみれにしていた。
だが、これは縄張り争いでもなければ威嚇し合ってる理由でもない。
最近、アマツマガツチはタマミツネの泡が気に入ったのかよくタマミツネの縄張りに入っては泡を浴びている。
要するに、【シャワー】である。
最初はタマミツネも警戒はしてたものの、あの時の乱闘(第三話参照)前に共に魚を食べた仲だと思い出し、危害がないと判断したためこう受け入れている。
ちなみに、ユカリに眠魚を食べさせられ、寝てしまったところ、面白半分で泡まみれにした張本人でもある。
それ故か、アマツマガツチとタマミツネの関係がより深まった……気がする。
それと、アマツマガツチはシャワーの対価として風を起用に使って魚を摂取している。
この時のタマミツネとアマツマガツチの表情は……いや、説明しなくても大体想像出来るであろう。
そして今現在アマツマガツチはタマミツネシャワーを満喫している。
ーここがいいんか?ここがいいんか君は?
ーキャー、タマミツネさんのエッチー!
……的な雰囲気を感じ取れる。
古龍と海竜……これは決して交じる事の無い出来事であるが、それが現実になってしまった。
そして今タマミツネが洗っている箇所は角の裏。
以前、アマツマガツチが痒みを起こしていた場所である。
そこをタマミツネは尻尾で器用にゴシゴシと擦る。
それはまるで人間でいう背中をタオルで洗ってるような姿そのものである。
しかもそれだけじゃ飽きたら無いのかアマツマガツチはツルツルと滑り始める。
ハンターなら足元を取られ、武器が取り出せない状態になるであろうがアマツマガツチからすればこれは単に遊びとしか認識されてなかった。
……もうくどいと思うがもう一度言おう。
本当に……いや本当に古龍の威厳が見当たらない。
タマミツネシャワーを終えたアマツマガツチは水辺へと飛び込み、水中で風を巻き起こす。
補足として説明させていただくが、このアマツマガツチはいつの間にか水中による適応能力を得ている。
つまりは、大海原に出ても問題ないと推測されている。
何故適応されたのかは分からないが……考えるのは後にしよう。
それで話を戻すがアマツマガツチは風を器用に使い、魚を浅瀬まで追い込む。
逃げる魚はそのまま浅瀬まで移動し、そこからタマミツネが食事をする。
それはまるで人間の漁である。
ちなみにタマミツネに気付き、逃げようとする魚はアマツマガツチが捕食する。
今日の魚は大量らしく、二頭とも満足な表情を取る。
……だが、それが仇となったのかある獣がここへ足を運ぶ。
ーっ!!
突然、タマミツネは顔を上げた。
何かの気配を感じ取ったらしい。
……対してアマツマガツチは魚の食事に夢中でそれに気付いていない。
そしてタマミツネは見た。
その者は紅き毛と甲殻を纏い、通常の熊より一回り、いや二回りの大きさを持つ巨体。
それが一歩一歩と足を運び、口から涎を垂らす。
その者の正体は青熊獣【アオアシラ】。
その特殊個体である【紅兜】と呼ばれる個体である。
何故ここに紅兜が来たのか?
それはタマミツネの縄張りを荒らしに来た、とかではなく……ただ単に腹を空かせたんだろう。
その証拠に口から涎を垂らし、魚の臭いがする水辺へと視線を合わしている。
それが気に食わないのかタマミツネは背を低くして甲高い咆哮を放つ。
……そのせいでアマツマガツチが捕食していた魚は驚いて逃走。
ーあっ……( ´・ω・`)
逃がすかと言わんばかり、それを追うアマツマガツチ。
……この光景、どこかで見たことがある気がするがあまり気にしないでおこう。
それはさておき、陸の方では激戦が繰り広げられていた。
紅兜は「やったるぞワレ!!」と言わんばかり大きく両手を広げてタマミツネ程ではないが大きな咆哮を放つ。
そしてそのまま四つん這いになり、突進を繰り広げる。
対してタマミツネは空中で回転し、それを避ける。
避けた後に泡が残り、紅兜はそこへ突っ込み、足を滑らせて顔を水面へと突っ込む。
ー(´°ω°)!?
そこへたまたま近くにいたアマツマガツチが驚く。
もちろんの事だが、水中にいる古龍に対して紅兜も驚く。
というか驚かない方がおかしい。
だがそれがどうしたと言わんばかり、紅兜は突っ込んでいた水面を抜き、タマミツネに振り返る。
ー振り返る、が迫っていたのは一粒の泡だった。
ー!!
それを咄嗟に腕を振るい、泡を割る紅兜。
その勢いにより、四連続のベアナックルをかます。
タマミツネは当たってたまるかと言わんばかりに後ろへ下がり、上体を起こす。
ボディプレスをするつもりだ。
だが、ここで誰もが想像出来ない行動を紅兜が起こす。
たまたま近くにあった巨木を持ち上げ、投げつけたのだ。
その姿はまさに金獅子【ラージャン】のようなものだった。
そしてそのまま巨木をタマミツネに投げつける。
軌道と重力を任せ、巨木はそのままタマミツネに直撃。
しかも胴体を上げたままなのでバランスが取れずに巨木と共に吹っ飛ばされてしまう。
さらに最悪な事に自分が纏っていた泡が足枷となり、滑らせてしまった。
結果、タマミツネは巨木の下敷きとなる。
それを見た紅兜は勝ち誇ったような目でタマミツネを見つめ、一歩一歩近付く。
そして立ち上がり、その大きな腕で押しつぶそうとした……
ータマさん見て見て!!
その時だった。
水中からアマツマガツチが飛び出した。
……やや小柄のガノトトスを口にくわえて。
ーふぁっ!?
突然の乱入者に紅兜は対応し切れず、その場に止まってしまう。
だが、それが返って仇となる。
ーツルンッ!グシャァッ!!
ーあっ……。
くわえていたガノトトスが暴れ出し、口を滑らせそのまま落下。
……紅兜の真上に、だ。
その結果、今度は紅兜がガノトトスの下敷きとなる。
しかもただ下敷きとなるだけでなく、ビチビチと跳ねるためダメージが加担されていく。
だが、これはアマツマガツチの攻撃ではなかった。
ただ単にこのガノトトスをタマミツネに見てもらいたくて持ってきただけ。
……本人はそのつもりだったんだろうが、それがまさか攻撃に転ずるとは誰も予想出来ない……多分。
マイペース過ぎる性格な故、行動が読めない。
それはつまり、戦闘にあたって最も適正された性格だと判断してもいいだろう……。
それは置いといて、アマツマガツチは巨木の下敷きになってるタマミツネの存在に気付く。
すぐに助けようと地面に身体をつき、向かう……
ーうわあぁぁぁっ!?
が、生憎泡が残っていたらしく、そのままズテーンと転び、滑る。
そのまま紅兜とガノトトスに直撃。
紅兜はひっくり返り、ガノトトスはショック死なのだろうかピタリと動かなくなった。
無関係のガノトトス……哀れなり。
その後、アマツマガツチは風で巨木を退かし、タマミツネを救援する。
タマミツネは再度紅兜を睨み付ける。
ちなみに今の紅兜の心境は……。
ー勘弁してくれぇ。
……補足として息絶えたガノトトスの心境は……。
ー俺が何したってんだ。
と、なるだろう。
だが、自然において容赦という言葉は存在しない。
弱い者は死に、強い者は生きる。
それが例え、弱者である通常個体が強者である二つ名個体の立場が逆転したとしても、だ。
タマミツネは自身に泡を纏い、突進。
アマツマガツチも吊られるかのように突進をする。
タマミツネは紅兜を捉え、アマツマガツチは死んだガノトトスを捉える。
そしてタマミツネは距離を取ったところ、サマーソルトで紅兜を更に吹き飛ばす。
そしてアマツマガツチはその鋭い牙でガノトトスの肉を食らう。
両者とも目的は違うが、その目は真剣だった。
タマミツネは紅兜を排除しようとする殺気を込めた視線にアマツマガツチは空腹であるためか腹を満たそうとする視線である。
そして勝負は決した。
紅兜は分が悪いと判断したのかエリア4へ撤退。
よってタマミツネとアマツマガツチが勝利を収める。
……アマツマガツチは何もしてないと思うだろうが、あのガノトトスを持ってきていなければ展開が変わっていたのかもしれない。
腹を空かせた二頭は仲良く揃ってガノトトスを食らうのだった。
……後日、渓流エリア7にてガノトトスの骨格が見つかるが、ギルドに回収されてしまうということをここに記しておこう。
ー続くー
毎度戦闘が酷い気がしてならない(´・ω・`)
そしてガノトトスさん可哀想(´;ω;`)