なんにでも変身できるヒーロー志望ですが何か 作:輝く羊モドキ
化太郎、試験受けるってよ。
「先生、私にも雄英の推薦くださ「無理。」食い気味に断られたッ!」
「どうして!?この前の模試でもなんとかA判定だったのに!」
「……殺生石、お前この部屋が何処だか理解してるか?」
「?何処って……指導室じゃないんですか?」
「そうだ、指導室だ。それでお前がこの部屋を使うのは何回目だ?」
「え~…と。年に一回だと仮定して3回目じゃないですかね。」
「……」「……」
「そうだな、年に一回という仮定が正しかったら3回目だな。でも仮定が間違っていたら結論も間違っている。そうだろう?」
「はぁ。」
「ちなみに先生の手元にはお前がこの部屋で個性指導を受けた回数が乗っている。何回だと思う?」
「先生。それは中学校生活で延べ何回授業を受けたか、と聞いてるのと同じ事ですよHAHAHA。」
「ああそうだな。一授業につき一回個性指導してるんだからそうなるよなぁ……!」ビキビキ
「HAHAHA、教師がしちゃいけない顔してらぁ。」
「黙っとれ!教室の扉を開ける回数より指導室の扉開ける回数の方が多いヤツ相手にするんだったら誰でもこうなるわい!」
「もー、エコヒイキするなんて教師失格だゾ★」
「俺もこんな贔屓するとは長い教師生活で一度も思わなかったよ…遊戯の奴良くこんなん相手出来るな。」
「私の自慢の親友ですからー。」エッヘン
「……生徒に殺意を覚えたのは初めてだよ…。」
「やぁん。センセイのは・じ・め・て♪貰っちゃった。」
「…」
「おおぅ。その瞳は絶対零度使われちゃあ化太郎君も黙らざるを得ない。」
「……そういうわけだ。たとえ勉強できようとも学校生活が悪い奴に推薦は出せないな。」
「そんな!そもそも私の個性は無意識に発動しちゃうのに!それを止めろなんて呼吸するなと言ってるようなものなのに!横暴だ!」
「…ほぅ?じゃあ聞くが、国語の授業でいきなり虎に変身したのはなんでだ?」
「……それは、山月記の主人公になりきって気持ちを汲み取ろうと努力した結果ですね。」
「……社会の授業で鎧武者に変身した理由は?」
「たまたまその時やってた大河ドラマが丁度授業の範囲だったので臨場感を演出した結果ですね。」
「英語の授業に金髪の女性に変身した理由は!?」
「英語っていったらやっぱエレン先生かな、って」
「美術の授業にウシに変身した理由は!?」
「友達との賭けに負けてヌードモデルになっただけです。」「お前それヌードモデルじゃなくて”ヌー”モデルだから!!」
「兎に角!お前に推薦は推薦は出せん!」ゼェゼェ
「酷い!ショックのあまり先生に手籠めにされそうになったって言っちゃう!」
「ヤメロォ!」
*****
そんな訳で一人寂しく雄英高校ヒーロー科の一般試験を受けに行く私であった。
親友も、友人も、推薦で先に合格貰いやがって、覚えてろよぅ。
雄英のヒーロー科は毎年倍率300を超える。
最近のヴィラン共の増加の煽りを受けてか、今年から定員が増えたらしいけどそれでも一般入試の定員38人。推薦入試入れても44人しか合格しない。
まさに受験戦争。隣の奴は戦友じゃない。倒すべき敵だ。サツバツ!
そんな狭き門をなんとしてでも潜り抜けなくてはいけない。
まぁ、雄英高校の入り口のゲートは私が10人分程手を広げても通行可能な広さを持ってるんだけどね!雄英の門は広いけど狭いのだよ!
寂しい……
ちくしょー…なんであいつら先に合格するんだよぅ。サミシイ…サミシイ…
「おっおっおぉおおおお」
ニャァ、何だ突然!アラーム音か!?叫び声か!誰だ!モジャ髪か!
モジャ髪?はて、あの子何処かで見たな。ススッと近づいて顔を見る。
「ハローベイベー。」「うわああ!変なお面着けた人!!!」
至極その通りではあるのだがいささか傷つくぜベイベー…
ジロジロ。
「?!え、えっと。何の用…ですか…?」
「まあまて。今観察途中だから。」
「(ひょっとして凄い変な人に目を付けられたんじゃ)」
「…なんて思って無いだろうね?」
「へぁ!?な、なんで?!」
「顔に書いてあるぜぃ。そうだ思い出した。キミ出久君だろ!」
「えっ。どうして僕の名前を?」
「おや、私の事を覚えてないなんて。悲しいなぁ。まあしょうがないか、なんていったって同窓会では世界一『お前変わったなぁ~』って言われる人間だからね!」HAHAHA
「えっ?えっ?」
「ふむ、そうだなぁ。あ、これだ。これ言えば流石に思い出してくれるだろう?」
「いずく、オールマイトごっこしようぜ!私町におりてきたクマな!」
「…えっ、もしかして………化太郎くん…?」
懐かしいなぁ。オールマイトごっこ。あの時は何というか…輝いてたよね(ボキャ貧
*****
「みてみてバケタロウくん!オールマイトへんしんセット!おかあさんにかってもらったんだ!」
「…フフン。そんな物無くても私はオールマイトに成りきれるけどな!だけど折角買ってもらったんなら使わなきゃ勿体ないよねぇ。よぉっし!今日もオールマイトごっこするぞ!私町に降りてきたクマな!」
「……まえからおもってたけどなんでクマなの…?」
*****
やっべぇ昔の友に偶然会えるとかテンション上がる!
「そういうわけでオールマイトごっこしようぜ!」
「今から実技試験だよ?!」
「あ、そうだった。」
「まさかの素?!」
テンション高めのまま出久君と一緒に体育館に向かう。
……あれ、出久君って無個性じゃなかったっけか?気のせいか?でも無個性の人がヒーロー科に受けに来るなんて記念受験以外の何物でもないよな。
◆
『 今日は俺のライヴにようこそー!!! エヴィバディセイヘイ!!! 』
「イエー!!!」
((((((え、何こいつうるさっ!)))))
周りの視線が痛い。なんでや、こういう時はノリよく返事するのがリア充ちゃうんか。
◆
模擬市街地演習!広っ!雄英やっぱスゴッ!
というかココまで移動するのにかなり時間とったよ。なんなんだ雄英。
「あー!さっきのうるさい人だー!可愛いお面だねー!」
何ッ!誰だこやつ!
「この仮面の良さが分かるなんて貴女…やるわね!」
「えっ?なにがやるの?」
「私は殺生石化太郎。よろしくね、可愛いツノの人。」
「私芦戸三奈!よろしくねー!ねえねえ、殺生石!キミって男みたいな名前してるね!」
「まあ、こんなナリだけど女じゃないのよ。男でもないけど。」
「えっ?」
『 ハイスタートー! 』
「あっ、じゃあお先に失礼するわ。変身ッ!」
「えっ?えっ?えっ?」
芦戸ちゃんには悪いがこれは試験。先を急がせてもらおうか。
ツバメに変身して市街地の中心部へ向かう。とりあえず誰よりも先に中心部に陣取って仮想敵を集めてしまおうって作戦で。
プレゼント・マイクが受験生を急かしている声を後ろに、ツバメから戦闘ヘリに変身して市街地に向かう。
やってる事完全に戦争じゃねえか。市街地で戦闘ヘリとかFPSかよ。
◇
キュラキュラキュラキュラキュラキュラ
ズドォォォォォン!!
「57!いや、60だっけ?わっかんね!」
市街地でド派手に大砲ぶっぱなしながらキャタピラで高速移動している。
今の私は轟砲ヒーロー『G-タンク』だ。若い物にはまだまだ負けんぞ。
とはいえ流石に鉄製砲弾を使うわけにはいかない。あくまでもこれはヒーロー活動。市街地をむやみに破壊するヒーローなんて居ないのさ。
…あっ、いたわ。市街地をむやみに破壊しちゃうヒーローいたわ。もっと郊外で活動すればいいのにってヒーローいたわぁ…。
なんにせよ普通の砲弾だと市街地で使うには超危険。そこで込める弾はビッグ・トリモチ弾だ。当たれば即くっつく。そして発射時の轟音に釣られてかドンドン仮想敵が集まってくる。大砲ぶっぱなす。集まる。なんてすばらしいループだ。まさにやったぜスパイラル。
唯一の欠点はこのループ。私の身体の消費が激しいことくらいか。お腹すいた。
砲弾撃つのに強力なエネルギーが必要。さらにトリモチ弾を作るのも維持するのもエネルギーが必要。結果、めっちゃお腹すいて力が出ない。
まぁ、このペースだったら10分持つだろって思ってた自分を殴りたい。
まだ5分経ってないのにお腹ペコペコちゃんなんですけども。孤独にグルメれそう。
このままじゃ試験終了まで持たない。チェンジペースしよ。
変身するは無敵のボディ。あらゆる攻撃を受け流し、あらゆる防御を貫く槍となれ!
《標的発見。始末セヨ!》
メタモルチェンジ!スラリーメタ《一斉掃射!!》ドドドド
バチュン
ヌルリ
「おいゴラァ!変身中に攻撃するとは鬼畜外道か貴様ぁ!!」
《?!》
「ヌルフフフ。お約束を守らない生徒にはしっかり教育しないといけませんねぇ。」
シュッ
「ヌルフフフ。武骨な砲門はパンクなテーブルに。」
「重厚そうな外装はリクライニング可能なソファーに。」
「それ以外の部分にはキラキラのスワロフスキーでデコレート。」
「ついでに中身のAIも少しイジらせてもらいました。」
《これが…私…?》
「さあ、あなたは今日から仮想敵ではなく可動式カフェテリアとして活動するのです。」
《はい。先生!》
T H O O M
「ん?」
B o o o o o o M !!
「にゅにゃァ!!何事!?何事ですか!?」
《アレは、0ポイント仮想敵。ステージギミックです!》
「アレがか?!デカっ!デカすぎない!?」
《とりあえず逃げるのです!》
「お、おう。改造しといてなんだけどお前それで慣れすぎでしょう…。」
い、痛…
?今何か声が
あ、ヤバ。これ走れないかも…
やっぱり聞こえた。こっちか?!
!?居るっ!見えないけど、そこに人が居る!
「おい、大丈夫か?!」
「・・・えっ?私が見えるの?」
「見えない!でも其処に居るのは分かる!怪我してるのか?立てるか?」
「立てる…けど走れないかも。」
ズズゥゥゥゥゥン!!
「うわ、0P敵が…もう駄目かも…。」
「諦めるな!」「え?」
変身
「たとえ無理かもしれなくても!」
轟砲ヒーロー
「ヒーローは弱音を吐いちゃいけない!」
超巨砲準備
「あらゆる困難を!」
超重量砲弾装填完了
「笑って乗り超えろぉ!」
発射準備工程終了
「行くぞ!ゲージ全振りの超必殺!」
「 超弩級砲塔!マックスキャノン!発射ぁぁぁああああああ!! 」
ボッ
ゴ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ン
「う、嘘…。あんな巨大なヤツを…一撃で…」
「はっはぁ!どうだ!ヒーローに不可能はないん」ドサッ
「…!?ちょっ!大丈夫?!生きてる!?」
( ˘ω˘)スヤァ
「寝ただけかい!心配させないでよ!」
『 終 』『 了 ~!!!!』
*****
「おはよー!」
あー、この電池切れから目覚める感覚。滅茶苦茶久しぶりだ…。あれ?ここ何処。
「やれやれ。やっと目が覚めたかい。個性使ってぶっ倒れたって聞いたからアンタも無茶したんじゃないかと思ったんだがね。」
「…お腹すいた。」
そんでここ何処。あなたどなた。
「ここは雄英の保健室。そんで私は看護教諭の『リカバリーガール』だよ。」
おかしい。口に出したはずの言葉は無視され、口に出してないはずの考えの答えを言われた。
「それは私の管轄外だよ。」
…もう何も言うまい。
「それよりほら。起きたならもう暗くなるんだからとっとと帰りなさい。」
「…お腹すいた。」
「…今はハリボーしかないからこれで我慢しな。」
わーいハリボーらー。圧倒的栄養不足ぅー。
しかし無いものはしょうがない。ハリボーかみかみしながら帰るとしよう。
「ハリボーありがとうございます。それじゃあばーちゃん、また入学式後に会いましょう。」
「おや、もう受かった気でいるのかい?大した自信だねぇ。」
「勿論。エリートヒーロー(志望)ですから。」
鼻で笑われた。ちくせう。
一週間後。普通に合格した。しかもトップ合格だって。イエイ。
主人公の個性をもってすればトップ合格間違いなしだよなぁ…
そして特に考えもせず定員増加。1クラス22人になってもうた。まあいっか。
殺生石 化太郎 敵P 59 救助活動P 50
お茶子を助けた出久が60Pで出久を助けたお茶子が45Pなら化太郎ならこれくらいかなって…
轟砲ヒーロー『G-タンク』
主に都心から離れた場所でヒーロー活動をしている高齢のヒーロー。
個性は『戦車』。どんな悪路も駆け抜けることが出来るキャタピラ、生半可な攻撃は跳ね返す重装甲、そして物凄い威力の大砲を持っている。
趣味で農業をしている。
『超弩級砲塔マックスキャノン』
G-タンクの必殺技マックスキャノンをさらに巨大化させた物。
身体のエネルギーを全て込めて発射する。相手はまず死ぬ。自分もまず電池切れする。