加賀「提督..。思った以上に仕事が溜まってるのですが」
八幡「残念ながらそれを溜めたのは俺ではなく前任の提督だ。つまり俺は悪くない」
翔鶴「全部私たちに丸投げというのもどうかと思いますけどね」
うっ...きつい所を攻めてきやがる
八幡「はいはい。俺が悪いですよ」
コンコン..
八幡「どーぞ」
大淀「失礼します。追加の資料の方ご確認お願いします」
八幡「まぁ、お前が1度目を通してあるなら特に問題はないだろ」
翔鶴「私が確認しときます」
大淀「え、ちょっと翔鶴さん?」
翔鶴「この人に何か言ったところで時間の無駄と私は判断してます」
ちょっと?ひどくなーい?それじゃまるで俺が怠け者みたいじゃないですか。めちゃくちゃ仕事してるよ?資材の管理とかスケジュールの管理とかちゃっかりやっちゃってるよ?
八幡「やりたいならやらせとけ。そこで口論する方が時間の無駄だ」
翔鶴「っ!元はと言えば!!」
加賀「うるさいわね。黙って仕事をしてくれないかしら」
八幡「だとよ」
ナイス加賀!お前には後で生ぬるいマッ缶をくれてやろう
翔鶴「..分かりました」
大淀「それと提督..葉風提督から連絡が」
八幡「来たか」
イケメンで仕事が早くてエリート、そしてイケメン。嫌になるくらい完璧だな。まあもう出来れば関わりたくないんだけどね?
大淀「通信ではなく..文通で」
八幡「つまり..言いづらいことか」
そう言い大淀から手紙を受け取る
大淀「中は見てないので..。その件に関しては提督に任せます。私はこれで」
そう言い捨て出ていく
八幡「おう」
任せとけ..。なんて主人公っぽい事を言えればカッコもつくんだろうが、生憎俺は主人公じゃないものでね、だからあんまり期待すんなよ。てか最初からしてないか..。
加賀「提督..それは?」
八幡「プライベートなやつだ」
正直こいつらに言ってメリットになることなんて特に無い。加賀ならまだしも翔鶴なんかはデメリットしかなさそうだ。
翔鶴「なにか企んでるんじゃないんですか?」
八幡「あーはいはい。そーですね」
もう面倒臭いから流そう。それが1番
翔鶴「馬鹿にしないでください!!」
その上沸点が低いとかほんとにタチ悪い。いやいや、今はそんな場合じゃないな。手紙の内容だ
八幡「どれどれ......」
ここまで予想通りだと困ったもんだな。悪い予想が完璧に的中しちまった
翔鶴「ちょっと無視しないでください!!」
加賀「落ち着きなさい。みっともないわよ」
翔鶴「でも!もしかしたらまた鎮守府を..」
八幡「悪い..。真面目な話がしたいから少し外してくれないか?」
あの大将も酷い人だ。俺がこんなの見ただけで納得出来ると思ってんのかよ
翔鶴「やっぱり密談を..!」
そう言われながらも受話器を取る。
八幡「もう面倒だからそこにいてもいい。けど、うるさくするなよ?」
加賀「はぁ..。分かったわ」
翔鶴「..場合によります」
ほんとに図々しくて嫌になる。加賀はまだしも翔鶴が面倒くさすぎてたまらん
pururu....
葉風「もしもし」
八幡「どうも」
葉風「あの件の話かい?」
八幡「はい。あれで俺が納得出来るとでも?」
葉風「すまない。今の俺にはこれが限界だ。それにあの手紙だけでも充分だったろ?逆に何が納得出来なかったんだい?」
八幡「事の経緯が何もわからないじゃないですか」
葉風「知り合って間もないから、知ったような口をしたくは無いんだけど..今の君は君らしくないよ」
八幡「俺が?俺らしくない?」
葉風「俺が知ってる比企谷提督は非情で流されず、我が強く、現実をそのまま受け止める人間だよ。けど今は、その現実を受け止めたくないように思える」
..確かに。俺はなんでこの人に電話した?何のために?認めたくなかったから..か。
八幡「..グウの音も出ませんよ」
葉風「そうだね..。もし今逆の立場だったら君ならこう言うんじゃないかな?”この世で1番美しい行動は何だと思う?それは他人の為につく嘘だ。じゃあ1番醜い行動は?..自分につく嘘だ。”なんて言うんじゃないかな?」
八幡「まさにその通りすぎて笑えてきました..。お騒がせしました」
葉風「ううん。いいんだ。がんばりなよ」
そう言って電話を切る。
八幡「はぁ..。まさか言い負かされるとはな..」
ならどうする?美しい行動をするのか、それとも醜い行動をするか..。いやどっちも俺らしくない。比企谷八幡はそんな甘い人間なんかじゃない。甘いのはマッ缶だけで充分だ。だから俺は..俺らしい行動をする
加賀「終わりましたか..。」
翔鶴「お相手はほんとに葉風提督だったんですね」
八幡「そう言ってただろ。さてと、ここからが本番か」
アイツに受け止められるかどうか..。いや、いつかは受け止めなくちゃいけない。それから逃げようが立ち向かおうがアイツの勝手だ。俺には関係ない。俺は依頼を受けてその報告をするだけなんだから
八幡「2人とも..睦月を呼んで来てくれ」
翔鶴「そんなの館内放送をすればいいじゃないですか」
八幡「あまり公に出来ない話なんだ。まあ最悪俺が呼びに行く。だからお前らは暫く執務室以外の場所に行ってくれ」
加賀「理由は....言えない、ですか」
八幡「悪い」
翔鶴「却下です」
加賀「分かりました。自室に戻るとします」
翔鶴「加賀さん!?」
やっぱり加賀は物分りが良くて助かる。空気も読めるしな
八幡「お前も早く行け」
翔鶴「..睦月ちゃんに何する気ですか?」
八幡「お前には関係のない話だろ。ほら加賀はもう行っちまったぞ?」
いい加減こいつの偽善にもうんざりだな..
翔鶴「関係なくなんてないです!!」
八幡「なぁ..どうしてそんなにも俺に突っかかってくるんだ?」
翔鶴「前任の提督みたいな悪行を繰り返さないようにです!」
繰り返さない..ねぇ
八幡「翔鶴..お前はどうして前任の提督でそれをしなかった?」
翔鶴「それは瑞鶴を人質に..」
八幡「そんで今は人質がいないから強気ってわけか。とんだ腰抜けだな..お前」
翔鶴「んなっ!!何も知らない人が知った口を聞くな!!」
八幡「充分過ぎるくらい分かったぜ?つまりお前は、人質がいたからなんて自分に言い訳して前任の提督に尽くしてたんだろ?事実、人質がいなくなった途端いきがり始めたのがいい例だ」
翔鶴「ならあなたは自分の家族が人質にとられても同じ事が言えますか!?」
小町が人質とられたら....考えるまでもない
八幡「俺は助ける。どんな手段を使っても..助ける」
大切な妹を傷つける奴はこの俺が許さん。千葉の妹愛..舐めんなよ?
翔鶴「それで周りの人達も巻き込まれるんですよ!?」
八幡「だから?」
翔鶴「は?」
八幡「だから何なんだよ。周りのヤツらなんか知るか。囚われている間何もされないなんて保証はないからな。そいつらに恨まれようがなんだろうが俺は助ける」
翔鶴「そんな身勝手な..!」
八幡「だから腰抜けって言ってんだよ」
翔鶴「なら今までの私は..腰抜けでも構いません。でも今はちがう!今ならちゃんと抗える!」
八幡「抗う?何に?」
翔鶴「あなたにですよ..」
八幡「....くっ、ははは。なるほど。分かったよ」
翔鶴「..何が」
八幡「お前はただ自分を良く見せたいだけなんだ。周りにチヤホヤされたいだけなんだろ?だからあからさまに俺に突っかかってくる。昔はあんなだったけど今の自分はこんなにも抗えるって、過去の自分を否定したいんだけなんだろ?そうすれば気が楽だもんな」
翔鶴「違う!そんなこと微塵も思ってない!あなたみたいな最低な人間と一緒にしないでよ!」
八幡「違くないし、一緒だ。俺と同じ最底辺の人間だ。むしろ俺なんかの言葉で逆上してるんだから俺より下かもな」
翔鶴「違う..違う..」
八幡「ホントはもう気づいてるんじゃないか?自分がその程度の..」
加賀「提督..少しやりすぎなのではないかしら?」
..熱くなりすぎたな。
八幡「..悪い。てか、加賀はまだいたのか」
加賀「この子が心配で来てみたのだけれど..。予想通りね。一応自室に連れていくけれど、あまり彼女を責めないであげてちょうだい」
八幡「なら翔鶴にも俺をあんま責めるなって伝えてくれ」
加賀「気が向いたら...」
それ絶対に伝えないやつだわ。
八幡「一難去ってまた一難..か。この後の方が少し怖いな」
そう呟きながら執務室を後にし、睦月のもとへ向かう八幡。
執務室の机の上には比企谷提督宛の手紙が一つ。その封は乱雑に破られており、手紙も出したまま。その内容は
ーー調査結果ーー
睦月型 2番艦 如月は数ヶ月前に行方不明、捜索の末、彼女の艤装が発見され、轟沈とされる。
今回は少し多めに書いてみました!
肩がこる〜