竜の騎士八幡の闘い~敵はネイバーフット   作:春の雪舞い散る

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謎と憧れ

 

  

 ①  陽太郎の謎

 

 

 大規模侵攻の余波で全面休校中の三門市の学校関係ってマジかよ? 全然知らんかった…

 

 まぁ、千葉住みの俺には関係の無い事のハズだったんだがな

 

 病院から帰った翌日、ナゼか沢村さんと小南さんに陽太郎の四人でイオンモールに来ているんだが… 解せぬ

 

 俺が選んだ服は無地白のタンクトップメンズとレディース七分丈とショートのサロペット、デニム地を2枚ずつで

 

 二人が選んだのはランドセル他に勉強道具… イタイ位に子供っぽい物ばかりの様な…

 

 タブレット端末とPHSにWAONとnanaco

 

 個人用の食器財、ラーメンどんぶり、茶碗、味噌汁椀、箸とスプーンセット、マグカップ、財布と外で使うポシェットを買うはめに…

 

 ランチタイムになり、フードコートの座敷席を確保してから俺は大盛のカツカレーと特大の天ぷらそばナンだけどそれ運んでる沢村さんと小南さんを見たチャラ男二人組

 

 ソイツ等が二人に良いところを見せようとして、カレーとそばを代わりに運んで女子に運ばせてる俺に脅し掛けるつもりだったんだろうけど… 悪いな? 俺も見た目女子だし、陽太郎にミルク飲ませてるから今手が離せんのだわ

 

 んで、その二つの料理を食べるのが運んでいた二人より小さい女の子の俺と知った二人の驚愕の表情はホント傑作

 

 マジに笑わせてもらった

 

 

 

 食事の後、ふと気になったある事について二人に聞いてみた

 

 「 そー言えば、陽太郎の月齢っていくつになるんですか? 離乳食を未だ始めてないようだけどもう始めていても良い頃だって思うんだけど? 」

 

 そー聞いたら二人は互いに顔を見合わせると

 

 「 正確なところは林堂さんしか知らないけどそろそろ10ヶ月になるんじゃ… 」

 

 等と全く信じられないような話を聞いて思わず

 

 「 ああっ!? 」

 

 と、思わず声を荒げてしまった俺は悪くない

 

 「 帰ったら林堂さんに事事情聴取して場合によってはこってりと説教かまさなきゃダメですね…

 

 一般的には五~六ヶ月で始める… アレっ? 乳児検診は? 絶対説教かまされるハズなのになんか変? 」

 

 そう言って考えても俺が考えても理由がわかるはずもないからその辺りから聞かなきゃダメだと思った

 

 ナンにしても見たところ始めても良さそうな感じなので取り敢えず携帯用の離乳食と離乳食用の食器とお菓子や水分補給のお茶やジュースを次々にかごに入れ

 

 離乳食レシピ本を数冊手にとって中身を眺めてから何が必要かを決めてかごに入れて溜め息を吐いて食事エプロンやガーゼハンカチなどを買い足すことにした

 

 今有る分じゃ全く足りないのだけははっきりしているのだからね

 

 「 今夜は重湯からかな? 全く… 少しは陽太郎の事を考えてやりなよね? でないと、うちの親父みたいになっちまうぞ? 」

 

 そう無意識の内にぼやいた俺だった

 

 

 

 

 ②  いくつになっても男は男の子

 

 

 学生達の夏休み期間が始まり第一陣は俺、陽太郎、太刀川さん、三輪、月見さんに加えて城戸さんって…え、城戸さんっ!?…の六人から始まった

 

 調査の終わった電極ソードを腰に差しご機嫌な太刀川さんと俺におんぶされやはりご機嫌な陽太郎に比べて緊張感漂う月見さんと三輪に…

 

 「 え゛っ… 」

 

 と、思わず変な声を上げたら他の皆も城戸さんを見て呆気にとられていた

 

 だってそこにいるのはいつもの厳格な木戸司令じゃなく古い表現をするならダンジョンを前に不適な笑みを浮かべるちょいワル親父?みたいな城戸さんで皆もあんぐりと口を開けているから俺が驚くのも間違いじゃないと思う

 

 城戸さんの勤務時間に合わせてこっちに跳んだから既に日も沈んでいて取り敢えず晩飯にすることにして用意してきたお弁当を開いて

 

 木崎さんが持たせてくれたお鍋をメラミ一発で温め直して皆に配り先にミルクを飲ませた陽太郎は既に夢の世界の住人になっている

 

 「 帰ってきたんだな… 」

 

 忍田さん所有のヨット中から暗闇の海に浮かぶ島陰を見ながらそう呟くと

 

 「 六花ちゃんは忍田さん達が来るまでこの島で何を考えていたのですか? 」

 

 そう聞かれたから 

 

 「 ナニも… 別にナニも考えてなかった… 考えないようにくたくたになるまで修行を繰り返してたから寝てたんですよ?

 

 ただ、あの嫌なことを忘れたかったからナニも考えないようにしてた…

 

 強くなる以外の事はナニも考えないように… 母ちゃんと最愛の妹に化け物を見るような目で見られた…

 

 そんなのは悪い夢、そんな事あるわけないだろっ! ってそう思いたいのに波の音と潮風の臭いが…

 

 真っ暗闇の掘っ立て小屋に一人でいる現実が嫌でもそれが実際に俺の身に起こった事実ナンだって突き付けてきた… 」

 

 俺のその呟きに

 

 「 今ごろきっと後悔してますよ、お母さんと… 妹さんも 」

 

  そうあまり慰めにはならない慰めを口にする月見さんに

 

 「 そうだと良いですけど、仮にそうだとしても俺の悪夢はきっと消えてくれない……

 

 二人は忘れちまっても俺には忘れられないんだよ…

 

 目に、心に焼き付いちまってるから悪夢になって何度も何度も繰り返して見せられてだけにさ…

 

 今もあの場面を繰り返し何度も見せてくれるから少しも過去の事にはならないんだよ…俺にとってはね 」

 

 そう言って、虚ろな目で空に浮かぶ丸い月を眺めていた

 

 

 

 夜明け前に陽太郎が愚図りオムツを換え、ミルクを飲ませて落ち着かせてから賢者のローブに着替えて朝飯の支度に取りかかっている月見さんを手伝うことにした

 

 外じゃ男三人は城戸さんが二人相手に軽く撃ち合いをしているけど城戸さんは強い…

 

 三輪の強さは身をもって嫌ってほど知ってるし太刀川さんも稽古を着けてもらってるから底知れぬ強さがあるのを知ってるけど…

 

 城戸さんはその二人を軽くあしらっているように見えるんだよな…

 

 

 朝飯の支度を終え三人を呼び食事が出来たことを告げるとゾロゾロ集まり朝飯にする

 

 調理道具や調味料は木崎さんが選んだものが色々あるから、目の前に用意された朝飯の豊富なメニューに目を丸くしているし難しいのはレシピを小雑誌にして持たせてくれたからな

 

 

 

 

 ③  城戸隊長?始動する

 

 

 サマーキャンプ第一班、馬車使用

 

 馭者は三輪秀次で、その為に乗馬を始めたんだそうだ

 

 内容不明の巻物が馬車に張り付き馬車の外壁に取り込まれたのを見て、中に入って中を確認したら梯子がもうひとつ現れて右の梯子を昇るとワンルームマンションの共用スペースっぽいフロアになっていて

 

 部屋数はどうやらワンフロアに10部屋で三階建てらしく全部で30部屋有るらしいのでそれぞれに一部屋選んでもらって専用の部屋にして貰った

 

 

 

 

 

 

 

 

   装備

 

 

 俺、マジックナイフ✖2、キラーピアス、賢者のローブ ( 六花version )、幸せのサンダル、リレミトの巻物、弁当の巻物✖3

 

 ( 雪ン娘は預けてあるから… )

 

 城戸さん、火の太刀、リレミト巻物

 

 太刀川さん、電極ソード、みかわしの服、命の指輪、リレミトの巻物

 

 三輪秀次、隼の剣、ビームライフル?、リレミトの巻物

 

 月見連さん、メラミの杖 ( 貸与 ) 、不思議なボレロ ( 支給品 )、リレミトの巻物  

 

 で、スタートになったが因みに魔導師の杖とイカヅチの杖はオペレータールームに常設するそう

 

 

 

 

 馭者を務めるのは三輪秀次で、月見さんはいわゆるナビゲーターシートとでも言うのか…

 

 三輪の隣に座り俺はキャリークーファンで寝かせている陽太郎の隣に腰掛けていて城戸さんと太刀川さんが進行方向を背に座っている

 

 いち早くモンスターの気配に気付いた俺は馬車の天井に飛び乗り、バキマで迎撃すると城戸さんと太刀川さんの素早い追撃で呆気なく初戦を制した

 

 宝箱には1000ゴールドと氷のクロスボゥガンに重圧のハンマーが入っていて、ハンマーは使い手がいないので馬車に積み

 

 「 氷のクロスボゥガンは六花が持てば良い 」

 

 と、城戸さんに言われたから遠慮なく貰った

 

 

 

 B1

 

 それから暫く馬車を走らせてから見付けた小部屋に下行きの階段入り口が見付かったから、 『 超ラッキーっ♪ 』ってそう思って下に降りたらモンスターハウスだったからな…

 

 うん、アンラッキーって思ったのは俺だけで月見さんは馬車中から俺達に指示を飛ばしなにも見えないハズの陽太郎がナゼか大はしゃぎしてるし…

 

 俺が先制攻撃のバキマを放つとすかさずとどめを刺しに行く三人の表情は生き生きとしているんだが

 

 百体を越えるモンスターをあっという間に制圧して宝箱や落ちてるアイテムの回収を始めた

 

 巻物が20本、アイスソード、真空の刃、イカヅチの弓矢、ゴールド ( 共通通貨 ) 約一万G ( ゴールド ) 、砂金約5㎏、マジッククローゼット…ってナニ?

 

 まぁ良い、気にすまい…わからない事のひとつやふたつを今更気にしたところで手遅れでしょ?

 

 取り敢えず食事休憩になり陽太郎のオムツを換えて離乳食を食べさせてからミルクを飲ませて寝かし付けその間に月見さんは野菜を刻んでたからそれを使って野菜炒めを作りラーメンの上に乗せておにぎりを出し

 

 豚しゃぶの冷製サラダに卵焼きってところかな?

 

 そしてティータイム

 

 ナンでだろう? 気が付いた時には紅茶には煩い子供で両親にも良い顔をされない原因のひとつだったが理由が自分でもわからないから仕方ない?

 

 

 だから… 忍田さんが、初めて他人が誉めてくれた時はメチャメチャ嬉しかったし本部で来客のお茶と手作りクッキーをお出しして喜んでもらえて更に嬉しかった

 

 人に認めてもらえるのが嬉しい事なんだって… そう、理解できるようになれた

 

 

 

 

 ④  マジですか?

 

 

 特にストーリはなかったけどB10… ヤマタノオロチが居たんだよな

 

 でも、ボーダーの三人の方が圧倒的に強かったから呆気なく倒し俺と月見さん、そして後から気が付いたんだけど陽太郎も又レベルアップを果たしていた

 

 まぁ、パーティーに加わってるんだから当たり前なんだけどその当たり前をすっかり忘れていた

 

 宝箱からは当然の如く草薙の剣が出てきて三輪のヤツの物欲しそうな顔ったらないね

 

 城戸さんに言わせると

 

 「 トーナメント方式の争奪戦を開催しその優勝賞品にする

 

 参加予定者は東、嵐山、柿崎、風間、木崎、小南、迅、太刀川、冬島、三輪の10人だが… 後数人は欲しいとこだが… 」

 

 そう言って俺を見ていることには全く気付かず陽太郎にミルクを飲ませている俺は間違ってないハズだ。

 

 と、まあまそーゆー訳らしいからな… 三輪、欲しけりゃ頑張るしかないね?

 

 え?俺は剣は遠慮するしどっちみち勝てる見込みはないから傍観者だな

 

 その時は気付かなかったけど、俺はこの時いくつかの呪文が使用可能になり攻撃力も2に上がっていたんだよな

 

 このダンジョンの主であるヒュドラを倒してB20を無事に制覇してリレミトで帰還したんだ

 

 大量のお宝を手に入れてほくほく顔の城戸さんの

 

 「 帰投するっ! 」

 

 の、掛け声でね

 

 

 因みにB11以降に見付かったお宝は、マジックボゥガン10挺、砂金一㎏、巻物30本

 

 ヒュドラを倒して得た宝箱には浮遊の盾と反発の盾が入っていた

 

 

 


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