東方魂恋録   作:狼々

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どうも、狼々です!

注意、エロ話です。
めちゃくちゃ入ってます。それはもう。
限りなくR18に近いです。

が、例によって、他サイトやハーメルン等からR15の基準内だと思って書いてます。
恐らく大丈夫だとは思いますが……

では、本編どうぞ!


第72話 意地悪な天君

 今年も終わりに近づいてきた寒冷の候。

 針となって冷たさが突き刺さる風は、ただひたすらに冷たかった。

 

 そしてどうやら、俺の手も限界のようだった。

 いつも通り修行を終えて、夕食の時間。作る分には問題なかった。

 

 ――だが。

 

 カラン、と木製の箸が右手から滑り落ち、軽快な音を立ててちゃぶ台に落ちた。

 

「あら、大丈夫? 箸替える?」

「……あ、あぁ、大丈夫だよ。畳ならまだしも、この上だし――」

 

 カランカラン。

 

 ……絶望に等しかった。

 目を見開いた。震える手と、横になった箸を見た。

 息は気付かないくらいにだが荒く、間隔は短く。

 

「……ねぇ、だいじょぶなの?」

「あぁ、翔、大丈――」

 

「貴方、まだ隠すつもりなの? 何かあるんでしょ?」

 

 ドキッとした。これが恋愛的な意味だったら、どれほどよかっただろうか。

 緊張感は全身に巡り、心臓の鼓動が煩く聞こえてくる。

 幽々子の声を、無意識的に自分の耳から入らないように遮断していた。

 

「……ねぇ、そ――」

「ご馳走様でした。俺は部屋に戻るよ」

 

 逃げたかった。何も話したくない。

 手早く夕食をかけこみ、空になった食器を持ってちゃぶ台から遠ざかる。

 部屋を抜け出して、本当に逃げるように台所へ。

 

 運んでいる間にも、食器を洗っている間にも、俺の精神が一つに留まることはなかった。

 食器に当たる水流の音を聞いても、落ち着かない。

 

(天。もう限界なんじゃない? 早めに言った方がいいと思うよ?)

(……もう少しで、終わるんだ。だから。今心配かけるわけにも、いかないんだよ)

 

 残る黒幕はあと一人。

 ラストを飾るということは、今までで一番強いと考えてもおかしくはない。

 そんな大切な戦いも、いつ訪れるかはわからない。

 

 という状況で、俺がプラネット・バーストの怪我を引きずっている。

 そんなことは……言えるはずがなかった。

 

 

「はぁ~……」

 

 部屋に戻って、先程敷いた布団の上に寝転がって、天井を仰ぐ。

 どう、しようか。どうすれば、いいんだろうか。

 溜め息をゆっくりと重く吐くけれども、体から靄が出た気配は全くしなかった。

 

 正直、バレるのも時間の問題だろう。ならばいっその事、言ってみるか?

 いやでも、やはり余計なことを言う必要はあるまい。

 

「……失礼します、天君」

「……!? あ、あぁ、どうぞ」

 

 心臓が跳ねて、驚きが前面に出た。

 拙い返事をして、閉ざされた障子が開いていくのを見守る。

 白髪の女の子が見えて、障子は彼女の後ろで元の場所へと帰っていく。

 

 完全に空間が廊下と隔絶されて、辺りは静寂に帰した。

 気まずい、というのが一番近しいだろうか。もどかしい。

 

 ふと、布団から起き上がって座った姿勢になって、妖夢の手元を見た。

 右手には湯呑みと……錠剤?

 

「……天君、この薬を飲んでください。その腕の震え、治りますから」

「……ッ」

 

 やはり、敵わない。彼女に嘘は、どうにも吐ききれない。

 吐いたとしても、こうして呆気なくバレてしまう。心理掌握されているみたいだ。

 

 すると、右手に持っていた錠剤を、妖夢が飲んだ。

 次に湯呑みの中の液体を飲んでいる。光の当たりで詳しくはわからないが、恐らく水だろう。

 この幻想郷に、飲薬専用液体は存在しないだろうし。

 

 こちらに来ると、同じく彼女も隣に座った。

 

 ……え? いやまさか――

 

 

 

 ――そのまさかだった。

 

 彼女に顔を動かされ、半ばだが不意にキスをされる。

 甘い匂いがふわりと漂った次の瞬間、自分の口が開けられた。

 彼女の手で顎を少し下に下げられている。

 

 彼女の口の中に含まれていた水と錠剤は、とぽとぽと俺の口へ。

 しっかりと舌まで使って口移しされたそれらは、順調に俺の体内へと。

 

「……ぷはっ」

「……え、え~っと……どしたの?」

「そ、そのですね、どうしてもこれしかなかったんです。永琳が、『唾液が二種類必要だ』って……」

 

 先程の緊張感はすっかり霧散して、冬の気温が感じられ始める。

 そして、永琳の顔が頭をよぎった。さらに、察した。

 

 ――それ、絶対ウソ情報だわ。

 

 何でそんな制約があるのかわからん。

 あったとして、実用性が皆無だろうに。わざとそういう風にしたか、そもそも嘘か。

 真偽の程は不鮮明だが、どちらかであることには違いない。

 

「おい。それ騙されて――」

「そ、その……天君?」

 

 騙されている、と言葉を紡ごうとして、彼女の声によって途切れた。

 見ると、座ったままもじもじとしていて、視線を泳がせまくっている。

 

「え、えっとですね……キス、しませんか?」

「は? いや、今更かしこまってどうしたよ。いいけどさ……んっ」

 

 今度は俺が彼女の顔を動かし、キスをする。

 甘美な匂いに、若干のめまいさえも感じてしまう。

 

 あれだけ悩んでいたのが馬鹿らしくなるくらいだった。

 来て、キスをしてもらえば、俺はどんなことでも悩みから解放されて――

 

「ん? ん、んんッ……!」

 

 と考えがめぐっていたが、すぐに縦断された。

 俺の唇を割って、彼女の舌が俺の口へと入り込み、懸命に動かされている。

 当然俺の舌も彼女の舌に当たり、絡まれる。

 

 くちゅ、ちゅる、と自分の口元で卑猥な水音が鳴っていて、どうしても反応してしまう。抵抗はしないのだが。

 一方の彼女はというと、顔を真っ赤にしながらキスに夢中になっている。

 手は俺の後頭部に、自分側に引き寄せている。

 

 ……可愛い。可愛いのだが……エロすぎやしませんかねぇ?

 俺の彼女が、こうやって舌を使ってキスするのに夢中って……色々と、掻き立てられるよねぇ?

 

 暫く――数分ほどそれが続いて、ようやく口が離される。

 口元にはキラキラと光っている線ができて、俺と彼女の口を橋のように繋いでいた。

 

「……で、どうしたんだ?」

「そ、その、一回やってみたかった、と言いますか……さっき薬を口に入れる時、舌も使ったら、その……」

「え、えと――興奮した、と?」

 

 依然に顔を赤くしたまま、俯いた状態で頷いた。可愛すぎだろおい、萌死してしまう。

 いやいいんだけれども。正直思春期男子なんて、性欲の塊みたいなものだろ。

 全国の思春期男子の皆さんごめんなさい。

 

 俺もそれはないわけではないのだが。いや妖夢に限るけども。

 

「そうか」

 

 短くそう言って、立ち上がって彼女を抱き締める。

 二人共立ち上がると、やはり背丈の差は目立つ。が、この高低差も悪くない。

 

 彼女の顎を上げるようにして、口を開かせる。――()()()()()()()()()()()()

 俺の口で蓋をして、舌を思い切って入れる。

 

 瞬間、彼女の目は見開かれた。すぐにその目は喜びに変わったのだが。

 お互いに求め合い、先よりも大きな水音が響く。静寂の渦中であるため、それが余計に響いて興奮を引き立てる。

 

「――あっ」

 

 口を離して白銀に光る糸ができあがった後、彼女の足が崩れた。

 

 ―*―*―*―*―*―*―

 

 ――キスだけで、気持ちよかった。

 思考と理性は既に吹き飛んでいた。まともな思考など、できるわけもない。

 そのまま本能の赴くままに、彼の舌に自分の舌を絡めた。

 

 そして、離された瞬間。

 

「――あっ」

 

 腰から力が入らなくなり、崩れた。

 気持ちよかった。気持ちよすぎて、腰が抜けてしまった。

 

 重力に従った落下は、彼の腕の中で止まった。

 抱擁。暖かかったが、私の興奮を引き立てることにもなってしまった。

 

「そ、そら、くん……!」

「お、おい、どうした!?」

 

 心配顔で見つめる彼が、愛おしかった。

 

「どう、しよう……気持ちよくて、力が、はいらないよぉ……」

「ッ! ……少し待ってろ」

 

 彼の目がギラリと光ったのを合図に、私は布団に横たえられる。

 彼の温もりが遠ざかったことに寂しくなっていると、照明が落とされた。

 

 夜の光が窓から、障子からは薄く差し込むだけ。

 布団の上に彼も寝転がる。そして、再びの抱擁。ドキドキが加速してしまう。

 

「そ、天君、もう我慢が……触って、ください……!」

 

 私はついに奇行に出た。自分の寝間着のボタンを、外し始めた。

 

 ―*―*―*―*―*―*―

 

 俺は、見ていることしかできなかった。

 ボタンが外され、ピンク色の突起物が露出していく瞬間を。

 

「お、おい、さらしはどうした?」

「夜は、巻いてないんですよ、お願いですから、触ってくださいぃ……!」

 

 懇願に、俺はすぐさま応じてしまう。

 天使の悪魔のような囁きに惑わされてしまう。

 

 触れると、少し柔らかい感触が手に広がり、指が沈んだ。

 

「あっ……あ、も、もうこれだけでも、すっごく……」

 

 周りから中心に向かって、優しく。

 俺の視線は、もうここから動かなくなってしまっていた。

 釘付けになって、ただ手を動かすだけの機械となったように。

 

 そして、突起物を少しだけの力で、優しく弾いた。

 

「んあぁぁぁぁぁああ!」

 

 大きく嬌声を上げた彼女は、同じく大きく震えた。

 弓なりのように、体は反られている。

 

 今度は、弾くのではなく摘んだ。

 強くも弱くもなく、我ながら絶妙な力加減で。

 

「あぁぁぁあ、それ、や、だめぇ……! 頭、飛んじゃうぅ……!」

 

 俺はもう、我慢が効かなかった。

 理性は吹っ切れて、獣の持つ欲をさらけ出してしまいそうになる。

 

 が、それを我慢して、()()()()()()()()

 彼女の表情は打って変わって、空虚の寂しさを表していた。

 

「え……? なん、でぇ……?」

「あ? いやぁ、だってさ、だめって言ったじゃん。俺も妖夢の嫌がることはしたくないよ」

 

 と言いつつも、俺は心の中で笑っていた。

 とんだS気質なのかもしれないと、自分の人格を振り返っていた。

 でも――こうやって、妖夢を焦らすのは、最っ高に楽しいと思えた。

 

「そ、そうじゃないんです! も、もっと、やって……」

「ん? どうした? はっきり言わないと、わからないぞ?」

「も、もっと、いじって……くだ――ひゃぁぁあああ!」

 

 恥ずかしく回答を渋っていた間に、応え終わる前に両の突起物を摘んだ。

 不意の快感に身が跳ねる彼女を見て、楽しいと感じてしまった。

 心の奥がくすぐられる感覚は、何物にも代え難いものがあった。

 

 と、突然。

 

 

 

 

 

 

 

 ――キィッ、と。

 廊下の方から音がした。まるで()()()()()()()()()()()()()

 

「ほうら、あんまり声出すと、バレて見られるぞ~?」

「そ、天君、だったらやめて――くふうぅぅっ……!」

 

 俺は手を止めることなく、むしろさっきよりも動かして。

 控えめな漏れ出す声がたまらなく好きで、もっと聞きたい。その一心だった。

 明らかに不純な感情だが……うん、男の子だし。便利だなおい。

 

「だ、だったら私も――」

「おっとっと。だめだよ? 俺が一方的にいじりたい」

 

 誠に申し訳ない、我儘で。でもまぁ、先に彼女が誘惑紛いのことをしたのだし。

 妖夢の伸びかけた両腕を片手で掴み、体で押さえ込む。

 俺は両手が空いた状態だが、彼女は両腕を塞がれて抵抗もできない。このシチュエーションだけでも心がくすぐられる。

 

「ひぁん、ふぅっ、ふ、はぁ、ぁぅ、っ」

 

 時には布団を噛んで自分の口を塞いでいた。

 俺はその姿を見ながら手を動かす。本当に、彼女のこととなると意地悪になってしまう。

 口角が釣り上がるのを感じつつ、廊下に耳を澄ませる。

 

 足音はもう、聞こえてこなかった。

 

「……よかったな、もう行ったみたいだぞ?」

「……、ッ……」

 

 妖夢からの返事がなくなった。

 が、全身はまだぷるぷると震えている。意識も飛んでいない。

 

「どうした? ……あぁ、成程。我慢しなくていいんだ、ぞっ!」

 

 スパートをかけるように、今までで一番の力で摘む。

 その瞬間に、彼女の体はもう一度弓なりに反った。

 

「やぁぁぁぁああ! ひゃ、んあぁ、もう、イッ――!」

 

 ビクンッビクンッ!! と比にならないくらいの跳ねが、彼女を襲った。

 手は俺の腕を切なげに掴んでいる。それがまた、俺の気持ちを駆り立てる。

 

 腕を含む全身から力が抜けた彼女は、ぐったりとしていた。

 意識は朦朧としているようで、体には力が入っていないので、ただ横になっているだけ。

 

「……あ、ひあぁ、ぁっ……天君の、きちくぅ……」

「んあ? 誰がそうさせたんだよ。もっと要る?」

「い、いや、もういいです! いいですから!」

 

 両腕を力強く振って、否定する。

 彼女が力の入らない震えた腕で、拙くボタンをかけていく。

 あまりにも遅く、不安定に。

 

「ほら、ちょっと待て。俺が着せてやるよ。じっとしてろ」

「あ……ごめんなさい」

 

 そして、小声で聞こえるのだ。

 

「……そういう急な優しさって、やっぱりずるいです」

 

 俺から言わせてみれば、その言葉の方がよっぽどずるいんですがそれは。

 ――さっきの様子を見る限りではそうだったが、まぁ一応聞こうか。

 

 ―*―*―*―*―*―*―

 

「どうだ? 気持ちよかったか?」

 

 彼の問い。本当にずるい。

 そんなの、応えは決まっているのに。 

 

「……気持ちよすぎて、おかしくなるところでしたよ」

 

 体中に電流が流れて、意識が飛ぶところだった。

 途中、喘ぎを我慢していた辺りが、見られるかもしれないという羞恥で快感が増していた。

 そう思うと、彼にいじめられるのが本当に好きなんだと、感じてしまう。

 

 何度も思ってきた。

 耳かきのときのように攻めるのも十分にいいけども。

 やっぱり、彼には少し苦しいくらいに抵抗できなくされた方が、気持ちよかった。

 

 ……Mなのかなぁ? 彼に嫌われないか、不安になる。

 

「そ、その……いじめられて気持ちよくなる女の子って、嫌いですか……?」

 

 布団に二人で入って、暖かさを感じたらつい聞いてしまった。

 お互いに抱き合って、さっきのような感情はどこにもなくなっている。

 そこにあるのは、ただ純粋な恋愛感情だけ。

 

 そんな中、彼は不敵というべきか、面白いというべきか、そんな表情で笑っていた。

 

「ふははっ、俺が妖夢を嫌いになるなんてありえない。別にいいよ。むしろ大歓迎だ」

「……変態さんめ」

「あぁ、妖夢に関しては変態だな。でも、いじめられて気持ちよかった、なんていうどこかの誰かさんよりは変態じゃないことは確かだな」

 

 あぁ、言わなければよかったと後悔してしまう。

 その直後に、もっと強く抱き締められた。

 

 手も一ミリも動かないで、拘束されている。

 ……何が起こっても、抵抗できない。

 

「……心臓、ドキドキしてんだろ。変態め」

「……しょうが、ないです。こういうのはともかく、天君が好きなんですから。好きな人に抱かれると、いつもドキドキです」

 

 何かと抱き締められたらドキドキしている。

 彼との密着度が上がったら、基本何でもそうなのだが。

 彼がいないと生きていけないのでは? と最近思い始めた。ま、まずい……。

 

 と、危機感を感じていると、急に耳元で囁かれた。

 低い声で、私の脳内に擦り付けるように。

 

 

「じゃあ、次があったら……『達する』ごとに、一回ずつ数えていこうか」

 

 

 ゾクゾクっとした。背筋にナニカが駆け抜けた。

 あんなにいじめられて、ドキドキして、気持ちよかったのに。

 それを、数えられる? ……あぁ、だめだ。もう心が揺らぎそうになる。

 

 きっと、数が増えるにつれてもっといじめられていくんだ。

 言葉責めされて、羞恥に身を染めることになるんだ。

 そうしたら、もっと『達する』回数は増えて、もっといじめられて――

 

「……変態すぎだっての。おやすみ」

「へ? あ、はい、おやすみなさい……最後に一回、普通のをいいですか?」

 

 何も言っていないのに、彼の方からキスをしてくれる。

 舌は入れず、今まで通りのキスを。

 彼の抱擁は優しく包み込むものとなり、いつもの恋人に戻ったのだと感じた。

 

「んっ……ありがとうございました。おやすみなさい、天君」

「あぁ、おやすみ。可愛いな、ホントに」

「……うぅ」

 

 布団で恥ずかしさと顔を隠して、すぐさま寝ようとする。

 が、如何せんすぐに寝られない。すぐに寝られるはずがないのだ。

 

 ……だって、彼の手が私の頭を優しく撫で続けているんだから。




ありがとうございました!

きちくぅ……と妖夢ちゃんに言われたらいくらでも鬼畜になれそうです。
言われたい(*´ω`*)

今回でエロ話は終わり。
次回からはイチャイチャが二、三回くらい続いて……ようやく、ラスボスです。

ではでは!

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