ほんっと~に遅くなり、すいません!
まだまだ治りません。ここまでしつこい風邪は初めてです。
熱は引きましたが。(3月3日現在)
あと、次回で第4章終了します。
ですが、幻獣との戦いが終わるわけではありませんよ。
今回のタイトル……あっ(察し)。
まぁ、こうすることは最初から決めていたのですが。
では、本編どうぞ!
まだ妖夢は戻ってこない。恐らくもうすぐで戻ってくるだろうが。
今は、雷の技の練習中だ。新しいスペルカード。
ようやく、ちゃんとした『弾幕の』スペルカードができたのだ。
さて、結構前にだが、霊力と栞の能力を使うと、その能力に対応して霊力の色が変化することを栞から聞いた。
今回は雷系統なので、黄色に輝くことになる。
栞は未だにあの状態だが、能力や霊力に関しては使わせてくれる。
ツンデレなのか? ……いや、ねぇな。俺にデレるなんてな。
「……天君。少し、お話があります」
「お、妖夢。戻って――」
戻って来たか。そう言おうとして、自然と言葉が止まる。
妖夢の顔が、違う。どういう風に違うかは――真剣味と怒りが入り混じったような。
怒りの方は少なめだが、確かに存在しているだろう。
「――どうしたの。そんな顔して」
「……天君。今から私の言うことをよく聞いてください」
「お、おう……」
いきなりどうしたのだろうか。妖夢が呼び出される前は、こんな感じじゃなかった。
恐らく、というか確実に。幽々子が何か言ったのだろう。
表情からして、かなり深刻な問題だとも思える。
それも、俺に関連した。いや、俺が
わざわざ俺に聞かれないようにして幽々子と会話し、この表情で妖夢が話しかけている。
つまりは、そういうことだ。
「あのですね。天君は何故、そこまで修行に必死なのですか?」
必死な理由。先程の質問に一応肯定しているので、嘘を吐くわけにもいかない。
正直に。
「……強く、なるため。信頼されなくなるから」
「え、っと……話が見えません。強くなりたい。それはわかりました。ですが、何故信頼になるんですか?」
あくまでも、淡々と述べていく。
「そのままだ。俺が弱いとダメなんだよ。ここに呼ばれた意味がない」
「……すみません、わからないです。とにかく私には、そうとは思わない、としか言えません」
何故か聞きたいのがこっちになってきた。
すぐにわかるだろうに。弱かったら、見捨てられる。
ここに呼ばれたのは、幻獣に勝つため。頼られなくなる。
「あのな、幻獣に勝てないと、俺が頼れないだろ。わざわざ弱いやつを
「……それですね。はっきりと言わせてもらいますが……
「あ……?」
間違い? どこがだ。正論だろう。
「いや、だから、弱いと幻獣と戦えない。そしたら、皆は――」
「ですから、そうじゃないんです。根本から違うんですよ」
根本が……? わからない。
思案顔で考えていたら、妖夢が言う。
「あのですね……皆はそんなこと少しも考えていませんよ?」
そんなわけがない。自分の中で即答した。
霊夢も、魔理沙も、レミリアも、咲夜も、幽々子も、紫も。
それこそ、妖夢や栞だって。
何故か。それは――
「――皆、俺の力が良いと思ってるんだ。それがくすんじゃいけねぇだろ」
「い、いや、何を言って――」
「そのまんまさ。俺自身じゃなく、
わかったのだ。檮杌戦で。
結局のところは、『俺の力こそが全てだったんだ』、と。
ここの皆は優しい。何故か。
――幻想郷が危険だから。
考えてもみろ。幻想郷に幻獣や、裏の黒幕三人組がいなかったら、俺はここに来ていないんだ。
そうして、俺が呼ばれた。
――いや、『俺の力が』呼ばれた。
『力』、というよりも、『能力』の方が正しいだろうか?
最初はまだ強くなかったし、能力は外の世界でも少し発現していたみたいだからな。
「あ、あの、ホントに何言って――」
「俺はそれでもいいよ、正直。贅沢は言わないさ。でも……求められてるものを、失くすわけにはいかない。もう嫌なんだよ。見捨てられるのはさぁ」
後に、俺は自分でも考えられないことを言う。
この言葉で止めておけばよかったのに。
この言葉が、負の連鎖の始まりなのに。
「……ほんっと、妖夢はいいよな。強いからさぁ」
一瞬、妖夢の目が見開かれる。
今まで俺は、外で何を覚えたのかと言いたくなる。
自分でもわかっているだろうに。いや、自分が一番わかっているだろうに。
――妖夢の能力は、妖夢の努力があってこそのものだと。
「わ、私は強くありません。実際未熟ですし、まだまだ修行中の身ですから」
「少なくとも、俺より強い。当然だ、期間が違うからな。だからこそ、俺は強くならないといけない。そうしないと、次の幻獣に勝てない。恐らく、檮杌よりも強いヤツが来るからな」
だんだんと口数が増えていく。
それは、妖夢にしっかりと伝えることだけでなく――
――『
「え、ええ。ですから、今頑張って修行して――」
「足りないんだよ、それじゃあ。皆が、俺が死んでからじゃ遅いんだよ。求められる以上のことをしないと、意味がない」
そう、命に関して以外にも、何に対しても言える。終わってしまった後では、遅すぎるのだ。
どれだけ嘆こうが、後悔しようが、泣き叫ぼうが、悔しがろうが。結果は変わらない。
十分に安全マージンを取らなければならない。
そのためには、『最低限』ではダメなのだ。できるだけ、理想の状態に近づける。
「だから協力があるんじゃないですか。何のために幻獣戦闘グループが組まれてると思ってるんですか?」
「ああ、そうだな。だけどさ、死の危険がある以上、不確定な未来のことは言ってられないんだよ。全ては今だ。自分の力を底上げすることが最善だ」
極論だが、実際そうなのだ。例ならいくらでも、溢れかえる程にある。
幻獣が予想以上に強かった、戦闘環境が悪かった、メンバーに何かしらの不都合があり、戦闘に参加できなかった、
幻獣が霊力に強くなっていた、自分の技が全て効かない種類の幻獣だった等……挙げればきりがない。
黒幕三人組に至っては、何もわかっていないのだ。
即死技を持っていてもおかしくはない。なにせ、あれだけ強い幻獣を下につけるのだから。
「だからって、そんなに無理してもいけません。体調を崩しては、修行どころじゃ――」
「じゃあどうしろって言うんだよ!? あぁ!? さっきも言っただろ、起きた後じゃあ遅いんだよ!」
「ひゃっ……!」
ここから、負の連鎖が加速していくことになる。
俺の突然の怒号に、妖夢の肩が大きく震えた。
俺が今まで、妖夢に怒号なんてあげたことがないし、こんな言葉遣いもしたことがない。
「俺のせいで皆の内、死人が出たらどうすんだよ!? 俺が頑張らなかったから、あの時修行しておけば、って後悔する分にはいい! それで死んだ奴が戻ってくるならいくらでもするさ! けどなぁ、死人は生き返らないから死人なんだよ!」
一方的で、理不尽な怒りは。
徐々に徐々に、形になっていく。
「で、ですから、それで倒れられるのも心配なんですよ。全部自分のせいにするのが間違いなんです」
妖夢はそれでも、優しく言ってくれる。
しかし、俺は歯止めがきかない。
「自分のせいにせずに死人が出るなら、俺は嫌だ!」
「誰のせいとかじゃないんですよ。……天君が一人で頑張らなくても大丈夫なんです。
この言葉は――
――俺にとって、
「あぁ……? ……そうか、そうかよ、そうなんだな、わかったよ」
「え、っと……そら、くん?」
「俺の
皆がいるから大丈夫。
ずっと信頼を渇望していた俺には、そう聞こえてしまった。
ずっとずっと、そのために頑張ってきた。それこそ、檮杌戦よりも前から。
渇望でもあり、信念とも呼べるそれが、否定されて崩されていった。
音もたてずに、静かに崩れていった。それも、実にあっけなく。
そうして俺は、間違ってこう認識してしまったのだ。
――妖夢に、一番大切な人に
再び、最愛の人に捨てられたのだと。
それに、この気持ちは……この恋は、かなうものじゃない。
妖夢の目は限界まで見開かれて、その瞳はしきりに『黒』を映し出す。
「ぇ……いや、そうじゃ、そう、じゃ――」
「いいんだよ。もう。……俺はどっか行くからさ。今からでも、外の世界に帰るよ」
そう言って、冥界を……白玉楼を、出ていこうとする。
そうしようとした瞬間。腕を掴まれる。
「ぁ……! いか、ないで……!」
妖夢の声が。確かに、そう聞こえた。『行かないで』と。
――ここで戻っておけば、まだよかったものを。
俺は妖夢の手を――
「……!」
妖夢が鋭く息を吸い、声になっていない悲鳴が。
けれど、俺にはそれでも。
そのまま空を飛び、冥界を降りていく。
俺は降りる。どこまでも、いつまでも。
俺が見た雲の色は、いつの日かの真っ白な雲とは違い、灰色がかっていた。
しばらく飛んで、地上から高度200m程度の地点で。
もう、一切がどうでもよくなってきた。
外の世界に戻っても、またあの生活が始まるだけ。
……なら、いっそのこと。
――死んでしまえば、いいんじゃないか。
ここからなら、確実に死ねる。
ふっ、と全身から力を抜き、浮遊しなくなった。
たちまち自由落下が始まり、落下速度がどんどんと加速していく。
栞が何かを叫んでいる。けれど、それさえも頭に届かない。
もう、地面はすぐそこに――――
―*―*―*―*―*―*―
あれほど幽々子様に言われたのに。
自分でもわかってたのに。私はそんなつもりで言ったんじゃないのに。
彼が一人で背負うつもりの重荷を、少しでも軽くしたい。
一緒に、背負いたい。
そう思って言ったのに。けれど、それは。
「俺の代わりがいるってことかよ。俺はいらないってか、ははっ……」
彼は、乾いて、絶望に満ちた笑いと目をしていた。
以前、私が彼の悲しい顔を見たくない、と言った。
今まで数回、彼の悲しい顔を見て、胸が苦しくなった。
けれど。今見ている彼の顔は、今まで見てきた中で一番、私の心を締め付けた。
見ているだけで、涙が出てきそうだ。
「ぇ……いや、そうじゃ、そう、じゃ……」
声までも震えている。
今の私は、どんな顔をしているだろう。
「いいんだよ。もう。……俺はどっか行くからさ。今からでも、外の世界に帰るよ」
この言葉を聞いた瞬間、嘘であってほしいと思った。
外の世界に彼が帰ることは、永久の別れを意味する。
彼と永遠に会えない。一年会えなかっただけでも辛かった。
それがずっと続くなんてこと、考えたくもない。
私に恋を教えてくれた彼。愛しい、かけがえのない彼。
「ぁ……! いか、ないで……!」
依然として震えている声で、彼に縋るような思いで、彼の腕を掴み、制止する。
……けれど、私の思いと同時に、腕が振り払われた。
ショックだった。私に振り向いてくれるどころか、必要ともされていないと思って。
彼との楽しかった日々は何だったのだろうか。
……私が、期待してた、だけ……? 勘違い、してた……?
彼はすぐに白玉楼から飛び立っていった。後ろさえも振り向いてくれない。
私は、どうしようもなかった。
足の力が抜けて、その場に座り込んだ。
視界がかすみ、それが自分の流す涙のせいだとも気付かない。
そしてすぐに、幽々子様がやってきた。
「……妖夢、一応聞くわ。どうしたの?」
本当にどうしたのだろうか。私だって聞きたいくらいだ。
今になって、自分の流している涙に気付き、こう言った。
「ゆゆ、こ、さま……
……天君に、嫌われ、ちゃいましたぁ……!」
ありがとうございました!
二人の勘違いが加速する……!
妖夢ちゃんが可哀想だろ! 何やってんだよ天は! これ書いてんの一体誰だよ!
……あ、私でした。
狼々「妖夢ちゃん、苦しかったね。代わりに僕g(殴
はい。妖夢ちゃんと結婚したい。妖夢ちゃんは可愛い。
異論は認めない。
新しく、オリジナル小説を書き始めました!
よければ見てください! なんという宣伝だろうか。
これからの活動報告は、Twitterで行います。大事な話や特別話は、こちらの活動報告にも書きますが。
ではでは!