東方魂恋録   作:狼々

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どうも、狼々です!
1日に、29日に注文した、紅魔郷、妖々夢、永夜抄が届きました!
待ち望んでましたよ。
早速プレイしたわけですよ。紅魔郷から。
すると、Windows10で起動しようとして、超高速のバグが起きました。かなり焦りました(笑)直りましたが。
結果なのですが、EASYなのにコンティニュー3回使いました! なんということでしょう!
弾幕ゲーム初めてなんですよ。これから頑張って上手くなります。
……先は長そうですが。
では、本編どうぞ!


第17話 相談

朝になった。昨日もいつもの如く練習していた。

もう一ヶ月もこの生活リズムを続けているので、いい加減慣れてくる。

きっちり定刻通りに起きられた。

布団の中から出て、布団を畳んでしまおうとした時。

 

……ん? 何か体が動かな……固定されてるのか?

いつもはこんな感覚は全く無い。なので、俺は不気味に感じる。

原因を探ろうと、固定されてる布団をめくる。腕も大きくは動かせない。

腕の動かせる範囲で……

 

 

――妖夢がいた。妖夢が見えた。俺に腕を回している妖夢が。

 

 

俺はすぐさま布団を戻した。今俺の思考がパニック。

一旦落ち着くんだ、俺、素数を数えろ……1、2、3

――おい。1は素数じゃねえよ。残念なことに、ついに俺の思考も末期なようだ。

いや、まだ見間違いの可能性。妖夢によく似た人形が……

俺はそう思い、もう一度布団を覗く。

 

――変わらず妖夢がいる。『すう……すう……』と寝息を寝息を立てて。

 

見間違いでも人形でもない。正真正銘、本物の妖夢がここにいる。

ここは俺の部屋。布団には俺と妖夢。

俺は夜に練習して眠った。少なくともその時に妖夢はおろか、部屋には俺以外入っていない。

となると、その後だ。俺が寝ぼけて妖夢を部屋にお持ち帰りしたとかでない限り、

妖夢が自分の意思で俺の部屋の布団の中に潜り、腕を回したことになる。

 

……超恥ずかしい。今俺の心臓の速さがマッハ超えそう。

いや超えたら超えたで別の問題が……

そこまで思考を巡らせた時。俺の布団の中から。

 

 

「……んぅ……ぅぁ……」

 

 

と、妖夢の声がした。俺は動きを硬直させる。妖夢の様子を見るが、起きた様子はない。

……ああ、心臓が止まるかと思ったぞっ……!

あまり動かない方がいいか……? いや、ここは静かに抜け出して――

 

「んん……そら、くぅん……?」

 

あ。妖夢が起きた。オワタ、もうダメだ。

いや、まだ弁解の余地はあるはず。ここは俺の部屋なんだ。何も怖がることは――

 

「えへへぇ……天くん、だぁいすきだよ~……えへへ……」

 

甘々の声が耳元で出される。

妖夢に腕の回す位置を背中から首に変えて、強く抱かれた。

 

――ドクン、ドクン……!

 

――え、妖夢、今……

 

妖夢の言葉を認識する前に、抱かれたときから心拍数は跳ね上がっていた。

最初の心拍とは比べものにならない。五感の中の味覚以外の4つが彼女で満たされる

彼女の甘美な声で。甘い香りで。華奢な体で。端麗な容姿で。

ヤバイ……そろそろ、理性まで……!

 

「よ、よう……む……!」

「……へ?」

「……え?……あ」

 

さっきまでよりもはっきりとした声が聞こえた。思わず間の抜けた声が漏れる。

妖夢は寝ぼけてたのか。よかった……いや、よくない。

 

「ひ、ひゃあああ! す、すみません!」

 

そう言って彼女は俺からすぐに離れる。

……それもそれで、その、少し寂しいというか……

 

「ちょっと待って落ち着こうか!」

「あう……あ……」

 

妖夢の顔は限界まで紅潮していて、まともに声も出せていない。

 

「妖夢、ここは俺の部屋だ。妖夢は何をしに来た?」

「あ、いや、えっと……」

「……わかった。混乱してるようだし、落ち着いた時にでも話してくれ。俺は先に朝食作ってるよ」

「ひ、ひゃい!」

 

俺は妖夢の慌てた返事を聞いてすぐに部屋を出る。

妖夢に紅潮した顔を隠すようにして。

俺の心拍は今まで生きてきた中で、一番強く、速くなっていた。

 

―*―*―*―*―*―*―

 

私はもう重症だった。

天君のことで頭がいっぱい。もっと一緒に居たいと思う。

もっと話したい。もっと顔を見ていたい。もっと触れていたい。

そう考えるけれど、いざ彼と会うと上手く言葉が出せない。

心拍数は上がり、顔は紅潮。思考も溶かされる。

話した後はどうしようもなく喜んで、次を楽しみにして、終わったことを寂しく思う。

早く修行の時間にならないかな……そうすれば、長い時間二人きりでいられるのに。

 

私はそう思いながら、彼のいる台所へ向かう。

私の中がとても満たされて、自然と笑顔が溢れてしまう。

 

―*―*―*―*―*―*―

 

俺が台所へついて数分後、妖夢も追いつき、二人で作り始める。

朝食を作ることに集中しようとするけれど、無理な話だ。

かといって、さっきのことについて聞くわけにも……いや、聞かないわけにもなぁ……

 

「……な、なぁ」

「ひゃい!」

「……どうしたんだ? 今朝は俺の布団の中に入ってるし、今は俺の言葉に過剰に反応するし」

「え、えっと、ですね……その、だめ、でしたか……?」

 

そんなに上目遣いで悲しそうにされると……な?

上目遣いって小動物的な雰囲気が出て断るにもできないよね。

 

「い、いや、その……別に嫌な訳じゃなかったし……ただ、心配だったんだ。二つの意味で」

「二つ、とは?」

「一つは、妖夢に何かあったのかって意味で。一つは……身勝手なんだが、俺が嫌われたんじゃないかって意味で」

「……私、あの時言いましたよね。天君のその辛そうな目は見たくない、と。今の天君はその目をしています」

 

俺には返す言葉がなかった。

 

「私は天君のことは嫌いになんてなりません、絶対に。私から言わせてもらえば、天君がその目と表情をする方が嫌です。天君が心配になるのは私もなんです。……その顔をされると、逆に嫌いになってしまうかもしれません」

 

妖夢の言葉は俺の心に刺さって、抜けない。

じわじわと心に痛みを残していく。ゆっくりと。しかし、確実に。

 

「……そう、だよな。やっぱり妖夢は、俺のことが――」

 

 

 

「何で分からないの!?」

 

 

 

妖夢の怒号が聞こえる。こんな声は今まで聞いたことが無い。

俺は目を見開いて彼女を見る。目にははっきりと怒気を宿している。

敬語もなくなるくらいに、怒っている。

 

「私は天君を嫌いにならないって言ってるの! その顔をされると、胸が締め付けられるの! 天君が苦しいのはわかってる、でも! 私は同じくらい悲しくなる! 泣きそうになる! その顔を見せられると、私は信用されてるのか不安になる! 相談もできないほど信頼されてないかと思っちゃう!」

「……いや、そんなことは――」

「だったら!  もっと私を頼ってよ! そうじゃないと、私は……逆に天君に、きら……われた……かと……」

 

そう言って、妖夢の瞳には涙が溜まり始める。

その涙が、さらに俺の心を痛めつける。

 

「妖夢……」

「わた、しも……天君には、きらわれたく、ないの……!」

「……それこそ無いな。俺が妖夢を嫌おうにも嫌えないからな」

「私も、そうなんだよ? もっと、頼って……?」

「ああ、……そうさせてもらうからさ、もう泣かないでくれよ」

「ひっく……うん、ありがとう……ごめんね?」

「いいんだよ。元々俺が発端だしな。悪いのはどちらかというと俺だ。俺の方こそごめんな?」

「……うん、いいの」

「――ありがとう」

 

妖夢の泣き顔は、あまり見たくない。

見ていると、心が苦しめられる。喉も絞められたように痛く、苦しい。

 

 

 

朝食を終えて、妖夢との修行を始めようとした時。

 

「ねぇ、天。ちょっと私の部屋に来てもらえない?」

「ああ……修行が終わってからじゃダメか?」

「できるだけすぐに聞きたい事があるの。何とかできない?」

「……ってわけだから、ごめんな、妖夢。ちょっと行ってくるよ。すぐに戻ってくる」

「……へ? あ、はい……」

 

妖夢が見せた顔は、あからさまに沈んでいた。

――まるで、俺が近くにいないで悲しいと言うように。

さすがにそれはないよな。

 

――ない、よな……?

 

 

幽々子と共に彼女の部屋へ入る。

幽々子が話を切り出す。

 

「ねぇ、妖夢の様子はどう?」

「……何か、昨日の問題は解決した。けど……別の問題ができたな」

「何があったの?」

「今日の朝、俺が起きた時に布団の中に妖夢がいた」

 

幽々子は目を見開いて驚き、たっぷりと10秒近く硬直していた。

無理もない。俺だって驚いたんだ。俺よりも親しい幽々子の反応は当然だろう。

 

「貴方、もしかして……妖夢に、その……手を出し――」

「違ぇよ! 絶対疑われると思ったよ! ……俺は、俺の部屋で寝た。その時に俺以外の人物は確認していない」

「妖夢が自分からってこと……?」

「俺も信じられないけどな。そうとしか考えきれない」

「……他には?」

 

……ある。あるっちゃある。けど……不確定だし、何より恥ずかしい。

頑張って表情には出さないようにしていたが、幽々子は僅かな俺の表情の変化も見逃さなかったようで。

 

「……あるのね? なんなの?」

「……いや、言うのは、その……恥ずかしい、し……何より本当かどうかもわからない」

「……貴方、妖夢に何をしたの? いくら何でも、していいことと悪いことがあるでしょ? 区別だってつくわよね?」

「おい待て幽々子。どうして俺が全面的に悪いことになってんだ。まだ内容言ってないだろ」

「天が勿体ぶるからでしょ。さっさと言ってしまいなさいよ」

 

……やっぱり恥ずかしい。でも、言うしか無い、か。

 

「……妖夢が寝ぼけてて、布団の中で俺に、だ、抱きついて……その……だ、『大好き』って言ったんだよ……」

 

……ああもう! 恥ずかしいにも程があるだろ! 

……あれ? 幽々子の視線がなんか生暖かくなったような……

幽々子はフッ、と柔らかな笑みで言う。

 

「……おめでとう。もう私からは何も言うことはないわ。頑張りなさい」

「俺からは数え切れないほどあるよ! 話を終わらせようとすんじゃねぇ!」

「もう頭が逝ってしまったようだからね。私達にはもうどうすることも――」

「家族同然なんだろ!? 諦めるなよ! 頼れ、って言い出したのは誰だったよ! ああ!?」

「……そう怒らないで頂戴。嘘かどうかを確認しただけよ」

 

俺嘘吐いてるって疑われてたのかよ。

それもそれでどうかと思んだがどうだろう幽々子?

 

「……それって、本当なの? 聞き間違い……とかは?」

「ないな。耳元で言われたから間違えようがない」

「……本当かどうかわからない、っていうのは?」

「寝ぼけてたからな。真偽はわからない。それこそ、妖夢にしかな」

「……わかったわ。もう十分よ。一応妖夢に聞いてみるけど、大体の見当はついたわ。貴方は心配する必要はない。修行に戻っていいわよ。悪かったわね。あと、妖夢も呼んできて頂戴」

「……いや、見当ついたなら、俺に教えてくれても――」

「呼んできて頂戴。あまり不確定要素を教えても意味がないでしょ」

 

……圧力がすごい。聞くな、ってオーラが溢れてる。

ちょーこわい。

 

「あー……わかったよ。悪かったな、呼んでくるよ」

「ええ、ありがとう」

 

俺は外に出て妖夢のところへ戻る。

妖夢は俺に気がつくと、あからさまに表情を明るくする。

――まるで俺と一緒にいることが嬉しいと言うように。

 

「妖夢、幽々子が部屋に来なさいってさ」

「……わかり、ました。先に始めていて下さい」

「おう、わかった」

 

妖夢は再び沈んだ表情に戻り、玄関へ向かう。

――俺は、妖夢に求められてる……のか?

 

俺は、俺が少しだけそうであることに期待しているとは気付かない。

 

―*―*―*―*―*―*―

 

「失礼します、幽々子様」

「ええ、入って頂戴」

 

妖夢が私の部屋に入る。

……さっそく本題に入ろうか。

 

「ねぇ、妖夢。貴方、最近様子がおかしいじゃないの。何かあったのでしょう? さすがに気付かない、なんてことはないわ」

「……いえ、何も――」

「嘘。私は貴女の主人よ。さっきも言った通り、気付いていない訳が無いでしょう?」

「……本当に、何も……」

「……天のことで何かあるの?」

 

天の名前を口にした瞬間の妖夢の顔が少し固まる。一瞬だけ。

だけど、私はそれを見逃さない。

 

「なるほど。やっぱりそうなのね。」

「いえ、違いま――」

「違うってことは、他に何かあるってことになるけど、何? 私にも言えないようなことなの?」

「……そう、です。天君のことで、少し……」

「……天君が嫌いなの?」

「い、いえ! 決してそんなことは……!」

 

妖夢が必死になって否定を始める。

その必死さから、本心からそうであると推測ができる。

 

「じゃあ、何なの?」

 

私も予想はついている。多分、合ってもいるだろう。

けれど、私はあえてそれを妖夢の口から言わせる。……私に言えないようじゃ、何もできないだろうから。

 

「え、えっと……その……」

 

妖夢は答えを言うのを渋り、頬を赤らめる。……やはりそうか。

そして10秒程経って、言葉を繋ぐ。

 

「え、っと……彼――天君のことが、少し……気になってまして……」

「……それはどういう『気になってる』なの? 能力が? 才能が? それとも他だったり、心配とかの意味?」

 

少しでも濁っている答えは受け付けない。

ちゃんと、自分の口からはっきりとした言葉として言ってもらう。

私が発言して、赤くなった頬が一層赤くなる。

頬だけでなく、耳まで真っ赤だ。……あら、可愛いわね! ていうかどれだけ想ってるのよ……

 

 

 

「そ、天君のことが、その……す、好き、なんです。……一人のい、異性、として……」

 

 

 

そこまで言うと、妖夢に限界が来たようで、顔を俯かせる。

ふふ、ホント可愛いわ……虐めたくなるほどに。

 

「彼のどこが好きなの?」

「……ひたむきさと、心の強さです。彼の努力は折れません。どんなに辛いことがあっても妥協しようとしません。……彼はこの一ヶ月ずっと、夜に一人で刀の練習をしていたらしいんです。……カッコイイ、そう思ったんです」

「……それだけ、なの?」

「いえ、違います! 彼にはもっと良い所が沢山あります。優しさだったり、真っ直ぐな目だったり。数えだしたらきりがありません。……私は、彼の全てを好きになったんだと思います」

 

あらあら……これはまた正直なことで。少しぐらいはぐらかしてもいいだろうに。

そう思って、妖夢に聞いてみる。

 

「ねぇ、何でそんなにはっきりと言うの? 少しは隠すものじゃない?」

「……隠したく、ありません。彼が好きなことは、隠したくないんです。彼のことが本当に好きじゃない、みたいに思われたくないので……」

 

聞いてるこっちまで恥ずかしくなってくる。

妖夢の純情は破壊力抜群ね……一種の兵器よ、これ。

 

「まぁ、貴女が天を好きなことはわかったわ。私からはこのことを彼に言わないと約束する。……いつか、彼に好きと言えたらいいわね」

「はい!」

 

妖夢の屈託ない笑顔。

私が男だったら、これだけで惚れてしまいそうね……

 

あの男はどうなのかしらね? ねぇ、天?




ありがとうございました!
活動報告に、これからの更新ペースについて書きました。
これからに関わってくるので、お手数ですがご覧になってください。
ではでは!

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