東方魂恋録   作:狼々

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どうも、狼々です!
今回は、パチェさんとフランちゃんが登場です。
最後にはちょっとした遊びがあります。
では、本編どうぞ!


第23話 私と一緒に!

レミリアと咲夜と共に、紅魔館を歩く。

今からレミリアは、『パチェ』なる人と、『フラン』なる人の元へ行くようだ。

咲夜も『妹様』と言ってたし、どっちかは妹の様だ。

 

そうして、ある部屋の前についた。

レミリアが声をかけながら扉を開く。

開いた扉からは、大量の本が収められた本とその本棚。

見たところ、図書館……だろうか。

視界いっぱいに広がっているほど冊数は多い。

俺も今まで一度にここまで沢山の本は見たことがない。

 

「パチェ~例の天、来たわよ~」

「そうなの。じゃあこっちに連れてきて」

「オッケー。天、今からパチェ――パチュリーに会わせるわ。自己紹介よろしくね」

「了解。じゃ、行ってくるよ」

 

先程声がした方向へ進んでいく。

机に本を置いて、椅子に座って読書をしている少女が見える。

 

紫の髪の両サイドをリボンで結んでいて、レミリア、幽々子と同じようにナイトキャップをしている。

ゆったりとした薄い紫色の、ネグリジェの様な服は寝巻に見えなくもない。

 

「貴方が天ね。私はパチュリー・ノーレッジよ。まぁよろしく」

 

彼女が本に目を落としたまま言う。

……ってか本を読むスピードが速すぎる。十秒に一回はページをめくってる。

 

「ああ。よろしく頼むよ。ところで、今何の本を――」

 

ドゴォオン!

 

と大きな音が俺の言葉を遮った。

音のした方――ドアの方を反射的に見る。

ドアは破壊され、少々の煙が立っている。そこには、黒の服を着た箒に乗った少女がいた。

 

「お、魔理沙じゃん! 久しいな」

「おう、天。久し――って、レミリアに咲夜もいるのか!? ヤバっ、逃げろ!」

 

そう言って凄いスピードで低空飛行で紅魔館を飛んでいく。

 

「ちょ、待ちなさ――けほっ、けほっ……!」

「お、おい、大丈夫か?」

 

急に咳き込みだしたパチュリーの背中を擦る。

大丈夫だろうか。

 

「あ、ありがと……私、喘息持ちなのよ……けほっ……!」

「あんま無理すんなよ? ……で、魔理沙は何しに来たんだ?」

「うちの本を盗っていくのよ。いつもそう」

「窃盗だろ。どうなんだよ?」

「彼女曰く、『死ぬまで借りていくだけ』、らしいわよ」

「完全に窃盗です。本当にありがとうございました」

「私も窃盗は良くないと思うよ~」

「……ん? 何か声がしなかった?」

 

栞の同意の声にパチュリーが不思議な顔をする。

まだ紹介してなかったな。

……あ、レミリアにもまだだな。後で言っとくか。

 

「ああ、まだ栞が挨拶してなかったな。俺の中に住んでる幼女の魂だ。ほら、挨拶して」

「は~い。私、栞っていうの。今の天の説明で大体合ってるよ。よろしく!」

「ええ、よろしく。……天、さっきの貴方の発言は見過ごせないわよ。とても危ないわ。頭が」

「いや、そう取られてもおかしくないけど! ……本当だよ。咲夜からも言われたよ」

 

皆して俺を犯罪者扱いして……

幼女が自分の中にいるなんて言って不審者じゃないに――

――いや、完全に不審者だな。外だったら精神科を勧められていたかもしれない。

 

「そう。わかったわ」

 

意外とさっぱりとした返事をして読書に戻った。

ふと、パチュリーの机の横の本が視界に入り、気になって手に取った。

 

「魔法関連か……魔理沙と同じように、パチュリーも魔法使いなのか?」

「ええ。魔女、と言うべきかもしれないけれど、あまり変わらないわ」

「――にしても、本が好きなんだな。俺も結構本は好きだよ」

「……本当に?」

「ああ。本のページをめくる緊張感は、他では表し難いものがある。それに、書かれたことは嘘がないからな。間違いはあるにしろ、人みたいに嘘は吐かない。そう考えると、人間よりもずっと正直だよな」

「……貴方、本当に興味があるの? 読書を好む人は結構少数派よ?」

 

そうなのだろうか?

俺は学校で暇な時に読書をするくらいには好きだ。

そういえば、幻想郷に来る前に学校で読んだことを最後に、もう一ヶ月近く読書をしてないな……

そう思うと、読書をしたくなってくる。

本を好きな人にはわかるはず。急に本が読みたくなる病ってあるよな。

 

「そうか? 少なくとも俺は好きだよ? 暇な時は読書してたからなぁ……」

「そうなの。……空いた時間にでもここに来なさい。本ならいくらでもあるわ」

「そうさせてもらおうかな。じゃ、そん時はおすすめの本とか教えてくれ」

「ええ、いいわよ」

「それじゃ、俺は他に挨拶に回ってくるよ。いつか近いうちに必ずここに寄るよ」

「わかったわ」

 

そう言ってパチュリーの元を離れ、咲夜、レミリアのところへ戻る。

 

「終わったよ。さ、行こうか」

「少し長かったわね。何を話してたの?」

 

レミリアが問う。

 

「いや、本についてだよ。今度暇な時にでもここに来いってさ」

 

「「……え?」」

 

二人が目を丸くして驚いていた。

 

「……え? 俺が『え?』って言いたいんだけど」

「いや……パチュリーが初対面の人間と会話した時間が最高記録だったのよ。それを咲夜と珍しい、って話していたの。けど……」

「まさか、図書館に自分から誘うなんて……天、何したの?」

「えっと……俺も本が好きだよ、とかかな?」

「まぁいいわ。次はフランのところに行くわ」

「了解――って、ん?」

 

今更ながら、レミリアの背中に気付く。

吸血鬼であることは宴会で聞いていた。だが……

 

「なぁレミリア、その蝙蝠(こうもり)の羽って宴会で見せてたか?」

「ああ、これ? いいえ、あの時はたたんでたのよ」

 

レミリアが背中の羽をパタパタと動かしながら答える。

 

「へぇ、そうなのか」

「そうなのよ。ちなみに、今から会いに行くフランも羽があるわ」

 

同じく羽があるのか。ってことは……

 

「じゃあそのフラン、って子はレミリアの妹なのか?」

「ええ。私より五歳下の、ね」

 

五歳か……となると、同じように俺よりも断然年上か。

もうここまでくると、年上とかの次元の話じゃなくなってくるよな。

よし、今話しとくか。

 

「それでなんだけどな? もう咲夜には話したんだが……」

「何? どうしたの?」

「俺の中に幼女の魂が住んでるんだよ。ほら、栞。挨拶、挨拶」

「わかったよ~。初めまして、私は栞。よろしくね~」

「へぇ……よろしくね、栞。私はレミリアって呼んで頂戴」

「わかったよ、レミリア~」

「……ねぇ天、貴方面白いものを隠してたのね」

「いや、隠してたわけじゃねぇよ。ただ忘れてただけ」

「まぁいいわ。天の問題発言も言質が取れたわ。これでいつでも霊夢に突き出せるわね」

「レミリアもかよ! それに、霊夢は栞を既に知ってるからな?」

 

俺の犯罪者疑惑はまだまだ払拭されないのか。

いや、払拭できてるんだろうが、次々に疑いをかけられてるだけか。

……だけ、ってのもおかしいな。

 

レミリアについていって、今まで通ってきた道とは違うような所を通る。

階段を降り始めていたのだ。確か、さっき降りる前が一階だから、ここは地下か?

階段を下り終え、扉の前に着く。

 

「……ついたわ。自己紹介の前に、私からフランに言いたいことがあるの。それまで待っておいて」

「わかったよ」

 

レミリアが扉を開ける。

目の前に広がるは、灯りが少し周りより多めの部屋。

そこに、背中に羽を携えた、幼女がベッドの上に座っていた。

 

「フラン、紹介するわ。この人は新藤 天。それで……絶対に。絶対に、『()()()()()』ね? 私との約束。……できる?」

「はい、お姉様。できますわ」

「ええ。よろしくね」

 

それだけ言ってレミリアが地下室から出る。

……あれ、『壊す』って何だ? さっきの話からは俺が『壊される』側なんだが。

 

「……ええっと、フランちゃん、でいいかな?」

「うん。私は、フランドール・スカーレット。よろしくね、新藤お兄ちゃん」

「あ~……悪いけど、下の名前で呼んでもらってもいいかな?」

「うん……いいけど、どうして?」

 

新藤(神童)は、嫌いなんだよ」

 

「は~い。わかったよ、天お兄ちゃん♪」

 

うお……中々心をくすぐられる感覚だ……

何か――高校生の俺を。見た目が完全に小学校いかない幼女が、お兄ちゃんって呼んでると、とてつもない犯罪臭が……

もう本格的に俺は犯罪者なのだろうか……

 

「ねえねえ、どうしてここに来たの?」

「えっと……フランちゃんの姉ちゃんのレミリアと、咲夜に呼ばれて来たんだ。これから一年間住むことになるからね」

「そうなの? これから一緒に遊んでくれる?」

「ああ。俺からもお願いしようか。一緒に遊ぼうな」

 

そう言って、フランちゃんは屈託のない、純度百パーセントの笑顔で言う。

 

「ほんと!? わ~い! ありがと、天お兄ちゃん!」

 

フランちゃんが俺の腕を内側に抱きついてくる。

……あれ? 何か力強くない? だんだん強くなってきたような――

 

「いたたた! 痛い、痛いよフランちゃん!」

「あ……ごめんなさい。……だいじょぶ?」

 

フランちゃんが腕を擦りながら言う。

なんという癒やし。痛みより癒やしが強いな……

ロリコンじゃないとはいえ、この姿に庇護欲をそそられない者はいないだろう。

 

「だいじょぶ。次は、少し力を抜いてくれると助かるかな?」

「うん、わかった……こう?」

 

再び同じようにしてフランちゃんが抱きつく。

今度は痛みもなく、楽にできた。

 

「ああ。ありがとうね、フランちゃん」

「えへへ~何か、落ち着くな~」

「そうか? そこまで俺のことを気に入ってくれたなら嬉しいよ」

「私も~。天、安心できる~」

 

なんと嬉しいことを言ってくれるのだろうか。

今日――もっと言うと、つい数分前に初対面したばかりだというのに。

 

「じゃあ、早速遊ぼう!」

「ああ、いいよ。何して遊ぼうか?」

「えっとねぇ……ポーカーしよ?」

 

ポーカー。アメリカで主に行われているトランプゲームの一種。カジノのゲームとしてもプレイされる。

プレイヤーに五枚のカードが配られ、特定の役――組み合わせを揃えて、その役の強さを競うゲーム。

当然、出る確率の低い役ほど強くなる。

一番強い役の『ロイヤルストレートフラッシュ』は、出る確率が約65万分の1とも言われている。

 

「いいけど、二人でか?」

「ううん。二人だけど、二人じゃないよ」

「それってどういう――」

「禁忌『フォーオブアカインド』」

 

フランちゃんがそう唱えた瞬間、フランが――()()()()()()

 

「え!? すごいな、フランちゃん!」

「えっへん! どう? これでディーラーが一人とプレイヤーが四人。二人だけど、二人じゃないよ?」

「……よし、やるか!」

「わ~い」

 

そうやって、俺とフランちゃん三人のプレイヤーでポーカーが始まった――

 

 

 

ルールはワイルドカードのジョーカー2枚を抜いた52枚の使用。

各プレイヤーに配られたカードは本人のみが見られる、クローズドポーカー。

ちなみに、フランちゃんにも分身のフランちゃんの手札はわからないらしい。

というか、そうじゃないと面白くないからやらない、とのこと。

今回は遊びなので、チップの概念はなし。

純粋に勝った回数での勝負。

 

 

俺の配られた配役は……このままだと、ワンペア。

だが、ポーカーには、一度のみカードの再配布が許可されている。

交換なしもよし、枚数を定めて交換もよし、全枚交換もよし。

俺は、ペアになった二枚以外のカードを捨てて、交換。

ふむ……変わらずワンペア。これは無理かな……?

 

フランちゃん達も交換が終わり、後はカードの公表のみとなった。

それぞれがカードを表にして、テーブルに並べながら言う。

 

「俺はワンペアだったよ」

「私はストレート」

「私はツーペア」

 

で、後は本体のフランちゃんだけの公表のみ。

ちなみに、俺の役は今の時点では誰にも勝てていない。

運が結構な割合を占めるこのゲーム。悲しきかな。

 

「私はフォーカードだったよ~。と、いうことで、まずは私の勝ちだね」

 

圧倒的に負けた俺。全員に勝てていない。

ここで、俺はあることに気がついた。

 

……ん? フォーカード……?

 

「ああ、なるほど。『フォーオブアカインド』ってそういうことか」

「どうしたの?」

「いや、ポーカーの役だろ? 日本はフォーカードって言うけど、外国はfour of a kind(フォーオブアカインド)って言うだろ」

「せいか~い。意外に気付いたんだね」

「まぁな。――じゃあ、続きやるか!」

「「おー!」」

 

 

俺とフランちゃんの遊びは、咲夜とレミリアの迎えが来るまで行われた。

 




ありがとうございました!
フランちゃん可愛い。フランちゃんに『お兄ちゃん』って呼ばれてみたいのは私だけじゃないはず。
パチェさんも結構好きですよ? 私リアルで読書好きですし。
読書好きな割に小説書くのは下手という……
悲しきかな。
ではでは!

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