⑥ スコーピオン二刀流
取り敢えず竹刀を両手に持ってみた… 振ってみたけどこれだけじゃ全くわからない
うん、太刀川さんの華麗な太刀捌きとはまるで雲泥の差で比較するのも烏滸がましいって感じだな… 才能の欠片もないから諦めよう
そう思って左手の竹刀を地面に置こう…そう思ってしゃがんだら
「 最初から複雑な動きは考えずに上から下に降り下ろすだけでいい 」
太刀川さんにそう言われて頷くと、竹刀を地面に置くのを止めて再び竹刀に魔力を纏わせ素振りを再開した俺に
「 何故二刀流に? 」
そう問われた俺は
「 深い意味はないよ、太刀川さん… 三輪に勝つ方法を探してるんだが、取り敢えずは手数を増やしてみたいかな?
どのみちパワーは魔力補正しても全然敵わないんだしリーチの差もどうにもならないんだからさ、他のナニかで上回ってそれを突破口にできないかなって思うんだよな… 」
( そう、今の俺の戦力で勝てる方法を探してるんだよな… )
そう思いながら息が上がるまで素振りを繰り返し、振り続けていた… 出発する間際までな
ただひとつはっきりした事があるのだが… 竹刀メチャ重っ! いや、マジで腕パンパンだよ
そう思いながら腕を擦っていたら
「 お前さ… もしかしなくてもトリガー起動してないだろ? 」
そうズバリ言い当てられた俺は
「 ナゼわかった? … キサマ、ニュータイプ 「 何でやねんっ! 」
と、太刀川さんの鋭い突っ込みが入ると溜め息を吐いた三輪に
「 ちょっと見てればわかる事… いかにお前が色々な事から目をそらしているかの証拠だ 」
そう触れられたくない事をハッキリと言われて
「 そんな事、三輪には関係ないだろっ!? 」
そう言ってイヤそうな顔をしている俺に月見さんが
「 六花、その言い方は良くないわ… 三輪君に謝りなさい、貴女の事を心配して 「 わかってる… でも、未だムリなんだ… 過去を乗り越えろ? 未だそんな昔の事じゃないし誰にこの怒りをぶつけたら良いのかだってわからないんだよ? 」」
そう、このままじゃ三輪に八つ当たりしかねない情けなさを感じているから特に三輪には触れてほしくなかったよ
「 ごめん 」
そう言ってぶすっとしている俺はいい加減可愛いげがなかっただろうな
気まずい雰囲気のまま馬車が走り出したけど口を開く者はいなかった
⑦ ボクと欠片と
無言のまま走る馬車で取り敢えず、与えられているトリガーを起動させた俺はいつもより魔力が上がっている気ははしていた
モンスターとの遭遇…
( 爆弾岩30体って、また厄介なのが出てきたな? )
そう思いながらマヒャドを放ち続いて三人が斬りかかりライフを削り一体一体倒したんだけど… 不味い一体がメガンテの体勢に入ったっ!
そう思った俺は何も考えること無くマジックナイフを投げつけて突き刺すと爆弾岩はナゼか知らないけどボロボロって崩れたのを見てマジックナイフを魔力で呼び戻して回収
落ちている爆弾岩の欠片を拾って投げつけたらイオに相当する爆発が起こり爆弾岩達を襲った
マジックナイフもいつの間にか増えていたマジックナイフをもう二本を爆弾岩に投げつけ爆弾岩は崩れ落ち残りの爆弾岩も俺達に倒され取り敢えず爆弾岩の欠片を拾い集めることにした
そして気が付いたら… また更にマジックナイフの数が増えて16本になっていたことにな
ドロップアイテムはロザリオ、命の指輪、祈りの指輪、奇跡の剣、マグマの杖、防爆の盾 ( イオ系の呪文を無効化する )
更に奥深くへと進みそれにつれて現れるモンスターも徐々に強力になっていったけど俺は急には強くなれないから反比例して苦しくなってきている
そして一瞬の隙を突かれヘルコンドル数体の体当たりを喰らって意識を失ってしまった
悪い予感があったから、スクルトを重ね掛けしていたので傷ひとつないけど体当たりを受けてしまったことがショックだったし情けなかった
こんな事じゃいつまでたっても三輪に一泡吹かせることなんかできやしない
その事実がとても悲しかったし腹もたった
「 もっと後方に下がるべきだ 」
と、太刀川さんに言われ ( 十分下がっていたじゃん? ) そう思っていたし
「 馬車に戻って月見さんの隣でオペレーターの勉強でもしてるんだなっ! 」
三輪にそんな事を言われてそんな事を言った三輪と言わせた自分に腹が立ち
「 自分のキャラクターと、ポジショニングをもっと考えて行動しなさい 」
そう城戸指令に言われて情けなかった
トリオン体の身体に痛みはないけど、それ以上に心が痛かったし悔しかった
膝を抱えて踞る俺には見えていなかったけど、この時既に爆弾岩の欠片が周回軌道描いて俺の周りを回っていて城戸司令達を驚かせていた
もっとも… それは“ボク”が顔を上げる前には消えちゃったから、ボクがこの後しばらくは気付かずにいることになるんだけどね
⑧ 俺とボク
この時から俺の中に、一人称がボクの人格と言うかキャラ? が現れ勝手な言動をするようになってきた
可愛いげのない俺っ娘キャラの俺とは違い、ボクっ娘キャラのヤツは結構皆から愛されるキャラに育っていくんだが…
それが又新しい変化に繋がることをこの頃の俺は当然知るはずもなかったから気にすまい
それより16本有る、一見同じに見えるナイフ二種類在ることに気付き片方からは今までより強力な魔力を感じるし…
もう片方からは、爆弾岩の魔力が刀身から感じられたから真剣な顔 ( をしていたらしい ) で眺めていた
そして、再びモンスターハウスに足を踏み入れた俺達だけど
( キメラとメイジキメラメにギズモとフロストギズモかよ… )
そう思いながら口から出た言葉は
「 皆さん、もうしばらく進むとモンスターハウスに突入しますが敵は主にキメラ、メイジキメラにギズモとフロストギズモですから馬車にはフバーハとマホカンタを重ね掛けしておきます 」
そう思いながら口から出た言葉は
「 そのぉ、三輪さん… バイキルトのテストをしてみませんか? ここやランク戦じゃあまり必要ないだろうけど防衛任務
近界遠征の時とか、この呪文の効果を使いこなせたら有利になるんじゃないかなって…
おイヤなら太刀川さんか城戸司令のどちらかににお願いしますけど… どうでしょうか? 」
………何でか知らんが口調が変わっているし、“三輪さん”?
ナンか全然俺らしくないんだけど一体なんだっつうのさ?
ほら、三輪も胡散臭そうに見てるじゃんか?
そう思いながら返事を待っていると
「 ……任せる 」
そう答えながらボクを観察する三輪秀次だけど見たってわかりゃしないよ
俺が一番理解できてないとゆーか納得できてない変化なんだからな?
「 任せる…… 」
そう、囁く様に呟く三輪秀次に
「 有難う、三輪さん… 」
そう言ってニッコリと微笑みを浮かべて
ー フバーハ ー
ー マホカンタ ー
ー バイキルトっ! ー
と、補助呪文を唱え
ーバギクロスっ!ー
と、唱えた攻撃呪文を合図にモンスターハウスの攻略が始まったけど元から鋭い三輪の剣さばきがさらに鋭さを増しギズモを一刀両断と、言った場面も度々あり三輪の六花を見る目が変わりつつあった
ヘルコンドルの襲撃の際の戦いと今回のモンスターハウス攻略で得た宝は
賢者の石
イカヅチの杖✖5
稲妻の剣
吹雪の剣
魔導師の杖✖3
誘惑の剣
真空の刃✖5
薬草✖30
毒消し✖25
満月草✖21
斑蜘蛛糸✖19
一万ゴールド
「 操刃の意図✖2 ……… って、ナニこれ? 」
そう言って、手にとってみるとその答えはすぐにわかった
俺のスコーピオンのチップに入り込んでブレスレットが現れるとそのブレスレットの射出口から糸が吐き出されその先端部に付いた勾玉からスコーピオンの刃が現れたのだから皆驚いた
が…今の所、使いこなせるのは俺だけだろうからと
「 調査が終わったら六花が所持すれば良い 」
と、城戸さんの一言
その他のレア度の高い見付かった稲妻の剣と吹雪の剣に誘惑の剣と賢者の石はは戦国の世に習い、活躍によりボーナスとして与えられるものとし
魔導師の杖とイカヅチの杖は、オペレーター優先で職員に配ることにするだろうとの事
城戸さん曰く
「 少しずつではあるがいずれ襲って来るであろう次の大規模侵攻に対する備えができつつある 」
なんだそうだ
そうそう、忘れていたけど散乱したキメラの羽根を拾い集めてアイテムのキメラの翼を作る素材として道具屋に売る予定だ
確かに俺や… 多分、忍田さんも僧侶系の呪文を使えるようになるだろうし小南さんみたいにトリオン兵に対抗できるかもしれない魔物を操れるようになればトリガーで直接戦わなくても良いが…
誰しもが得られる力じゃないけど、魔導師の杖やイカヅチの杖みたいに魔法が使えなくても魔力がなくても使えるアイテムはそれほど強力なモノじゃないけど
それでも… できるだけ多く集めて、非戦闘員に護身用配れたら良いなと思うしそう思うのは俺だけじゃないと思う
それともうひとつ忘れていたがフロストギズモが仲間になり、筋斗雲みたいに乗れるようになったのはトベルーラ初心者にはありがたかったし
これまた沢山集めて、防衛任務専用にできたら良いし開き掛けたゲートに向かって一斉に凍える息や凍り付く息を吐いたら完全に開くのが遅れて… 防衛態勢もよりしっかりととれるんじゃかと思うのはご都合主義過ぎるだろうか?