「……それでだな。どうしてこうなったんだろうな」
「イルさんイルさん。お握りですよ。はい、あーん」
「何があーんだ、誰が食うか。飯よりも唐揚げ寄越せ唐揚げ。あむあむ」
「ああっ!? それは私の唐揚げですよ!?」
「私は戦いを通じて戦闘スタイルを確立してほしいと思ったはずなんだが」
「お前のだったらちゃんと名前でも書いておけ。あぐあぐ」
「ああっ!? 二個目も!? ウメさん! イルさんが横暴です!」
「……君達、人が話してるのに何を……って、もう唐揚げが無い……だと……」
場所は移ってここは訓練場の準備室。少し早めのお昼ご飯をみんなで頂く。魔力がすっからかんになって動けなくなった俺を見かねたウメ先生が、先に休憩を取ろうと提案してくれたのだ。
「魔力がごっそり無くなるとこんなに腹が減るなんてなー」
振舞われているのはウメ先生御手製のお弁当だったが、その殆どを俺が平らげていた。弁当の中身は梅のお握りに沢庵、唐揚げといった極々シンプルかつ定番な内容であったが、今の俺にはそのどれもが有難かった。何というか、定番のほっとする味っていいよね。
仕上げとばかりにお茶をぐびりと飲み干す。
「ふぅ、人心地ついた……」
「わ、私の唐揚げ……」
見るとエニシダが呆然と弁当の残骸を眺めていた。唐揚げが取られたのが相当ショックだったようだ。うむ、魔力回復のためだ、許せ。
「ま、まあ、唐揚げはともかくだ。食事に夢中で聞いていなかったようだし、もう一回言おうか」
ウメ先生は呆れつつも俺達に問いかけてくる。さっきも何か言ってたのか。全く気付かなかった……
「君の戦闘スタイルを定着させるための稽古だったはずなんだが、何故いつの間にか勝敗を決するような戦いになっていたんだろうな……?」
「うーん? 何ででしょうね……?」
二人して「はて?」と首を傾げる。そんな俺達を見てエニシダがげんなりしたような顔で言う。
「二人とも熱くなり過ぎなんですよ……傍から見てて思っていましたが、あれは最早稽古ではありません……違う別の何かですっ……!」
「えっ」「えっ」
「えっ、じゃないです! 防御の腕輪が無かったらイルさん何回死んでると思ってるんですか! というか、最後の剣を取り上げた技だって死なないの前提じゃないですか!?」
「いやぁ、それほどでも……」
「褒めてないですからね!?」
キレッキレのツッコミを披露してくれるエニシダ。俺達の漫才も更なる高みへと昇華してきているな。感慨深いものだ……いやまあ別に、更なる高みを目指しているわけではないのだが。
「とにかく! ウメさんとの稽古はもう駄目です! 保護者として許可できません!」
「お前はいつ俺の保護者になったんだ……?」
「むう。保護者殿が言うのでは仕方がないな」
「って、先生も乗っからないで下さいよ!?」
「ふふっ、まあまあ。先の稽古で君がどう動けばいいのかは大体教えられそうだしな。加護ありで手合せしてよく分かった」
「えっと、先生何かわかったんです?」
「ああ、君の戦闘スタイルなんだが、そんなものは『無い』というのが分かった」
「俺には『無い』……?」
どういうことだろう。現時点で俺には何もないということは自分でよく分かっているが、他人にズバリと言われるとちょっと堪える……
ちょっとだけしょんぼりした俺に弁明するかのようにウメ先生は続ける。
「ああ、気を悪くしないでほしい。言い方が悪かったな……君には戦闘スタイルなんて必要ないって事なんだ」
「必要ない……」
「そう。君の影は恐らく万能だ。成長すれば千変万化する状況にことごとく対応できるだけの可能性を秘めている。だから、戦闘スタイルといった型にはめる事で可能性を潰すのは惜しい、そう感じた」
「なるほど……?」
よく分かるような、分からないような……つまりさっきみたいに好き勝手やればいいって事かね?
「……ただまあ、全魔力を使い切るような真似はやめた方がいいぞ? 稽古だったから良かったものの、害虫相手だったら魔力切れは即、死へと繋がるからな」
「肝に銘じておきます……」
「えっと、という事は稽古はもう終わりなんです?」
俺の代わりにエニシダがウメ先生へと問いかける。こいつにとってはそっちの方が重要なようだ。
「ああ、その必要ももう無いだろう。基礎は十二分に教えたし、後はイル君の心構え次第だ」
「ああ、よかった……」
ほっと胸を撫で下ろすエニシダ。なんだろう、こいつがこんなに心配してくれるなんて予想外だ。いやまあ、俺を気にかけてくれているのは以前から分かっていたんだが、こうも素直な反応を見せてくれるとは……
さっきは唐揚げ食べたりしてごめんな……
「もうこれでボロ雑巾になったイルさんをお世話したりしなくてもいいんですね……!」
前言撤回である。人をボロ雑巾呼ばわりする奴に食わせる唐揚げなんぞ無い……! 何でこいつはいらんところで人の評価が微妙になるようなことを言うのだ。当の本人は嬉しそうなのが本当に始末に困る。ウメ先生も「ボロ雑巾……?」とか言って困惑してるじゃないか。
……変な空気になりそうだし、話題を変えようそうしよう。
「あーあー。稽古はもういいんだったら今日はこの後どうするんです?」
「あ、ああ。この後は街道へ出て害虫相手に実戦訓練といこうかと思っていたんだが、イル君はいけそうか? 無理そうだったら明日にするが」
「いえ、俺は大丈夫です。ご飯食べたら少しは魔力も回復したみたいですし、雑魚程度だったら何とかなるはず……」
「そうか、ならすぐ移動するとしよう。行き先はフォス街道だ」
場所は変わってフォス街道……から少し離れた草原。
色取り取りの花が咲き乱れ、一年を通して桜舞い散る領域はブロッサムヒルにおいてはごくありふれた日常風景。だが俺にとっては全てが珍しく、色鮮やかに映る光景である。
「さて……着いたぞ」
そう何処かへと声を掛け、乗ってきた馬から降り立ったウメ先生。その様は非常に堂に入っていて、優美なことこの上ない。百戦錬磨の騎士様ならば乗馬など朝飯前なのだろう。
「はいはいー」
そして、その声に導かれるように空から降りてくる箒、もとい魔女。もちろんエニシダである。こちらもまた危なげなく、ふいよふいよと目標地点へと着地。
「さあ、イルさん着きましたよー。……ってあれ?」
エニシダは同乗者に声を掛け到着を伝える。が、そこで意外なものを見てしまったようで。
「つ、着いたか……? もう目を開けても大丈夫か……?」
……具体的に言うと、目を固く閉じ、エニシダへとぎゅっと抱きついている俺の姿だった。全身を影で包んで完全防御の構えだ。
郊外へ移動するにあたって、乗馬経験など無い俺は仕方なくエニシダの箒に相乗りしてきたのである。最初は名案だと思ったのだが、どうも自分の性能を過剰評価していたようだ……
そんな俺を見てエニシダはによによと笑う。
「ははーん? イルさん、もしかしなくても高所恐怖症だったんですね?」
「わ、わわ悪いか! 怖いもんは怖いんだよ!」
そうなのだ。自分の高所恐怖症をすっかり失念していたのだ。
乗る前は加護があるから大丈夫だろうと高を括っていたのだが、人のトラウマなどそう簡単に覆るはずも無く。結果、このような醜態をさらす羽目になってしまった。
「どおりで最初からなんかぎゅーってしてくれてるなぁって思ってたんですけど、高い所がダメだっただなんて……ほうほう、これは良い事を知っちゃいました」
「くそっ、現状で一番知られたくない奴に知られてしまった……!」
思わずぐぬぬと歯噛みしてしまう。だがそんな俺の様子がエニシダには心底不思議なようだ。
「それにしても意外です。さっきの練習では空中もホイホイ動けてたじゃないですか。何で私と一緒に飛ぶのはダメなんです?」
「……お前さ。落っこちたら確実に死ぬような高度で、問答無用でハイスピード出された俺の身になってみ……? 高所恐怖症でそんな体験したから、ショック死するかと思ったぞ……!」
そう、こいつはあろうことか「イルさん外出るの初めてでしょうから、高い所から街並みでも見てみましょうかー」などと能天気にのたまい、俺の返答も待たずに急上昇。恐怖で固まる俺を背に、ウメ先生から離れない速度(馬並み)で空中散歩を体験させやがってくれたのだ。例えるなら何の心の準備もせずにバンジージャンプをさせられたに等しい。
同じトラウマ持ちなら分かってくれるはずだ。この恐怖が。絶望が。
あれ、俺は今誰に向かって話しているのだろう……
「おかげで折角の異世界の街並み初体験がおじゃんだよ……缶詰からの解放……シャバの空気……」
「…………」
そこまで説明して、ようやくやらかしてしまった事に気付いたエニシダさん。しばらくわたわたと何事か思案していたようだが……
「あの、イルさん。えっと……その……」
「…………」
「ごめーんね☆」
……きゃるーんと擬音が聞こえそうな態度&ポーズで謝ってきた。思案の末、魔女っ娘だから可愛く行けば何とかなるとでも思ったのだろうか。斜め上過ぎる発想である。
何というかもう、本当に、こいつは……!
「何だこの野郎! 馬鹿野郎!」
「あっあっ!? いふぁい! やめふぇ! ほっぺふぁ! あぅああぁ! じょうふぁんです! じょうふぁん!」
いつぞやと同じようにほっぺたをこねくりまわしてやる。前回よりも念入りに、かつ執拗にぐりぐりと。
「ふーっ、ふーっ……」
「あぅ……ふぁぁっ……」
数分後、そこには全力を尽くして倒れ伏した俺と、完全にオーバーキルされ両頬が真っ赤になったエニシダの姿があった。戦いというものは残酷なものである。
そんな俺達のやり取りが終わった頃合いを見計らって、ウメ先生がおずおずと近づいてきた。
「……あの君達、もう終わったか? ここに来た意味を忘れているとかは……?」
「は、はい、俺は大丈夫です……こいつが馬鹿な事やったせいで無駄に体力使っただけです……」
……着陸からこっち、エニシダにかかりきりで忘れていたなんて言えない。
だがそんな俺の思考を知ってか知らずか、ウメ先生は感心したように続ける。
「何というか本当に、君達は放っておくとすぐに言い争いを始めるんだな……いや、言い争ってもいないか……? 何だろう、姉弟喧嘩……? やっぱり漫才……?」
先生、その感想はすごく正しいんだろうけど、まったく嬉しくないです。あと姉弟じゃなくて兄妹にしてください。
「おほん、まあそれはともかくだ。今から虫寄せの香を焚いて害虫を呼び寄せるぞ。この辺りのものはそれほど強くはないが、用心してかかる事だ」
「は、はい」
そう言うとウメ先生は香を焚きにかかった。たちまち独特な匂いが周囲に立ち込めていく。俺も言われるがまま、香から離れて武器を構える。見ればエニシダもようやく回復したのか、のろのろと立ち上がり俺の後ろに隠れるように移動してきた。
「……いや、何でお前俺の後ろに来るの?」
「え? いや私、後方支援専門ですし……というか今回はイルさんの訓練だし、私が手を出しちゃダメじゃないですか?」
「ちっ、気付いてたか……囮くらいにはなるかと思ったんだが……」
「さらっと物騒な事考えてた!? イルさん私のこと嫌いなんですか!?」
「いや、割と好きだけど? けど、使えるものは使わないと勿体無いというか……」
「妙な勿体無い精神は捨ててください! あと好きって言ってくれてありがとうございます!」
「べ、別に好きじゃないぞ!? 割と好きって言っただけだぞ!?」
「何でそこで動揺するんですか……!?」
そんな軽口を叩きながら時間を過ごす。そんな俺達のやり取りにももう慣れたのか、ウメ先生は苦笑しながらも涼やかに臨戦態勢で待機してくれている。万が一の事が起こらないように訓練官としての責務は果たしてくれるのだろう。頼もしい限りだが、出番をあげるわけにはいかない。これは俺の訓練なのだから。
そうして待つこと十数分。草原の彼方からソレは一目散にこちらへ飛んで来た。
「あれが害虫……」
匂いを嗅ぎつけ寄ってきた害虫は全部で五匹。大きさは俺より少し小さい程度。ブブブブと耳障りな羽音を立てながら、香の周囲を探るように飛び交っている。こちらに気付くのも時間の問題だろう。
「あれはヨワ虫ですねー。ただの雑魚ですからイルさんなら余裕かと」
そうエニシダは分析してくれているが、何分初めての害虫である。想像以上に大きいし羽音は五月蠅いしで、ちょっと気後れする。何故かあまり恐怖心は湧かないが、これは多分加護のおかげか。
「まあでも、訓練だしなぁ……ちゃちゃっと倒して終わりにしようかね」
こういう場合、何は無くとも先手必勝だ。匂いに気を取られているうちに殲滅するのが一番だろう。
そうと決めたら行動あるのみ。最大限、力の限りに跳躍し、一息で彼我の距離を詰める。一薙ぎで間近にいた三匹を切り潰す。残った二匹はそこでこちらに初めて気付いたようだ。
(害虫って言うからもっと機敏かと思ったが、意外と遅いな……?)
返す刀でもう一匹を切り伏せる。最後の一匹は逃げようとしたため、背後から影の槍を投擲。これもあっさりと命中。結果、五匹の死体だけが後に残った。害虫の破片が斧槍にこびり付いていたので、ブンッと振り回してこれを払う。
「なんか、大したことなかったな……」
思わず落胆の言葉が漏れてしまう。正直言って拍子抜けである。
「いやまあ、ヨワ虫ですし……というか、イルさんが強くなり過ぎたってのもあるんですけど。普通だったらもうちょっと苦戦するはずなんですが……」
「ウメ先生みたいに死ぬ気でかからないといけないかと思ってたんだがな……」
「それは比較対象が悪すぎますからね!? 何でヨワ虫如きと王国最強を秤にかけてるんですか!?」
そんな事言われてもなー。他に戦ったことあるのいないし。
微妙に肩透かしをくらったような俺を見て、ウメ先生が涼やかに声を掛けてきた。
「どうも不完全燃焼なようだな、イル君」
「ええ、まあ……」
「そんな君に朗報だ。次の挑戦相手が来たようだぞ」
ずびしっとウメ先生が別の方角を指さす。釣られて指された方向を見ると、遠方から別の害虫がこちらへ突進して来ているのが見えた。一見すると三本角がある馬鹿でかいカブトムシのお化けのようだが……
「あれ本で見たな。何て言ったっけか……」
「あー、あれはトライサンボンですね。お腹を空かせて寄って来たみたいですねー」
見ると確かに口元からだらだらと涎を垂らしながらこちらへ向かってきている。食いしん坊か。
「あのまま放っておくと近隣の農家が荒らされそうですし。イルさん、ここはズバッとサンボンちゃんを倒しちゃってください!」
「言われなくてもやりますよ、っと」
エニシダの言葉を背に、髪をなびかせながら駆け出す。にしてもサンボンちゃんって……何あいつ、愛されキャラなの? 害虫なのに……?
少しだけ無駄な雑念に囚われたがすぐに振り払う。向こうも接近する俺に気が付いたのか、方向を変え真っ直ぐにこちらへ向かってくる。近づいて分かったが、体長は目測で俺の二倍程度ってところか。
……上等だ。力比べと洒落込んでみよう。
「――どっせいッ!」
真正面から斧槍を大上段で叩き込む。その衝撃であちらの真ん中にある一番立派な角が圧し折れたが、それも意に介さず尚も突っ込んでくる。負けじと俺も叩き込んだ姿勢のまま踏ん張り押し止めようとする。がしかし、ずりずりと押されていってしまう。やはり膂力では拮抗できても、圧倒的な質量差はどうしようもないようだ。
そんな俺が気に食わないのか、害虫は涎を撒き散らしながら吼える。
「ゴアアアアアアアッ!」
「ぐぬぅ……ッ!」
このままでは止められそうもないので、叩き込んだ斧槍の先端へ力を込めその後に跳躍。相手の突進力も利用し、走り高跳びの要領で相手の背後へと回り込む。
「ゴアア!?」
急に視界から俺が消えたせいで混乱したのか、見当違いの方向へと走っていくトライサンボン。しばらく走った後に立ち止まり、周囲をぐりぐりと見回している。
……確かに結構可愛いかもしれない。愛嬌ある食いしん坊って感じだ。
「ゴアアアアッ!」
程なくして再度俺を見つけたトライサンボンが突進してくる。どうやらあまり頭は良くないらしい。突進しか攻撃手段がないようだ。それならば如何様にでも倒す手段はある。
「よし、それなら……」
今度はこちらからは接近せず、近寄ってくるのを待つ。そんな俺の考えも関係なしに突進してくる害虫。ぶつかる刹那、影から厚さ一メートル程の壁を湧き出させる。回復した魔力の大部分を込めたため、強度はばっちりだ。
……よし成功。壁に頭から強かにぶち当たったようだ。
「ゴア!? ゴアアッ!?」
「おっと、これは予想外」
見ると影の壁を残った二本の角が貫通していて、抜けなくなっているようだった。がしょがしょと足を必死に動かして逃げようとしているようだが、壁はビクともしない。あまりの必死さにほんの少しだけ憐憫の情が湧いてしまう。それ程までに見事に嵌ってしまっていた。
「お前に落ち度は全くないが、死んでもらう。悪く思うなよ」
言語を解するとは思えなかったがそう言い捨て、もっとも柔らかそうな腹部へ渾身の刺突を放つ。
「グオアッ!? ガアア……ッ!」
斧槍が中程まで飲み込まれたものの、確かに手応えがあった。斧槍を突き立てた地点から勢いよく血液――体液と言った方が本当は正しいのだろう――が噴き出し、こちらに降りかかって来る。それに伴い急激に動きが弱々しくなっていくトライサンボン。だが絶命にまでは至らない。何とか逃げようという動物的本能だろうか、全身を激痛で痙攣させながらも脚を動かすのをやめようとしない。このままでは相当苦しんで死ぬだろう。
…………何となくだが、それは、嫌だった。
たとえ害虫が人類の敵であろうとも、苦しんだ後に果てるのは理不尽だ。そんなのはこちらの世界では度し難い考えなのかもしれない。害虫に情けなど――と。
しかしだ。俺にも少なからず矜持ってものがある。ひとかけでも憐憫の情を抱いた相手、せめてもの礼は尽くしてやりたい。
「……仕方がない。介錯してやる」
斧槍を速やかに引き抜き、壁として展開していた影でトライサンボンを包んでいく。せめて一瞬で存在を消し去る方法。今の時点の俺ではこの方法しか思いつかない。害虫は抵抗らしい抵抗も出来ず、完全に影に包まれた。
「――放出ッ!」
次の瞬間、周囲をつんざくような爆音、衝撃とともに巨体が爆ぜた。魔力放出による圧縮爆破である。衝撃の後に残ったのは焼け焦げた大地と肉の焼ける悪臭のみ。
……跡形も無くトライサンボンは爆殺された。他ならぬ俺の手によって。
「…………」
「……お見事だ」
討伐を終えた俺に、近寄ったウメ先生が短く賛辞を送ってくれる。だがそんなものなど今の俺には不要である。今、命を自分自身で刈り取ったのだ。あの巨大だったモノの命を。嬉しさなんて微塵も湧いてこない。
「……イルさん? 大丈夫ですか? 顔が真っ青ですよ……!?」
エニシダも俺を見てそんな風に声を掛けてきた。こいつのこういう表情なんて初めて見たかも。……大分心配させるような顔をしてるんだろうな俺は。
ああ、大丈夫。大丈夫だから……あんまり不安そうな顔をしないでくれ。お前が不安そうにしてるとこっちまで不安になる。いつもみたいにほんわかしてろよ、まったく……
「――? ――――!」
そんな風に声に出したつもりだが全く出ていないようだ。なんだこれ、くそっ。
「声、出ないんですか? ちょ、ちょっと、いつもみたいに悪態付いてくださいよ。イルさん……!」
「……初体験で大分ショックを受けたみたいだな。時間もあるし、少し休もうか」
「あっあー、あーあー、ふう……」
「もう声、出るみたいですね。良かったです」
小一時間かかって声の不調はようやく治ってくれた。ショックで声が出なくなるとか、俺の体は想像以上にデリケートだったようだ。いや、この場合は精神か。どちらにしろ全くもって不甲斐ない。
「……心配させてごめんな、エニシダ」
「いえいえ、イルさんのお世話をするのは当然ですから」
今この場にいるのは俺とエニシダだけだ。ウメ先生はというと、トライサンボンの討伐をもって実戦訓練も取り敢えずは問題ないと判断したらしく、一足早く報告の為に城へと帰っていっている。その際、
「私がいては体調の回復も遅れるだろうし、後は二人でゆっくりと帰ってくるといい。なに、私は空気が読める人間だからな」
などと言っていたが、あれ絶対勘違いしてるよな。こいつとはそういうアレではないというのに。変な噂が広まらないといいんだが……
「それにしても本当にビックリしました。サンボンちゃんを一人で討伐したのはまだしも、その後声が出なくなるだなんて……」
「ああ、そうだな……」
衝撃を受けたのは確かに事実なんだが、まさか声が出なくなるとは。初めての害虫討伐は予想以上に堪えていたようだ。
「あんなでっかい生き物をまるっと消し去るとか、人生初体験だったからな。声が出なくなっても当然かもしれない」
ハッ、と自嘲めいた乾いた笑いがこぼれる。
「イルさん……」
「でも、もう大丈夫。もう慣れた、ことにする。これからもっともっと殺さなきゃいけないんだろう? ああいうのを」
何しろ団長、もとい加護を受けて花騎士ってのにもなってしまったのだ。これからは手を汚さずにいられる訳がない。忙しく活動すればするほど、この手は汚れていくだろう。どうしようもない程に。
「…………」
そんな俺の言葉にエニシダは黙ってしまう。良く考えなくても、こいつも花騎士なんだから害虫討伐なんて腐るほどやってきたはずだ。なのに、
「イルさんは、殺すとか、言わないで下さい……」
ぽつりとそんな事を言われた。
「それは、どういう……?」
「イルさんはもっとお気楽に生きていてください! 殺すとか物騒な事はもう言わないで下さいっ!」
「おいちょっと待てそれは……」
「待ちません! 私の知ってるイルさんはずぼらで、皮肉屋で、どこか抜けてて――」
がばっとこちらに向き直りまくし立ててくるエニシダ。その表情は真剣そのものだ。
「そんな風に体中返り血塗れで、もっと殺さなきゃいけない、とか言うような人はイルさんじゃありませんっ……!」
「……!」
痛い所を突かれた。二の句も継げずに今度はこちらが黙ってしまう。
「だから、イルさんが今度思いつめるようなことがあったら私が助けます。絶対に。何があっても」
「……そうか、ありがとな。ちょっとどうかしてた」
「ちょっとどころじゃなくどうかしてましたし! 全くこれだからイルさんは……」
確かに……職業意識に燃えるなんて俺らしくもない。挙句の果てにもっと殺さないと、だって? 本当にどうかしてた。
……害虫討伐は確かに過酷な体験だった。向こうの世界では生き物なんて、わざわざ自分で殺さなくても生きていけるのが当たり前だったのだ。それがこちらに来て数日でこの有様。初見で実質様子見のはずの今日ですら、計六匹も討伐している。エニシダからの叱責が無ければ、そのまま思いつめて精神病院コースまっしぐらだったかもしれない。
心の中で再度お礼を言いつつ、俺は立ち上がった。
「お前からの有難いお言葉も頂いたし、そろそろ帰るとするか……」
「そうですね。陽が暮れる前に帰りましょう。今日はもう疲れたでしょう?」
「ああ……っとその前にだ」
……大事な事を忘れるところだった。最重要と言ってもいい。
「何か体を拭くものとか無いかな……? 全身血塗れで、このままってのは流石に……」
「…………」
結局拭くものなんて無かったので、身体に影をぐるぐると纏わせて誤魔化した。体は汚れたままなので大分不快感はあるが、城へ戻るまでの我慢である。
「やっぱり帰りも飛んでいくのか……」
「し、仕方ないじゃないですか。徒歩で帰ると夜になっちゃいますし……」
なんやかんやでもう夕刻になってしまっている。エニシダの言うとおり、急がないと間に合わなさそうだ。……特に門限などは聞いてないが、遅れるとナズナが心配するかもしれないし。
「よ、よし。ではお手柔らかにお願いします。高度低めの安全運転でな……?」
そう言うと、来た時と同様にエニシダの後ろにくっ付いて乗る。
「流石に私も学習しましたし、大丈夫です。大船に乗った気持ちでいてくださいね」
「……泥の大船じゃないといいんだが」
「何か言いましたか!?」
「いーえー、何もー」
そんな俺達を乗せて箒が浮き上がる。今回は本当に加減してくれているらしく、地上からそれほど離れずに飛行しているようだ。速度もまあそれなりに調整してくれている。だが――
「へぶっ、んむむ!」
問題というものは次から次へと出てくるものである。
「ちょっと、ストップストップ!」
「どうかしましたか、イルさん?」
言葉と共に空中で急ブレーキする箒。
「さっきからお前の髪がべしべし当たって痛い……」
「…………なんと」
来た時には完全防御の構えでいたから大丈夫だったが、こいつの髪の毛のボリュームは結構なものなのだ。油断すると口や目に入ってきて大変危ない。
「という訳でちょちょいっとな」
影を使って鬱陶しい髪を纏めて一塊のお団子状にしておく。見てくれはちょっとアレだが、今は実用性重視だ。
「もう大丈夫ですかね?」
「ああ、もう平気だ。手間を取らせた」
再度移動を始める俺達。程なくして壁のようなものが見えてきた。何だろうあれ。指さしてエニシダに問うてみる。
「エニシダ、あれなんだ?」
「来る時に見ませんでしたか? ってああ、イルさんは来る時は目を閉じていたから見てなかったですよね……」
小声ですみません、と謝ってくるエニシダ。
「いやそれはもう終わった事だからいいよ」
「あれはですね、都市全域を取り囲んでいる城壁になります。あれがあるおかげでブロッサムヒルは産業や交易が発展できたんですよ?」
「ほへー」
「……というかイルさん、こないだの勉強で習いませんでした? もう忘れちゃったんですか?」
「うむ! 忘れた!」
「はぁぁぁ…………」
自信満々に答えてやると、エニシダは心底呆れたのか長々と溜息を吐いてくれた。
「あれだけ端折ったのに残った部分すら覚えてないとか、もうほんとガッカリを通り越して感心すらしちゃいますよ……」
「ふっ、あんまり褒めるな」
「褒めてないです! というかこのやり取り既視感があるんですけど!?」
などと気の抜けたやり取りをしていると、程なくして城壁へ到着。続いてそのまま壁沿いに上昇していく。……にしても近づいてみるとこの壁本当に高いな。周りに点在している家屋と比べて倍以上は軽くある。なるべく下を見ないようにしないと……
加えて気を紛らわすため、エニシダに再度会話を投げてみる。
「こんなくっそ高い壁で都市まるごと囲ってあるのか……なんというか、作るの大変だったろうな」
「そうですねー。作る時は本当に大変だったらしいですよ。もうずいぶん昔の話だそうですけど、建設途中で何度も害虫に襲われたり、転落事故もたくさん起きたらしいです。昔、お婆ちゃんが教えてくれました」
「どこの世界でも建設って大変なんだなぁ……っと、もうすぐ抜けるか」
そろそろ壁の頂上付近に到着のようだ。視界が途端に開ける。
「――――!」
そこには花があった。夕陽に照らされ、美しく咲き誇る花が。
都市中央部と思しき場所にあるのは、どうしようもないほどに大きい桜の花。そしてその根元には城が、そこから周りにかけて石造りの建物が規則正しく建てられている。建築様式は定かではないが、どことなくイタリアやその辺りの雰囲気を髣髴とさせられた。それらを結ぶ通路に規則正しく敷き詰められた石畳の文様も非常に美しい。
さらに周りを見ていくと、噴水のある大広場や、夕刻だというのにいまだ活気にあふれている市場らしき場所、建物の上に作られた空中庭園なども見て取ることが出来る。
息を飲み幻想的な光景に見惚れている俺を乗せたまま、箒はそのまま都市中央部へと進んでいく。
眼下には忙しなく行き交う人々。もう夕方だし家路へと急いでいるのだろうか。髪の色が色とりどりで、異世界に来てしまったんだなぁ、という実感が改めて湧いてきた。花が歩いているみたいで綺麗だな、などといった俺らしくもない感想までも出てくる。
そんな考えが溢れたのか、知らず言葉が零れた。
「なんていうか、想像してたよりずっと綺麗な世界なんだな……」
「そうですか? うふふっ、ありがとうございます」
「何でお前が礼を言うんだよ……」
「いえ、私もこの世界の住人なので? お礼には返しておかないと」
思いがけず返答があったので少しバツが悪い。話題を変えよう。
「にしても、こんな綺麗な世界なのに争いが続いているとは……いや、綺麗だから続いているのか……?」
「綺麗だから? というと何故です?」
「綺麗だからみんな欲しくなるんだろうさ。まあほんとのところはどうだか分からないけど」
「……」
「……ただの思い付きだ。あんまり気にしないでくれ」
再び黙り景色に見入る。夕陽で辺り一面がオレンジに染まった光景、そこを泳ぐように舞い散る桜花は見事と言うほかない。本当に、本当に綺麗だ。その一言に尽きる。
「…………」
「イルさん。イルさんってば」
「……はっ」
大分長い事ぼーっとしていたようだ。何故かエニシダに声を掛けられている。
「もうお城着きましたよ?」
「おお、ほんとだ……」
前へと振り向くと城門があった。景色に見惚れているうちにもう到着してしまったようだ。そんな俺ににこにこと笑いかけるエニシダ。
「景色に見惚れて着いたのにすら気づかないなんて、イルさんって意外と感性豊かだったんですね?」
「意外とは余計だ。……まあ、本当に綺麗だったからな。前に言っただろ。俺は面白い事が好きなんだ」
「あれ本当だったんですか。てっきり口から出まかせを言っていたのかと……おっと、そんな事より」
ゆっくりと下降しながらエニシダは前方を指さす。
「ナズナさんが出迎えてくれているみたいですね」
見ると確かに、こちらへ手を振りながら歩いてくるナズナが見えた。降り立って近寄ると開口一番、労いの言葉をかけてくる。
「イルさん、エニシダさん! 今日はお疲れ様でした!」
「あ、いえ、出迎えてくれてありがとうございます」
「ウメさんから一通りの報告は受けています。……その、イルさんの体調はもう大丈夫なのですか……?」
トライサンボン討伐後の失調までちゃんと報告されていたようだ。まあウメ先生だし当然と言っちゃ当然か。
「ええ、すっかり元通りになりました。声もこの通りですし」
「それは良かった。まあエニシダさんが一緒にいたらしいので、あんまり心配はしてませんでしたが。……まあそれはともかく」
そこで一旦言葉を区切るナズナ。
「ウメさんからのお墨付きも出ましたし、これでイルさんの訓練はすべて終了です。改めて、本当にお疲れ様でした!」
「おお、これで訓練終了なのか。……長かったような、短かったような」
思わず今までに起きたことを回想してしまう。若返ったり勉強漬けにされたり影が操れるようになったり髪が伸びたりボロ雑巾にされたりと、本当に色んなことがあった。あり過ぎたとも言う。
……というか、本当に一週間も経たずに一人前に仕上げられてしまった事にビックリだよ。向こうの新入社員に同じ事やったら確実に辞めていかれるわ。いや、殆どの過程が向こうでは不可能な事ばかりだから比べるべきではないのかもしれないが。何にせよ不可能を可能にした世界花の加護、恐るべし。
「ああ、イルさんが遠い目をしてる……そんなに嬉しかったなんて……」
「違うわ! 今まで散々苦労したなって思ってただけだ!」
即座にツッコミを入れる。嬉しそうな人は遠い目なんかしないぞ、エニシダよ。
まあそんなことはどうでもいい。ちゃんと確認しておかないといけない事を思い出した。ナズナに聞いておかなくては。
「それでナズナさん。明日から俺は何をすればいいんですか?」
「そうですね、明日は取り敢えず予定通りに休暇を楽しんでください。イルさんは今までほとんどお城の中しか見て来てませんし、街の散策でも楽しんできてはいかがでしょう?」
「外出ていいの!?」
思わずがぶり寄って問い返してしまう。今、休暇って言ったような? 街の散策って言ったような?
「え、ええ?」
「うおぉぉ、ようやっとこの世界が本格的に見て回れる……! 美味しいものとかあるかな!? それと酒も! そんでそんで、色々買いたい!」
来た……! 来てしまった街イベント……!
これまでのストレス鬱憤その他諸々を晴らして下さいと言わんばかりのタイミングに、テンションも鰻上りだ。てっきり休日も城内で飼い殺しにされるのだと思い込んでいたので、その喜びもひとしおである。
これはもう色々見て回って、食って、買い込んで、遊び尽くすしかねえ……!
そんな散財の妄想にはしゃぐ俺を見て、エニシダもほわわんと笑う。
「ふふっ、今度こそ超嬉しそうじゃないですか。でもその見た目でお酒は買えないですよ?」
「そうか。んじゃエニシダ、お前に買ってもらうからよろしくな」
「何でそうなるんですか!?」
「だって俺、お金持ってないし」
「私もそんなにお金持ってないですし!」
「え、お前貧乏なの……? 魔女なのに……?」
「魔女は関係ないです! 最近、調合を派手に失敗したからオケラになってるだけですし……! あれは本当に嫌な事件でした……」
その事を思い出したのか、プルプルと震え始めるエニシダ。……何があったのかは詳しく聞かない方がよさそうだ。そっとしておこう。
「あのー……」
そんな俺達のやり取りを聞いていたのか、ナズナが会話に割り込んでくる。
「お金なら、ありますけど? はいこれ」
そう言うと俺達二人にがまぐちの財布を一個づつ渡してくれる。今時がまぐちって……おばあちゃんか。いや待て、こっちの世界ではこれが普通なのかも?
「今時がまぐちって……おばあちゃんですか」
エニシダも受け取りつつそう毒づいている。あ、やっぱり俺の認識合ってた。
「今回の訓練成果に対する私からの餞別だと思って下さい。それと、エニシダさんに対しては訓練に付き添って頂いた報酬という形で支給させていただきました」
「はあ、ありがとうございます」
早速中を開けて確認してみる。貰った直後に中身の確認など失礼にも程があるが、今はそうも言ってられない。明日の休暇の是非がこの財布にかかっているのだ。
カパリと開けて中を覗く。中には見た事もない貨幣が詰まっていた。うむ、さっぱりわからん。
ひっくり返して全部出してみる。
「こんな道端で何やってるんですか……って結構ありますね」
俺の突飛な行動に呆れつつも、エニシダもお金の多さに興味があるようだ。一緒になってお金を数えてくれた。ついでにそれぞれの貨幣の価値も教えてくれる。
「この金貨が一万、銀貨が千、銅が百で……えーと、全部合わせて……十万ゴールド!?」
「なに、十万ゴールドって多いの? さっぱり分からないから例えが欲しいんだけど」
「この世界の平均月収は大体十五万~二十万ゴールドなので、一週間足らずの報酬にしては破格の金額ですよ! ……ってそうだ、私のも!」
ざらざらと自分の分も開けてお金を数えだすエニシダ。微妙に必死さが漂っているが、なに君、よっぽど困ってたのかね……?
「わ、私のにも十万ゴールド……!?」
どうやら同じ金額が向こうにも入っていたようだ。二人で顔を見合わせた後、揃ってナズナへと向き直る。
「えへへ、驚いちゃいましたか? 頑張って結構奮発しちゃいました♪」
「おおお……貴方が神か……」
「ナズナさん、本当に、本当にありがとうございますっ……!」
二人して深々とお辞儀をする。感謝、圧倒的感謝である。何か一生この人に頭が上がらない予感しかしない。なにしろ二人合わせれば月収丸々ポンと渡してきたのである。こんな豪勢な話があるだろうか、いや無い。
「……」「……」
お辞儀を終えた後、俺達は神妙な面持ちで黙り込む。
「あの、お二人とも急に黙ってどうしましたか……?」
堪らずこちらへ問いかけてくるナズナ。そんな彼女を尻目に、
「これで明日は色々買い込む事が出来るな……何買おう? というかこの世界何があるんだ……? 何にせよまずは美味い飯、酒、あとそうだ、服も買わないと……! それとそれと……」
「これだけのお金があれば使い込んだ薬品薬草その他諸々まるっと買い揃える事が……いえ、いえいえ、それよりもずっと前から欲しかったあの魔導書やあんな写本に手が届く……!? 落ち着け、落ち着け私……!」
思い思いの使い道を妄想しながら、ウロウロとその辺りをふらつきだす物欲の奴隷達。口から考えがダダ漏れだし、傍から見ると不審なことこの上ない。
だがそんな事に気を払える精神的余裕など、金に目の眩んだ俺達にある訳が無かった。
「……あのー、用も済んだので私もう帰っていいですか……?」
後には所在無く立ち尽くすナズナだけが残されたのだった……
ゲーム画面ではさっくりやられる害虫君。実際に倒すとなるとそりゃまあなんか色々出るよね。
人によってはトラウマになりもしますよ、ええ。