完結するか未定ですが頑張りたいと思います。
※今回はオリジナルが含まれてます。嫌な方はブラウザバック推奨します
「………………」
ハンター、ユカリは再び渓流にいた。
それは仕事のため……とかではなく、単なる散歩のためこの地へ踏み込んだ。
踏み込んだ……のだが、散歩ではなくなってしまった。
何故ならば、目の前の光景が答えだった。
ー戦ってるのだ、あのアマツマガツチとクルペッコが。
ただ、クルペッコは普通の個体ではない。
色は原種に近いが、いくつか異なる点がある。
まずはクチバシ。
異常にデカい、まるで拡音器のような形をしている。
一度鳴けば遠くまで響きそうなクチバシだ。
次に胸、これもまたデカい。
縮小時はあまり目立たないが一度膨らますと地面に付くほどデカい。
大量の空気を摂取して長い音波を発するために進化したものだと考えられる。
背に生える羽根は赤緑の鮮やかな羽毛に覆われ、尻尾はより扇のようにも見える。
そして最大の特徴は火打ち石……ではなくその二本の足。
硬そうな甲殻に包まれ、明らかに太かった。
このクルペッコは近年発見されたばかりで生態はまだ解明されてない。
ただ、戦闘経験のあるハンターの話では「狩り場の踊り子のような奴だった」だの「モンスターを呼び寄せ、怒らせたりしていた」だの「ステップを踏むような動きで相手を翻弄し、蹴りまでして来た」だの……まるで踊ってるような戦闘スタイルだったという。
この事からギルドはこのクルペッコを「舞う演奏師」と意味し【舞演師(ぶえんし)】という二つ名個体と認めた。
けど、ユカリが驚いてるのはそこじゃない。
初めて舞演師を目撃するがそんなのはどうでもいい。
何よりもビックリなのが……。
(アマツマガツチが戦ってる……だと!?)
そう、そこに驚いてた。
というよりも驚かざる終えない。
面倒臭がりのあのアマツマガツチが戦ってるのだ。
その目はキリッとしており、目の前にいる舞演師を威嚇している。
だが、やはり嵐を纏わない。
理由は不明であるがユカリはワクワクしていた。
あのアマツマガツチの戦闘スタイルが見られる、と。
そう思う内に動きがあった。
先に動いたのは舞演師。
得意とするステップ突進で距離を詰める。
恐らくは様子見と言ったところだろうか。
だが、アマツマガツチはそれを見てゆっくりながらも浮遊してそれを避ける。
避けた後に口に水エネルギーを溜め、発射。
直線状の水ブレスが舞演師を捉えた。
だが負けじと舞演師はステップで避け、胸を膨らませてクチバシを向け大きく息を吸い込む。
そして次の瞬間、音を発射。
轟竜には至らないが大きな音と空気玉がアマツマガツチに向かって飛ぶ。
その最中、アマツマガツチは身を回し、竜巻を形成させて空気玉をかき消す。
竜巻が晴れるとアマツマガツチが舞演師を睨み付けている。
(……ん?)
だが、ユカリはこの時気付いた。
アマツマガツチの視線を辿ってみると舞演師の羽根を見つめていることがわかった。
……まさかとは思うがあのアマツマガツチは舞演師の羽根を狙ってるのではないだろうか?
何故舞演師の羽根を狙ってるのか分からなかったが、しばらく観察を続けてみることにする。
少し間が開け、再びアマツマガツチは動く。
今度は前足をバタバタさせて前進する。
まだ空を飛ぶのには慣れてないのかフラ付きが見える。
それでも前進し、口を開いて噛み付いた。
……羽根目掛けて、だ。
ーブチッ!!
途端、何かが千切れる音が聞こえた。
その正体は舞演師の立派な羽根が何枚か千切れる音だった。
千切れたことにより、舞演師は驚き、怒りを覚え、胸を膨らませる。
対してアマツマガツチは……。
ー(*´ω`*)
寺子屋の上で一休み。
……戦闘中だというのに一休みをする、マイペースだというのは相も変わらずらしい。
しかも元々羽根が目的だったのか、フサフサの羽根を枕代わりにして寝っ転がってる。
……さらに顔。
めっちゃホッコリしてる。
もう、モンスターじゃないのか?と疑問になる程の満足気な顔だった。
だが、それを見逃す訳には行かないと舞演師は胸を膨らませて咆哮を放つ。
(ッ!!この鳴き声は……!!)
放たれた咆哮に耳を塞いでいるユカリは聞き覚えがあった。
このドスの効いた低い咆哮。
……あの方しかいない。
ードスッ!!ドスッ!!
地響きが鳴るとそいつは現れた。
恐暴竜【イビルジョー】。
しかも舞演師が放つ五月蝿さのせいか怒りに満ちている。
舞演師は嬉しそうにステップを踏み込みながら火打ち石を鳴らす。
しかもこの舞演師、厄介な事に特殊な音波を発し、呼び寄せたモンスターを操る事も可能としてる。
つまりは原種では乱入させても味方とは限らずとなるが、舞演師の場合は完全に味方。
一対二となってしまう。
流石に突然の乱入者に驚いたアマツマガツチは羽根から離れる……
ーzzz……
……のではなく、もうお決まりとなってしまったお昼寝タイム。
元々羽根のみが目的らしく、別に舞演師には興味が湧かないらしい。
ーイラッ…
その態度にイラついたのか舞演師はステップを行い、連れてきた暴走イビルジョーを強化させる。
そして再び特殊な音波を発し、イビルジョーに命令をする。
命令内容は単純だった。
「殺れ」と…。
それに答えるかのようにイビルジョーは大きな咆哮を放ち、寝ているアマツマガツチに向かっていく。
もう殺せると思い込んでるのか舞演師は挑発させるかのように左右にステップする。
そしてイビルジョーとアマツマガツチの距離が縮まり、その大きな口を開け喰らおうとする……その時。
ーヘクションッ!!!!
アマツマガツチがくしゃみをした。
そのくしゃみの反動により水ブレスが炸裂。
ー!?
突然0距離からのアマツマガツチブレス。
そんなの予想してないのかかの恐暴竜ですら動揺している。
そしてそのままブレスはイビルジョーの口から尻尾の先まで貫いた。
水は水でも高速で飛べばそれは鋭い刃となる。
どんなに硬い甲殻を持っていようと貫くこともあれば砕く事も容易いのだ。
流石に耐えきれず、イビルジョーはそのままダウン。
……まさかくしゃみだけで一撃で倒してしまうとは……。
ー( ゚д゚)
それを目の当たりにした舞演師は口を開いて唖然とする。
だが、仕方あるまいと言わんばかり、一度羽ばたき空を舞う。
そこから強靭にまで発達した足でアマツマガツチを踏み砕こうとする。
そう、これが舞演師最大の技、飛び蹴りである。
どういった原因でそこまで発達したのか分からないが、アレに踏み砕かれたら一溜りもない。
だが、アマツマガツチは起きる気配なし。
これはピンチである。
そして足がアマツマガツチに当たる瞬間……。
ーん〜……、尻尾〜……
ーアイエエェェェェェェッ!?
寝相のせいで勢いよく動いた尻尾が舞演師を捉える。
直撃した舞演師はそのままホームラン、吹っ飛ばされる。
まさに逆転サヨナラホームランみたいなものだ。
そしてやや遅れて尻尾の影響なのか風が吹き、水が弾け飛ぶ。
……こういう形でアマツマガツチは勝ちを収めた。
「なっ……!!」
……この時、ユカリはこう思った。
ーつ、強い……。
クルペッコとは言え、二つ名を一撃で倒す。
そこは流石古龍と言ったところだろう。
そしてそれと同時にある事を思い浮かべる。
ー戦ってみたい。
討伐はしない、ただこのアマツマガツチと戦ってみたい。
ただただそう思い、拳を作っていた。
こうしてアマツマガツチにライバルが出来てしまった。
ーちなみに吹っ飛ばされた舞演師は余った背羽根に巨木の枝に引っ掛かり、身動きが取れなかったということをここに記しておこう。
ー続くー
初戦闘がこうなっていいのか?と思う私です( ´・ω・`)
さて、初めてオリジナルモンスターを出してしまいましたが如何でしょうか?
もし、嫌というのであればコメントお願いします。
ー舞演師のステータスー
名前・舞演師クルペッコ
種族・鳥竜種クルペッコ属
属性・火
破壊部分・クチバシ、火打ち石、両足
生態
近年発見されたクルペッコの特殊個体。
クチバシと胸が大きくなり、色鮮やかな背羽根と扇形の尻尾、そして固く巨大化した両足が特徴。
胸の発達により大量の空気を摂取する事が可能となり、クチバシの発達のおかげでより遠くのモンスターを呼び寄せ、特殊な音波を発生させモンスターを操る事が可能とした。
そして最大の特徴となる両足。
この足でステップするような動きで相手を翻弄し、飛び蹴りを可能とした。
蹴りの一撃は重く、かの空の王者の火炎ブレスに匹敵するという。
この舞い踊り、演奏をする師という姿からギルドはこれを【舞演師】と名付けた。
素材
・舞演師の鱗
赤緑の美しい鱗。鱗としてはしなやかであるが、それなりの強度がある。
・舞演師の背羽根
舞演師の背に生える巨大な羽根。フサフサしており、触り心地が良い。
・舞演師の足甲殻
異常なまでに硬質化した舞演師の足。出来の良い武器ですら弾かれるという。
・舞演師の扇尾
舞演師の扇形の尻尾。これにより舞い踊ると共に長距離の飛行も可能としてる。
防具
舞演師シリーズ
・回避性能+1
・高級耳栓
・舞演師の魂(笛強化+風圧【小】無効)