投稿が大分遅れてしまいました。すみません。
ちゅーい! ちゅーい!
今回、多少いつもよりも過激な描写が含まれます。
過激というのは、えっちぃやつです。一応警告を。
最後の方だけで、前半はそうじゃありません。
では、本編どうぞ!
「……ねぇ、不知火。叢雲が戻ってこないよ。多分だけど……」
「あぁ、死んでるか、捕縛されたかだな。まぁ、そいつのことは
あ~あ。また始まったよ。不知火のこの性格。
人の生き死にに、何の感情も持たない、この狂気じみた性格が。
――
そりゃあ、自分の命じゃないし? どうなってもいいってうのは、まぁわからないでもない。
けども、不知火の場合は違う。
駒としか思っていない。壁だとしか思っていない。
使い捨てであることを前提に、物事を進めている。どんな犠牲も悲しまない。
「その感覚、もうちょっとどうにもならない? カバーするこっちの身にもなってよね?」
「別にいいだろう。悲しめ、とでも言うのか? 無理な話だな。悲しむなんて、それほど無駄な行為はない」
「それもわからないでもないよ? 次、俺なんでしょ? 勝手にしてもいい?」
「構わん。捕らえようが、殺そうが、生かす以外はどうとでもしてくれ。その方が、俺も楽だ」
まぁ、不知火もこう言っていることだし。
こっちもこっちで、やらせてもらうとするかな?
俺は部屋を出て、俺の準備を進める。
――
―*―*―*―*―*―*―
「で、どうしたの、急に」
座っている私の前で、同じく座っている相模君。
私は、あることを聞きに、夕食後に相模君の部屋を訪れた。
どうしても、わからないことがあった。
相模君もわからないかもしれないけれど、わかる可能性はある。
「あの……少し、聞きたいことが」
「へぇ、何だい? 答えられることなら、何でも答えるよ」
ん? 今何でもって……聞こえた。
それなら、相模君の言う通り、思い切って質問してみよう。
少し恥ずかしいけれども、聞きたいのだ。
「あの――
――男の人って、どうやったら欲情するんですか?」
―*―*―*―*―*―*―
俺は、唖然としていた。
無理もない。目の前の女の子に、男を欲情させるには、どうすればいいかを聞かれているのだから。
「……は?」
これ以外に声が出なかった。出せるはずもない。
唐突すぎる。いくら『冷静』の能力でも、考えが元から削ぎ落とされれば、関係ない。
その削ぎ落とされる質問に、どう答えようか迷っていた。
「い、一応、理由だけ聞いておこうか。大体見当はつくけど」
「は、はい……天君が、どうしたら欲情するかな、って……」
やはりか。だって、それ以外に答えがないもの。
感情性の迷宮で、わざわざ迷う必要もない。
しかし、俺が言いたいのはそうじゃない。そうじゃ、ないんだよ。
「どうしてそうなったし」
「その、天君ともっと関わりたい、と言いますか……気を、引きたいのです」
妖夢ちゃんが、もじもじとしながら言う。
可愛い。非常に可愛いのだが、呆れてしまう。
……どんだけ好きなんだよ。いくらなんでも好きすぎだろ。
「いや、どう考えても必要ないでしょ。天も、それはそれは妖夢ちゃんに夢中だよ?」
「それは、その……わかっている、というのも変ですが、そうでありたいとも言いますか……」
もじもじが一層ひどくなって、目が妖夢ちゃんから見て右下に逸らされる。
可愛い。非常に可愛い。しかし、何というか……見ているこっちがじれったい。
「で、結局のところ、どうしてそう思ったの?」
「……天君が、一歩引いているような感じがするのです。距離を置いている、と言うか……」
距離を置く、ねぇ。
俺から言わせてみれば、この二人程ゼロ距離なカップルはいない。
ラブラブを極めた形です、と言わんばかりだ。
「あれじゃない? 妖夢ちゃんの勘違い」
「そうだといいんですけど、それはそれで気を引きたいんですよ」
ふむ、中々見かけと性格によらず、恋になったら傲慢なのか。
強欲で、独占的。
「そう。それで気を引きたいから、手っ取り早い性の方面で攻めようと」
「……お恥ずかしながら」
「う~ん……まだ早いんじゃない? 妖夢ちゃんがもっと仲良くなろうと接すれば、それなりに関係は深まると思うよ? 天も嫌がってるわけないんだしさ」
恋愛相談は初めてだが、これだけは言える……とは思う。
まだ時期も時期だし、天は妖夢ちゃんを好きなんだし。
……まぁ、それなりに協力というか、案を提供したい。
「ゆ~かりさ~ん。起きてます~?」
「起きてるけれども、そのコアラが食べる植物みたいに呼ばないでね?」
俺が紫さんを呼ぶと、スキマから現れて出た。
さて、紫さんを呼んだ理由なんだけれども……
ある物を取ってきて――いや、取り出してもらうため、かな?
「すいませんね。白エプロンを、明日の朝までに用意できますか」
「あ、それなら……っと、はい、これでいい?」
紫さんがスキマに一瞬戻り、白エプロンを手にして戻ってきた。
丈は……おぉ、中々これは、際どいが。
まぁ、妖夢ちゃんの希望だし、天にならいいでしょ。
「ありがとうございます。よし、じゃあ妖夢ちゃん。これをね――」
―*―*―*―*―*―*―
夜。周りは殆ど闇に包まれている中、一つのことを考えていた。
――リベレーション。
それは、自分の体の表面に霊力を纏い、身体能力を上げるというもの。
霊力限界を高めれば高めるほど、その効果は増幅する。
……俺は、不審に思っていた。
(なぁ、栞)
(ん? どうしたの?)
(
(…………)
栞は、答えない。
コレも、単なる予想でしかない。もしかしたら、これからの戦いを考えての、個人的な願望かもしれない。
けれど、どこかが引っかかるのだ。
(……ない、よ)
(そうか。わかった)
やはり、そうも上手くはいかない、か。
まぁ、これからも努力は欠かすな、っていう神のお告げなのかもな。
……やはり、あるんだな。
――リベレーションの、その先が。
声色でわかる。栞が、嘘を言っていることくらい。
どれだけの間、一緒に生死の狭間を行ったり来たりしたと思っている。
それは恐らく、栞もわかっている。
ということは――
生きていれば、誰しも一つや二つ、隠し事とかあるよな。
生きて、いれば――
(――なぁ、今気になったんだが、栞って生きてるのか? それとも、死んでるのか?)
(私は魂だけど、生きてるね。多分。……体の方も、どこかにあるのかもね)
ふむ、栞の今までの話を聞く限りでは、ここ最近魂になった、というわけではないと思うが。
さすがにこれ以上詮索すると、嫌になるよな。
それに、少し眠くなってきた。
(よし、このへんにしとくか)
(そだね~。にしても、目覚めた初日だってのに、頑張るねぇ)
(まぁな。三ヶ月分を取り返さないといけないから、休むに休めん)
今まで休んだ分のツケがあるからな。溜めたくて溜めたんじゃないんだがな。
それに、妖夢に迷惑までかけてしまった。それも、かなりの症状が出たとのこと。
罪悪感でいっぱいになりつつ、俺の部屋に向かう。
障子を開くと、布団には彼女が入っていた。
もうこの光景が久しぶりなはずなのに、見慣れてしまったような感覚だ。
こうやって、彼女が待ってくれていることに、心から嬉しく感じてしまう。
「お疲れ様です。今日起きたばかりなのに、大丈夫なんですか?」
「あぁ。大丈夫、大丈夫じゃないじゃなくて、取り返さないといけないからな」
「……無理、しないでくださいね?」
布団から寂しそうな、思案顔を覗かせる。そして、再び自覚する。
これ以上、俺は彼女に心配をかけることが、許されるのだろうか。いや、違うと。
学習せず、人のことを――大好きな恋人のことさえ考えられない奴に、何かを掬う。
――そんなこと、できるはずがない。そんな権利もない。
「……ごめん」
反省の色を含めた笑顔で、彼女に返す。
彼女も思案顔を引っ込め、純粋な優しい笑顔を送ってくれる。
――この笑顔がまた見られて、よかった。
俺は布団に入った瞬間、彼女を抱き締める。
「お、おぉ……! 天君からとは、珍しいですね。嬉しいですよ?」
「……ホントに、ごめんな」
「……天君?」
純粋な笑顔を送ってくれる彼女に、俺は何ができただろうか。
もしも立場が逆で、妖夢が眠っていたとして、俺は何をしてやれただろうか。
自分を見失い、おかしくなるほど心配できただろうか。
「……ごめん。ごめんな、妖夢」
「ちょ、ちょっと、どうしました?」
妖夢に顔を覗かれる。
今の俺の顔には、罪悪感に塗られているだろう。
それは、どこまでも醜悪で、みっともないことだろう。
「……ごめん」
「天君。一つ、いいですか?」
妖夢の顔は笑顔になっていて、その眩しさに目がくらむ。
俺にこの笑顔が、勿体無いような気がする。
「何度も『ごめん』って言われるより、一言『ありがとう』って言われる方が、彼女としては嬉しいのですよ? 知ってましたか?」
一言、ありがとう、か……
「……ありがとう、妖夢」
「いえいえ。わかればいいんですよ。それで、私はご褒美が欲しいのです。加えて、いつどれだけでも甘えてもいいとも言いました」
ふふん、といった顔をしながら、妖夢が珍しく頼み事。
可愛い。こんな妖夢も、また可愛い。
「あぁ、言ったな。で、何をご所望で?」
「えっとですね~……頭を撫でて~、抱き合って~、キスして~、一緒に抱き合ったまま寝てください!」
彼女の満面の笑みが、俺の心をくすぐる。
理性が少しずつ削られそうになりながらも、実行に移る。
まず、頭を――
「ふわあぁぁぁ~……はふぅ〜、きもひいいれふ~……」
何ともふわふわとした声。
さらに、小動物のような甘い顔。
猫の顎の下を撫でる、とかいうのでは勝てないような、気持ちよさそうな顔。
い、いや、ダメだ。我慢我慢……!
次に、抱き合う。
まず、俺が先に抱き締める。
「あわ~……あったか~い……」
ま、まずいぞ。こんなに蕩けたような声は……!
すんでのところで耐えながら、次に。
彼女の後頭部を持ちつつ、優しく口元に引き寄せる。
二十秒ほども続いて、ようやく唇を離す。
「あ……」
彼女は切なそうな声を上げる。
目はトロトロとしていて、口は半開き。目も閉じかけている。
何かを求めるような、そんな顔。
そんな顔をされたら、俺は我慢ができないのですが。
性欲が爆発しそうなんだけれど。
「……あ! そうでした! あともう一ついいですか?」
彼女が正気に戻った顔をして、目をキラキラさせている。
そんなにもしてほしいことがあるならと、俺は首を縦に振る。
が、これ以上は俺も限界点かもしれない。
彼女がかけ布団から起き上がって、二人で向かい合って座る形になった。
「その……卑猥な意味ではなく、言葉の通りに、
顔を赤くしながら、興味津々といった表情で言う。
あ~、なるほど。はいはい。押し倒すのね。わかるわか――わからねぇよ。
わかるとでも? これ以上は俺は耐えませんよ? ねえ妖夢さん?
「あ~……その、あのな、よう――」
「ダメ……ですか?」
上目遣いで、今度は目をうるうるとさせながら、言われる。
あ~もうこれはダメですわぁ。
「っ! ……どうなっても、知らないからな!」
―*―*―*―*―*―*―
小さめに彼が叫んだ瞬間、私の肩が強めに押された。
不意の出来事に対処できず、そのまま重力に従って倒れていく。
彼に私の腕や足を抑え込まれ、股の間には足を入れられる。
私の後頭部を、彼の手をクッションとして衝撃が伝わらないようにしてくれる。
彼も、強めに押したけれど、こういうところに優しさが出ている。それが、少し嬉しい。
顔は目と鼻の先にあって、私は布団に押し倒されていた。
お互いの荒い吐息がかかり、心拍数を格段に上げる。
動こうとしても、動けない。少しも。
この拘束感と密着感。支配されている感覚が、新鮮である。
いつも彼は、私を優しく包み込んでくれていた。
けれど、今は違う。
飢えた獣のように激しく、私を逃すまいと押さえつけている。
目はギラギラと光っていて、その目で見られて、過呼吸になってしまうくらいに、呼吸が荒くなる。
普段との大きなギャップに、私はドキドキが止まらない。
極めつけに、三ヶ月ぶりに味わう、お腹の奥が疼く感覚。
キュッとしまって、切なそう。
そして、声に漏らしてしまう。
「あ……これ、いい……!」
「……っ! んっ……」
その体勢のまま、貪るようなキスをされる。
拘束感に満ちている今、この行為を無理にされるのは、さらなる拘束感を呼び起こす。
体全体がゾクゾクとして、寒気のようなものが走る。
電流となったそれが、いつまでも体を駆け巡る。お腹の奥の疼きは、もっと大きくなる。
正直言って――気持ちいい。とても、気持ちいい
今までに味わったことがないような快感が、頭をトロトロにさせる。
視界も揺らめき、意識も
キスが終わると、さっきよりも切なくなる。
もっとしてほしい、もっと彼がほしい。もっと強引にしてほしい。
――そして私は、この先の展開を期待している。
このまま、彼の思うがままにされてみたい。
『初めて』を、彼にあげたい。
彼は恋愛は初めてらしいので、私も彼の『初めて』をもらうのだろう。
私の『初めて』をあげて、彼の『初めて』をもらう。
『初めて』の交換を、したい。
本当のところは怖いけれど、彼なら大丈夫。
きっと、優しくしてくれるだろう。
そういう確証があった。
「あぁ! 危なかった……!」
彼は突然に拘束をやめ、布団に大の字になって寝転がる。
「……ぇ?」
期待してしまった私が、寂しさのあまり、声が出てしまう。
…………
よ、よく考えれば、まだ早いって相模君にも言われたのに!
私は、やっぱり強欲なんだ。彼のことに関しては、どこまでも
彼には、迷惑なのかな……?
「そ、その……嫌、というか、迷惑、でしたか?」
「あぁ? 嫌っつ~か、迷惑っつ~か……もう少しで狼になるところだったぞ。理性が吹き飛びそうだった。自制できたのが奇跡なくらいだ。それだけ、俺は嫌じゃない。妖夢が大好きなんだよ」
彼の笑顔は、私を何度も魅了する。
だから私は、彼に依存しきってしまって、彼を求める。
目の前にある幸せに、我慢ができない。
「……あぁ、ありがとうございました。もう、寝ましょうか、天君」
「ははっ、そうだな、妖夢」
二人で抱き合って、同じ布団に入って、笑顔で。
最後にキスをして、二人で「おやすみ」と言って、眠りについた。
ありがとうございました!
投稿が遅れた理由なのですが、体調です。
体調の悪さに異変を感じ、病院に行きました。
診察結果は、過労ぎみとのことでした。
……頑張りすぎたぜ!
大して良い出来の作品書いてないくせに、何言ってんだこいつ。
活動報告に書いた通り、これからの投稿ペースは激落ちくんです。
完結はさせたいと思っていますが、かなり長くなりそうです。
リベレーションには、さらにもう一段階先があるようですね。
ではでは!