なんにでも変身できるヒーロー志望ですが何か 作:輝く羊モドキ
なおクオリティ(
「さて皆様方、主様が大暴れする予定らしいのでこちらの避難所にどうぞ。」
「お、おお…。」
「なんだこのデカい施設は…。」
「それは我が能力の全てを用いて作成した、核シェルターすら凌駕する防御性能を持つ防衛機構で御座います。」
「核シェルター以上!?」
「なんだかよく分からないな…。」
「というかそのようなモノが必要なのか?」
「備えあれば嬉しいなってやつよ。」
「備えあれば憂いなし、だ小娘。」
「さて、この避難所からでも外の戦闘をモニタリング出来るようにしましょう。」
ふい、と指を振ると壁一面に幾つものモニターが現れる。そのモニターは化太郎、遊戯、安藤、爆豪の4人を様々な角度から映している。
「おお…。迷梧さんの個性ってスゲー便利っすね。」
「いえいえ、それほど良い物でもありませんよ。主様に比べたらこの程度…」
「先ほどから思っていたんだが、ヌシサマってのは殺生石の事ですよね?」
「ええ、それが如何したのですか?」
「いえ、普段のアイツを見ていたらどうも人を従えてるような奴に見えなくて…。」
「…ふむ。」
「ああいえ、別に悪口とかそう言うのではなくてですね、なんというか………想像できなくて。」
「ああ、それな。確かに分かるぜ。」
「今日もそうだけど、面倒見はいいけどかなりの気分屋?みたいな。」
「…」(凄い強いのにそうは見えない所とか。)
「そうね、確かに主様は強そうには見えないわね。」クスクス
「ですが、我等を従えるに足る実力を持っています。」
「そう、我等は実力無き者には例え本家跡取りと言えども仕えはしません故に。」
*****
「…本当に良いのかな?」
「うるせえ、とっとと始めんぞクソが。」
「口悪いよなぁお前本当に。」
「遊戯トドッコイダナ。」「うっせ!」「殺すぞ!!」
「ほんじゃー、いっちょ爆豪君にレベル99を見せてやりますかね。」
「短期決戦、最初から全開で行くぞ。」
「全門開放。モードチェンジ:オーバースロット。」
「皆殺しだ!!」
「え、俺も?」
「死ねクソ機械にクソ仮面!!」BooM!
「おいおい、フレンドリーファイアには気を付けろよマジで!!」ダッ
「ロイコ!合体すっぞ!」
「来イ化太郎!」
「行くぞ!『
「カラノ『オーバーヒート』!」
化太郎が安藤に憑りつき、安藤は自身のスペック以上の性能を発揮し始める。
結果、体が赤熱し始めるが化太郎が効率よく熱エネルギーを貯蔵し、爆豪・遊戯に向けて発射する。
「『ヒート・ラジエーション・ブリーズ』!!」
「熱っ!!」
「っの程度なんてことねえよクソが!!」
「はぁん、これは言わば地形変更技みたいなもんよ!」
「本命ハコッチダ。『ガトリング・キャノン・ショット』」
安藤から六門、安藤に憑りついている化太郎から追加で六門、合計十二の砲門が轟炎を吹く。
正しく弾幕と呼ぶに相応しい攻撃は音の速さで相手に向かって行く。
「捕まれ爆豪!『グラウンドフュージョン』!」
しかし攻撃は一切当たることは無かった。地面に逃げた遊戯と爆豪は作戦を練る。
「勝手なことすんなクソ頭ァ!」
「ああ!?お前ハチの巣になりたかったならそういえボケカス!」
「うるっせええ!!テメエの助けなんかいらねェんだよカスが!!」
「馬鹿が!化太郎一人相手でもボロカスに負けたお前が安藤と二人掛かりで来てんのにどう勝つってんだ!?それとも無様に負け恥晒してえのか!?」
「晒すかボケがァ!!
「だったら一人で行くんじゃねえよ!オレを使ってみろよ!!今は仲間だろ!!!お前がやってる事はただの思考停止なんだよボケェ!!」
「作戦タイム長すぎ。
地面に棒状に尖った腕を突き刺し、ガラスと金属を擦り合わせたような音を大ボリュームで地面に流し込む。
ギリギリと鳴り響く爆音は地面を通して避難所にいる皆の頭に殴りつけるように届いた。
「ぐああああ!!あ、頭が割れそうだっ!!!」
「っ~~~!!!!」
「悪魔の叫び声かっ…!」
離れた場所でもこうなのだから直撃した遊戯と爆豪は無事では済まない。
強制的に地面から分離させられ、その身を脅威に曝してしまった。
「ぅギッ!ヤベェ!!」
「先ズハオ前ダ。『
安藤の赤熱した腕が弓のように引き絞られ、煙を噴き上げる。
ガチン。引き金が引かれた。
音の速さで遊戯の腹部を彼の防御ごと打ち抜く。声をあげる事すら出来ずに吹き飛んだ。
「っクソがっ…!」
「はぁいこんにちは、死ね。『
「!ぐああああああ!!!」
安藤から刹那の間に分離した化太郎は爆豪に向かって炎と黒煙を噴き出した。
爆豪は辛うじて直撃こそ避けたものの、攻撃の余波だけで爆豪に致命的なダメージを与える。
「な、なんて一方的な戦いなんだ…!」
「爆豪だって遊戯だって決して弱くはない。むしろトップクラスに強い方だ。」
「…体育祭の時でもそうだが、安藤は強固な身体と卓越した遠距離攻撃の豊富さ。殺生石は切り札の多様さと判断力の速さが強力な武器なんだろう。その二人のコンビネーションはこれ以上ない程に凶悪だな。」
「殺生石が相手を崩して、安藤が重い一撃を入れる。場合によって殺生石は遊撃にも回る。なんというか………ヤバイね!」
「…おい、生きてるかよ爆豪。」
「っ…誰に聞いてんだっ…クソ頭!」
「お前のスタンドプレーで倒せるほどあのコンビは甘くはないって分かってんだろ。」
「…クソが…っ!テメエなんぞと力を合わせても負けたらブッ殺す!」
「ほんと素直じゃねぇヤツだぜ…。」
「ヤレヤレ、コノ程度ジャ期待ハズレモイイトコダ。」
「爆豪君の欠点は誰かに頼ることに時間が掛かりすぎる事だよ。1人で無理なら2人。そこまでは頭でわかってるはずなんだ。」
「フン、無駄ナプライドニ縛ラレテイルノカ。」
「ま、子供の頃の環境のせいさね。ということでプライドの塊である爆豪君を削って、磨いて、研ぎ澄ましました。するとどうでしょう。」
BOOOOOOM!!!
「『フュージョンヒーロー:ボマークラッシュ』」
『ブッ潰ス!!!』
「ほれこのように殺意ギラギラの切れたナイフの出来上がり。」
「勝ツ為ナラ意地ヲ捨テルカ…良イ。」
「…まぁ。」
「「
『勝つのは俺だァ!!!』
「爆速ターボ変形…『ニトロチャージ』!!」
両手から爆炎を噴き上げつつ突撃する爆豪・遊戯の融合体『ボマークラッシュ』。
防御を一切捨てた突撃は、高熱を発する安藤の身体を無視して鋼の鎧を大きく歪ませた。
「グゥッア”!!」
「っ速」
「あ”あ”あ”あ”!!」BOOM!!
「ぶがぁっ!」
爆発の反動を最大に利用した裏拳が亜音速で化太郎の顔を打ち抜く。
攻撃は終わらない。たたらを踏んでこらえた化太郎に必殺の一撃を叩きこむ。
「『
BOOOOOOM!!!
余りにも強力な爆発で地響きが起きる。
「つ、強くなりすぎだろ…!」
「一撃が重くなっているのもあるが何よりも…
「移動速度も技の出の速さも今までとケタ違いだよ!」
「爆豪の個性の強力さと遊戯の技術力が掛け合わさってとんでもない強さになっているのか!」
「…だが、強さの代償もまた大きい。奴の腕を見ろ。」
「…!あれは…」
「っ~!!クソッ。お前の個性どうなってるんだマジで!」ズキズキ
『うるせえんだよザコが!!』
「腕が爛れてる…!」
「出力が強化
「恐らくあの火力は遊戯と融合したからと言う事だけじゃないな。殺生石だ。」
「どういう事?」
「今も爆豪達に向けて放ち続ける熱波が影響しているんだろう。」
「…汗か!!」
「元々爆豪はスロースターターだ。始めから無理矢理ギアを上げさせ、更に遊戯が合わさり今の状態にさせることで受けるダメージが増える代わりに相手の調子を陥れているのだろう…。」
「な、成程な…。幾ら遊戯とはいえ、初めて爆豪の個性を使うならその調整とかが出来る訳がない…!」
「自分が発する爆炎の反動、そして殺生石が放ち続ける熱波、二つが合わさってあいつ等の周りはかなり熱いはずだ…これは精神を摘む戦いになるぞ…。」
「ああ全く。ちょっとはしゃぎ過ぎなんじゃない?お面結ぶ紐ちぎれちゃったよもう。」
「ナンダ化太郎、怒ッテイルノカ?」
「ん~にゃぁ?別に怒っちゃいないさ。ほら、よく言うじゃん。顔面セーフって。」
「…結構キレてるよね化太郎…。」
「キレてないですよ。俺をキレさせたら大したもんですよ。」
『クソッ!次こそブッ殺す!!』
「焦んな、元々短期決戦は化太郎の超得意分野だ。その上で勝つってんなら…。」
『不可避の速攻だ!!』
「いやまあそうだけどよ…。」
熱い。既に辺りの空気は火山口の如く熱せられ、人間が活動するに適していない気温にまで上がっている。それでも4人は止まらない。化太郎は高熱を帯びている安藤に再度憑りつき、安藤の熱を奪っていく。安藤は身体のギアを更に加速させ、エネルギーを収束させる。
一方、爆豪と遊戯は肺腑を焼く様な空気に体力を奪われ、身体から涌き出るような汗を無視して攻撃の構えを取る。速さで相手を倒すために。
『ニトロチャージ!!』
「爆裂演舞:砕龍!!」
爆音が届くとともに、人の目に留まらない疾さで安藤に衝突する。
それで終わらない。相手を殴る直前に爆発、反動の勢いそのままに連撃、爆発。爆発。爆発。
それは過激な舞だった。
自分の腕を犠牲にしながらも、確かにその攻撃は相手に届いていた。
「アアアアア!!」
『死ィィィねェェエエ!!!』
「グゥァッ!!!」
「ぐぅぎぎぎ!!は、剥がれる…っ!!」
既に腕の感覚はない。だが、止まる訳にはいかない。引くわけにはいかない。ここで仕留める。仕留めなければならない。
ここで逃げるは男じゃない。
「おおおおおおらああああッ!!」BOOOM!!!
「ッシマッタ!!」ガクン
ついに安藤が大きく体制を崩す。疾さに対応するために無理をしたツケがここに来てしまった。
安藤は瞬時に対応策を練る。しかし相手はまるで安藤が体勢を崩す事を理解していたかのような速度で大技を叩きこもうとしていた。それはまさに獣の勘であった。
「『
まさに全力。身体にあるすべての力を両腕に込めて、終わりを告げる一撃を相手に叩き付けた
筈だった。
POF…
「…あ?」
POF…POF…
不発。
爆発の個性は発動している筈なのに何故先ほどまでの爆発すら起きないのか。
「爆豪君、君の個性は確かに素晴らしい。掌から分泌される汗が爆薬となり自在に爆撃を行えるようになるなんて実に派手で強力な個性だ。」
「…っ!化太郎お前…何しやがった!!!」
「簡単簡単。実に簡単なお話だよ。」
笑う。嗤う。仮面の奥で。ニヤニヤと。或いはゲラゲラと。悪魔は安藤の身体から離れながら最悪のネタバラシをする。
「そう、汗が爆薬になるのならば、汗が無ければ当然爆発出来ないだろう?
例えばそう、例えばだが…キミの手汗を私が『
相手にラッシュをかけている時、既に両腕の感覚は無かった。攻撃されたときに少しづつ、少しづつ掌の汗を奪っていったとしても気が付かなかっただろう。現に連撃を重ねていくに連れ、一撃の爆発力が下がっていったのに気が付いていなかった。
そして最後の一撃の時。全力を掛けての一撃は意識の全てを
爆発させる僅か数瞬前、掌の汗を言った通りに舐めとっていたのだとしたら、爆発するものが無いので当然攻撃は不発に終わる。
『て、テメエ…っ!!!』
「ふくくっ…!ニトロって中々に甘い味がするんだねえェ!さあさっ、楽しい
「…!何ヲ考エテル化太郎!!!」
「決まってるだろうロイコちゃぁん!!終わりすなわちオチ!オチといったら爆発オチっしょ!!?』
「バッ!止めろ化太郎!!」
「クソッ、止マレェ!!!」
『えー』
『それではみなさんご唱和ください』
『
カッ
「………うっ、うぅ…な、何が起きて…。」
「…ゴホッゴホッ、ぐっ…オイ、皆無事か!?」
「…ああ、辛うじて…な…。」
「っ…障子、口田、動けるか!?」
「…!」(何とか大丈夫…)
「ああ………っ、頭を打ったようだ…。」
「…ゲホッ。いやはや、主様は以前よりも遥かに成長していますね…。まさか私の全力の隔壁を破壊しつくすとは感無量…。」
「…貴男は良いわね気楽で…。私はこの爆撃の後処理をしなきゃいけないのに…。」
狐御殿は見る影も無くなり、壁も屋根も全て消し飛んで、残っているのは根元からなぎ倒された木と地面の中から抉りだされた巨石だけであった。
『やれやれ。』
『またつまらぬ勝利をしてしまった…』
『なんてね。」
「…ぐっっそっっっがぁああああ!!!」
「おりょ?完膚なきまでに吹き飛ばしたと思ったんだけど、もう立ち上がるなんて………タフさは私ら以上…というか異常だねホント。」
「また…何も出来ねえままに…負けられるかアアアア!!!」
「カッカッカ。言っただろ?そして体感出来ただろ?これがレベル99の力だよ。」
(とは言ったモノの…ヤベエなぁ。もう私完全ガス欠。一歩動いたらもうダウンだぜ全く…。完全にさっきの爆撃で決まったと思ったんだがいったいどうやって立ち上がったんだ………ん?)
「ぐ、く、く…。
「全ク…趣旨変ワッテルジャナイカ馬鹿モノメ…」
「アアアアアア!!」BOOM!BOOM!
「…ケケッ、融剛とロイコが爆撃から守ったんか。こりゃ一本取られちゃったぜオイコラ。」
「『
「じゃあテメェらの理想を覆してやるのが私の仕事だな!あと一撃分頑張れ私ぃ!!
『
化太郎と爆豪が激突する。果たして最後に立っていたのは…
今日はここまで。
さらりと狐御殿ぶっ飛んでますがマイゴさんが無事なら一瞬で再建可能。
章題が『試験』なのに3話かかっても試験が始まらない小説があるらしい。