とある傭兵と脚本家   作:子藤貝

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遅い・・・おっそおおおおおおおおおおおおおおおい!
ほんっとうに申し訳ありません!
11月中に投稿しようと思ってたのにこのザマです・・・。
しかも短い・・・。全然筆が進まんかったとです・・・。
次回からはもう少し早くできるようにします!


第十二話 学園都市と傭兵①

アーサーの師、王月林の死から早半年。

二人は海を渡り、日本へとやってきていた。

そして今回は長らく裏の仕事ばかりをしていたことも考慮し、

あくまで観光目的としてやってきていた。

ただし、その観光地とは・・・。

 

「噂に違わぬハイテク都市だな。ロボットが自走しているとは」

 

「ゴミ箱みたいな形ね・・・2足歩行みたいな

非現実的なのよりは合理的だけど、ロマンが足りないわ」

 

日本で最も最先端が集い、世界各国も注目している場所。

学園都市である。

今回は二人共正規の手続きをしており、学園都市の

転校を考えている学生ということになっている。

ただし、アーサーは既に年齢が19であるため、

その保護者兼研究者志望という立ち位置である。

まあ、仮に学生相応の年齢だったとして、

背格好が通常の日本人より圧倒的に高く、

青少年らしからぬ格好のためアーサーは違和感が

凄まじいことになっているだろうが。

 

「ロマン・・・か?」

 

「そ。漫画なんて見ないあんたには分かんないでしょうけど、

2足歩行で人型のロボットはロマンなのよ」

 

「・・・要らん知識ばかり吸収しているようでは、吾輩を殺すなど

到底無理だと思うが」

 

「はっ。言われなくても、此処に来る前にある程度の予習は

済ませてるわ。"超能力"なんて、いかにもあんたみたいな化物を

殺すにはもってこいじゃない」

 

「ふむ、心配はいらないようだな」

 

「余計な心配は無用よ・・・あんたの助手としてどんだけ

汚いことしてきたと思ってるのよ」

 

この2年間、とはいっても修行をしていた1年程は違うが、

アーサーの助手として徹底的に裏のやり方を叩きこまれた

ミーナは、その筋の人間であれば引く手数多であろうほどに

成長を遂げた。実際、アーサーもミーナの手腕には多少ながらも

助けられている。ただし、あくまで多少であるため、

ミーナがいなくとも支障はない。せいぜい効率が少し

落ちるといった程度だ。互いに利用し合い、殺し殺される

関係だからこそ、アーサーはミーナの実力(・・)を信頼しつつ、

彼女自身を微塵も信頼していない。それはミーナも同じ。

いつ裏切られるかわからない関係なのだ。

信頼など塵芥ほどの価値もない。

 

「ふわ・・・。にしても・・・」

 

欠伸を噛み殺しつつ、ミーナは立ち並ぶビル群を、

歩道を行き交う学生たちを、いかにも遅刻寸前で

慌てて走る男子生徒を眺め、呟く。

 

「だらけきってるわね・・・」

 

「そこは平和だというべきだ・・・血の闘争など、

只の人間が経験すべきではない」

 

「あら、あんたはてっきり戦い大好きな狂人だと

思ってたんだけど」

 

「それはそれは・・・随分な偏見だな。我輩とて人の心が

無いというわけではないぞ?」

 

「はっ、どうだか。あんたと会ってから一度として人間らしい

感情の機微なんて見えなかったけど」

 

そんなことをミーナに言われ、アーサーは特に

反論することでもないと思ったので黙る。

アーサーはインデックスとの対話を通じて、

大なり小なり感情を表に出すことが多くなった。

ただ、それはあくまでほんの少しぐらいであり、

フランスでの化かし合いのような、感情を爆発させた

ことなど稀の稀だ。

師であるガズラエルから戦場では冷徹に行動しろと

叩きこまれたため、それに拍車がかかった。

よって、ミーナとの出会い以来一度として、

アーサーは人間らしい感情の表出がない。

 

(そういえば、インデックスは息災だろうか)

 

彼の数少ない友人、今はもういないのと同義である友人を

ふと思い出す。彼女のことはステイルと火織がいるので

問題無いと考えてはいるが、ローラ程ではないにしろ

他の人間より優先順位が高い彼女のことが少しだけ

心配になった。

 

「なに? 考え事?」

 

そのまま考えを深めようとしたが、ミーナの言葉で

現実へと引き戻される。目の前には憮然とした顔の彼女が。

どうやら黙りこくっていたのを勘ぐったらしい。

 

「ああ、少しな・・・何か不満そうだな」

 

「別に・・・あんたが珍しく難しい顔してたから何となく、よ」

 

そう言ってそっぽを向く。

実はアーサーが考え事をしている真横で、先ほど言った

"ロマン"について語っていたのだが、考え事を

しているアーサーにも気づかず、次々に言葉を吐いて

一旦それに区切りをつけて彼の様子を見たのだが、

彼女の語ったこと全てが無視されていた事に気づき、

不機嫌になったというのが真相である。

 

 

 

 

 

「往生際の悪いやつねぇ・・・」

 

「た、頼む・・・金ならいくらでも出すから・・・!」

 

「クスクス・・・だーめ♪」

 

暗闇に紛れて、学園都市の闇は這いずる。

表のハイテクにして最新鋭の実験学園都市としての顔と違い、

その裏の顔は残酷な実験や非人道的なデータ採取、

モルモット扱いの被験体・・・数えればキリがない。

今裏路地で必死に命乞いしているやせ細った不健康的な

白い肌の男。羽織っているのは暗がりのせいで分かりづらいが白衣である。

もう一方、暗闇でうっすらと嗜虐的な笑みを浮かべているのは、

中学生ほどの背丈の少女。その手には不自然なほどに

大きなフォークが。

 

「い、嫌だァ! こんなところで死にたく」

 

「うっざー・・・さっさと消えちゃえ♪」

 

少女がそう言ってフォークを男に向けた次の瞬間。

フォークの先から暗闇を照らすような光が放たれた。

それは一瞬で男に到達し、男は悲鳴を上げることすらできないまま

炎に包まれた後、黒焦げになって倒れ伏した。

 

「あーあーつまんなーい。こんな雑魚ばっか狩ってても

経験値なんか溜まんないわよーレベルアップさせろー!

・・・アホくさ。・・・っと、これが"例のブツ"ね」

 

少女はブツブツと文句を垂れつつ、『人間だったもの』が

小脇に抱えていた物を引き剥がそうとする。

 

「んしょっと・・・うわガッチリ掴んでる。死んでもキショいわね」

 

死後も手荷物を話そうとしない男に対して暴言を吐きつつ、

鬱陶しいと感じたので手首ごと蹴り飛ばす。

するとまるで人形の手を折るように、ポッキリと。

腕が荷物ごと蹴り飛ばされた。

 

「うえ・・・このキショい腕つけっぱなしで持ってかなきゃなんないの?

マジ最悪なんですけど・・・」

 

しっかりと握り付いた腕を眺めつつ、そんな感想を漏らす。

 

「ま、私の仕事はこれを届けるだけだし。さっさと行くかな」

 

荷物、頑強なジュラルミンケースを携え、少女は闇に溶けていった。

あとに残るのは、焦げ臭い残り香と何かの黒炭だけだった。

 

 

 

 

 

時間は経過して夕方。黄昏時にアーサーはひとり佇んでいた。

ミーナはこの学園都市を色々と見て回りたいと言い、

観光を終える1週間後に再び会うことになったのだ。

 

「やれやれ・・・未知の技術に興味を示すのはいいが・・・。

それ以上の危険を考慮しないところがまだ未熟、か」

 

アーサーを殺そうとどんな汚い手段もするように心がけている

ミーナだが、その分自らの危険を顧みない性分は変わっていない。

これでは、自分を殺す前に死んでしまうだろうとアーサーは感じていた。

師、月林に堕ちるなと釘を差されていながら、その実破滅の一歩手前な

ところはまるで成長していない。これでは堕ちる寸前と同義だ。

 

「・・・まあ、そこまで考えてやる義理もないか・・・」

 

アーサーにとってみれば、ミーナは所詮自分の都合のいい助手に過ぎず、

イギリスに残してきたリディアの代わりでしか無いのである。

そもそも、彼女を引きとったのはサルダルとの決闘に敬意を評して、

という理由からだ。アーサーとしては、身動きが取りづらい複数人よりも、

単独で戦闘能力があるアーサーのみでのほうが楽に仕事が出来る。

いや、人数が多いのであればそれはそれで利点はあるが、

ミーナはリディアほどに経験を積んではいない。アーサーから見て、

あくまで最低レベルで使える人間でしか無い。

切り捨てるのは容易だ。失ったところで大して損害もない。

 

(・・・嫌になってきますね、こうも思考が冷え切っていると・・・)

 

ニッケルとしての思考を止め、アーサー本来の自分に切り替える。

ニッケルとしての自分は、極限まで己を冷酷にさせる。

それが自分本来の持ち味を活かす考え方だと、ローラも言った。

だが、アーサーとしての自分は・・・それをどこか納得していない。

幼い頃に抱いた恐怖。自分が守りたい者さえも切り捨てる、

恐るべき悪夢の実現。それは着々と、ニッケルという

自分として現実のものになり始めている。

いや、まだそれは形として見えて来ただけにすぎない。

アーサーが自身を律しきることが出来れば、それは

ただの過ぎた妄想として霧散していくだろう。

アーサーの苦悩は、インデックスとの対話で心が

氷解し始めた今でなお、消え去ることのない楔となっている。

 

 

 

 

 

「あーだるっ! ・・・熱くてしょうがないわぁ」

 

既に日が落ちた学園都市。しかし今は6月をようやく終えたばかり。

今年は例年の1.2倍の降雨量を誇り、梅雨明けが宣言された7月の

月初めである今日は快晴なれど、日中の照りつけるような陽射しのせいで

アスファルトに染み込んでいた水分が揮発、結果として

夜の闇に抱きつくかのように猛烈な蒸し暑さが学園都市を襲った。

そんな街中を、一人の少女が歩いている。スラリとした足とは対照的に、

中学生ほどの背丈の割に自己主張気味な胸。黒髪には茶色の毛が

所々に混じっている。察するに、茶髪を染めるのに失敗したのだろう。

なんともマーブルな頭髪となっている。手には頑丈そうなジュラルミンケース。

 

「あーあ、結局日が落ちちゃったし・・・さっさと渡して帰りたいわね」

 

少女はある目的を達成するために、とある施設へと向かっていた。

目的とは、彼女が持つ荷物の配達。ある施設とは、学園都市には

別段珍しくもない研究所である。

もっとも、やっている研究内容は常軌を逸した者ではあるが。

 

「なんか冷たい飲み物でも出してもらおうかしらねぇ?」

 

額に玉のような汗を浮かべつつ、少女は目的地へと歩を進める。

頭の中には、この蒸し暑さから早く開放されたいという

欲求のみが占めていた。そのせいだろうか。

 

「あたっ!」

 

「む、申し訳ない」

 

無意識の内に他に歩いている人が意識に入って来なかった。

その結果、見ず知らずの誰かにぶつかってしまったのだ。

 

「あら、御免なさい。私ったら余所見してて」

 

「いや、考え事をされていたようですしな、仕方ありますまい。

こちらとしても気にはしておりませんよ」

 

「そう言って頂けると、有り難い限りですわ」

 

少女は、一般人と思しき相手に仮面を被る。

表向きは品行方正なお嬢様として通っているのだ、

この程度はどうということもない。

 

「その制服、常盤台中学の方かな?」

 

「あら、外の方のようですのにお詳しいのですね?」

 

「連れがこの学園に転入することになっているのでして」

 

「あら、でしたらぜひお会いしたいものですわね」

 

「かなりのじゃじゃ馬だからあまりお勧めはしないですが」

 

「ふふっ、元気なことはよろしいことですわ」

 

彼女としては、さっさとこの会話を切り上げて目的を

果たしたい。だが、何故かこの外からやってきたと思われる

男との会話。切り上げるタイミングがいまいち掴めない。

 

「おや、そんな重そうなお荷物でどちらに?」

 

「・・・楽器が入っておりますの。お稽古が長くなって、こんな遅くに

帰ることになってしまいまして・・・」

 

荷物のことに触れられ、内心少し焦るが問題なくでっち上げの嘘をつく。

もしこの中身が知られれば、この男を消さねばならない。

恐らくこの学園都市に入場する折にIDを貰っているはずであるため、

なるべくなら荒事は避けたい。

 

「そうですか。もしよろしければ寮までお送りしましょうか?

こんな遅くでは危険もあるでしょう」

 

「いえ、お気遣いなく・・・そういえば、何故私が寮生だと?」

 

「いえ、ときわ台のパンフレットを貰った時に、全寮制だと」

 

「そ、そうですか・・・」

 

何故コチラの情報を、出会ったこともない人物が知っているのかと、

一瞬男を荷物を狙う輩かと疑ったが、どうやら違うらしく、

心のなかで安堵する。

 

「で、では私はこれで・・・」

 

ようやく会話を切り上げるきっかけを掴み、その場を去ろうとする。

背後の男に妙な雰囲気を感じたが、それだけだ。

さっさと研究所に逃げ込みたい。

 

「あの、もし」

 

しかし、背後の男はこちらに声をかける。このまま無碍に扱ってもいいが、

それでは疑われる可能性がある。

 

「・・・なんでしょう?」

 

渋々振り返り、男の方へと顔を向ける。

 

「いえね、最後に少し聞きたいことがありまして」

 

瞬間。少女の脊髄から脳に、ある警告が高速で送られた。

この男はヤバイと、逃げるべきだと。

何故なら、男が微笑んでいたのだ。

それはそれは、愉しそうな顔。

しかし感じてくるのは恐ろしいまでの寒気。

まるで、氷でできた笑顔の彫刻を間近で眺めているかのようだ。

一歩、無意識に足を下がらせていた。

 

「おや、どうなさりました? そんな怯えた顔をして」

 

「・・・いえ。お気になさらないで下さい。・・・それよりも、

まだ何か・・・?」

 

正直、これ以上この場に留まりたくない。こんな得体の知れない相手などを

これ以上相手すれば、もしかすると狂ってしまうかもしれない。

しかし、それはもはや叶わぬ願いだった。

 

「貴女の体から、人間が燃えた時の独特の焦げ臭さがしまして、ね」

 

「・・・は?」

 

「それにそのジュラルミンケース・・・わずかだが何かの黒ずみがついている。

貴女、そんなものを下げてどこにゆかれるので?」

 

少女の不幸は、この時より始まってしまった。

 

 

 

 

 

そんな状況の一方で、依頼を少女にした人物は研究所の中で、

何故か大笑いしていた。

 

「ヒャヒャヒャヒャヒャ! 面白レェ! マジ逝っちまいそうだわ!」

 

ボサボサの髪は染めるのに失敗したかのように茶と金が混ざり、

斑模様の様相を呈している。

着ているのは白衣だが・・・所々に黒いシミが。

目は切れ長で鋭く、口元は笑いを浮かべているためか三日月のように

営利で不気味に歪んでいた。

男の目の前には、ガラスで囲まれた部屋がある。先程までは

真っ白であったこの部屋は、今は模様替えをしたように別の色になっていた。

部屋の中には多数の人間、年若い男女が裸の姿で寝そべっていた。

別に如何わしい事をさせているわけではない。まあ、この男は

そういった行為も必要とあれば平気でさせるような、

先程の狂的な笑いから想像できる人物像であることは間違いないが。

だが、今回の彼の目的はそれではない。

部屋の中にいる少年少女たちは先程からピクリとも動かない。

よくよく見てみれば、彼らは皆体のどこかしらが欠損していた。

足がない者、腕が千切れている者、中には筆舌に尽くしがたいほどに

凄惨な光景を晒している者までいる。彼らは、ガラス越しに部屋を見つめる

この男の実験の贄とされた被害者だった。

今はその実験が終わった直後。彼らは唯の一人として動き出さない。

それもそのはず、なにせ男がそうなるようにしたからだ。

 

「ヒヒッ・・・まーさかこれでも殺しきれないなんてなぁ?

こりゃお手上げだぜヒャヒャヒャ!」

 

男の口から出た、この場に相応しくない言葉。

なにせ、この場にはこの男以外誰一人として生きている者(・・・・・・)はいない。

だというのに、彼は殺し(・・)きれない(・・・・)と言ったのだ。

静かな研究所の地下では、男の笑い声と電子機器の音だけが響いていた。

 

 

 

 

 

「はぁ・・・想定してたより弱いわね・・・こりゃ一杯食わされたってー感じぃ?」

 

先ほどの邂逅から数分の時を跨いで、場面は草木生い茂る公園の林。

アーサーは少女から逃走を続けていた。

 

(・・・想像以上に厄介ですねぇ、能力者ってのは)

 

先程から逃げ一辺倒に徹している。理由としては、相手をしている

少女が、能力者であるということだ。

裏社会ではアーサーとして、魔術師狩りに秀でていた。

そしてニッケルとしては優れた傭兵として活躍した。

だが、さしもの彼でも超能力という未知の存在相手では不利にならざるをえない。

対処方法がわからない上に、魔術とは全く逆方向の分野である科学の

最先端たる超能力など、情報を得るにはそれ相応のリスクが付き纏う。

故に、アーサーは学園都市に関しての情報はある程度手に入れていたが、

超能力者自体はさしたる情報も持ち得ていないのだ。

 

「ほらほら、さっさと出てきたほうが楽に死ねるわよぉ?」

 

そう言いつつ、少女は手に持った無骨なフォークを林に向け、

 

「まぁ、出てこないならここらへん一帯焼き払えばいいし♪」

 

閃光が迸る。夜の闇が一瞬にして振り払われるが、数秒でそれは止み、

再び闇が這いずり出る。が、今度は先程よりも明るい。

草木が轟々と炎を上げ、街灯は強烈な熱を浴びたかのように

飴細工のように折れ曲がり、蛍光灯があったであろう場所からは火花が。

 

(チッ、見た限りで判断する限り、光やそれに類似する何かを操るようですね・・・)

 

肉弾戦を主とするアーサーからしてみれば、相性最悪とも言える。

先ほどの熱線もそうだが、強烈な光を使えばスタングレネードのような

使い方もできるだろう。とことん正面から相手するのには不向きだ。

 

「ありゃ、曲がっちゃったか。あ、予備はまだあるからいいしー」

 

アーサーがどう対処しようかと思考していた時、少女がそんなことを言いながら

手に持っていたフォークを投げ捨てた。よくよく観察してみれば、

そのフォークは先程の熱線の熱にでもやられたのか、

フォークの先がひん曲がっていた。

 

(・・・何故態々、フォークを通して攻撃をしているんでしょうか・・・?)

 

実はアーサーは今日の昼ごろに能力者の強盗犯を目撃した。

しかしその能力者は彼女のように何かを使って能力を発現させてはおらず、

普通に掌で水球を操っていた。因みにさんざん暴れまわった後に学園都市の治安維持を

目的とした、能力者の生徒によって構成された組織である風紀委員(ジャッジメント)

捕まったのだが、その風紀委員も能力の行使に道具など使っていなかった。

 

(・・・何らかの条件が存在する能力ですかね・・・ですが私はそこまで

科学には詳しくはないですし・・・)

 

たいていの魔術師やその関係者などよりは遥かに知識があるのだが、

それも一般常識に毛が生えた程度だ。

専門的な科学技術も数多く扱う学園都市の最先端とも言える能力者の

能力の特定など、アーサーには到底不可能だろう。

 

「さーてーとっ、私もあんまり暇じゃないのよねー。さっさと出てこないと

今度は公園ごとふっ飛ばすわよぉ?」

 

(っ! あまり猶予も無さそうですね・・・!)

 

あれだけの攻撃を放ってなお余裕の表情を浮かべているのだ、

あれ以上の攻撃ができてもおかしくないだろう。

こうなればもはや隠れている意味など無い。

 

「一か八か・・・賭けに出ますかね・・・」

 

 

 

 

 

「あーら、ようやく観念したわけぇ?」

 

「ま、そんなところですよ」

 

少女はアーサーの不可解な行動に警戒を示していた。

なぜ、今になって姿を表したのか。

確かに公園を吹き飛ばすなどと物騒な脅しをかけたが、

相手は仮にも裏に関わる類の人間、そう一筋縄ではいかない筈だ。

もしかしたら、今まで逃げ回っていたのは罠を仕掛けて

いたからではないかを勘ぐって辺りを見回してみるが、

それらしき仕掛けは見当たらない。第一、彼女の能力さえあれば

ちゃちな罠など問題ではない。よって彼女は罠の可能性を

考慮しつつも、目の前に現れた男を最優先で狙うことにする。

 

「ごめんねぇ、本当なら依頼以外で殺しするのは私の主義に

反するんだけど」

 

「私があなたの仕出かしたことに気づいたから消す、でしょう?」

 

 

少女はニヤリと口元を半月に歪め、

 

「物分かりが早くて助かっちゃう♪ てわけで」

 

手に持ったフォークをアーサーに向ける。

 

「く・た・ば・れ♪」

 

一瞬だけ少女の手元が発光し、次いでフォークから

光の奔流が迸る。アーサーは動けなかったのか、

それとも本当に観念でもしていたのか、真正面からそれに飲み込まれた。

数秒が経過して、焦げ臭い匂いとともにそれは(あらわ)になる。

 

「なーんだ、結局死んじゃったんじゃん」

 

そこにあったのは、アーサーと同じ位の大きさをした、炭だけが残っていた。




月林「ナゼナニ!」

子藤貝「傭兵質問コーナー!」

アーサー「なにかヤバイ香りがしますねこのコーナー」

インデックス「多分どっかからパクってるんだよ!」

子「そこっ! 大声で言わないの!」

月「このコーナーでは、作品での素朴な疑問に
お答えするんじゃよ」

ア「誰もしてくれないから自分でするんですね」

子「はいはいキコエナーイ。記念すべき一回目は!」

月林「この作品のヒロインは誰か、じゃな」

イ「ハイハイ! 私だと思う!」

月「残念じゃが、嬢ちゃんはアーサーに対しての
そういった感情はないっちゅう設定なんじゃよ」

ア「原作同様に上条君にホの字になる予定だとか」

イ「じゃあ、ヒロインって誰なの? ミーナとか?」

ミーナ「はぁ!? 誰があんな外道を好きになるか!」

子「うーん、ミーナのことはまだはっきり決めてないんだよね実は」

ミ「」

ア「まあ、もしそうなったとしても、私が彼女を好きになることは
絶対にないらしいですが」

子「完全に助手かそれ以下ぐらいにしか思ってないからねぇ」

イ「じゃあ、結局誰なの?」

子「決まってないです(キリッ)」

イ「それって行き当たりばったりなだけじゃ・・・」

月林「おお、そろそろ時間じゃな」

子「それではまた~」

ローラ「私が候補に挙がらないとはどういうことなりけるの!?」

子「あんたヒロインじゃないもん、女狐だもん」

ロ「」

ア「ローラ様ェ・・・」

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