Alternative Frontier    作:狼中年

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00 プロローグ

 「これより本艦はS .M .Sフロンティア支部の救援要請に応え、バジュラ本星へ向けてのフォールドに入る!」

 

 艦長からの号令と共に艦内が慌ただしくなり、ブリッジから各部署に指示が飛び、瞬く間にフォールドの準備が整う。

 

 「フォールド開始!!」

 

 艦前方に現れた空間の歪みに向かい進むにつれ、艦体が通常空間から消失していき、艦体が歪みの中に飲み込まれていく。

 

 "フォールド"

 

 所謂ワープ航法の一種である。

 詳しい説明は省くが制限は有るものの、通常航行とは比較にならない程の速度で移動が可能である。

 

 「フォールド航行に移行ました。 艦体各部に異常は認められません。」

 

 「よろしい。」

 

 オペレーターからの報告を聞き終え、今後の行動についての思考に切り替えようとしたその時、オペレーターから焦りの声と共に報告が伝えられた。

 

 「か、艦長!! 前方に観測されていなかったはずのフォールド断層が!」

 

 "フォールド断層" 

 

 フォールド航行を阻害する空間の裂け目。

 フォールド断層に陥ったら最後、次元の狭間に落ちてしまい、最悪の場合、断層内に閉じ込められ脱出不可能になる事すらある。

 

 「観測班、何をしていた!  急げ! 緊急デフォールドだ!!」

 

 「ま、間に合いません!」

 

 「くっ…… 総員、対ショック姿勢!!!」

 

 直後、フォールド断層に突入してしまった艦体は、激しい衝撃に見舞われ、クルー達の体を揺さぶる。

 

 「!? そ、そんな!? あり得ません!!」

 

 激しい揺れの中、オペレーターが計器を確認して驚愕の声をあげた。

 

 「どうした?」

 

 「断層途中で航行不能状態なのにも拘わらず、勝手にデフォールドしようとしています!!」

 

 「そんなバカな!? そんな事があるわけ… ぐわっ!!」

 

 さらに激しい揺れにみまわれると共に、フォールド航行が中断され通常空間に吐き出された。

 

 「くっ… ダメージチェックを!」

 

 デフォールド後、激しく揺さぶられながらも艦長がすかさず指示をとばすと、オペレーター各員はそれぞれに、確認作業に取り掛かった。

 

 「多少の混乱はあるものの、艦体各所に異常や故障は今のところ確認出来ません。」

 

 「そうか… まずは一安心だが… 現在位置の確認を急げ!」

 

 「そ、それが… おそらく太陽系内だと思われるのですが、本艦位置と座標が一致しません。」

 

 「なに? おそらくとはどういう事だ?」

 

 「地球、月、共に座標位置にデータとの誤差があり、月に至っては形状にも差異があるようです。」

 

 現在位置がわからない、そんな事が有り得るのだろうか、と考えるが、実際問題、ディスプレイ上には位置情報不一致の文字が表示されている。

 

 機器の故障か? 

 

 しかし、先程のダメージチェックでは異常無しとの事だったはずだが。

 いくら考えても明確な答えが出てくる事は無いだろう。

 

 「このまま考えていても仕方あるまい。 新地球統合軍総司令本部、ならびにS .M .S本社に連絡を取れ。」

 

 「了解。 ………………通信、繋がりません! 通常通信、フォールド通信共に不通。」

 

 またかと思ってしまう。

 これは本格的に艦の一部が損傷したのかと考えるしかない。

 もう一度、ダメージチェックの指示を出そうとした時、オペレーターから声が掛かった。

 

 「艦長… おかしくありませんか?」

 

 「なに?」

 

 「太陽系内なら、攻撃衛星や防御衛星がかなりの数が配備されているばずですが、それが一つも見当たりません。」

 

 現在の太陽系内に多数の攻撃衛星や防御衛星が配備されている筈だ。

 その人工衛星の類いが全く見当たらないというのは、確かにおかしな話だ。

 

 「ここは本当に太陽系内なんでしょうか?」

 




 自分の考えを文章にするって難しいですね。

 よろしかったら、感想や意見をお聞かせください。 批判は心がポッキリ逝きそうですが…

 では、また次回で。

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