アマツさんの大冒険   作:死神 零@8928

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更新お待たせしました(汗

今回はオリジナル二つ名が含まれていますので苦手な方はブラウザバック推奨です。


第十三話 切り裂く者

突然であるがアマツマガツチはエリア10にて、ある物をガン見していた。

 

何を見ているのかと言われれば……説明がしずらい物体である。

 

赤緑の鮮やかな色をしており、まるでモンスターの甲殻のような物体が幾つも刺さっている。

 

こう見てみれば誰もが【ガララアジャラ】の物だろうと思うが違和感がある。

 

赤緑と言ったが、その二つの色は最も濃く、また甲殻の形がまるで鋭く尖った釘のような形をしている。

 

普通、ガララアジャラはまだ丸い甲殻を持つが今目の前にある物体は比べ物にならないほど鋭かった。

 

その鋭さは触れるだけで傷口が出来るんじゃないかと思われる程だ。

 

それが何個もエリア10にバラ撒かれてる。

 

これは流石に不自然だと誰もが思うだろう。

 

そしてアマツマガツチは意を決したのか触れようとした時ー

 

 

ーっ!

 

 

気配を察知したのか空を見上げる。

 

その瞬間、上からドスンッと何かが落ちてきた。

 

その何かを見てアマツマガツチは目を見開く。

 

そこには傷だらけのライゼクスがいた。

 

しかも至るところにあの物体が刺さっており、トサカは半壊し、翼膜に穴が空き、背の棘は欠けている。

 

そんな状態のライゼクスはアマツマガツチを見るなり威嚇をせず、足を引きずりながらせっせと逃げる。

 

あの残虐でアマツマガツチに何度も挑んできたライゼクスがだ。

 

自分でも命の危機だということを理解しているらしい。

 

だが、分かることはこの甲殻の持ち主はライゼクスよりも戦闘能力があるという事である。

 

なら他に何がいるのであろうか?

 

ライゼクスの上となれば、この前出現したオオナズチやどこにでも出現する恐暴竜【イビルジョー】ぐらいであろう。

 

だが、この二体ともこのような甲殻は出さないし、今現在この森丘にその二体はいない。

 

なら誰がやったのだろうか?

 

 

 

ードゴッ!!

 

 

 

……その答えとなる奴が地中から現れた。

 

 

 

そいつは見た目から見ればガララアジャラであるが、異なる点があった。

 

まずクチバシが発達していた。

 

そのクチバシは大きく、一噛みするだけでガチガチと鳴る。

 

また体格も通常種より大きく、色もやや赤くなっていた。

 

そして何より一番異なる点が…背の甲と尻尾の甲だ。

 

そう、デカイ。

 

甲殻の一つ一つがデカい。

 

まるで弾丸のようで、刃が生えてる特殊な甲殻だ。

 

恐らく、このガララアジャラがライゼクスを襲ったのだろう。

 

その刃のようで、弾丸のような甲殻を持つガララアジャラに名を付けるとすれば【飛刃殼(ひじんかく)】と呼ぶに相応しいだろう。

 

ガララアジャラもとい飛刃殼はアマツマガツチとライゼクスを見るなり大きな咆哮を上げる。

 

ガタガタと鳴る背中の甲殻と尻尾の甲殻に合わせ、そこらに刺さっていた殼が爆発する。

 

だが、厄介な事にこれは普通の爆発ではない。

 

かの千刃竜【セルレギオス】に似た裂傷爆発が起きたのである。

 

もし、これに触れてしまえば裂傷状態になるであろう。

 

……勿論の事だが、ガララアジャラから大きな音を立てると全ての甲殻が爆発する。

 

つまりはライゼクスに刺さっていた甲殻も裂傷爆発を起こした。

 

ライゼクスは斬撃の痛みに耐え切れず、大きく仰け反り怯む。

 

ちなみにアマツマガツチは……。

 

 

ーあ……。

 

 

もう何度も見た光景だろうか、咆哮のせいで食っていた魚が一斉に逃げ始めた。

 

ちなみに今回の主食は世にも珍しい鎧に覆われたマグロ【ヨロヒ大マグロ】を食っていたそうな。

 

勿論の事だが、飛刃殼とライゼクスに興味が無い様子。

 

そのアマツマガツチを他所に飛刃殼とライゼクスは争っていた。

 

ライゼクスは瀕死のためか足元がもたついているが負けんとばかりに頭と翼を振り回す。

 

だが蛇竜種が持つ機動力ではそんなもの通用しなかった。

 

長い身体を持つ飛刃殼はスルリとライゼクスの攻撃を避け、尻尾から自分の甲殻を飛ばす。

 

甲殻は真っ直ぐ飛び、ライゼクスの胸部に食い込む。

 

だがライゼクスは痛みを耐え、そのまま前進し頭に雷を宿す。

 

ブレード状に伸びた角が飛刃殼を捉えるが、尻尾甲殻によって妨害される。

 

ガキンッと重なる音が響くだけで終わった。

 

いや、終わりではなかった。

 

次に動いたのが飛刃殼。

 

飛刃殼はガラガラヘビのように尻尾の甲殻を重ね、特殊な音波を放つ。

 

 

ーっ!!

 

 

一度見た攻撃を知っていたからこそ、ライゼクスは「不味い」と言わんばかりの顔を表す。

 

 

 

ーその直後、ライゼクスの胸が裂け、多量出血を起こした。

 

 

 

大量の出血を出しながらライゼクスは前に倒れ込むが未だに生きている。

 

その証拠に立ち上がろうともがくが体力的に限界が来てるのであろう身体が思うように動かない様子だ。

 

飛刃殼はズルりズルりと前進し、ライゼクスに近付く。

 

最早ライゼクスは虫の息であった。

 

多量出血により死ぬのも時間の問題であろう。

 

 

ー……。

 

 

だが、飛刃殼はライゼクスにトドメを刺さずにアマツマガツチの方へ振り向く。

 

どうやらわざわざトドメを刺さずにでも勝手に死ぬだろうと理解したのだろう。

 

そして飛刃殼はゆっくりとアマツマガツチに近付く。

 

その後ろではライゼクスがもがく。

 

そのもがきは【痛みによる嘆き】でもなく、【まだ戦えるからこちらを向け】という意志的な事でもなく……アマツマガツチに向かって【逃げろ】と言ってるように見える。

 

だが悲しきかな、アマツマガツチはやっと存在に気付いたのか振り向いてしまった。

 

……口にカジキマグロをくわえて。

 

 

ーこっから出てけ、さもなくばこいつと同じようにしてやろうか?

 

 

的な雰囲気を醸し出しながら威嚇する飛刃殼に対してアマツマガツチは……

 

 

ー?

 

 

首をコテンと傾き、頭上に?マークを浮かべる。

 

 

ーあ、ダメだ。終わった。

 

 

……なお上のイメージはライゼクスである。

 

そして痺れを切らしたのか飛刃殼はアマツマガツチに向けて甲殻を飛ばす。

 

弾丸のようなスピードで飛ぶ甲殻はアマツマガツチの胸、左腕に直撃……

 

 

 

 

 

 

……するが弾かれてしまった。

 

 

ー!?

 

 

飛刃殼は目を見開いた。

 

それもそのはず、自分の代名詞である甲殻が貫かないどころか弾かれたのだから。

 

だがアマツマガツチが弾いたのは自身を纏う風でもなく、また水でもない。

 

ただ自分が持つ甲殻と鰭が飛刃殼の甲殻より硬かった、ただそれだけである。

 

なら何故ここまでの硬さを誇る甲殻を手に入れたのか?

 

それは単純明快である。

 

アマツマガツチが先程まで食べていた【ヨロヒ大マグロ】の効果である。

 

なんとこれ、ハンターでいう【忍耐の種】に似た防御力を上げる効果があるのに加え、甲殻をより硬くさせる効果もある。

 

今のアマツマガツチの甲殻は、甲殻というよりも【堅殼】と言った方がいいだろう。

 

だが、飛刃殼は混乱していた。

 

今まで自分が放つ甲殻を貫けない物なんて存在しないと思い込んでいたのだろう。

 

しかし、現れてしまった。

 

自分の自慢の甲殻を弾いてしまう存在を。

 

 

ーグオォォォォォォッ!!!

 

 

その悔しさを怒りに変え、大きな咆哮を放つ。

 

その咆哮は原種よりやや甲高いがハンターを吹っ飛ばすのに充分だった。

 

赤く染まった甲殻を再び放つ。

 

今度は非怒り時より圧倒的な甲殻の数でアマツマガツチ目掛けて襲いかかる。

 

……だが、それも全て弾かれるだけで終わった。

 

対してアマツマガツチは……また魚を食し始めている。

 

けれどそれで終わる飛刃殼ではない。

 

その隙に今度はアマツマガツチに接近し、その身体を締め付けようとする。

 

だが、それを許すアマツマガツチではない。

 

……いや、正確には【気付いていなかったアマツマガツチ】、と言ったところか。

 

 

ーあっ。

 

 

たまたまバクレツアロワナをくわえていたアマツマガツチだが、バクレツアロワナが暴れ出して滑って落としてしまった。

 

そしてそこへ飛刃殼が飛び出し、バクレツアロワナと接触し……

 

 

 

 

 

ーあっ……!

 

 

絶命を覚悟したバクレツアロワナはそのまま爆発した。

 

飛刃殼は気付いていたものの時既に遅し。

 

その爆風により、アマツマガツチと飛刃殼が巻き込まれてしまう。

 

 

ー…………。

 

 

その様子を見ていたライゼクスはただ口をポカンと開けて呆然としていた。

 

煙が晴れるとそこには鰭が焦げているアマツマガツチと甲殻にヒビが入っている飛刃殼がいた。

 

ダメージとしては飛刃殼の方が大きかったようだ。

 

対してアマツマガツチは鰭を焦がす程度で済んだ。

 

予測だが、恐らくヨロヒ大マグロによる甲殻強化に加え、自身が持つ【風と水を操る力】により、爆風を抑えたのであろう。

 

流石は古龍の持つステータスである。

 

……と言っても、自身は古龍だということに対して自覚はないが……。

 

 

ークソッタレが……!!

 

 

まともに爆風を受けた飛刃殼は分が悪いと判断し、逃走を図ろうと地面を掘ろうとする。

 

 

ーガシッ!!

 

 

だが、何者かによる挟みつけで妨害され、失敗に終わる。

 

 

ーおい、俺を忘れんな。

 

 

飛刃殼を妨害したのはあのライゼクスだ。

 

ヨロヨロと立ち上がり、息を荒くして尻尾の鋏で飛刃殼の胴体を挟んでいた。

 

 

ー離せぇ!!

 

 

飛刃殼は必死にもがく。

 

だがライゼクスも許さんとばかりにそれを対応する。

 

恐らく、これが彼の最後の力なのだろうか、今まで以上に鋏の攻撃が膨大している。

 

ギチギチと嫌な音を立てて飛刃殼を押さえ付ける。

 

ライゼクスも本気なのだろう、証拠に全部位が電荷状態になっている。

 

ただ、ほんの一瞬だけだが、緑色の雷が青白く光った……気がした。

 

けれどそれどころではない。

 

飛刃殼が暴れる度、甲殻が雨のように降り注ぐ。

 

形は違えど、これも飛刃殼の攻撃の一種である。

 

その雨のように降り注ぐ甲殻は周りにいたドスランポスを貫き、勿論の事ライゼクスにも刺さる。

 

だが、離さない。

 

痛みを無理矢理堪えてるようにも見える。

 

 

ーっ!!!

 

 

そしてその最中、飛刃殼は見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーよくもバクレツアロワナをぉ!!

 

 

いつの間にか雨が降り出し、自分が食べようとしてたバクレツアロワナを失い、怒りのアマツマガツチがこちらに向かって水ブレスを放ってきている事を……。

 

 

 

水ブレスは飛刃殼の頭部を捉えていた。

 

水とは言え、圧縮された状態で高速で飛べば大岩でさえも切断する威力となる。

 

その水の嵐の中にいる飛刃殼の甲殻がピキッ!!と嫌な音を立て、ついには砕け散った。

 

……うん、自然界でも食べ物の恨みって怖い。

 

幸いにも飛刃殼の頭部のみに水ブレスが直撃してる為、ライゼクスに大きな被害はなかった。

 

……ただ、水の勢いが大きすぎたのか吹っ飛んだだけだった。

 

そして水のブレスが止むとそこには背の甲殻が綺麗さっぱり消え失せた飛刃殼もといガララアジャラがいた。

 

だが、目は白目を向いており、口を開けたまま倒れた。

 

二つ名とはいえ、古龍の怒り攻撃には耐えれなかったそうだ。

 

 

ー……。

 

 

それを見て安心したのかライゼクスはヨロヨロと立ち、ボロボロの翼を広げた。

 

その翼膜には、大きな傷跡が一線あったが、その翼の美しさは失っていなかった。

 

そして翼を羽ばたかせ、空に舞う。

 

だが、違う点があった。

 

それは目付きである。

 

今まではアマツマガツチが気に入らず、憎悪が込められたような冷たい目をしていたが今となれば感謝しているのか暖かな目をしていた。

 

……だが、アマツマガツチは無視して魚を食べているが……。

 

その変わらないマイペースさもライゼクスはやや呆れていたが、フッと笑ったような表情でこう鳴く。

 

 

ーありがとう、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数週間後、完全に完治したライゼクスはいつものようにアマツマガツチのいるエリア10へ向かった。

 

今度は殺し合いとかではなく、ただの力試しとしてだ。

 

……だが、そこにはアマツマガツチの姿がなかった。

 

あの気分屋でマイペースな彼女なら納得がいくだろう、恐らく旅立ったんだろう。

 

けれど諦めの悪いライゼクスはやはり諦めていない。

 

今度こそ力を示してみようと思う。

 

この青白く光る雷光で……。

 

 

ー続くー




まさかのライゼクス二つ名フラグ……。

けれど未だに詳しい生態が判明してないのでまだ遠くなりそうです。


ー今回のオリジナル二つ名個体ー

・名前 飛刃殼ガララアジャラ
・種族 蛇竜種
・属性 麻痺・裂傷
・破壊部位 頭部・腕・背殼・尾殼・後脚

生態
ガララアジャラの特殊個体。
原種とは異なり、背の殼、尾の殼が異常発達してるのが特徴で、飛ばすと刃が飛ぶように甲殻が発射され、そこから音量を放つと裂傷爆発が起こる。
対処法としてモスジャーキー、またはサシミウオ、こんがり肉を食えば治る。

素材
・尖ったクチバシ
飛刃殼のクチバシ。
原種より尖っており、触れるだけで軽い傷を起こす。

・飛刃殼の背殼
飛刃殼の背にある甲殻。
一つだけで非常に大きく、加工するには腕利きの職人でなければほぼ不可能。

・飛刃殼の尾殼
飛刃殼の尾にある甲殻。
背殼より小さいが、相手を傷つけるのには充分な鋭さを誇る。

・飛刃殼の腕
飛刃殼の腕。
唯一甲殻は存在せず、あるのは鋭い爪のみ。


防具
飛刃殼シリーズ

スキル
・麻痺無効
・裂傷無効
・飛刃殼の魂(捕獲名人+高級耳栓)


こんな所でしょうか(汗

あと報告させていただきます。
最近コメントが多くなって参りました。

非常にありがたいのですが、ほぼ全てに返信が出来ないことがありますのでご了承ください。

ただ、全てのコメントに目を通しております。

本当にありがとうございます。

では、次回に会いましょう。

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