① モーニングはどこにする?
「 今朝の朝飯なんだけど、今日は丁度買い出しの日だから良かったら一っ跳びしてファーストフードのお店でも行きますか? 」
そう言ったもののコンビニ辺りで適当に済ますつもりで三人を誘ったら
「 どうせならファミレスでモーニングしよ? ドリンクバーがあるところが良いなっ♪ 」
そう言ったのは、小南さんで
「 吉野屋辺りの牛丼屋か角家だな… 」
と、朝からガッツリ肉を食う気の木崎さんに
「 シティホテルのティーラウンジでモーニングにしないか? 」
は、やはりお洒落で大人の忍田さんでさすが爽やか系イケメンだけあっていうことが一味も二味も違うよ
だからと言って間違っても惚れたりなんかしないけどな… 多分、大丈夫だよな? 妖しい趣味に目覚めたりとかはないハズ…
「 あーっ、忍田さんの案は無理ですね? ボロボロの服かこの服しか有りませんし、ここ暫くフロに入ってから入店を断られそうですよ… 」
そう言って肩を竦めると
「 予定の行き先はここから船でとれくらいの距離になるんだい? 」
忍田さんにそう聞かれた俺は
「 さあ、船なんか使ってませんから知りませんよ? つか、未成年の俺が船とか免許ナンか持ってるわけないじゃないデスカ? 」
そう言って苦笑いする俺に
「 それなら、朝食の後にスーパー銭湯で汗を流してから桐枝と六花のドレスコード対応の服を買いにいく事にしてランチをブッフェに行く事にしよう 」
( って、おいちょっと待てよ…ナンか話が大きくなってきてないか? )
そう思っていたら
「 桐絵、六花に足りない女子用のあれこれを買いそろえるのを手伝ってあげなさい 」
そう言われて暫くと、言うか実際に買いに行くまではその意味がわからずにいた
…………… 踊り子の服目立ちすぎるから地味目のにしないと周りの視線がイタイ
取り敢えず朝食はショッピングモール内に在るサイゼに案内してそこで済ませてカジュアルウエアを買いに行く事になり
それらを持ってスーパー銭湯で汗を流してからドレスコード対応の服を買いに行くになったんだがそれが気に入る訳がない俺
ナンとか反論しようとしたら俺の左肩にそっと手を置いた木崎さんが首を横に降り一言
「 諦めろ… 」
その苦渋に満ちた表情を見て、思わず息を飲んだけどハイそうですかとは思えない俺は
「 ナンでそんなモノを買わにゃならんの? 」
どう考えたって納得なんかできっこない俺は
「 そんなモノを買う必要ないし着る気なんか更々ないんだけど?
そう言ったのに完全にスルーされた俺
「 アノさ… 」
そう声を掛けるが
「 これの後でね 」
「 これが終わったらな 」
「 ちょっと待ってて 」
「 もう少し待ってなさい 」
と、言われただけで誤魔化されていたけど誤魔化されていることにすら気付いて無かった
そしてもう一人… 木崎さんもその扱いは更に悲惨で完全に荷物持ち扱いな上に可哀想なのは女児用の肌着売り場近くで荷物を持たされ男一人で待機って…
怪しいヤツとかヤバイ人に見えなくもないんだよな、実際木崎さん見て眉を潜めヒソヒソ話する人は絶えないしな
その内通報されるんじゃないのか? そんな雰囲気を醸し出してるからそれはそれでマジにキツいよな…
周囲の木崎さんを見る目が半端なく痛いぜっ!木崎さん、乙
買ったモノは肌着一週間分、スニーカー、サンダル、ミニのワンピース、訓練用に買ったその学区の児童用の体操服、可愛らしいポシェット、水着にそれらを入れる大きめリュック
ボトルホッパー、非常食 ( 主にスナック菓子 ) に俺と言えばマッカン、マッカンと言えばほぼ俺って…もろパクリじゃん?
まぁ俺のマッカンへの熱い思いはアイツのプリンに対する想いに負ける気はないがな
クーラーバッグに水中眼鏡、魚籠、銛
木崎隊用にクーラーボックス、二リットルペットボトル茶、土鍋、カレー鍋、中華鍋他、木崎さんが必要とした物でも今回は特に先に買うべしと厳選した物を買い足した
それ等を買った後、一旦荷物を空の宝箱に荷物をしまい… 着替えやお風呂セットを持って一路スーパー銭湯に向かう俺達だった
② 知らない人は俺の頭を頭を触らないでほしい
飴色の長い髪は結構目立つらしく振り返る人も少なくないのになんの躊躇いも無く忍田、木崎の両名と共に男湯に入ろうとして頭を叩かれた挙げ句
引き摺られる様に女湯の暖簾を潜る俺達と、それを苦笑いで見送る男二人
「 全くもうっ、いい加減頭を切り替えなさいよ? 」
そう言われてるけど… 殴られたところ、結構マジに痛くて話を聞くどころじゃないんだけど?
おまけに久し振りの風呂場にそれまでは張り詰めていた緊張の糸もぷっつりと切れてうとうとし始めてしまった俺
終始小南さんの言うことを聞いて頭を洗い、身体を洗ってから湯に浸かりボンヤリのんびりとしている
心ここに在らずで何処かに出張中の俺は放って置いたらのぼせて湯に沈むこと間違いなしつかマジに沈みかけた
だから湯上がりに三分ほど寝かせてもらい気持ちを切り替えてから浴場を出ようとしたら取り囲まれた
見知らぬ地元のおばちゃん達にな
ナンかやたらと人の髪の毛に触りナニやらくっちゃべっているんだが話している内容は全て頭を素通りしていくためナニも覚えちゃい無い事なんだがナンの用だ?
とにかく、俺の髪の毛の事をうだうだ言っているのはわかる…
わかるんだけどとにかく眠いしファミレスのモーニングじゃ物足りない上にルーラで飛び回っているから腹ペコで頭がまともに働かないんだよ
そんな寝惚けて頭が働かない俺に代わって
「 ごめんなさい、この娘未だ時差ボケで頭がシャキッとしてませんので皆さんの言葉が耳に入ってませんし日本語に慣れてないから細かいニュアンスも中々伝わり難いんですよ… 」
と、そんな感じの事を言って諦めさせたらしい
男女共同スペースの飲食コーナーでコーヒーを飲みながら待つ男二人は結構様になっていて遠巻きに噂しあっているけど余人を寄せ付け無い
そんな雰囲気を醸し出している二人に声を掛けたのは小南さんで
「 半分以上寝ちゃってるからここで少し仮眠を取らせてついでにここでお昼済ませてもいい気がしてきたんだけど? 」
そう小南さんに言われて俺達を迎えに来た忍田さんに抱き抱えられてソファーに移動して小南さんの膝枕で30分きっかり仮眠を取った俺はすぐに状況を理解して
頭を掻きながら照れ笑いを浮かべて
「 ナンかみっともないところを見られちまったたようですね? 」
そう言って溜め息を吐く俺に抹茶ラテ、小南さんにはカフェラテを渡して自分達は何杯目かのコーヒーを持って来た忍田さんと木崎さん
受け取った熱い抹茶ラテに、誠に残念ながら猫舌のクセに熱々が好きな俺は至極苦戦しながらもその甘さを堪能していると
「 お腹空いてるんじゃないの? 」
そう言われてナゼか恥ずかしく顔が熱く火照る俺は小さく頷くと差し出されたメニューを見て
「 特製三段カツ重… 」
特製三段カツ重とは…下からカツカレー、味噌カツ丼その更に上にチキンカツとチキンライスをふんわりと包み込んだフワトロのオムライスと総重量二キロのメニュー
「 なんだけど… 向かいで木崎さんがヒイヒイ言いながら食べてるのに、六花は既に食べ終えてサービスのデザートを堪能してる… 」
ナンとか制限内に完食して次回のお食事代五千円の無料優待券をもらった木崎さん、乙
え、俺? 俺は制限時間一時間の半分である30分で完食したから今日の分が半額になり次回の五千円分の食事代無料優待券を貰いましたからね
ええ、次にくるのが楽しみだけど木崎さん……無理は良くないですよ?
次に来る時には楽しめる量にしまておきましょうね
完食者である俺と木崎さんの記念撮影が行われ記念品と賞品を受け取ると早速アイスを買いに向かう俺に誰もが呆れ返った
その後暫く… 木崎さんさんが落ち着くまで休憩となり俺と小南さんはハンドマッサージをしてもらっている
本当はネイルサロンに誘われたんだけどね… でも、どう考えても戦闘の邪魔にしかならないしナニより全く興味ないし面倒臭いし… 後面倒臭い
そんな事を話ながら時間を潰していたら浴衣のカタログを持ってきてセールス始められちゃってね
「 …しかも本日は近所の七夕祭りで浴衣のミスコン開催中ですから如何ですか? 」
だって、マジ受けるんですけどって思っていたらいつの間にか俺達の後ろからカタログを覗き込む忍田さんと木崎さんに向かって
「 如何でしょうか? 可愛い妹さん達を、より可愛く引き立てる浴衣姿をみてみませんか? 」
そう言われてその気になり掛けてる忍田さん、俺が可愛いとかリップサービスだから真に受けちゃダメですからね?
そう思っていたら一枚の浴衣を肩に羽織らせると寒椿をあしらった物であちこちから溜め息が漏れたが何でだ?
商店街の七夕祭りらしく小ぢんまりとしていたけど和気あいあいとした雰囲気が苦手意識が頭をもたげている
結局、販売員と忍田さんに言いくるめられた俺と小南さんは浴衣に着替えて祭り会場に来てしまっている上にコンテストに応募してしまっている
うん、ナイスバディなお姉さん達が皆の視線集めてるから俺は目立たないように息を潜めていれば問題ないな?
と、甘い考えでいたらとんでもない目に遭ってしまったんだよな
ボーダーの三人が目立ちすぎるせいで俺まで悪目立ちしてしまっているのだ
気が付いたら俺はJr.部門で小南さんと共にミスに選ばれてておまけに小南さんがボーダー隊員であり俺は候補生と紹介されたせいでボーダー=大食いと言う誤った情報が暫く流れていたらしい
それはともかく小南さんは副賞に電動アシスト自転車とスーパー銭湯の入泉料チケット11枚綴り二冊
俺はマウンテンバイクだな… これ? 何でミスコンのしかもJr.の副賞がマウンテンバイクしかも成人男子用のなんだ?とスーパー銭湯入泉料チケット11枚綴り二冊となっている
「 木崎さん、要る? このサイズ、このデザイン、どう見てもね? どっちにしても俺、自転車乗れないから必要ないし… 」
そう言って苦笑いすると
「 なら… 「 ならは要りませんから料理と剣を教えてください、俺の師匠になってください… もう側にはいないけど防衛任務を果たしているのが家族を守る事なんだと信じて戦いたいですから…
強くなりたい、そして強くなればボーダーの皆も俺の事… 認めてくれるんじゃないのかって思うから鍛えてください 」 」
そう言って頭を下げる俺だった
その後ナンダカンダと屋台を食べ歩いてお腹一杯なの ( 俺は未だ入る ) で夕食のいらない俺達は小南さんのリクエストでショッピングモールでウィンドショッピングを楽しんでいた…
ただ、ミス二人のティアラが目立つせいか写真を撮っても良いかとか言われたり握手を頼まれてあまりのんびりとは楽しめないのが残念だと思うし俺には拷問にも等しい時間だった
見知らぬ人間と握手と言うか触られるなんて、マジ暫くは悪夢に出てきそうだな…
写真だって小町を撮るの好きだったが俺が撮られるがキライで家族写真にもあまりと言うか俺が写ってるのほ殆ど無い位だったからな
そう思っていたら呉服屋さんに声を掛けられて店を覗く事にした忍田さんだけど俺は
( そこならこのゾロゾロついてくるギャラリーもかなり減るだろうからな… )
まぁそんな事を思いながら店内に入ると、スーパー銭湯で浴衣の出張販売をしていたお姉さん達がいて
「 私達の見立て通りに二人ともミスに選ばれたんですね 」
そう言われて
「 フム… ドレスではなく、着物も良いかも知れないな 」
浴衣姿の俺と小南さんを見ながら忍田さんがナンか呟いてるけど聞こえなかったことにしよう
着物を仕立てる? 冗談だよね? 冗談でそんな事は言わないって… それ自体が悪い冗談にしか聞こえないんだけど
マジなんですね?
え、振り袖着て各種イベントに参加したら色々サービスしてくれる?
まずは海開きか… う~ん…
「 わかった、修行や防衛任務がどうなるかはわからないけど時間をやりくりしてみます 」
そう言って着物を仕立ててもらう事にしたら小南さんも頼む事になりこの日は食料品を買い込んで島に帰る事にした