これからも精進します。
突然だが、獰猛個体について説明しよう。
モンスターが何らかの原因で獰猛化した個体を指す。
外見は至って大きい変化はないが体の一部に黒いモヤを纏っているのが特徴である。
そのモヤは一体につき二つあり、感情が高まるとモヤの位置が変化する。
なら、そのモヤはなんなのか?
それは【攻撃】が異常発達してる事を指す。
原因はまだ解明されてないものの、黒い部分で攻撃されると通常より大きなダメージを受けるという。
だが、逆にハンターがそのモヤ部分を攻撃すれば狩技ゲージが溜まりやすくなる利点もある。
そしてこの獰猛個体、何故こうなったのかといういくつかの仮説が立てられているが今現在最も有効な仮説が【筋肉膨張説】である。
筋肉が熱や高度の運動エネルギーを遂げると膨張し、蒸気を纏う事がある。
それと同じでモンスターも何らかの原因で一部位の筋力が上がってるため、黒いモヤを纏っているのではないか?という説。
……さて、獰猛化についてはここまでにしよう。
その獰猛化個体なのだが、アマツマガツチは眺めていたのだ。
黒狼鳥【イャンガルルガ】の獰猛個体と戦うハンターの姿を。
ハンターは一人でゼクスSシリーズを纏い、ランス【テリオス=ダオラ】を抜刀し、突いている。
イャンガルルガはさておき、ハンターの装備とそのランス捌きから見ればベテランだろう。
そして両者はボロボロであった。
恐らく、長い戦いが続いたのだろう。
「やっと足を引きずったね……!!」
顔はゼクスSヘルムに覆われてる為見えないが、苦虫を潰したような表情が伝わってくる。
…彼の名は【ギル】。
ココット村所属の龍歴員ハンターである。
腕はユクモ村所属のユカリと同じらしく、あの老山龍【ラオシャンロン】の進撃を一人で食い止め、討伐に成功したココット村の英雄である。
彼も後に龍歴員の一員となり、骸龍【オストガロア】の討伐に成功を収めている。
そんな彼は現在もココット村に滞在し、様々なクエストを受注している。
そして今現在、獰猛化したイャンガルルガが森丘にて出現したとの事でここにいる。
「ごめんね……これも仕事だから!!」
彼はそう言うとステップを踏みながらランスを刺す。
切っ先は嘴を捉えている。
だが、イャンガルルガは刺さる前に小さくジャンプし、着地と同時に強靭な嘴で地面ごと啄む。
「危なっ!!」
ギルはそれをギリギリのところで盾を構え、防ぐ。
防いだ事により、やや後ろに下がる。
けれどイャンガルルガの猛攻は止まらない。
左脚に黒いモヤがあり、ビリッと何かが破ける音と共に光出した。
「ちょちょっ!!」
その光にギルは見覚えがある。
獰猛化個体の黒いモヤが光り出すとその部位に関する攻撃が来ると言う意味である。
今回は左脚ということもあるため、突進攻撃が極めて危険である。
ギルはすぐに盾を再度構え直し、迎撃体勢に入るが耐えきれず、再び後ろへ。
イャンガルルガは突進の勢いあまりギルを通り越した後に腹から思い切って擦り付けてブレーキをする。
「今度はこっちからだよ!!」
その隙を見てギルは身体を捻らせながらランスを納刀し、距離を詰める。
これは狩技の一つである【絶対回避】。
読んで字の如く、絶対的な回避を行うこと。
回避にも使えるが、これを使用した際には必ず武器が納刀状態になる。
なので納刀に遅いランスやチャージアックス、はたまたヘビィボウガンに適応されている。
しかも大きく前進するため距離を詰める事も可能。
狩技をセットする時、迷ったらこれを選ぶハンターは多い。
ー!!
それを草陰で見つめるアマツマガツチは興奮してるのか前足をバタバタさせ、尻尾をフリフリと左右に振る。
どうやら人が持つ狩技に興味津々である……らしい。
「てりゃあっ!!」
距離が詰まり、ランスが届く位置に達したところで再びランスを突く。
直後、氷のエフェクトが発生した。
ギルが担いでるテリオス=ダオラは氷属性の武器であるため、このようなエフェクトが出てくる。
その氷にビックリしたのかイャンガルルガは羽根を広げ、バックステップする。
「むぐ……!」
発生する風圧を耐え凌ぎ、再び前進。
だがイャンガルルガはそれを許さない。
今度は頭に黒いモヤが帯び始めるとまた黒く光り出す。
そこから渾身の火球が飛び出した。
「チャンス、だね!!」
だが、ギルにとってそれはチャンスだった。
火球との直撃に間に合う時間帯の中でギルは盾を構え、防御体勢に入る。
そして火球が盾に直撃すると衝撃が走る。
その衝撃の反動を吸収し、槍に注ぎ込むと槍が赤く光り出した。
これはランスの狩技の一つである【ガードレイジ】。
盾でモンスターの衝撃を吸収し、その衝撃を槍に注ぎ込むことで攻撃力が上がるというものである。
……ちなみに再び狩技を見て興奮してるのかアマツマガツチの前足バタバタと尻尾フリフリは激しさを増す。
「行くよ……!!」
ギルは再び前進し、イャンガルルガと接近。
だがイャンガルルガは危険を察知したのかすぐにバックステップ、と同時にカラスに似た甲高い咆哮を放つ。
「っ!!」
ギルはそれを盾でガード。
けれど盾を緩めることはなく、そのままずっと構えている。
そしてやや遅れてイャンガルルガが滑空して急接近し、リオレイアの代名詞でもあるサマーソルト攻撃をする。
だが、ギルはこれを読んでおり、縦を構え続けていた事によりガードに成功する。
「うおぉぉぉっ!!!」
しかも距離が詰まり、ランスが届く距離となったため返って好都合である。
すぐに隙を見れば突く。
「あ!やばいっ!!」
だが、その槍はイャンガルルガで最も硬い部位である背中に直撃。
見事に弾かれ、僅かだが隙が出来る。
そこを逃さんとイャンガルルガの怒涛の突っつきが……!!
「ぐはっ!!」
黒いモヤというのもあり、ギルは大ダメージを受け吹っ飛ばされる。
地面と着地するのと同時に受け身を取り、前を見る。
前を見るとイャンガルルガがギルに向かって突進を仕掛ける。
「まだまだっ!!」
それを見たギルはいち早く絶対回避で回避する。
回避した後、イャンガルルガはさっきまでギルが居た場所に思い切りクチバシで刺す。
勿論のこと、そこには誰もいないわけで、クチバシは地面深くに刺さった。
それ故か、突っかかったせいで抜けない状態になっている。
「これで……終わらせる!!」
それを見たギルはランスを後ろに回し、低い姿勢で身構える。
何かを貯めているようにも見える。
その最中、イャンガルルガはやっとの事で地面から抜け出せる。
……この途端、地中からクンチュウが飛び出してアマツマガツチの方へと転がっていったことは言うまでもない。
そしてイャンガルルガはギルの方へと振り返るが、それはもう遅かった。
「喰らえぇ!!!!」
次にギルから来たのは貫くような衝撃波だった。
これはランスの狩技の一つである【スクリュースラスト】。
ランス最大の攻撃用狩技である。
その威力は絶大にして多段ヒット。
ただし、一度使うと暫くはその場から動けなくなるのが欠点であるため、使用するには場面が限られている。
そのスクリュースラストから放たれる螺旋状の衝撃波がイャンガルルガを貫いた。
その瞬間、イャンガルルガの背中が、クチバシが、耳が壊れ、そのまま息絶えた。
「はぁ……はぁ……やった!!」
死んだことを確認し、喜びを露わにするギル。
こう見ると身長というのもあるが子供のようにも見える。
だが、喜んでるのはギルだけではない。
ー!!!
「えっ……!?」
ギルは見てしまった。
草陰からゴロゴロと転がるクンチュウとアマツマガツチを……。
ー続くー
バイオ7を買ってしまった…投稿遅れちまう(←
まぁ、それはさておき。
今回は初めてハンターの戦闘描写を書いてみましたが……相も変わらずグダグダ……(汗
さて、この後アマツさんはどうなることやら……